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第52話 テレビ出演2~街頭インタビュー~

ー/ー



 大阪城に着いた頃には天守閣の入場時間が終わりかけだった。天守閣以外を満喫して、来た時とは違う道で帰ろうという話になった。
 
 ちょっと歩いたところにたこ焼きをモチーフとしたマスコットキャラクターで有名な関西ローカルテレビ局があった。

「こんなところにテレビ局ってあるんだなぁ」

 ――こんなところにカップル発見!!

 テレビ局の近くでカップルにインタビューしてるようなタイトルコールをしてる番組スタッフ達がいた。タイトルコールしてる人は比較的若めなのに頭がツルツルな人だった。

「え、ちょっと待って!! あの人、落語家の……」

 迅くんが妙にテンションがあがってる。落語家……? お互いの家族公認でどちらかの家に住む記録絶賛更新中だけど、迅くんが落語好きだなんて初耳だ。

「夏芽!! 受験が終わったらここからもう少し離れたところにある寄席に行こう!!」
「寄席……? 鍋じゃないよね?」

 歩きながら話していて会話は周りの人も聞こうと思えば聞ける。インタビューの対象を探している人達が近づいてくる。

 わたしは寄席よりも遊園地に行きたい。受験が終わってご褒美デートが寄席とは思ってたのと少しも嬉しくない。

 ――そこの……

「寄席よりも遊園地……」

 インタビューの人たちがわたし達に寄ってくる。迅くんならベタに『顔写すのは事務所通してください』とか言って取材陣を困らせ……ないか。マジメだし。そこが好きなんだし。

 ――そこのカップル、取材OKですか?

「…………で、え?」

 迅くんはテレビ局の街頭インタビューに気づいていたけど、まさかわたしたちがインタビューされるとは思ってなかったらしく、一生懸命、わたしに落語を熱く語っていた。
 そりゃ、落語家さんがインタビューするなら近くに落語を語ってる人がいたら話聞きたいよね。

「いい? 夏芽?」
「わたしはおっけーです。寄席じゃなくて遊園地に連れてってくれたら!!」

 気づけばよかった。この時点でカメラが回っている事に。少し間を置いて取材陣が話しかけた。

「あぁ、今もカメラ回ってますけど、彼氏彼女のどちらかがダメって言うなら使いませんですし、生放送でないのでご安心ください」

 少し間を開けてインタビューが始まった。きっと、この間は編集しやすいようにするための間だろう。

「今回のインタビューを受けてくれるのはこの学生カップル!!」
「どうも」

 迅くんは会釈している。わたしが声を出した。

「さて、結婚したらかかあ天下になりそうなお2人ですが、付き合い始めてどのくらいなんですか?」
「今も一緒に住んでるけど、かかあ天下にはならなさそうよなぁ」
「いや、迅くん、質問は付き合ってどれくらいだから!? 11月からだからーえーっと……」
「11月だっけ? 10月じゃなかった?」

 出会ったのが10月、付き合ったのが11月ということをお互い思い出した。正直な本音を言うと、テレビ局のインタビュー中なことを忘れていた。テレビ局の人たちもなにか不思議そうな顔をしている。

「え、学生カップルですよね? 受験とか話してましたし……」
「え、あぁ、はい。夏芽がまだ中学生で……」
「迅くんは高校生です」

 テレビ局の人たちはなにか不思議そうな顔をしている。なにか不思議なことを言っただろうか……。

「さきほど『今も一緒に住んでるけど』と答えてましたが、学生カップルなのにどうして……」
「え、あ、そこか」
「えー、迅くんの家が一部燃えて成り行きで……?」
「そうそう、で、付き合ってすぐはこっちの家に夏芽は1か月以上は住んでたもんなぁ」
「なんだかんだ家族も公認だよねぇー」
「時々怒られるもんねぇ」
「え、忠さんに怒られたことない……と思うけど?」
「この前、『もう少し魚の大きさ揃えろよー』って言われてなかったっけ?」
「あれはバイト関係の注意でしょ」

 『ちょっとストップ、すごく面白そうだからここで立ち話もあれだからスタジオ来てくれない?』

 テレビ局の人たちがこぞってわたし達の事情を聞こうとする。最近SNSでよく言われるテレビ局によるインタビューの悪意ある切り抜きをされないかが不安ではある。

 ――いったん、カメラ止めて

 いろいろな条件をテレビ局から提示してきた。わたしも迅くんもその条件ならと飲み込んだ。


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 大阪城に着いた頃には天守閣の入場時間が終わりかけだった。天守閣以外を満喫して、来た時とは違う道で帰ろうという話になった。
 ちょっと歩いたところにたこ焼きをモチーフとしたマスコットキャラクターで有名な関西ローカルテレビ局があった。
「こんなところにテレビ局ってあるんだなぁ」
 ――こんなところにカップル発見!!
 テレビ局の近くでカップルにインタビューしてるようなタイトルコールをしてる番組スタッフ達がいた。タイトルコールしてる人は比較的若めなのに頭がツルツルな人だった。
「え、ちょっと待って!! あの人、落語家の……」
 迅くんが妙にテンションがあがってる。落語家……? お互いの家族公認でどちらかの家に住む記録絶賛更新中だけど、迅くんが落語好きだなんて初耳だ。
「夏芽!! 受験が終わったらここからもう少し離れたところにある寄席に行こう!!」
「寄席……? 鍋じゃないよね?」
 歩きながら話していて会話は周りの人も聞こうと思えば聞ける。インタビューの対象を探している人達が近づいてくる。
 わたしは寄席よりも遊園地に行きたい。受験が終わってご褒美デートが寄席とは思ってたのと少しも嬉しくない。
 ――そこの……
「寄席よりも遊園地……」
 インタビューの人たちがわたし達に寄ってくる。迅くんならベタに『顔写すのは事務所通してください』とか言って取材陣を困らせ……ないか。マジメだし。そこが好きなんだし。
 ――そこのカップル、取材OKですか?
「…………で、え?」
 迅くんはテレビ局の街頭インタビューに気づいていたけど、まさかわたしたちがインタビューされるとは思ってなかったらしく、一生懸命、わたしに落語を熱く語っていた。
 そりゃ、落語家さんがインタビューするなら近くに落語を語ってる人がいたら話聞きたいよね。
「いい? 夏芽?」
「わたしはおっけーです。寄席じゃなくて遊園地に連れてってくれたら!!」
 気づけばよかった。この時点でカメラが回っている事に。少し間を置いて取材陣が話しかけた。
「あぁ、今もカメラ回ってますけど、彼氏彼女のどちらかがダメって言うなら使いませんですし、生放送でないのでご安心ください」
 少し間を開けてインタビューが始まった。きっと、この間は編集しやすいようにするための間だろう。
「今回のインタビューを受けてくれるのはこの学生カップル!!」
「どうも」
 迅くんは会釈している。わたしが声を出した。
「さて、結婚したらかかあ天下になりそうなお2人ですが、付き合い始めてどのくらいなんですか?」
「今も一緒に住んでるけど、かかあ天下にはならなさそうよなぁ」
「いや、迅くん、質問は付き合ってどれくらいだから!? 11月からだからーえーっと……」
「11月だっけ? 10月じゃなかった?」
 出会ったのが10月、付き合ったのが11月ということをお互い思い出した。正直な本音を言うと、テレビ局のインタビュー中なことを忘れていた。テレビ局の人たちもなにか不思議そうな顔をしている。
「え、学生カップルですよね? 受験とか話してましたし……」
「え、あぁ、はい。夏芽がまだ中学生で……」
「迅くんは高校生です」
 テレビ局の人たちはなにか不思議そうな顔をしている。なにか不思議なことを言っただろうか……。
「さきほど『今も一緒に住んでるけど』と答えてましたが、学生カップルなのにどうして……」
「え、あ、そこか」
「えー、迅くんの家が一部燃えて成り行きで……?」
「そうそう、で、付き合ってすぐはこっちの家に夏芽は1か月以上は住んでたもんなぁ」
「なんだかんだ家族も公認だよねぇー」
「時々怒られるもんねぇ」
「え、忠さんに怒られたことない……と思うけど?」
「この前、『もう少し魚の大きさ揃えろよー』って言われてなかったっけ?」
「あれはバイト関係の注意でしょ」
 『ちょっとストップ、すごく面白そうだからここで立ち話もあれだからスタジオ来てくれない?』
 テレビ局の人たちがこぞってわたし達の事情を聞こうとする。最近SNSでよく言われるテレビ局によるインタビューの悪意ある切り抜きをされないかが不安ではある。
 ――いったん、カメラ止めて
 いろいろな条件をテレビ局から提示してきた。わたしも迅くんもその条件ならと飲み込んだ。