リースと共に 2
ー/ー
キエーウの夜襲は、裏の道具持ちが近付けばギルスからの連絡があるし、裏の道具を持っていなければムツヤの敵ではない。
なのでカバンを体の下に敷いて皆で寝ている。
ムツヤは寝ながらでも敵を倒せる。冗談や比喩ではなくマジで倒せるのだ。
そんな事も知らずにしつこくムツヤ達を付けていたキエーウの監視が近づいてくる。
「ふぅー、あのオークの女が急に叫んで起きた時はビックリしたけどよぉー」
「今こそカバンを盗むチャンスですね兄貴!」
「そうだ、あの寝ているアホのムツヤからカバンをパクって逃げるだけだ」
この2人、誰も覚えていないだろうが。弾を弾くフライパンを持ってムツヤ達を襲撃しに来た兄弟だった。
「俺はあのカバンを手に入れてビッグになる」
「スゲェや兄貴!!! 流石だぜ兄貴!!!」
弟にもてはやされ、兄は更に調子に乗った。
「それじゃあついでに人類の敵アホのムツヤでも始末してくっかなー!?」
「む、ムツヤまでですか!? 流石だぜ兄貴!!」
「まぁ見てろ」
コソコソとムツヤ達の近くまで行くと、短剣を取り出して一気に距離を詰める。
(死ねぇムツヤ!!!)
次の瞬間、兄は中に舞っていた。ムツヤが寝たまま蹴り飛ばしたのだ。
「あ、兄貴ィ!!!」
「ぐっふわ!!!」
吹き飛んだ兄のもとに弟が駆け寄る。
「大丈夫ですか兄貴!?」
「大丈夫だ、軽症だ」
軽症と言い張っていたが足の骨にヒビが入っていた。今はまだ興奮で痛みを感じていないだろうが、後からジンジンと痛む奴だ。
「っち、なんて寝相の悪い奴だ!! 構わねぇぶっ殺してやる!!」
また短剣を構えてムツヤの暗殺を図る。
「あ、兄貴…… もうやめた方が……」
寝ているムツヤに殴られ蹴られ兄はボッコボコになっていた。
「馬鹿野郎お前、俺はムツヤを殺ってビッグになるぞ!!」
そう言ってツッコむも、またムツヤに殴られてしまい、遂に気を失ってしまった。
「チクショウ覚えてやがれ!!!」
弟が兄を背負って逃げていくと、ムツヤと手を繋いで寝たふりをしていたヨーリィはそっとナイフをしまって眠りについた。
やがて日が昇り、うーんとユモトが起きた。魔物の警報魔法には異常が無い。
「ムツヤさーん、ヨーリィちゃん、起きてくださーい。お料理作るのでカバンを貸して下さい」
トントンとムツヤの肩を叩いて言うとムツヤは目を覚ます。
「あー、おはようございまずユモトさん」
「おはようユモトお姉ちゃん」
「魔物の心配をしてましたけど、何もなくて良かったですね」
ユモトが笑顔で言うとムツヤも「そうですねー」と言う。ヨーリィは無言でそれを眺めていた。
全員が起きて朝食を済ますと、アシノは赤い石を木に叩きつけてギルスを呼び出した。
「やあ、おはようアシノ。何かあったのか?」
アシノは昨日あった事をかいつまんでギルスへ説明する。
「それで、そこのリースって子を信用してキエーウの支部を叩こうってわけか」
ギルスは呆れてため息を付きながら言った。
「あのな、どう考えたって罠の可能性が高いだろう、君達は昨日まで敵だった奴の言葉を信用するのか?」
そう言われてリースは何かを言いかけたが、下を向く。それを見てルーが代わりに反論する。
「大丈夫、リースちゃんは良い子よ!」
「良い子がキエーウに入るかバカ!!」
痛い所をつかれて思わずルーも黙ってしまう。ギルスは構わず持論を述べ続けた。
「それに仮にだ、その子が本当のことを言っているとしても。キエーウだって馬鹿じゃない。きっと支部を移動させたか、罠を張って待ち構えているぞ」
「そこでムツヤの出番だ」
腕を組んでいたアシノが喋る。
「罠だろうがなんだろうが、こいつを送り込んで暴れさせりゃ勝てるやつなんていない」
「そりゃそうかもしれんが……」
こっちにはムツヤという人型兵器と言うべき反則的な力がある。
「もうビクビクとキエーウから逃げながら石を埋めるのはゴメンだ」
アシノが言った後、モモも話し始める。
「それに、これ以上奴らを野放しにしていたら一般の人たちにも被害が出てしまうかもしれない」
モモは昨晩の刺されたエルフを思い返していた。ギルスはうーんと唸った後に結論を出した。
「わかった、そこまで言うなら行って来るといい。やるにしろやらないにしろ、早い方が良い」
「決まりだな」
アシノはニヤリと笑って言った。これからムツヤ達はリースの案内でキエーウの支部を襲撃することになる。
とうとう迫りくるキエーウとの本格的な戦いに各々覚悟を決めていた。
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なのでカバンを体の下に敷いて皆で寝ている。
ムツヤは寝ながらでも敵を倒せる。冗談や比喩ではなくマジで倒せるのだ。
そんな事も知らずにしつこくムツヤ達を付けていたキエーウの監視が近づいてくる。
「ふぅー、あのオークの女が急に叫んで起きた時はビックリしたけどよぉー」
「今こそカバンを盗むチャンスですね兄貴!」
「そうだ、あの寝ているアホのムツヤからカバンをパクって逃げるだけだ」
この2人、誰も覚えていないだろうが。弾を弾くフライパンを持ってムツヤ達を襲撃しに来た兄弟だった。
「俺はあのカバンを手に入れてビッグになる」
「スゲェや兄貴!!! 流石だぜ兄貴!!!」
弟にもてはやされ、兄は更に調子に乗った。
「それじゃあついでに人類の敵アホのムツヤでも始末してくっかなー!?」
「む、ムツヤまでですか!? 流石だぜ兄貴!!」
「まぁ見てろ」
コソコソとムツヤ達の近くまで行くと、短剣を取り出して一気に距離を詰める。
(死ねぇムツヤ!!!)
次の瞬間、兄は中に舞っていた。ムツヤが寝たまま蹴り飛ばしたのだ。
「あ、兄貴ィ!!!」
「ぐっふわ!!!」
吹き飛んだ兄のもとに弟が駆け寄る。
「大丈夫ですか兄貴!?」
「大丈夫だ、軽症だ」
軽症と言い張っていたが足の骨にヒビが入っていた。今はまだ興奮で痛みを感じていないだろうが、後からジンジンと痛む奴だ。
「っち、なんて寝相の悪い奴だ!! 構わねぇぶっ殺してやる!!」
また短剣を構えてムツヤの暗殺を図る。
「あ、兄貴…… もうやめた方が……」
寝ているムツヤに殴られ蹴られ兄はボッコボコになっていた。
「馬鹿野郎お前、俺はムツヤを殺ってビッグになるぞ!!」
そう言ってツッコむも、またムツヤに殴られてしまい、遂に気を失ってしまった。
「チクショウ覚えてやがれ!!!」
弟が兄を背負って逃げていくと、ムツヤと手を繋いで寝たふりをしていたヨーリィはそっとナイフをしまって眠りについた。
やがて日が昇り、うーんとユモトが起きた。魔物の警報魔法には異常が無い。
「ムツヤさーん、ヨーリィちゃん、起きてくださーい。お料理作るのでカバンを貸して下さい」
トントンとムツヤの肩を叩いて言うとムツヤは目を覚ます。
「あー、おはようございまずユモトさん」
「おはようユモトお姉ちゃん」
「魔物の心配をしてましたけど、何もなくて良かったですね」
ユモトが笑顔で言うとムツヤも「そうですねー」と言う。ヨーリィは無言でそれを眺めていた。
全員が起きて朝食を済ますと、アシノは赤い石を木に叩きつけてギルスを呼び出した。
「やあ、おはようアシノ。何かあったのか?」
アシノは昨日あった事をかいつまんでギルスへ説明する。
「それで、そこのリースって子を信用してキエーウの支部を叩こうってわけか」
ギルスは呆れてため息を付きながら言った。
「あのな、どう考えたって罠の可能性が高いだろう、君達は昨日まで敵だった奴の言葉を信用するのか?」
そう言われてリースは何かを言いかけたが、下を向く。それを見てルーが代わりに反論する。
「大丈夫、リースちゃんは良い子よ!」
「良い子がキエーウに入るかバカ!!」
痛い所をつかれて思わずルーも黙ってしまう。ギルスは構わず持論を述べ続けた。
「それに仮にだ、その子が本当のことを言っているとしても。キエーウだって馬鹿じゃない。きっと支部を移動させたか、罠を張って待ち構えているぞ」
「そこでムツヤの出番だ」
腕を組んでいたアシノが喋る。
「罠だろうがなんだろうが、こいつを送り込んで暴れさせりゃ勝てるやつなんていない」
「そりゃそうかもしれんが……」
こっちにはムツヤという人型兵器と言うべき反則的な力がある。
「もうビクビクとキエーウから逃げながら石を埋めるのはゴメンだ」
アシノが言った後、モモも話し始める。
「それに、これ以上奴らを野放しにしていたら一般の人たちにも被害が出てしまうかもしれない」
モモは昨晩の刺されたエルフを思い返していた。ギルスはうーんと唸った後に結論を出した。
「わかった、そこまで言うなら行って来るといい。やるにしろやらないにしろ、早い方が良い」
「決まりだな」
アシノはニヤリと笑って言った。これからムツヤ達はリースの案内でキエーウの支部を襲撃することになる。
とうとう迫りくるキエーウとの本格的な戦いに各々覚悟を決めていた。