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【2】

ー/ー



「ねえ、アヤカ。今日のごはんはハンバーグだよ。この間和風だったから、煮込みにしたけどよかった?」

 仕事が終わって、両手上げて伸びをする。この瞬間が気持ちイイ。
 よし、終わり! とデスクの椅子を回転させたあたしに、少しだけ空けた戸の隙間から待ち構えてたみたいに宗太が声掛けて来た。

「いいよー。宗太、ホントに料理上手いよね。あんたのハンバーグ大好き」
 日中、あたしは部屋の奥の方のベッド脇に置いたデスク周りを仕事スペースにしてる。

 だからその間宗太は、入り口すぐのキッチン部分にラグ敷いてその上で過ごしてた。たいていスマホ弄ってる。

 リモート会議の時間は、カメラで映る範囲に立ち入ってもらっちゃ困るのはもちろん、話し声も料理の音だって論外。
 当然、キッチンとの仕切りの戸は締め切ってるけど防音じゃないしね。

 だけどそれ以外は、宗太が家の中でテレビ観ててもゲームしてても、うるさくしない限りあたしは別に気にならない。そんな余裕ないし。

 宗太は意外と義理堅いのか、いつの間にか何もしなくなるってことだけはなかったな。まあ、そうなったら即叩き出してたとは思う。
 料理だってすっごい手が込んでるとかじゃないけど、あたしもそこまで期待してないしさ。

 いくら通勤時間がなくなったとはいえ、仕事終わりに即ご飯が出て来るのはありがたいよ、確かに。そこは感謝してる。

 でも、宗太はホントに毎日この部屋に籠ってるんだ。

 就職どころかバイトさえしてないし、する気もないみたい。せいぜいすぐ近くのスーパーやコンビニに買い物行くくらい?

 いや、ほとんど外に出ないのはあたしも同様なんだけど。あたしは自分で働いてこの部屋も生活も維持してるんだから一緒にされたくないね。

 ……こんなのがどれくらい続くの? お金の問題だけじゃないけど、これから先あたしがずっと飼ってくの? 年と身体だけは大人の、この情けない男を? 

「宗太。あたしもこんなこと言いたくないけどさ、いつまでこのままだらだらしてるつもり?」
 さすがに現実的な未来を考えたらちょっと黙ってられなくて切り出したあたしに、宗太はぼそぼそと呟く。

「ごめん、アヤカ。でも俺、外出るの怖いんだ。買い物はなんとかなるけど、人と話すのとか、──仕事、なんて」
「怖いってさぁ。じゃあ、どうすんのよ。永遠にあたしがここで面倒見てやんなきゃなんないの?」
「……ごめん」

 この話になると、宗太はいつも身体を縮めるようにして俯いてしまう。「ごめん」しか言わなくなる。
 ……なんかこれ、傍から見たらあたしが苛めてるみたいじゃない?

 逆ギレしたりしないだけマシなのかもしんないけど、──正直イラっと来るんだよ。



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「ねえ、アヤカ。今日のごはんはハンバーグだよ。この間和風だったから、煮込みにしたけどよかった?」
 仕事が終わって、両手上げて伸びをする。この瞬間が気持ちイイ。
 よし、終わり! とデスクの椅子を回転させたあたしに、少しだけ空けた戸の隙間から待ち構えてたみたいに宗太が声掛けて来た。
「いいよー。宗太、ホントに料理上手いよね。あんたのハンバーグ大好き」
 日中、あたしは部屋の奥の方のベッド脇に置いたデスク周りを仕事スペースにしてる。
 だからその間宗太は、入り口すぐのキッチン部分にラグ敷いてその上で過ごしてた。たいていスマホ弄ってる。
 リモート会議の時間は、カメラで映る範囲に立ち入ってもらっちゃ困るのはもちろん、話し声も料理の音だって論外。
 当然、キッチンとの仕切りの戸は締め切ってるけど防音じゃないしね。
 だけどそれ以外は、宗太が家の中でテレビ観ててもゲームしてても、うるさくしない限りあたしは別に気にならない。そんな余裕ないし。
 宗太は意外と義理堅いのか、いつの間にか何もしなくなるってことだけはなかったな。まあ、そうなったら即叩き出してたとは思う。
 料理だってすっごい手が込んでるとかじゃないけど、あたしもそこまで期待してないしさ。
 いくら通勤時間がなくなったとはいえ、仕事終わりに即ご飯が出て来るのはありがたいよ、確かに。そこは感謝してる。
 でも、宗太はホントに毎日この部屋に籠ってるんだ。
 就職どころかバイトさえしてないし、する気もないみたい。せいぜいすぐ近くのスーパーやコンビニに買い物行くくらい?
 いや、ほとんど外に出ないのはあたしも同様なんだけど。あたしは自分で働いてこの部屋も生活も維持してるんだから一緒にされたくないね。
 ……こんなのがどれくらい続くの? お金の問題だけじゃないけど、これから先あたしがずっと飼ってくの? 年と身体だけは大人の、この情けない男を? 
「宗太。あたしもこんなこと言いたくないけどさ、いつまでこのままだらだらしてるつもり?」
 さすがに現実的な未来を考えたらちょっと黙ってられなくて切り出したあたしに、宗太はぼそぼそと呟く。
「ごめん、アヤカ。でも俺、外出るの怖いんだ。買い物はなんとかなるけど、人と話すのとか、──仕事、なんて」
「怖いってさぁ。じゃあ、どうすんのよ。永遠にあたしがここで面倒見てやんなきゃなんないの?」
「……ごめん」
 この話になると、宗太はいつも身体を縮めるようにして俯いてしまう。「ごめん」しか言わなくなる。
 ……なんかこれ、傍から見たらあたしが苛めてるみたいじゃない?
 逆ギレしたりしないだけマシなのかもしんないけど、──正直イラっと来るんだよ。