刃が切り開く未来 ―2―
ー/ー
「どうして……どうして貴方が! 私のためにそんなことをするのですか!」
「だって、約束しただろう」
その言葉を聞いて、ヴェローニカは数刻前のやり取りを思い出す。もう忘れることもできないほど脳裏に焼き付いた記憶。今すぐにでも、あの時の光景を思い浮かべることができる。
「僕は君の刀になると誓った。二言は無いよ。僕は君のためにこの刃を振るう」
「私は……私は、貴方の敵なんですよ!?」
「違う。僕だけが、君の味方なんだ」
国綱はヴェローニカに現実を叩きつける。頼れる人なんてもう存在しない。裏切り、役目を放棄したヴェローニカを『七曜の魔法使い』はもう仲間として認めてはくれないかもしれない。
バウディアムスもそうだ。ヴェローニカが『七曜の魔法使い』であることがバレてしまったら、もう戻ることなんてできやしない。今この瞬間において、ヴェローニカが頼ることができるのは、もう国綱しかいないのだ。
ヴェローニカもそれを理解できているようで、国綱の言葉を否定することはしなかった。
「君のために戦うのなんてのは、僕の身勝手さ。君に苦しんで欲しくない。自分勝手な僕の感情を優先したまでだ」
「なら、どうして私なんですか……どうして、こんな真似をするんですか」
国綱は何度か口を開き、その度に躊躇ってはまた口を閉じてを繰り返す。若干顔を赤らめて、しどろもどろになっているようで、見た事のない新鮮な印象を受ける。
そして、国綱は大きく咳払いをして、覚悟を決めたように口を開いた。ヴェローニカと向き合い、真剣な表情で言う。
「そうだな。強いて言えば……君が好きだからかな」
「……え?」
「いやなんだ。改めて口にすると、恥ずかしいな……」
恥ずかしげもなく言い切ったかも思えば、みるみるうちに国綱は顔を赤くしていく。人目見て分かるほど顔を真っ赤に染めて、国綱はらしくもなく照れている。
「な、何を言っているんですか?」
「何をって……君が教えろって言うから……」
あまりに突然の告白にヴェローニカは戸惑いながら国綱を見る。手で顔を隠して、国綱は先程までの凛々しさがまるで感じられないほど動揺しているようだった。
「益々理解できません。なぜそんな理由で私のために戦うなんて言えるんですか」
「……君が大切だからだよ。傷ついて欲しくない。苦しむ姿を見たくないんだ」
悲しそうに国綱は言う。この男は本気だ。本気で馬鹿なのだ。『好きだから』なんていう理由で命さえかけてしまえる。ヴェローニカは国綱に呆れながらも、覚悟を決めた。
もう道は残されていない。ヴェローニカには、もう逃げ道などないはずだった。手を汚した。戻れないところまで来てしまった。けれど、そんな絶望の中、ヴェローニカに手が差し伸べられた。
ヴェローニカはもう、1人じゃない。
「ならば、改めて誓ってください」
国綱はヴェローニカを前にして跪く。この誓いは、これから一生2人を縛っていくだろう。2人の誓いはもはや『呪い』に近い。
だが――
「私のために生き、私のために死んでください」
「もちろん。君の刃をとして、僕は君の未来を切り開こう」
人を殺す呪いがあれば、人を生かす呪いもある。この誓いが、一体2人をどう災いするのか。そんなこと、誰にも分かりはしない。
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「だって、約束しただろう」
その言葉を聞いて、ヴェローニカは数刻前のやり取りを思い出す。もう忘れることもできないほど脳裏に焼き付いた記憶。今すぐにでも、あの時の光景を思い浮かべることができる。
「僕は君の刀になると誓った。二言は無いよ。僕は君のためにこの刃を振るう」
「私は……私は、貴方の敵なんですよ!?」
「違う。僕だけが、君の味方なんだ」
国綱はヴェローニカに現実を叩きつける。頼れる人なんてもう存在しない。裏切り、役目を放棄したヴェローニカを『七曜の魔法使い』はもう仲間として認めてはくれないかもしれない。
バウディアムスもそうだ。ヴェローニカが『七曜の魔法使い』であることがバレてしまったら、もう戻ることなんてできやしない。今この瞬間において、ヴェローニカが頼ることができるのは、もう国綱しかいないのだ。
ヴェローニカもそれを理解できているようで、国綱の言葉を否定することはしなかった。
「君のために戦うのなんてのは、僕の身勝手さ。君に苦しんで欲しくない。自分勝手な僕の感情を優先したまでだ」
「なら、どうして私なんですか……どうして、こんな真似をするんですか」
国綱は何度か口を開き、その度に躊躇ってはまた口を閉じてを繰り返す。若干顔を赤らめて、しどろもどろになっているようで、見た事のない新鮮な印象を受ける。
そして、国綱は大きく咳払いをして、覚悟を決めたように口を開いた。ヴェローニカと向き合い、真剣な表情で言う。
「そうだな。強いて言えば……君が好きだからかな」
「……え?」
「いやなんだ。改めて口にすると、恥ずかしいな……」
恥ずかしげもなく言い切ったかも思えば、みるみるうちに国綱は顔を赤くしていく。人目見て分かるほど顔を真っ赤に染めて、国綱はらしくもなく照れている。
「な、何を言っているんですか?」
「何をって……君が教えろって言うから……」
あまりに突然の告白にヴェローニカは戸惑いながら国綱を見る。手で顔を隠して、国綱は先程までの凛々しさがまるで感じられないほど動揺しているようだった。
「益々理解できません。なぜそんな理由で私のために戦うなんて言えるんですか」
「……君が大切だからだよ。傷ついて欲しくない。苦しむ姿を見たくないんだ」
悲しそうに国綱は言う。この男は本気だ。本気で馬鹿なのだ。『好きだから』なんていう理由で命さえかけてしまえる。ヴェローニカは国綱に呆れながらも、覚悟を決めた。
もう道は残されていない。ヴェローニカには、もう逃げ道などないはずだった。手を汚した。戻れないところまで来てしまった。けれど、そんな絶望の中、ヴェローニカに手が差し伸べられた。
ヴェローニカはもう、1人じゃない。
「ならば、改めて誓ってください」
国綱はヴェローニカを前にして跪く。この誓いは、これから一生2人を縛っていくだろう。2人の誓いはもはや『呪い』に近い。
だが――
「私のために生き、私のために死んでください」
「もちろん。君の刃をとして、僕は君の未来を切り開こう」
人を殺す呪いがあれば、人を生かす呪いもある。この誓いが、一体2人をどう災いするのか。そんなこと、誰にも分かりはしない。