第三問
ー/ー
思いがけずに「ひっ」と声が出た。添付された画像には、今度は私の部屋が映し出されていた。それも現在進行形で撮影されたような鮮明さだった。
ベッドに置かれたクッション。
デスクに散らばるノートやペン。
そして最後には、私が写り込んだ画像。それも背後から撮影されている。
私は恐怖でスマホを放り投げた。そして震える手で部屋中を見回すが、誰もいない。窓も鍵も閉まっている。それなのに、この写真はいったいどうやって撮られたというのか。えもいわれぬ恐怖が私を包み込む。
不意にまた通知音が鳴り響く。
「問題です。この部屋には今何人いますか?」
私は耐えきれず部屋を飛び出した。その足で沙織の家へ向かう。インターホンを押すと、眠そうな顔をした沙織が出迎えてくれた。
「どうしたの?こんな時間に……」
私は震える声で事情を説明する。「お願い、一緒にいてほしい」と懇願すると、沙織は快く頷いてくれた。
「大丈夫だよ。今日はここで寝ていいから」
沙織の優しさに少しだけ安堵するが、その夜も安眠とは程遠かった。浅い夢の中で繰り返し聞こえるあの声。
「問題です。私を振った女は今どこにいますか?」
目覚めると汗びっしょりだった。そして枕元には、自分では見覚えのないスマホが置かれていた。その画面には、新しいメッセージが表示されている。
「問題です。このスマホは誰のものですか?」
私は枕元に置かれた見知らぬスマホを凝視していた。震える手でそれを拾い上げると、画面には再びメッセージが表示されている。
「問題です。このスマホは誰のものですか?」
「……何……これ……」
反応を待つかの様に、再び表示されるメッセージへ思わず呟く。さらに不気味だったのは、そのスマホの壁紙が翔琉の顔写真だったことだ。笑顔でピースをしている翔琉。その姿が今では異様に見える。
「沙織……!」
私は隣室で寝ている沙織を呼ぼうとした。しかし、声を出そうとした瞬間、スマホが再び震えた。
「問題です。隣の部屋にいる人は本当に沙織さんですか?」
そのメッセージを見た瞬間、私の体は一瞬硬直した。しかし、親友の安否が気になり、心を奮い立たせて硬直をなんとか解き、恐る恐る隣室のドアを開ける。
薄目でドアから覗ける範囲をゆっくりと確認すると、沙織はベッドで静かに眠っているのが見えた。私は安堵し、そっと近づいて肩を揺さぶる。
「沙織……起きて……」
しかし、沙織は反応しない。再び肩を揺さぶると、彼女の体が不自然にぐらりと力無くだらりと傾いた。服を着せた重たい肉の人形の様だ。反発されずに指がめり込み、グニグニとした感触が手に残る。
「嘘……」
私は後ずさりしながら叫びそうになる声を必死で押し殺した。沙織の顔色は青白く、まるで息をしていないように見える。だが、それ以上確認する勇気はなく、その人型を見つめるだけしか出来ない。
その時、背後でスマホが震える音が響いた。
「問題です。この部屋には今何人いますか?」
振り返りたくなかった。しかし、振り返らざるを得なかった。一刻も早く後ろのドアから外に出て、玄関に向かわなければいけない。
ドアの方へ振り返り、玄関へ向かう導線へ身体を動かすが、沙織が横たわる部屋の中に気配を感じ、祈る思いで振り返ってしまった。
そこには、ぼんやりと立つ人影が立っている。びしょ濡れで、髪から滴る水滴が床に落ちるぴちゃぴちゃという音まで聞こえるほどだった。その影が一歩ずつゆっくりと近づいてくるたび、私の心臓は壊れそうなほど激しく鼓動した。
「か、翔琉……?」
震える声で名前を呼ぶ。しかし、その影から返事はない。ただじっと、私を見つめているようだった。そして次の瞬間、ゆっくりとした歩みを止め、その影が口を開いた。
「問題です」
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
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思いがけずに「ひっ」と声が出た。添付された画像には、今度は私の部屋が映し出されていた。それも現在進行形で撮影されたような鮮明さだった。
ベッドに置かれたクッション。
デスクに散らばるノートやペン。
そして最後には、私が写り込んだ画像。それも背後から撮影されている。
私は恐怖でスマホを放り投げた。そして震える手で部屋中を見回すが、誰もいない。窓も鍵も閉まっている。それなのに、この写真はいったいどうやって撮られたというのか。えもいわれぬ恐怖が私を包み込む。
不意にまた通知音が鳴り響く。
「問題です。この部屋には今何人いますか?」
私は耐えきれず部屋を飛び出した。その足で沙織の家へ向かう。インターホンを押すと、眠そうな顔をした沙織が出迎えてくれた。
「どうしたの?こんな時間に……」
私は震える声で事情を説明する。「お願い、一緒にいてほしい」と懇願すると、沙織は快く頷いてくれた。
「大丈夫だよ。今日はここで寝ていいから」
沙織の優しさに少しだけ安堵するが、その夜も安眠とは程遠かった。浅い夢の中で繰り返し聞こえるあの声。
「問題です。私を振った女は今どこにいますか?」
目覚めると汗びっしょりだった。そして枕元には、自分では見覚えのないスマホが置かれていた。その画面には、新しいメッセージが表示されている。
「問題です。このスマホは誰のものですか?」
私は枕元に置かれた見知らぬスマホを凝視していた。震える手でそれを拾い上げると、画面には再びメッセージが表示されている。
「問題です。このスマホは誰のものですか?」
「……何……これ……」
反応を待つかの様に、再び表示されるメッセージへ思わず呟く。さらに不気味だったのは、そのスマホの壁紙が翔琉の顔写真だったことだ。笑顔でピースをしている翔琉。その姿が今では異様に見える。
「沙織……!」
私は隣室で寝ている沙織を呼ぼうとした。しかし、声を出そうとした瞬間、スマホが再び震えた。
「問題です。隣の部屋にいる人は本当に沙織さんですか?」
そのメッセージを見た瞬間、私の体は一瞬硬直した。しかし、親友の安否が気になり、心を奮い立たせて硬直をなんとか解き、恐る恐る隣室のドアを開ける。
薄目でドアから覗ける範囲をゆっくりと確認すると、沙織はベッドで静かに眠っているのが見えた。私は安堵し、そっと近づいて肩を揺さぶる。
「沙織……起きて……」
しかし、沙織は反応しない。再び肩を揺さぶると、彼女の体が不自然にぐらりと力無くだらりと傾いた。服を着せた重たい肉の人形の様だ。反発されずに指がめり込み、グニグニとした感触が手に残る。
「嘘……」
私は後ずさりしながら叫びそうになる声を必死で押し殺した。沙織の顔色は青白く、まるで息をしていないように見える。だが、それ以上確認する勇気はなく、その人型を見つめるだけしか出来ない。
その時、背後でスマホが震える音が響いた。
「問題です。この部屋には今何人いますか?」
振り返りたくなかった。しかし、振り返らざるを得なかった。一刻も早く後ろのドアから外に出て、玄関に向かわなければいけない。
ドアの方へ振り返り、玄関へ向かう導線へ身体を動かすが、沙織が横たわる部屋の中に気配を感じ、祈る思いで振り返ってしまった。
そこには、ぼんやりと立つ人影が立っている。びしょ濡れで、髪から滴る水滴が床に落ちるぴちゃぴちゃという音まで聞こえるほどだった。その影が一歩ずつゆっくりと近づいてくるたび、私の心臓は壊れそうなほど激しく鼓動した。
「か、翔琉……?」
震える声で名前を呼ぶ。しかし、その影から返事はない。ただじっと、私を見つめているようだった。そして次の瞬間、ゆっくりとした歩みを止め、その影が口を開いた。
「問題です」