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覇王の国庫略奪

ー/ー



「探せぇっ! 何としてでもボヘミティリア王国の国庫を手に入れるぞ! 一攫千金の好機だぁ!」

 リョーガイは荒々しい号令を部下たちに放ちながら、ボヘミティリア王国の王城の中を探検し続けた。ボヘミティリアの者であれば、女、子供、貴族、衛兵、そして家畜ですら殺し廻りながら大金を探索している。

 覇王の広い王城の中にはリョーガイ軍5000の軍隊が殺到していた。城は阿鼻叫喚に包まれており、死体の山で溢れかえっていた。

「おいっ、てめぇっ! 覇王の宝物庫がどこにあるのか言えっ! 言わねえと生きたまま(はらわた)引きずり出すぞっ!!」

「ううぅ……ううぅ……」

 あっけなくリョーガイの部隊に取り押さえられたボヘミティリア王城の衛兵に、リョーガイは切れ長の目を鋭く光らせて恫喝する。
だが衛兵はただ今の状況に泣きわめくことしかできず、腕を後ろに無理矢理回されたまま答えを返すことができなかった。

「斬れッ! こいつは役立たずだっ! 腹かっさいばいてモツ引きちぎれっ!!」

 うつ伏せに倒されていた兵士は力づくで仰向けに寝かせられ、鎧ごと腹部を引き裂かれた。

「ギャアアァァッ!」

 まるで鳥を(くび)り殺したかのような甲高い悲鳴が城内の廊下に響き渡る。
リョーガイの命令通り、アルポート兵は穴の空いた鎧に手を突っ込み、長蛇のような赤い腸を引き摺り出した。

「ア”ア”ア”ア”ア”ッ!!」

 また絶叫が響き渡る。まだ無傷の喉ですらそのまま張り裂かれそうな醜い鳥の鳴き声だ。狩られる側となったボヘミティリア兵にはもはや人間の尊厳など残っていない。

 引き抜かれた腸の一端はそのまま、別の捕らえられた衛兵の顔の元に投げつけられた。べチャリと、粘液のある生臭くて気持ちの悪いその感触は、兵士たちの恐怖を絶頂させるには十分だった。
それを見ても抵抗する兵士がいれば、容赦なく片方ずつの手足を切り落として無力化する。

 リョーガイにとってボヘミティリアの兵など、喋れるだけ生きていれば十分だった。

「あ……あ……俺は……覇王様の国庫の在り処を知っております……」

 ついに目当ての兵士をリョーガイが見つけた。リョーガイは残忍にニヤリと笑い、ボヘミティリア兵の自白を続けさせる。

「あ、あの……2階に上がって一番奥に進んだ西側の通路の途中にあります。覇王様の国庫は隠し通路になっていて、外壁の1つの石を押したら通路が開く仕掛けとなっております。で、ですから、ど、どうか命だけは……」

 今まさに片腕を斬り落とされようとしていた兵士が俯せのまま命乞いをする。
リョーガイは切れ長の目で殺意と猜疑を抱きながら兵士を睨みつけていた。

「……こいつを2階まで連れて行け。それからお前らはそのまま生き残りの兵どもをを押さえてろ。暴れても殺さない程度にしておけよ? おいボヘミティリアの間抜け野郎、もしてめぇの話が嘘だったら目玉ほじくり出して喰わせてやるからな?」

 その確実に嘘ではない脅迫に衛兵は涙を浮かべながらコクコクと頷く。兵士はリョーガイの部下たち引き摺られるようにして歩かせられる。

 片腕や片足、そして引きちぎられたばかりの腸が転がり回っている覇王城の回廊を、リョーガイ軍が侵略を続ける。既に何人殺したかなど、人生で昼飯を食った回数のように覚えていない。

 リョーガイ自身も血塗れとなっており、そのギラギラした赤い鎧が今やドロドロした血液の光沢によって鈍い光を放っている。
廊下の赤い絨毯の上には、更に赤黒い血の足跡がベタベタとつけられていった。
リョーガイ軍は死体が既に転がっている階段を登り、例の隠し通路があると言われる西の廊下に曲がった。

「おいっ、その隠し通路とやらはどこにある? そいつを放してやれ。探させろ」

 リョーガイの指示で手を後ろに回されていたボヘミティリア兵は解放される。だが既に所持していた王宮の剣は取り上げられており反抗はできない。殺気立ったリョーガイの部隊に囲まれながら、兵はただ一瞬でも生き残りたくて、通路の壁のわずかに色が他と違う積石の1つを押す。

 すると、ゴトゴトと鈍い音を立てながら左右の石の壁が開き、暗くて細い一本道の通路が現れた。

「ほほうっ! まさか本当にこんなカラクリがあったとはなぁ。一体全体どうやって動いてんだこれ? よし、そいつはもう用済みだ。目を抉り取れ」

 そのリョーガイの命令が下るや否や、忽(たちま)ちリョーガイの部下たちがボヘミティリア兵の両目を剣で抉り取る。

 ギャアアアッ! という悲鳴がまた廊下に広がり、兵士は目がなくなったばかりの眼孔を両手で押さえて転げ回る。その勢いのあまり、床に落ちていた己の2つの目玉をプチプチと背中で潰してしまった。その者に二度と光は見えなくなった。

「さて、約束は守ってもらったわけだし、そいつは生かしといてやるか。まあ、その目じゃどの道生きてはいけないだろう。おいっ、お前たちっ、あの扉を確認してこい!」

 暗い通路の奥には、城門のような大きな扉があった。回転式で開く頑丈な鉄の扉であり、それがとても分厚い金属でできているのだとわかる。

「チッ、やっぱり鍵がかかってやがる。これをチンケな針金とかで開けんのは無理があるだろ。おいっ、そこの(めくら)野郎ッ!」

 リョーガイが通路の鉄扉を触り確認すると、再び廊下に戻り目のない兵士の股間を蹴り飛ばす。

 ギャッ! と女のような悲鳴を上げて、今度は己の股間を両手で押さえ出す。虚ろになった黒い眼孔が露わになり、そこから血がトロトロと泥水のように流れ出る。

「この扉はどうやったら開く? てめぇはこの通路を知ってたってことは、扉の開け方も知ってんだろうなぁ? 言え! 鍵は今どこにある?」

 リョーガイは剣の切っ先を横たわるる兵士の頬に突き当てる。

「お……お……俺は、知らない……」

 兵士が両手で股間を押さえながら、ボソボソと答えを返す。

「俺はたまたま、夜の警備の時にそこの仕掛けを見つけただけだ。だから、鍵のことは知らない。け、けど、こ、殺さないでくれっ、た、頼むっ……」

 兵士が明後日の方向に向かって喋りながら、リョーガイに命乞いをする。
だがリョーガイは、ズカズカと兵士の体を迂回して腹側まで回り込むと、そのまま兵士の股間を両手ごと剣で突き刺した。

「ア”ア”ア”ア”ア”ア”ッ!!」

 兵士はもはや何も庇うことができなくなった両手を宙に振り回して暴れまわる。
リョーガイはそんな触覚をもがれた虫けらのような男に激高して、何度も顔面を赤い鉄の長靴で蹴り飛ばす。

「ふざけんじゃねぇっ!! 俺が何のためにこんな戦争に参加したと思ってやがる! 金のためだっ、覇王の金っ! 俺はてめぇらに毟り取られた金をぶん取り返すために、こんな血腥(ちなまぐさ)いとこに来てんだよっ! このままタダ働きで帰れるかボケッ!!」

 リョーガイの容赦のない鋼鉄の蹴りは、ついに兵士の頭蓋を破壊する。その破片が脳髄に刺さったのか、抵抗を続けていた男はピクリとも動かなくなった。

「チっ、事切れやがった。こんな変梃(へんてこ)な仕掛けの裏に財宝隠してるってことは、他の奴が鍵の在り処知ってるとも思えねぇ。仕方ねぇ。部屋ん中も傷つくかもしれねぇが爆破するぞっ!」

 そして扉の前には大量の爆弾が積まれる。まるで火薬庫をそのまま目の前に転移したかのような物々しさだった。リョーガイの部下が導火線に火を付ける。

「このまま一階まで避難するぞっ! 急げっ! 死んじまったら何の意味もねえ!」

 リョーガイの部隊は駆け足で階段を降りる。
しばらくすると、ボヘミティリア城を撃った大砲にも負けないくらいの爆発音が城内全体に響き渡る。
その振動が収まった時、再びリョーガイの部隊は隠し通路の前まで戻った。

 鉄の大きな扉がくの字に曲がってひしゃげ、奥行きが広い部屋の奥まで吹き飛んでいた。
火薬の煙が晴れると、室内がはっきりと見えた。

「見ろっ! やっぱり中に宝物庫が有ったぞ! 瓦礫を退かせ! すぐに中を調べるぞ!」

 リョーガイの部隊が素早く岩の残骸の撤去作業を終え、一斉にズカズカと窮屈になって部屋に入り込む。

「よしっ、読み通りだ! これは100万金両が入ってる金両箱だっ!! ヒャアアアッ5つもある! 中を調べろ!!」

 興奮したリョーガイがテキパキと指示を出し、5つの棺のように大きな金両箱の中身を数えさせる。するとどれもびっしりと100万金両入っており、覇王の国庫には500万金両の財産があったことが報告された。

「ウヒョオオオォォ~ッ!! 500万金両だって!! こんな大金俺でも今まで見たことねぇや!! 覇王の野郎しこたま貯め込んでやがったんだ!! この金は全部俺のもんだぁぁぁっ!!!」

 リョーガイは宝の山を見つけた海賊のように、天井に500万金両を大量にばら撒く。そしてその金をそそくさと部下に元に戻すよう命令すると、すぐさま冷静になって部下たちにまた指示を出した。

「よしっ!! このまま500万金両を運び出せ!! 俺たちの軍はボヘミティリアから撤収するぞっ!! 後はソキンに貸した大砲が帰ってくりゃいい!! これでウォームリック家の一族も安泰だぁっっ!!」

 リョーガイは博打に一人勝ちした賭博師のようにはしゃぎまわり、悠々と空となった覇王の国庫の残骸から部隊を引き上げた。

 リョーガイ軍は雅楽隊の如く法螺貝をボヘミティリア王城で吹き回り、王城に突入した5000の全軍を城門の外へと呼び出した。全軍が揃っているかの確認作業を終えると、すぐさま城門の先にある長い階段を全兵が長蛇の列となって駆け下りていった。

「これで俺たちの役目も終わりだ! 後んことは他の軍の奴らに任せとけばいい! このままアルポートまで帰還するぞぉっ!!」

 リョーガイが赤い馬を走らせ、屍の山を再び踏み荒らしながらボヘミティリア王国の血海を駆け抜ける。金と人の命を食らったイナゴの大軍がボヘミティリアの西門から高笑いを上げながら去っていった。

 それでもまだ、ボヘミティリア王国の暴虐は終わらない。



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 リョーガイは荒々しい号令を部下たちに放ちながら、ボヘミティリア王国の王城の中を探検し続けた。ボヘミティリアの者であれば、女、子供、貴族、衛兵、そして家畜ですら殺し廻りながら大金を探索している。
 覇王の広い王城の中にはリョーガイ軍5000の軍隊が殺到していた。城は阿鼻叫喚に包まれており、死体の山で溢れかえっていた。
「おいっ、てめぇっ! 覇王の宝物庫がどこにあるのか言えっ! 言わねえと生きたまま腸《はらわた》引きずり出すぞっ!!」
「ううぅ……ううぅ……」
 あっけなくリョーガイの部隊に取り押さえられたボヘミティリア王城の衛兵に、リョーガイは切れ長の目を鋭く光らせて恫喝する。
だが衛兵はただ今の状況に泣きわめくことしかできず、腕を後ろに無理矢理回されたまま答えを返すことができなかった。
「斬れッ! こいつは役立たずだっ! 腹かっさいばいてモツ引きちぎれっ!!」
 うつ伏せに倒されていた兵士は力づくで仰向けに寝かせられ、鎧ごと腹部を引き裂かれた。
「ギャアアァァッ!」
 まるで鳥を括《くび》り殺したかのような甲高い悲鳴が城内の廊下に響き渡る。
リョーガイの命令通り、アルポート兵は穴の空いた鎧に手を突っ込み、長蛇のような赤い腸を引き摺り出した。
「ア”ア”ア”ア”ア”ッ!!」
 また絶叫が響き渡る。まだ無傷の喉ですらそのまま張り裂かれそうな醜い鳥の鳴き声だ。狩られる側となったボヘミティリア兵にはもはや人間の尊厳など残っていない。
 引き抜かれた腸の一端はそのまま、別の捕らえられた衛兵の顔の元に投げつけられた。べチャリと、粘液のある生臭くて気持ちの悪いその感触は、兵士たちの恐怖を絶頂させるには十分だった。
それを見ても抵抗する兵士がいれば、容赦なく片方ずつの手足を切り落として無力化する。
 リョーガイにとってボヘミティリアの兵など、喋れるだけ生きていれば十分だった。
「あ……あ……俺は……覇王様の国庫の在り処を知っております……」
 ついに目当ての兵士をリョーガイが見つけた。リョーガイは残忍にニヤリと笑い、ボヘミティリア兵の自白を続けさせる。
「あ、あの……2階に上がって一番奥に進んだ西側の通路の途中にあります。覇王様の国庫は隠し通路になっていて、外壁の1つの石を押したら通路が開く仕掛けとなっております。で、ですから、ど、どうか命だけは……」
 今まさに片腕を斬り落とされようとしていた兵士が俯せのまま命乞いをする。
リョーガイは切れ長の目で殺意と猜疑を抱きながら兵士を睨みつけていた。
「……こいつを2階まで連れて行け。それからお前らはそのまま生き残りの兵どもをを押さえてろ。暴れても殺さない程度にしておけよ? おいボヘミティリアの間抜け野郎、もしてめぇの話が嘘だったら目玉ほじくり出して喰わせてやるからな?」
 その確実に嘘ではない脅迫に衛兵は涙を浮かべながらコクコクと頷く。兵士はリョーガイの部下たち引き摺られるようにして歩かせられる。
 片腕や片足、そして引きちぎられたばかりの腸が転がり回っている覇王城の回廊を、リョーガイ軍が侵略を続ける。既に何人殺したかなど、人生で昼飯を食った回数のように覚えていない。
 リョーガイ自身も血塗れとなっており、そのギラギラした赤い鎧が今やドロドロした血液の光沢によって鈍い光を放っている。
廊下の赤い絨毯の上には、更に赤黒い血の足跡がベタベタとつけられていった。
リョーガイ軍は死体が既に転がっている階段を登り、例の隠し通路があると言われる西の廊下に曲がった。
「おいっ、その隠し通路とやらはどこにある? そいつを放してやれ。探させろ」
 リョーガイの指示で手を後ろに回されていたボヘミティリア兵は解放される。だが既に所持していた王宮の剣は取り上げられており反抗はできない。殺気立ったリョーガイの部隊に囲まれながら、兵はただ一瞬でも生き残りたくて、通路の壁のわずかに色が他と違う積石の1つを押す。
 すると、ゴトゴトと鈍い音を立てながら左右の石の壁が開き、暗くて細い一本道の通路が現れた。
「ほほうっ! まさか本当にこんなカラクリがあったとはなぁ。一体全体どうやって動いてんだこれ? よし、そいつはもう用済みだ。目を抉り取れ」
 そのリョーガイの命令が下るや否や、忽《たちま》ちリョーガイの部下たちがボヘミティリア兵の両目を剣で抉り取る。
 ギャアアアッ! という悲鳴がまた廊下に広がり、兵士は目がなくなったばかりの眼孔を両手で押さえて転げ回る。その勢いのあまり、床に落ちていた己の2つの目玉をプチプチと背中で潰してしまった。その者に二度と光は見えなくなった。
「さて、約束は守ってもらったわけだし、そいつは生かしといてやるか。まあ、その目じゃどの道生きてはいけないだろう。おいっ、お前たちっ、あの扉を確認してこい!」
 暗い通路の奥には、城門のような大きな扉があった。回転式で開く頑丈な鉄の扉であり、それがとても分厚い金属でできているのだとわかる。
「チッ、やっぱり鍵がかかってやがる。これをチンケな針金とかで開けんのは無理があるだろ。おいっ、そこの盲《めくら》野郎ッ!」
 リョーガイが通路の鉄扉を触り確認すると、再び廊下に戻り目のない兵士の股間を蹴り飛ばす。
 ギャッ! と女のような悲鳴を上げて、今度は己の股間を両手で押さえ出す。虚ろになった黒い眼孔が露わになり、そこから血がトロトロと泥水のように流れ出る。
「この扉はどうやったら開く? てめぇはこの通路を知ってたってことは、扉の開け方も知ってんだろうなぁ? 言え! 鍵は今どこにある?」
 リョーガイは剣の切っ先を横たわるる兵士の頬に突き当てる。
「お……お……俺は、知らない……」
 兵士が両手で股間を押さえながら、ボソボソと答えを返す。
「俺はたまたま、夜の警備の時にそこの仕掛けを見つけただけだ。だから、鍵のことは知らない。け、けど、こ、殺さないでくれっ、た、頼むっ……」
 兵士が明後日の方向に向かって喋りながら、リョーガイに命乞いをする。
だがリョーガイは、ズカズカと兵士の体を迂回して腹側まで回り込むと、そのまま兵士の股間を両手ごと剣で突き刺した。
「ア”ア”ア”ア”ア”ア”ッ!!」
 兵士はもはや何も庇うことができなくなった両手を宙に振り回して暴れまわる。
リョーガイはそんな触覚をもがれた虫けらのような男に激高して、何度も顔面を赤い鉄の長靴で蹴り飛ばす。
「ふざけんじゃねぇっ!! 俺が何のためにこんな戦争に参加したと思ってやがる! 金のためだっ、覇王の金っ! 俺はてめぇらに毟り取られた金をぶん取り返すために、こんな血腥《ちなまぐさ》いとこに来てんだよっ! このままタダ働きで帰れるかボケッ!!」
 リョーガイの容赦のない鋼鉄の蹴りは、ついに兵士の頭蓋を破壊する。その破片が脳髄に刺さったのか、抵抗を続けていた男はピクリとも動かなくなった。
「チっ、事切れやがった。こんな変梃《へんてこ》な仕掛けの裏に財宝隠してるってことは、他の奴が鍵の在り処知ってるとも思えねぇ。仕方ねぇ。部屋ん中も傷つくかもしれねぇが爆破するぞっ!」
 そして扉の前には大量の爆弾が積まれる。まるで火薬庫をそのまま目の前に転移したかのような物々しさだった。リョーガイの部下が導火線に火を付ける。
「このまま一階まで避難するぞっ! 急げっ! 死んじまったら何の意味もねえ!」
 リョーガイの部隊は駆け足で階段を降りる。
しばらくすると、ボヘミティリア城を撃った大砲にも負けないくらいの爆発音が城内全体に響き渡る。
その振動が収まった時、再びリョーガイの部隊は隠し通路の前まで戻った。
 鉄の大きな扉がくの字に曲がってひしゃげ、奥行きが広い部屋の奥まで吹き飛んでいた。
火薬の煙が晴れると、室内がはっきりと見えた。
「見ろっ! やっぱり中に宝物庫が有ったぞ! 瓦礫を退かせ! すぐに中を調べるぞ!」
 リョーガイの部隊が素早く岩の残骸の撤去作業を終え、一斉にズカズカと窮屈になって部屋に入り込む。
「よしっ、読み通りだ! これは100万金両が入ってる金両箱だっ!! ヒャアアアッ5つもある! 中を調べろ!!」
 興奮したリョーガイがテキパキと指示を出し、5つの棺のように大きな金両箱の中身を数えさせる。するとどれもびっしりと100万金両入っており、覇王の国庫には500万金両の財産があったことが報告された。
「ウヒョオオオォォ~ッ!! 500万金両だって!! こんな大金俺でも今まで見たことねぇや!! 覇王の野郎しこたま貯め込んでやがったんだ!! この金は全部俺のもんだぁぁぁっ!!!」
 リョーガイは宝の山を見つけた海賊のように、天井に500万金両を大量にばら撒く。そしてその金をそそくさと部下に元に戻すよう命令すると、すぐさま冷静になって部下たちにまた指示を出した。
「よしっ!! このまま500万金両を運び出せ!! 俺たちの軍はボヘミティリアから撤収するぞっ!! 後はソキンに貸した大砲が帰ってくりゃいい!! これでウォームリック家の一族も安泰だぁっっ!!」
 リョーガイは博打に一人勝ちした賭博師のようにはしゃぎまわり、悠々と空となった覇王の国庫の残骸から部隊を引き上げた。
 リョーガイ軍は雅楽隊の如く法螺貝をボヘミティリア王城で吹き回り、王城に突入した5000の全軍を城門の外へと呼び出した。全軍が揃っているかの確認作業を終えると、すぐさま城門の先にある長い階段を全兵が長蛇の列となって駆け下りていった。
「これで俺たちの役目も終わりだ! 後んことは他の軍の奴らに任せとけばいい! このままアルポートまで帰還するぞぉっ!!」
 リョーガイが赤い馬を走らせ、屍の山を再び踏み荒らしながらボヘミティリア王国の血海を駆け抜ける。金と人の命を食らったイナゴの大軍がボヘミティリアの西門から高笑いを上げながら去っていった。
 それでもまだ、ボヘミティリア王国の暴虐は終わらない。