カバン奪還作戦 2
ー/ー
ムツヤの着替えを待つ間にアシノはギルスに連絡を入れることにした。周りに人が居ないことを確認し、長距離でも会話ができる連絡石に魔力を込める。
「こちらギルス、何かあったか?」
「あぁ、最悪なことが起きた。カバンをキエーウに奪われた」
「なんだって!?」
アシノはギルスにさっき起きた出来事を手短に話す。
「わかった、ギルドマスターにも伝えておく。探知盤の反応も監視をして何かあったら報告をする」
「頼んだ」
ちょうど会話が終わる頃ムツヤがやってきた。
「ムツヤ、お前は俊足の魔法を使ってとにかくカバンを追いかけろ。途中邪魔があっても無視しろ、私達は後から付いていく」
「わがりまじた!」
そう言うとムツヤは風のように走り去っていく。
エルフ達はさすがは勇者アシノの仲間だなと思った。
「それじゃ私達も急ぐぞ!」
みんな返事をし、走ってムツヤの後を追いかける。
一方その頃、先行して走るムツヤの前に仮面を付けた男が現れた。
「おっと、ここは通さな」
言い終わる前にムツヤは男の横を通り過ぎていった。
そしてギルスからアシノへ連絡が入る。
「探知盤の裏の道具の反応が2つに増えた。1つはカバンだと思うが、もう1つは裏の道具を何か取り出したみたいだぞ。もうすぐかち合う。注意しろ!」
「わかった」
アシノ達は武器を構えながら走る。すると突然、強い風が吹き荒れた。
「おっと今度こそ、ここは通さないぜ!」
アシノ達の前に仮面を付けた男が立ちはだかる。男が『祭』と書かれたうちわを1振りすると突風が吹いた。
「なんだか知らないけど、ただ強い風を出せるだけかしら?」
ルーがそう言って挑発すると男も負けじと言い返す。
「それじゃただ強い風をもっと食らってみるか?」
男がうちわで扇ぎまくると風が吹き荒れる。その風に混じって砂粒、石や小枝がこちらに飛んでくる。
石がユモトの頬をかすめて出血した。アシノはユモトに命令をする。
「ユモト、防御魔法を頼む!」
「はい!」
ユモトは魔法の防御壁を張ってその後ろに皆は隠れた。
「いやぁ、裏の道具は楽しいなぁ。勇者アシノが手も足も出ないなんてな」
アシノは隠れながらビンのフタを打ち、ヨーリィも木の杭を投げた。しかしそれらは風で吹き飛ばされて敵の元まで届かない。
「くそっ、何なんだあのうちわは」
「防御魔法も…… かなり厳しいです」
負担が高いのかユモトは苦しそうな顔をしている。ルーは精霊を召喚して男に向かわせた。
「私があの男を邪魔するからユモトちゃん辛いかも知れないけど前に進んでいって!」
「わかりました!」
男はパタパタと余裕そうな表情でうちわを扇ぎ風を出している。モモは何とかして自分も役に立てないかと考えていた。
モモは防御壁から飛び出し、木の裏に隠れて男の様子を見た。すると若干だが疲れが見えた気がする。
裏の道具は威力も高いが、その代償として魔力や体力を大きく使う事を思い出した。耐え続ければいずれ男の体力は尽きるだろう。
しかし、それではムツヤの援護に行くことが出来ない。ムツヤは強いが万が一ということもある。
ユモトは少しずつ前へにじり寄り、ルーは精霊を出して何度も男に突貫させていた。
そこでモモは気付いたことがある。おそらく男の意識から自分は完全に消えていることに。
気配を消して木々の後ろを気付かれないように動いた。そして男の斜め後ろを取る。このまま一気に距離を詰めて剣で斬れば倒せるだろう。
だが、こんな状況なのにモモの手はガタガタと震えていた。相手は憎いキエーウの一員だったが、自分に人を殺めることができるのだろうかと。
ふとムツヤに自分が言った言葉を思い出した。『仲間を守るためでしたら私は敵を斬ります』と。
フーっと息を吐いて、吸い直し。モモは一気に飛び出た。
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「こちらギルス、何かあったか?」
「あぁ、最悪なことが起きた。カバンをキエーウに奪われた」
「なんだって!?」
アシノはギルスにさっき起きた出来事を手短に話す。
「わかった、ギルドマスターにも伝えておく。探知盤の反応も監視をして何かあったら報告をする」
「頼んだ」
ちょうど会話が終わる頃ムツヤがやってきた。
「ムツヤ、お前は俊足の魔法を使ってとにかくカバンを追いかけろ。途中邪魔があっても無視しろ、私達は後から付いていく」
「わがりまじた!」
そう言うとムツヤは風のように走り去っていく。
エルフ達はさすがは勇者アシノの仲間だなと思った。
「それじゃ私達も急ぐぞ!」
みんな返事をし、走ってムツヤの後を追いかける。
一方その頃、先行して走るムツヤの前に仮面を付けた男が現れた。
「おっと、ここは通さな」
言い終わる前にムツヤは男の横を通り過ぎていった。
そしてギルスからアシノへ連絡が入る。
「探知盤の裏の道具の反応が2つに増えた。1つはカバンだと思うが、もう1つは裏の道具を何か取り出したみたいだぞ。もうすぐかち合う。注意しろ!」
「わかった」
アシノ達は武器を構えながら走る。すると突然、強い風が吹き荒れた。
「おっと今度こそ、ここは通さないぜ!」
アシノ達の前に仮面を付けた男が立ちはだかる。男が『祭』と書かれたうちわを1振りすると突風が吹いた。
「なんだか知らないけど、ただ強い風を出せるだけかしら?」
ルーがそう言って挑発すると男も負けじと言い返す。
「それじゃただ強い風をもっと食らってみるか?」
男がうちわで扇ぎまくると風が吹き荒れる。その風に混じって砂粒、石や小枝がこちらに飛んでくる。
石がユモトの頬をかすめて出血した。アシノはユモトに命令をする。
「ユモト、防御魔法を頼む!」
「はい!」
ユモトは魔法の防御壁を張ってその後ろに皆は隠れた。
「いやぁ、裏の道具は楽しいなぁ。勇者アシノが手も足も出ないなんてな」
アシノは隠れながらビンのフタを打ち、ヨーリィも木の杭を投げた。しかしそれらは風で吹き飛ばされて敵の元まで届かない。
「くそっ、何なんだあのうちわは」
「防御魔法も…… かなり厳しいです」
負担が高いのかユモトは苦しそうな顔をしている。ルーは精霊を召喚して男に向かわせた。
「私があの男を邪魔するからユモトちゃん辛いかも知れないけど前に進んでいって!」
「わかりました!」
男はパタパタと余裕そうな表情でうちわを扇ぎ風を出している。モモは何とかして自分も役に立てないかと考えていた。
モモは防御壁から飛び出し、木の裏に隠れて男の様子を見た。すると若干だが疲れが見えた気がする。
裏の道具は威力も高いが、その代償として魔力や体力を大きく使う事を思い出した。耐え続ければいずれ男の体力は尽きるだろう。
しかし、それではムツヤの援護に行くことが出来ない。ムツヤは強いが万が一ということもある。
ユモトは少しずつ前へにじり寄り、ルーは精霊を出して何度も男に突貫させていた。
そこでモモは気付いたことがある。おそらく男の意識から自分は完全に消えていることに。
気配を消して木々の後ろを気付かれないように動いた。そして男の斜め後ろを取る。このまま一気に距離を詰めて剣で斬れば倒せるだろう。
だが、こんな状況なのにモモの手はガタガタと震えていた。相手は憎いキエーウの一員だったが、自分に人を殺めることができるのだろうかと。
ふとムツヤに自分が言った言葉を思い出した。『仲間を守るためでしたら私は敵を斬ります』と。
フーっと息を吐いて、吸い直し。モモは一気に飛び出た。