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一度きりのクリスマス

ー/ー



  ※以下の文章はAI学習や転載など厳禁です※

 メリークリスマス。
 甘い思い出をあなたに。
 メリークリスマス。
 楽しいひと時をあなたに。
 メリークリスマス。
 美しいイルミネーションをあなたに。
 メリークリスマス。
 罪と罰と贖罪で赤く染まった服を、あなたに。
 プレゼントというのは、何も嬉しい物ばかりではない。
 人通りが少ない大通りの、脇道のさらに奥。
 袋小路となっているビルの間の通路に、大人と子供の二人組と倒れている人間が一人いた。
 「ミッション完了っと。まったくもう、今日明日ぐらいは休みたいもんなんだがな」
 「ンなどこぞの会社員みたいな。私たちにそんなのあるワケないじゃない」
 「スレてんなあ、お前。しゃあねぇがよ」
 「必要以上にネジが飛んだ人にはならないと思うけどね」
 「安心しな。ここにいる時点でネジ自体がぶっ飛んじまってる」
 「そうだね」
 二十代半ばの青年と十代にも満たない子供という奇妙は組み合わせだが、服の色彩は統一されている。
 それぞれの手には、前者の右手に風呂敷が、後者の左手にはところどころ変色している糸のようなモノが見られた。
 子供がハンカチで手を拭きポシェットに戻ると、代わりに手帳を取り出した。
 「さすがに今日はもう終わりだね。お疲れ様だよ」
 「おーおー。そりゃよかった。このまま道案内頼むわ」
 「あいよ」
 青年は止めてあった車のトランクにある、いくつかの荷物ケースに付いたラベルを見ながら、風呂敷を突っ込む。表情を変えずに扉を閉めると、そのまま運転席へ。
 子供は既にシートベルトを締めており、タブレットをいじっていた。
 画面を見せながら、
 「どう。この道覚えてる」
 「いや。やっぱり治んねえみたいだな」
 「その割には声明るいね」
 「代償だからだろ。以前の俺なら手を出さなかっただろうが。お前もそうだろ」
 「まあ、ね。あ、発進したら右だから」
 「さすがに一方通行ならわかるっつうの」
 「ですよね~」
 あははは、とピエロみたいに振舞う子供。一息だした青年は、慣れた手つきで車を発進させる。
 一時間ほど走った先は、星がよく見えてきらめいていた。ヘッドライトに照らされた道は砂利で敷き詰められており、タイヤが踏む度にミシミシと合唱をする。
 絵に描いた洋館に到着すると、入口にいる見張りが助手席に近づいてきた。
 窓を開けてもらった子供は、
 「お疲れ様です。依頼品はトランクですか」
 「うん。ちゃんと専用のに入ってるよ」
 「了解しました」
 と、いつものやり取りを行う。一方、運転手は不思議そうな顔で見ていた。
 数分すると、門番が戻ってきて、
 「ターゲットらを確認しました。後程報酬を部屋にお届けするようにお伝えします」
 「あいあい、助かるよ。特に伝言はない」
 「明日と明後日はゆっくり過ごせ、との事です」
 「さすがは親父様。分かってるねぇ」
 怪しく笑った子供に対し、会釈をして答えた門番。黒い背広姿にサングラスという、イカニモな格好である。
 左右に分かれた大きな鉄柵状の扉が奏でる機械音は、二人にとっては始まりか終わりの合図。完全に動かなくなったのを確認した青年は、車をゆっくり発進させ、車庫へと収納する。
 「車庫入れ上手いねぇ。私はほぼ毎回こすってたよ」
 「修理代が大変そうだな」
 「そ。だから、帰宅時間をあらかじめ連絡しておいて代わってもらってた」
 寂しそうに笑う子供は、ぽっかりと浮かぶ月を見上げる。
 「体は失ったけど、とても幸せよ。また一緒にいられるんだもん」
 「犯人は俺が殺したのか?」
 「うん。記録では一番最初の任務だったみたい。その報酬がこれ」
 コンコン、と、胸を叩く子供。手術で脳と神経を機械へと移植し生きながらえる、という、違法手術の結果である。
 「そうか」
 「私の記憶だけでも、戻って欲しいとは思うけど」
 「物理的っつーかな。記憶はないんだが。心は覚えてると思う、多分」
 「そうね。接し方で何となく分かる。元からそういう性格だし」
 根本的なところは変わってないわ、と子供。
 数歩進んだ彼女は、くるり、と向き直り、
 「帰りましょ。私達のディストピアへ」
 「ああ」
 差し出された手を握り返した青年。冷たい感触だが、不思議と温かく感じる。
 二人が並んで歩く周囲には、今日も闇がまとわりつく。
 メリークリスマス。
 永遠の愛を、あなたに。
 メリークリスマス。
 永遠に守る誓いを、あなたに。
 メリークリスマス。
 永久に残らない聖夜の夜を、あなたと共に。

 
(C)望月 葵


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  ※以下の文章はAI学習や転載など厳禁です※
 メリークリスマス。
 甘い思い出をあなたに。
 メリークリスマス。
 楽しいひと時をあなたに。
 メリークリスマス。
 美しいイルミネーションをあなたに。
 メリークリスマス。
 罪と罰と贖罪で赤く染まった服を、あなたに。
 プレゼントというのは、何も嬉しい物ばかりではない。
 人通りが少ない大通りの、脇道のさらに奥。
 袋小路となっているビルの間の通路に、大人と子供の二人組と倒れている人間が一人いた。
 「ミッション完了っと。まったくもう、今日明日ぐらいは休みたいもんなんだがな」
 「ンなどこぞの会社員みたいな。私たちにそんなのあるワケないじゃない」
 「スレてんなあ、お前。しゃあねぇがよ」
 「必要以上にネジが飛んだ人にはならないと思うけどね」
 「安心しな。ここにいる時点でネジ自体がぶっ飛んじまってる」
 「そうだね」
 二十代半ばの青年と十代にも満たない子供という奇妙は組み合わせだが、服の色彩は統一されている。
 それぞれの手には、前者の右手に風呂敷が、後者の左手にはところどころ変色している糸のようなモノが見られた。
 子供がハンカチで手を拭きポシェットに戻ると、代わりに手帳を取り出した。
 「さすがに今日はもう終わりだね。お疲れ様だよ」
 「おーおー。そりゃよかった。このまま道案内頼むわ」
 「あいよ」
 青年は止めてあった車のトランクにある、いくつかの荷物ケースに付いたラベルを見ながら、風呂敷を突っ込む。表情を変えずに扉を閉めると、そのまま運転席へ。
 子供は既にシートベルトを締めており、タブレットをいじっていた。
 画面を見せながら、
 「どう。この道覚えてる」
 「いや。やっぱり治んねえみたいだな」
 「その割には声明るいね」
 「代償だからだろ。以前の俺なら手を出さなかっただろうが。お前もそうだろ」
 「まあ、ね。あ、発進したら右だから」
 「さすがに一方通行ならわかるっつうの」
 「ですよね~」
 あははは、とピエロみたいに振舞う子供。一息だした青年は、慣れた手つきで車を発進させる。
 一時間ほど走った先は、星がよく見えてきらめいていた。ヘッドライトに照らされた道は砂利で敷き詰められており、タイヤが踏む度にミシミシと合唱をする。
 絵に描いた洋館に到着すると、入口にいる見張りが助手席に近づいてきた。
 窓を開けてもらった子供は、
 「お疲れ様です。依頼品はトランクですか」
 「うん。ちゃんと専用のに入ってるよ」
 「了解しました」
 と、いつものやり取りを行う。一方、運転手は不思議そうな顔で見ていた。
 数分すると、門番が戻ってきて、
 「ターゲットらを確認しました。後程報酬を部屋にお届けするようにお伝えします」
 「あいあい、助かるよ。特に伝言はない」
 「明日と明後日はゆっくり過ごせ、との事です」
 「さすがは親父様。分かってるねぇ」
 怪しく笑った子供に対し、会釈をして答えた門番。黒い背広姿にサングラスという、イカニモな格好である。
 左右に分かれた大きな鉄柵状の扉が奏でる機械音は、二人にとっては始まりか終わりの合図。完全に動かなくなったのを確認した青年は、車をゆっくり発進させ、車庫へと収納する。
 「車庫入れ上手いねぇ。私はほぼ毎回こすってたよ」
 「修理代が大変そうだな」
 「そ。だから、帰宅時間をあらかじめ連絡しておいて代わってもらってた」
 寂しそうに笑う子供は、ぽっかりと浮かぶ月を見上げる。
 「体は失ったけど、とても幸せよ。また一緒にいられるんだもん」
 「犯人は俺が殺したのか?」
 「うん。記録では一番最初の任務だったみたい。その報酬がこれ」
 コンコン、と、胸を叩く子供。手術で脳と神経を機械へと移植し生きながらえる、という、違法手術の結果である。
 「そうか」
 「私の記憶だけでも、戻って欲しいとは思うけど」
 「物理的っつーかな。記憶はないんだが。心は覚えてると思う、多分」
 「そうね。接し方で何となく分かる。元からそういう性格だし」
 根本的なところは変わってないわ、と子供。
 数歩進んだ彼女は、くるり、と向き直り、
 「帰りましょ。私達のディストピアへ」
 「ああ」
 差し出された手を握り返した青年。冷たい感触だが、不思議と温かく感じる。
 二人が並んで歩く周囲には、今日も闇がまとわりつく。
 メリークリスマス。
 永遠の愛を、あなたに。
 メリークリスマス。
 永遠に守る誓いを、あなたに。
 メリークリスマス。
 永久に残らない聖夜の夜を、あなたと共に。
(C)望月 葵