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剣と盾 1

ー/ー



「飛んで行っちゃったけど大丈夫かしら……」

 あまりに急のことでアシノ達はヨーリィが飛んでいった方角を見つめることしか出来なかった。

「ヨーリィなら多分、上手いことやってくれているだろう」

 念の為、防御壁を張り続けているユモトの代わりにルーが探知盤を見る。

「ヨーリィちゃんが飛んでいった方向に2つ反応が向かっていってるわ!」

「よし、私達も行くぞ!」

<i750190|37901>

(イラスト:くさかんむり先生)

 森の中で既に事切れている男、そのそばにはヨーリィが居た。男から裏の道具である弓矢を回収し1人で立っていた。

 ヨーリィは探知盤を持っていなかったが、森の中を進む不穏な気配を察知している。



 アシノ達は大きな音を聞いて立ち止まった。メキメキという大木が倒れる音だ。それが何度も聞こえてくる。

「この音は……」

 モモが言うとアシノが推測を答える。

「多分だが、裏の道具を持って調子に乗ったやつが暴れてるんだろう。急ぐぞ!」

 音の鳴る方へ皆走る。そして言葉を失った。

 まるで大嵐でも通り過ぎたように木々がなぎ倒されている。

「ヨーリィ! 何処だ!」

 アシノが大声を出すが、返事はなく。人影が1つコチラへ向かってヨロヨロと歩いてきた。

「ごめんなさい、魔力が尽きた」

 ヨーリィだった。モモが走って抱きかかえるとヨーリィが表情を作っていた、今まで見たことが無いような苦しそうな顔だ。

「おいおい、イモってんじゃねーぞ!!」

 ヨーリィの後ろから声が聞こえる。それと共に木がコチラに向かってメキメキと倒れてきた。

「暴れ過ぎですよ」

 もう1つ声が聞こえる。最低でも2人敵がいた。アシノはユモトに命令をする。

「ユモト! あっちに向かって照明弾を打ち上げろ!」

「はい、わかりました!」

 パスンパスンとユモトが照明弾を打ち上げると、その光に照らされた人影が見えた。どちらもキエーウの証である仮面を被っている。

 1人は刀身が2メートルはあろうかという両手剣を持ち、もう1人は棺桶の先を尖らせた様な大きな盾を持っていた。

「やれやれ、まだこの裏の道具達の能力を理解していないというのに……」

 盾を持つ男がそう言うと、剣を持った男が笑って答える。

「そうか? 俺は分かったぞ?」

 そして両手剣で木を切りつけたが、刃は空を切る様にすっと通り、木は何事も無かったかのように立ち続けていた。

「切れ味がメチャクチャ良い! それだけで十分じゃねーか!」

 木の切れ目より上を蹴り飛ばすとグラっと揺れて倒れる。

「面倒だな、遠距離で片付けるぞ」

 アシノはパンパンとワインボトルをフタを飛ばし、ユモトとルーも遅れて魔法の氷や雷を飛ばす。

「これはさっき偶然分かったことなのですがね」

 盾を持つ男は盾の先端を地面にザクッと突き刺した。すると盾が何十倍にも大きく膨張し、全ての攻撃を弾く。

「地面に突き刺すと、大きくなる。他にも何か能力はあるのかもしれませんが」

「へぇ、一筋縄では行かなそうね」

 ルーは余裕そうに言ったが、内心焦っていた。何か攻撃の手立てを考えなければと。

「とにかく奴らを近付けさせない。それしか無いな」

 アシノはパンパンとワインボトルのフタを飛ばしながら言った。

 しかし、フタも氷や雷の魔法も全て巨大化した盾に弾かれてしまう。

「いったん打ちやめだ。剣を持つ方の男がしびれを切らして特攻してきた時を狙うぞ」

 小声でアシノが言うとルーとユモトは頷いた。

「なんだぁ? 弾切れかぁ? そんじゃバッサリ切ってやるよ!」

「待て。明らかに誘いこまれているでしょう」

 盾を持つ男は冷静だ。睨み合いが続くかと思われた時にヨーリィがモモに話しかける。

「モモお姉ちゃん、さっきの弓矢」

 そうかとモモは気が付いた。ヨーリィが抱きかかえる弓矢に手を伸ばしてみる。触れたが特に痺れや痛みは感じない。

 モモは弓の心得も多少はある。矢をつがえて弓を引き絞り、敵へと放った。ビュンと勢いよく矢は飛んで盾にカツンと当たった。

 そして、弾かれると空中でピタリと止まり、また弓で射られたように盾に向かって飛んだ。

「これは…… すこしまずいですね」

 カツンカツンと何度も同じ行動を繰り返しているだけだが、そのせいで盾を小さくする事が出来なくなってしまった。

「よくやった、モモ!」

「グッジョブモモちゃん!」

 アシノとルーは振り返ってモモに言う。敵はと言うと猛っている。

「あーもう面倒くせぇ!! ぶった切ってやるよ!!」

 そう言って剣を持つ男が盾の後ろから飛び出ると、矢はそちらに向かって飛んだ。

「くそっ!!」

 男は悪態をついて、また盾の後ろへと隠れた。矢は盾に当たり、ギリギリの所で男は攻撃をかわせたようだ。


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「飛んで行っちゃったけど大丈夫かしら……」
 あまりに急のことでアシノ達はヨーリィが飛んでいった方角を見つめることしか出来なかった。
「ヨーリィなら多分、上手いことやってくれているだろう」
 念の為、防御壁を張り続けているユモトの代わりにルーが探知盤を見る。
「ヨーリィちゃんが飛んでいった方向に2つ反応が向かっていってるわ!」
「よし、私達も行くぞ!」
<i750190|37901>
(イラスト:くさかんむり先生)
 森の中で既に事切れている男、そのそばにはヨーリィが居た。男から裏の道具である弓矢を回収し1人で立っていた。
 ヨーリィは探知盤を持っていなかったが、森の中を進む不穏な気配を察知している。
 アシノ達は大きな音を聞いて立ち止まった。メキメキという大木が倒れる音だ。それが何度も聞こえてくる。
「この音は……」
 モモが言うとアシノが推測を答える。
「多分だが、裏の道具を持って調子に乗ったやつが暴れてるんだろう。急ぐぞ!」
 音の鳴る方へ皆走る。そして言葉を失った。
 まるで大嵐でも通り過ぎたように木々がなぎ倒されている。
「ヨーリィ! 何処だ!」
 アシノが大声を出すが、返事はなく。人影が1つコチラへ向かってヨロヨロと歩いてきた。
「ごめんなさい、魔力が尽きた」
 ヨーリィだった。モモが走って抱きかかえるとヨーリィが表情を作っていた、今まで見たことが無いような苦しそうな顔だ。
「おいおい、イモってんじゃねーぞ!!」
 ヨーリィの後ろから声が聞こえる。それと共に木がコチラに向かってメキメキと倒れてきた。
「暴れ過ぎですよ」
 もう1つ声が聞こえる。最低でも2人敵がいた。アシノはユモトに命令をする。
「ユモト! あっちに向かって照明弾を打ち上げろ!」
「はい、わかりました!」
 パスンパスンとユモトが照明弾を打ち上げると、その光に照らされた人影が見えた。どちらもキエーウの証である仮面を被っている。
 1人は刀身が2メートルはあろうかという両手剣を持ち、もう1人は棺桶の先を尖らせた様な大きな盾を持っていた。
「やれやれ、まだこの裏の道具達の能力を理解していないというのに……」
 盾を持つ男がそう言うと、剣を持った男が笑って答える。
「そうか? 俺は分かったぞ?」
 そして両手剣で木を切りつけたが、刃は空を切る様にすっと通り、木は何事も無かったかのように立ち続けていた。
「切れ味がメチャクチャ良い! それだけで十分じゃねーか!」
 木の切れ目より上を蹴り飛ばすとグラっと揺れて倒れる。
「面倒だな、遠距離で片付けるぞ」
 アシノはパンパンとワインボトルをフタを飛ばし、ユモトとルーも遅れて魔法の氷や雷を飛ばす。
「これはさっき偶然分かったことなのですがね」
 盾を持つ男は盾の先端を地面にザクッと突き刺した。すると盾が何十倍にも大きく膨張し、全ての攻撃を弾く。
「地面に突き刺すと、大きくなる。他にも何か能力はあるのかもしれませんが」
「へぇ、一筋縄では行かなそうね」
 ルーは余裕そうに言ったが、内心焦っていた。何か攻撃の手立てを考えなければと。
「とにかく奴らを近付けさせない。それしか無いな」
 アシノはパンパンとワインボトルのフタを飛ばしながら言った。
 しかし、フタも氷や雷の魔法も全て巨大化した盾に弾かれてしまう。
「いったん打ちやめだ。剣を持つ方の男がしびれを切らして特攻してきた時を狙うぞ」
 小声でアシノが言うとルーとユモトは頷いた。
「なんだぁ? 弾切れかぁ? そんじゃバッサリ切ってやるよ!」
「待て。明らかに誘いこまれているでしょう」
 盾を持つ男は冷静だ。睨み合いが続くかと思われた時にヨーリィがモモに話しかける。
「モモお姉ちゃん、さっきの弓矢」
 そうかとモモは気が付いた。ヨーリィが抱きかかえる弓矢に手を伸ばしてみる。触れたが特に痺れや痛みは感じない。
 モモは弓の心得も多少はある。矢をつがえて弓を引き絞り、敵へと放った。ビュンと勢いよく矢は飛んで盾にカツンと当たった。
 そして、弾かれると空中でピタリと止まり、また弓で射られたように盾に向かって飛んだ。
「これは…… すこしまずいですね」
 カツンカツンと何度も同じ行動を繰り返しているだけだが、そのせいで盾を小さくする事が出来なくなってしまった。
「よくやった、モモ!」
「グッジョブモモちゃん!」
 アシノとルーは振り返ってモモに言う。敵はと言うと猛っている。
「あーもう面倒くせぇ!! ぶった切ってやるよ!!」
 そう言って剣を持つ男が盾の後ろから飛び出ると、矢はそちらに向かって飛んだ。
「くそっ!!」
 男は悪態をついて、また盾の後ろへと隠れた。矢は盾に当たり、ギリギリの所で男は攻撃をかわせたようだ。