第024話 回復魔法が使えない女僧侶 その3
ー/ーエリスが 女僧侶に転職したものの、それで事態は好転することも無く、数か月が過ぎた時、それは起こった。
「リリス、君は冒険者に向かない。故郷へ帰りなさい」
重い空気の中、シルバは高揚のない声でリリスに非情な通告をした。
「ど………どうしてっ!………あ…いえ……はい……承知いたしました」
リリスは何も言い返せすことが出来ず、俯いた。
既にレベル5まで迫ろうかというほど聖魔法を覚えたリリスであったが、彼女は肝心の回復魔法を一切覚えていないからである。
シルバはエルフの王国の代表として派遣された 騎士であり王族の一人であること、その責務が重いことをリリスは重々承知していた。
「では、今日はこれで解散としよう」
その言葉の直後、リリスは立ち上がると走り去るようにギルドを後にした。
エリスもゆっくりと立ち上がって去ろうとしたところで、シルバに呼び止められた。
「エリス様。出来れば再び前衛職に戻って力をお貸しいただけないでしょうか」
足を止めたエリスは振り返って口を開く。
「わしはリリスのお目付け役として来ただけじゃ。それはお主も分かっていよう」
「リリスが故郷に帰るなら、わしも帰るだけじゃ」
それだけ言うと、エリスは再び歩みを始めギルドを後にした。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
翌日。
二人を見送る者は誰一人いなかった。
だが、それは彼女達を嫌っての事ではなく、ダンジョン内で失踪した冒険者の救出にシルバも含めた高レベル冒険者全員が動員されたからであった。
「まぁ、仕方ないじゃろ」
「そうですわね。伯母上………」
二人は、エルフの王国へと向かう馬車に乗り込んでいく。
誰も見送る人が居ないであろうと思われていたが、一人だけ壁際からそれを見守っていた者がいた。
「シロウ、ボクたちも早く行かないと。みんな行ってしまったよ?」
「………あぁ、そうだな」
オフィーリアの言葉に、そう答えるとシロウは二人に背を向けて歩き出す。
「あれ?あれって………シロウも物好きだね。あれだけ毛嫌いされてた人のために見送るなんて」
「ハッ!?もしかして、シロウってドMなの!?」
「違う」
「あはははは。だよねぇ」
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
「お疲れ」
シルバは、深紅のワインが入ったコップを片手に、シロウの肩を叩いた。
「ま、一人助けられなかったけどな」
「それは仕方ないだろ。だが、残りの五人は助けられた」
「そう…だな……」
二人の会話のとおり、一人の冒険者は永遠に失われてしまったものの、五人の救出に成功したこともあって、ギルドに併設された酒場では救出に参加した冒険者で賑わいを見せていた。
そんな中、慌てるようにシルバの下にギルド職員のアリアが駆け付けた。
「大変です!エルフの王国に向かった馬車が山賊に襲われたそうです!」
シルバにだけ聞こえるようにアリアは話したが、近くに居たシロウもそれは聞こえていた。
「今すぐに救出に向かわなければ」
そう言ってギルドを後にしようとしたシルバを止めたのは、シロウであった。
みんなのリアクション
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
エリスが |女僧侶《プリーステス》に転職したものの、それで事態は好転することも無く、数か月が過ぎた時、それは起こった。
「リリス、君は冒険者に向かない。故郷へ帰りなさい」
重い空気の中、シルバは高揚のない声でリリスに非情な通告をした。
「ど………どうしてっ!………あ…いえ……はい……承知いたしました」
リリスは何も言い返せすことが出来ず、|俯《うつむ》いた。
既にレベル5まで迫ろうかというほど聖魔法を覚えたリリスであったが、彼女は肝心の回復魔法を一切覚えていないからである。
シルバはエルフの王国の代表として派遣された |騎士《ナイト》であり王族の一人であること、その責務が重いことをリリスは重々承知していた。
「では、今日はこれで解散としよう」
その言葉の直後、リリスは立ち上がると走り去るようにギルドを後にした。
エリスもゆっくりと立ち上がって去ろうとしたところで、シルバに呼び止められた。
「エリス様。出来れば再び前衛職に戻って力をお貸しいただけないでしょうか」
足を止めたエリスは振り返って口を開く。
「わしはリリスのお目付け役として来ただけじゃ。それはお主も分かっていよう」
「リリスが故郷に帰るなら、わしも帰るだけじゃ」
それだけ言うと、エリスは再び歩みを始めギルドを後にした。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
翌日。
二人を見送る者は誰一人いなかった。
だが、それは彼女達を嫌っての事ではなく、ダンジョン内で失踪した冒険者の救出にシルバも含めた高レベル冒険者全員が動員されたからであった。
「まぁ、仕方ないじゃろ」
「そうですわね。伯母上………」
二人は、エルフの王国へと向かう馬車に乗り込んでいく。
誰も見送る人が居ないであろうと思われていたが、一人だけ壁際からそれを見守っていた者がいた。
「シロウ、ボクたちも早く行かないと。みんな行ってしまったよ?」
「………あぁ、そうだな」
オフィーリアの言葉に、そう答えるとシロウは二人に背を向けて歩き出す。
「あれ?あれって………シロウも物好きだね。あれだけ毛嫌いされてた人のために見送るなんて」
「ハッ!?もしかして、シロウってドMなの!?」
「違う」
「あはははは。だよねぇ」
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「お疲れ」
シルバは、深紅のワインが入ったコップを片手に、シロウの肩を叩いた。
「ま、一人助けられなかったけどな」
「それは仕方ないだろ。だが、残りの五人は助けられた」
「そう…だな……」
二人の会話のとおり、一人の冒険者は永遠に失われてしまったものの、五人の救出に成功したこともあって、ギルドに併設された酒場では救出に参加した冒険者で賑わいを見せていた。
そんな中、慌てるようにシルバの下にギルド職員のアリアが駆け付けた。
「大変です!エルフの王国に向かった馬車が山賊に襲われたそうです!」
シルバにだけ聞こえるようにアリアは話したが、近くに居たシロウもそれは聞こえていた。
「今すぐに救出に向かわなければ」
そう言ってギルドを後にしようとしたシルバを止めたのは、シロウであった。