表示設定
表示設定
目次 目次




15

ー/ー



「また会いたいって言っていたけど、桔平のことを好きになったのかな? もしかしたら彼女、レズじゃなくてバイだったのかもね」

 なぜそんなに楽しそうなのか。ポリアモリーとは、そういうものなのか。

 スミレは自分と同じ性的指向のコミュニティで、多くの人間と関わるようになっていた。まだオレ以外の彼氏はいないが、女同士でのセックスは楽しんでいるようだ。

 それでも、オレに抱かれるのが1番好きだとスミレは言う。その言葉に、一体どれだけの意味があるのかは分からない。虚しさだけがこみ上げてきて、スミレを抱くたびに心の隙間が広がっていくような気もする。

 それからスミレの要求は次第にエスカレートして、もうひとりの彼女とのセックスも求められた。それに応じたあと、オレが彼女をどんなふうに抱いたのか事細かに尋ね、自分にも同じことをしろと言う。

 紗瑛とかいう女とも、一度きりでは終わらず何度も体を重ねたし、かなり異常な性生活だったと思う。スミレ以外を抱きたいと思ったことはないのに、ほかの女とも平気でセックスができる。次第に感覚が麻痺して暗い道へと堕ちていくオレを、スミレは楽しんで眺めているように感じた。

 ただ、こんな(うら)ぶれた状態でも絵は描き続けていたから、そのおかげもあって藝大に一発合格。スミレと歪な関係を続けたまま、大学1年の春を迎える。
 そして大学入学から2か月ほど経ったころ、翔流から合コンに誘われた。

「スミレさんだって自由にやってんだし、別にいいだろ。お前はもっと、同年代の人間と関わるべきなんだよ」

 スミレの性的指向を翔流が知ったのは、入学前の春休み。受験から解放されて、久しぶりにオレの家で翔流とデリバリーピザを食べていたときのことだ。
 ちょうどスミレが尋ねてきて、3人でピザを囲みながら話している最中で、スミレが自ら告白した。当然翔流は唖然としていたが、オレが疲弊していた理由を知って納得した様子だった。

「ふたりのことだから、俺にはあれこれ口出しできないけどさ。お前、どんどん暗くなっているよ。そんなんでいいわけ?」

 底なし沼へと落ちてしまったオレを、翔流はなんとかして引き上げようとしていたのだろう。
 このころになると、まるでセクサロイドのように、不特定多数の女と関係を持っていた。すべてスミレの紹介だが、オレにとってはセフレ以外の何物でもない。中には風俗店で働いている女もいて、店へ行ってそいつを指名してやれと言われたこともあった。

 毎日違う女を抱いて、その度にスミレから行為の内容を訊かれる。普通のセックスに飽きてきたのか、それとも元来そんな性癖があったのかは分からない。好きな女のために好きでもない女を抱きまくるなんて、我ながら馬鹿げている。

 それでもオレの心はとっくに壊れていて、正常な判断などできなかった。


スタンプを贈って作者を応援しよう!

次のエピソードへ進む 16


みんなのリアクション



おすすめ作品を読み込み中です…



「また会いたいって言っていたけど、桔平のことを好きになったのかな? もしかしたら彼女、レズじゃなくてバイだったのかもね」
 なぜそんなに楽しそうなのか。ポリアモリーとは、そういうものなのか。
 スミレは自分と同じ性的指向のコミュニティで、多くの人間と関わるようになっていた。まだオレ以外の彼氏はいないが、女同士でのセックスは楽しんでいるようだ。
 それでも、オレに抱かれるのが1番好きだとスミレは言う。その言葉に、一体どれだけの意味があるのかは分からない。虚しさだけがこみ上げてきて、スミレを抱くたびに心の隙間が広がっていくような気もする。
 それからスミレの要求は次第にエスカレートして、もうひとりの彼女とのセックスも求められた。それに応じたあと、オレが彼女をどんなふうに抱いたのか事細かに尋ね、自分にも同じことをしろと言う。
 紗瑛とかいう女とも、一度きりでは終わらず何度も体を重ねたし、かなり異常な性生活だったと思う。スミレ以外を抱きたいと思ったことはないのに、ほかの女とも平気でセックスができる。次第に感覚が麻痺して暗い道へと堕ちていくオレを、スミレは楽しんで眺めているように感じた。
 ただ、こんな|心《うら》ぶれた状態でも絵は描き続けていたから、そのおかげもあって藝大に一発合格。スミレと歪な関係を続けたまま、大学1年の春を迎える。
 そして大学入学から2か月ほど経ったころ、翔流から合コンに誘われた。
「スミレさんだって自由にやってんだし、別にいいだろ。お前はもっと、同年代の人間と関わるべきなんだよ」
 スミレの性的指向を翔流が知ったのは、入学前の春休み。受験から解放されて、久しぶりにオレの家で翔流とデリバリーピザを食べていたときのことだ。
 ちょうどスミレが尋ねてきて、3人でピザを囲みながら話している最中で、スミレが自ら告白した。当然翔流は唖然としていたが、オレが疲弊していた理由を知って納得した様子だった。
「ふたりのことだから、俺にはあれこれ口出しできないけどさ。お前、どんどん暗くなっているよ。そんなんでいいわけ?」
 底なし沼へと落ちてしまったオレを、翔流はなんとかして引き上げようとしていたのだろう。
 このころになると、まるでセクサロイドのように、不特定多数の女と関係を持っていた。すべてスミレの紹介だが、オレにとってはセフレ以外の何物でもない。中には風俗店で働いている女もいて、店へ行ってそいつを指名してやれと言われたこともあった。
 毎日違う女を抱いて、その度にスミレから行為の内容を訊かれる。普通のセックスに飽きてきたのか、それとも元来そんな性癖があったのかは分からない。好きな女のために好きでもない女を抱きまくるなんて、我ながら馬鹿げている。
 それでもオレの心はとっくに壊れていて、正常な判断などできなかった。