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第022話 回復魔法が使えない女僧侶 その1

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今より1年と少し前の事。

エルフの王都よりスレイブ侯国のオアシス都市ランスに向かう一台の馬車があり、二人のエルフの女性が乗っていた。

一人は王位継承権第三位を持つエリス、もう一人はその姪で王位継承権第十三位のリリスであった。

「あぁ、もうすぐシルバ様とご一緒にパーティを組めますのね」
「ありがとうございます。伯母上」

「あ………うん。それはもう何度も聞いておるし、もうええぞ?」

期待に胸をふくらませる‥‥‥といってもそれほどの胸を持たないが、リリスは将来への期待に胸をふくらませていた。

一方、エリスはといえば、あまり乗り気ではなかった。
何故なら、今回の一件のおぜん立てをしたのはエリスであったが、シルバの目的はリリスではなく自分にあることを知っていたからである。

………………………………………………。

スレイブ侯国オアシス都市ランス。

スレイブ侯国は、アストライア大陸の中央に位置するオアシス連邦を構成する国の一つで、国土の大半が不毛の荒野と砂漠で覆われた小国であるが、オアシスと呼ばれる自然豊かな土地が点在しており、少数ながらも独自の文化を形成していた。

そんな小国に転機が訪れた。
首都ランスで古代に建造されたと思しきダンジョンが発見されたのである。

この事は瞬く間に世界中を駆け巡り、大陸の国々から冒険者が集い賑わいを見せるようになった。

エリスとリリスが向かう先のシルバもまた、その冒険者の一人であり、エルフの若手貴族随一の 騎士(ナイト)と称される男であった。

「この度は助力頂き誠にありがとうございます」

シルバはそう言うと、エリスの両手を包み込むように持ち膝を曲げ地に付けて礼をした。

「そのような堅っ苦しい挨拶は良い。そんなことより………」

エリスは、チラッとリリスの方に視線を向ける。
彼女の意図を汲んだシルバは立ち上がると、今度はリリスの手を取ってお礼を述べたのであった。

「わたくしも頑張らせていただきます!」

「ははは。今からそんなに張り切らなくてもいいよ」
「少しずつ成長していけばいいから」

「はい!頑張ります!」

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。

「………というわけです」

ギルドに併設された食堂で、シルバはエリスとリリスにこの地のダンジョンについて説明をする。

「ふむぅ………ダンジョンで死んだ者は蘇生出来ぬのか………」

シルバの説明に、エリスは眉をひそめた。
無理もない、エリス自身はかつて冒険者として世界各地に赴いた経験もあり実力もあったが、リリスは今回が初めてである。

「伯母上、わたくし頑張りますわ!」

ふんすと鼻息を鳴らしながらリリスはエリスに迫る。
その気迫に押されながら、エリスは話を続けた。

「で…そこで前衛職(アタッカー)回復職(ヒーラー)を失ったと………」

「では、わたくしが回復職(ヒーラー)をやりますわ!」

リリスは勢いよく立ち上がる。

「そう言って貰えると助かるよ。期待している」

「はいっ!シルバ様」

こうしてリリスは 女僧侶(プリーステス)として冒険者をスタートしたのであった。





みんなのリアクション

今より1年と少し前の事。
エルフの王都よりスレイブ侯国のオアシス都市ランスに向かう一台の馬車があり、二人のエルフの女性が乗っていた。
一人は王位継承権第三位を持つエリス、もう一人はその姪で王位継承権第十三位のリリスであった。
「あぁ、もうすぐシルバ様とご一緒にパーティを組めますのね」
「ありがとうございます。伯母上」
「あ………うん。それはもう何度も聞いておるし、もうええぞ?」
期待に胸をふくらませる‥‥‥といってもそれほどの胸を持たないが、リリスは将来への期待に胸をふくらませていた。
一方、エリスはといえば、あまり乗り気ではなかった。
何故なら、今回の一件のおぜん立てをしたのはエリスであったが、シルバの目的はリリスではなく自分にあることを知っていたからである。
………………………………………………。
スレイブ侯国オアシス都市ランス。
スレイブ侯国は、アストライア大陸の中央に位置するオアシス連邦を構成する国の一つで、国土の大半が不毛の荒野と砂漠で覆われた小国であるが、オアシスと呼ばれる自然豊かな土地が点在しており、少数ながらも独自の文化を形成していた。
そんな小国に転機が訪れた。
首都ランスで古代に建造されたと思しきダンジョンが発見されたのである。
この事は瞬く間に世界中を駆け巡り、大陸の国々から冒険者が集い賑わいを見せるようになった。
エリスとリリスが向かう先のシルバもまた、その冒険者の一人であり、エルフの若手貴族随一の |騎士《ナイト》と称される男であった。
「この度は助力頂き誠にありがとうございます」
シルバはそう言うと、エリスの両手を包み込むように持ち膝を曲げ地に付けて礼をした。
「そのような堅っ苦しい挨拶は良い。そんなことより………」
エリスは、チラッとリリスの方に視線を向ける。
彼女の意図を汲んだシルバは立ち上がると、今度はリリスの手を取ってお礼を述べたのであった。
「わたくしも頑張らせていただきます!」
「ははは。今からそんなに張り切らなくてもいいよ」
「少しずつ成長していけばいいから」
「はい!頑張ります!」
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
「………というわけです」
ギルドに併設された食堂で、シルバはエリスとリリスにこの地のダンジョンについて説明をする。
「ふむぅ………ダンジョンで死んだ者は蘇生出来ぬのか………」
シルバの説明に、エリスは眉をひそめた。
無理もない、エリス自身はかつて冒険者として世界各地に赴いた経験もあり実力もあったが、リリスは今回が初めてである。
「伯母上、わたくし頑張りますわ!」
ふんすと鼻息を鳴らしながらリリスはエリスに迫る。
その気迫に押されながら、エリスは話を続けた。
「で…そこで|前衛職《アタッカー》と|回復職《ヒーラー》を失ったと………」
「では、わたくしが|回復職《ヒーラー》をやりますわ!」
リリスは勢いよく立ち上がる。
「そう言って貰えると助かるよ。期待している」
「はいっ!シルバ様」
こうしてリリスは |女僧侶《プリーステス》として冒険者をスタートしたのであった。