剣と盾 2
ー/ー
「何か策はねーのかよ!?」
剣を持つ男はイラ立って仲間に聞いた。
「今、考えているので少し待って下さい」
時間を稼げるのはアシノ達にはありがたかった。カバンを取り返したムツヤがこちらへ来てくれれば一転攻勢に出られる。
「提案が1つあります」
キエーウの2人は小声で話し合う。すると剣を持つ男はニヤリと笑った。
「それは…… 試す価値がありそうだな」
男は盾で矢の射線から身を隠しながら後ろで木を斬りまくった。メキメキと木が倒れる音が聞こえた。
「出来たぞ!」
そう叫ぶと矢が弾かれると同時に盾を小さくし、盾を持つ男は後ろへと走り出す。その先にあるのは倒れた木々だ。
矢に追いつかれる寸での所で2人は倒れた木の裏に身を隠した。すると飛んだ矢は深々と木に突き刺さる。
「ぶった斬ってやるぜ!!」
剣を持つ男は木ごと矢を真っ二つに切った。すると矢は動かなくなってしまう。
「いよっしゃ! うぜぇ矢はこれで終わりだな!」
そう言って木を飛び越えて前に躍り出た。裏の道具をいとも簡単に破壊され、ユモトは動揺する。
「精霊よ、アイツを倒しちゃいなさい!」
ルーが強めの精霊を作り、特攻させた。
「無駄無駄ァ!!!」
男はたった一振りで3体の精霊たちを消し飛ばす。
だが、その後ろから飛んでくるアシノのワインコルクが顔面に当たった。
「いってぇ!! 地味にいてぇ!!」
「油断するからですよ」
盾を持つ男はやれやれと地面に盾を突き刺して巨大化させ、仲間を守る。
ルーは精霊を向かわせた時のどさくさに紛れて、モモ達に素早く作戦を伝えた。
「皆、耐えて! もうすぐムツヤっちが来るわ!」
探知盤を見ながらルーは仲間を鼓舞するが、敵にも聞かれてしまう。
「クソッ、面倒だな!」
「合流されたら勝ち目は無いでしょうね」
「お前よく他人事みたいに言えるな……」
剣を持つ男は呆れながら言った。そして。
「せめて目の前のオークだけでも切っておきてぇな!」
武器を構える。
盾を持つ男も地面から盾を引き抜く。するとみるみる内に盾は小さくなった。
二人は走り出した。元々の身体能力も高いらしく、魔法、精霊、ビンのフタを次々かわし、小さいままの盾で弾き、走る。
「死にやがれオーク!」
モモはこの一瞬に賭けていた、そして男は裏の道具を過信して忘れていた。
特殊な盾を持つのは自分達だけでは無いことを……
飛び出した男が、恐ろしい切れ味の剣でモモに斬りかかる。
モモは盾を構えて剣を受け止めた。男にとってそれは不思議な感触だった、全力の力が弾かれるでもなく盾の上でピタリと止まる。
体勢を立て直そうとしたが、モモが盾を斜め上に持ち上げると、前につんのめる感じで完全に体勢が崩れ、待っていたのはモモの剣だ。
モモは鎧ごと男の胸を切り裂いた。
「バゴハッ」
それが男の最後の言葉になった。鮮血が辺りに飛び散る。だが、モモに油断が生まれてしまった。
生き延びたキエーウの男がモモに盾を構えてタックルをした。モモは盾を持ち直すのが間に合わず、吹き飛ばされてしまう。
その隙に男は剣を拾い上げた。それと同時に男の体を剣と盾が蝕み始める。
「この剣と盾は一対の物らしいのですが、我々は2つ同時に持つ事が出来ませんでした」
「お前、暴走が始まって死ぬぞ。今ならまだ間に合う、武器を捨てろ!」
アシノが言うが男は逆に剣と盾を強く握りしめていた。腕から段々体が熱くなってくる。
「なぁ、何故だ。何故そこまで亜人を恨むんだ?」
モモは立ち上がり、武器を下げて尋ねた。
「私はね、亜人に妹を奪われたんだ」
モモは氷水を浴びせられた様にぞわっとし、体が動かなくなった。
「献身的で、回復魔法が上手で誰からも好かれるような妹でした」
男は侵食されて指先から黒くなる手を見つめる。
「亜人達の強盗団に夜襲を受けて、仲間は死に、妹も身ぐるみをはがされた後。辱しめられ、首を折られて絶命しました」
自分の中に暴力的な力が目覚めている事を男は感じていた。
「それを聞いて思いました、キエーウへ入り、強盗団の亜人を含め、全ての亜人を惨たらしく殺してやると」
時間稼ぎは成功した。皆が男の話に聞き入っている間に裏の道具は男の体を侵食し終える。
「それは気の毒に思う。だが全ての亜人に罪はないだろう!?」
アシノが言うが、言葉は既に男に届かなくなっていた。
「ウオオオオオオ!!!」
獣のような唸り声を上げ。男はモモに斬りかかる。
間一髪、無力化の盾で防ぎ、衝撃は感じずにいられた。しかし、剣が産み出した風がその威力を物語っている。
次に男は盾を地面に突き刺した。先程とは比べ物にならない速度で盾は大きくなり、モモ目掛けて倒れた。
「まずい、みんな逃げろ!」
無力化の盾はあくまで物がぶつかる衝撃を消すものであって、重い物の下敷きになれば潰されてしまう。
急いで逃げて盾をやり過ごすと、アシノ達は攻撃に転じる。
「貫け、氷柱よ!」
ユモトが巨大な氷柱の剣を飛ばすが、剣で薙ぎ払われ粉々になってしまう。
「ちょっと眠ってなさいアンタ!」
ルーが雷を飛ばすが、盾を地面に突き刺すと、雷は盾の上を走り、接地面から地面へと放電されてしまった。
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時間を稼げるのはアシノ達にはありがたかった。カバンを取り返したムツヤがこちらへ来てくれれば一転攻勢に出られる。
「提案が1つあります」
キエーウの2人は小声で話し合う。すると剣を持つ男はニヤリと笑った。
「それは…… 試す価値がありそうだな」
男は盾で矢の射線から身を隠しながら後ろで木を斬りまくった。メキメキと木が倒れる音が聞こえた。
「出来たぞ!」
そう叫ぶと矢が弾かれると同時に盾を小さくし、盾を持つ男は後ろへと走り出す。その先にあるのは倒れた木々だ。
矢に追いつかれる寸での所で2人は倒れた木の裏に身を隠した。すると飛んだ矢は深々と木に突き刺さる。
「ぶった斬ってやるぜ!!」
剣を持つ男は木ごと矢を真っ二つに切った。すると矢は動かなくなってしまう。
「いよっしゃ! うぜぇ矢はこれで終わりだな!」
そう言って木を飛び越えて前に躍り出た。裏の道具をいとも簡単に破壊され、ユモトは動揺する。
「精霊よ、アイツを倒しちゃいなさい!」
ルーが強めの精霊を作り、特攻させた。
「無駄無駄ァ!!!」
男はたった一振りで3体の精霊たちを消し飛ばす。
だが、その後ろから飛んでくるアシノのワインコルクが顔面に当たった。
「いってぇ!! 地味にいてぇ!!」
「油断するからですよ」
盾を持つ男はやれやれと地面に盾を突き刺して巨大化させ、仲間を守る。
ルーは精霊を向かわせた時のどさくさに紛れて、モモ達に素早く作戦を伝えた。
「皆、耐えて! もうすぐムツヤっちが来るわ!」
探知盤を見ながらルーは仲間を鼓舞するが、敵にも聞かれてしまう。
「クソッ、面倒だな!」
「合流されたら勝ち目は無いでしょうね」
「お前よく他人事みたいに言えるな……」
剣を持つ男は呆れながら言った。そして。
「せめて目の前のオークだけでも切っておきてぇな!」
武器を構える。
盾を持つ男も地面から盾を引き抜く。するとみるみる内に盾は小さくなった。
二人は走り出した。元々の身体能力も高いらしく、魔法、精霊、ビンのフタを次々かわし、小さいままの盾で弾き、走る。
「死にやがれオーク!」
モモはこの一瞬に賭けていた、そして男は裏の道具を過信して忘れていた。
特殊な盾を持つのは自分達だけでは無いことを……
飛び出した男が、恐ろしい切れ味の剣でモモに斬りかかる。
モモは盾を構えて剣を受け止めた。男にとってそれは不思議な感触だった、全力の力が弾かれるでもなく盾の上でピタリと止まる。
体勢を立て直そうとしたが、モモが盾を斜め上に持ち上げると、前につんのめる感じで完全に体勢が崩れ、待っていたのはモモの剣だ。
モモは鎧ごと男の胸を切り裂いた。
「バゴハッ」
それが男の最後の言葉になった。鮮血が辺りに飛び散る。だが、モモに油断が生まれてしまった。
生き延びたキエーウの男がモモに盾を構えてタックルをした。モモは盾を持ち直すのが間に合わず、吹き飛ばされてしまう。
その隙に男は剣を拾い上げた。それと同時に男の体を剣と盾が蝕み始める。
「この剣と盾は一対の物らしいのですが、我々は2つ同時に持つ事が出来ませんでした」
「お前、暴走が始まって死ぬぞ。今ならまだ間に合う、武器を捨てろ!」
アシノが言うが男は逆に剣と盾を強く握りしめていた。腕から段々体が熱くなってくる。
「なぁ、何故だ。何故そこまで亜人を恨むんだ?」
モモは立ち上がり、武器を下げて尋ねた。
「私はね、亜人に妹を奪われたんだ」
モモは氷水を浴びせられた様にぞわっとし、体が動かなくなった。
「献身的で、回復魔法が上手で誰からも好かれるような妹でした」
男は侵食されて指先から黒くなる手を見つめる。
「亜人達の強盗団に夜襲を受けて、仲間は死に、妹も身ぐるみをはがされた後。辱しめられ、首を折られて絶命しました」
自分の中に暴力的な力が目覚めている事を男は感じていた。
「それを聞いて思いました、キエーウへ入り、強盗団の亜人を含め、全ての亜人を惨たらしく殺してやると」
時間稼ぎは成功した。皆が男の話に聞き入っている間に裏の道具は男の体を侵食し終える。
「それは気の毒に思う。だが全ての亜人に罪はないだろう!?」
アシノが言うが、言葉は既に男に届かなくなっていた。
「ウオオオオオオ!!!」
獣のような唸り声を上げ。男はモモに斬りかかる。
間一髪、無力化の盾で防ぎ、衝撃は感じずにいられた。しかし、剣が産み出した風がその威力を物語っている。
次に男は盾を地面に突き刺した。先程とは比べ物にならない速度で盾は大きくなり、モモ目掛けて倒れた。
「まずい、みんな逃げろ!」
無力化の盾はあくまで物がぶつかる衝撃を消すものであって、重い物の下敷きになれば潰されてしまう。
急いで逃げて盾をやり過ごすと、アシノ達は攻撃に転じる。
「貫け、氷柱よ!」
ユモトが巨大な氷柱の剣を飛ばすが、剣で薙ぎ払われ粉々になってしまう。
「ちょっと眠ってなさいアンタ!」
ルーが雷を飛ばすが、盾を地面に突き刺すと、雷は盾の上を走り、接地面から地面へと放電されてしまった。