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第54話 テレビ出演4~先生~

ー/ー



 『ここでカップルが!?』の収録が終わった。

 今日は放送予定日だとテレビ局からメールが届いた。残念なことに公立受験まで後2週間ほどなので見る余裕はないだろう。夕方の情報番組のワンコーナーらしい。

「今日か……」

 わたしは職員室にカギを返しに来た。

「お疲れ様ー、梶原。最近勉強頑張ってるなー」
「まぁ、受験生ですからね」
「おーおー言うようになったな」

 担任の間宮先生だ。正直、話しやすさで言えば1番だけど、中学3年の大切な受験期の担任は嫌だった。


「間宮先生、このケーブルどこだっけ?」
「それはー、この部屋の……なんのためのケーブルだっけ? これ」
「これ、テレビとこの機械つなぐ線なんよー」

 何をしてるんだろう。

「ん、あぁ、夏……、梶原さんか」
「広瀬先生どうも、何してるんですか?」

 この先生は迅くんのお父さんで広瀬副担任代理先生だ。

「3月頭の義務教育終了式の本番の司会の先生が今月末で育休に入るから代わりを広志から頼まれたから去年までの様子を見たくてなー」
「広志?」
「あぁ、理事長だな」

 急に何かを思い出したかのように間宮先生が口の中のたこ焼きの青のりを取ろうとしてる雰囲気で口を開いた。


「夏……? 梶原? あ、広瀬先生って迅さんのお父さん……?」
「ん、あぁ、そうだが」

 そんな話をしているとケーブルもきちんと繋いでテレビがついた。

『ここでカップルが!?』

『ん?』

 先生2人は顔を見合せてわたしの顔を見た。そうなのだ、わたしと迅くんによる最後のタイトルコールだ。

「今、梶原さんの声がしたよね?」
「え、あ、あぁ。ごめん、梶原さん、先生としてでなく、()()()()()()を持つ彼氏のお父さんとして聞く」
「……はい」
「これの収録日は?」
「宝賀の合否の発表日の夕方です」
「では、これは夏芽ちゃんからなのか、迅からなのか、どちらだ?」
「遊びに出かけようと言ったのはわたしです」
「ふむ、夏芽ちゃんのお父さんはこのことを知っているのか?」
「はい、けっこう怒られました」
「不問と言いたい。これは息子の彼女という意味でだ。副担任代理としては『別れなさい』と言いたいレベルだ。あと、不問は無理だ。迅はもっとしっかりしないといけない。うちの修繕も思ったよりも早く終わる。終わり次第、迅はキミの家から戻ってもらう。反省度合いによっては将来的に結婚すると言い出しても許さないかもしれない」
「まぁまぁ、若気の至りなんていつあるか分かりませんから」

 その後、中等部の部長からさらにこっぴどく怒られた。わたしは泣いてしまった。

 わたしも悪いけどさ。


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 『ここでカップルが!?』の収録が終わった。
 今日は放送予定日だとテレビ局からメールが届いた。残念なことに公立受験まで後2週間ほどなので見る余裕はないだろう。夕方の情報番組のワンコーナーらしい。
「今日か……」
 わたしは職員室にカギを返しに来た。
「お疲れ様ー、梶原。最近勉強頑張ってるなー」
「まぁ、受験生ですからね」
「おーおー言うようになったな」
 担任の間宮先生だ。正直、話しやすさで言えば1番だけど、中学3年の大切な受験期の担任は嫌だった。
「間宮先生、このケーブルどこだっけ?」
「それはー、この部屋の……なんのためのケーブルだっけ? これ」
「これ、テレビとこの機械つなぐ線なんよー」
 何をしてるんだろう。
「ん、あぁ、夏……、梶原さんか」
「広瀬先生どうも、何してるんですか?」
 この先生は迅くんのお父さんで広瀬副担任代理先生だ。
「3月頭の義務教育終了式の本番の司会の先生が今月末で育休に入るから代わりを広志から頼まれたから去年までの様子を見たくてなー」
「広志?」
「あぁ、理事長だな」
 急に何かを思い出したかのように間宮先生が口の中のたこ焼きの青のりを取ろうとしてる雰囲気で口を開いた。
「夏……? 梶原? あ、広瀬先生って迅さんのお父さん……?」
「ん、あぁ、そうだが」
 そんな話をしているとケーブルもきちんと繋いでテレビがついた。
『ここでカップルが!?』
『ん?』
 先生2人は顔を見合せてわたしの顔を見た。そうなのだ、わたしと迅くんによる最後のタイトルコールだ。
「今、梶原さんの声がしたよね?」
「え、あ、あぁ。ごめん、梶原さん、先生としてでなく、|受《・》|験《・》|生《・》|の《・》|彼《・》|女《・》を持つ彼氏のお父さんとして聞く」
「……はい」
「これの収録日は?」
「宝賀の合否の発表日の夕方です」
「では、これは夏芽ちゃんからなのか、迅からなのか、どちらだ?」
「遊びに出かけようと言ったのはわたしです」
「ふむ、夏芽ちゃんのお父さんはこのことを知っているのか?」
「はい、けっこう怒られました」
「不問と言いたい。これは息子の彼女という意味でだ。副担任代理としては『別れなさい』と言いたいレベルだ。あと、不問は無理だ。迅はもっとしっかりしないといけない。うちの修繕も思ったよりも早く終わる。終わり次第、迅はキミの家から戻ってもらう。反省度合いによっては将来的に結婚すると言い出しても許さないかもしれない」
「まぁまぁ、若気の至りなんていつあるか分かりませんから」
 その後、中等部の部長からさらにこっぴどく怒られた。わたしは泣いてしまった。
 わたしも悪いけどさ。