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第51話 テレビ出演1~いろはの義姉~

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 大阪城に来た。お城の最寄り駅まで地下鉄でやってきた。公式ホームページで調べると最寄り駅は2つあった。アプリの乗換案内で調べるとわたしの家から近いのは地下鉄だった。と言っても今は民営化されたので厳密には地下鉄と呼ばれているが地下鉄でないのだ。

『何番出口だ……』
『えーっと、とりあえず3番出口から出ようよ』

 改札にも大阪城エレベーター長期工事のお知らせというポスターが貼っている。迅くんも『え』と言っている。

『ほらほら、令和と言ってもいつ敵が攻めてくるか……』
『敵なんて……』

 ――

 敵はすぐ近くにいるぞ。気をつけろ

『え?』
『夏芽も聞こえた……?』

 ――

 わたしは目を開けた。席が横に6人掛けの地下鉄の中にいる。

 そっか、わたしは寝ていたのか。迅くんはスマホを触っている。そうだよ、今のご時世に敵味方入り乱れて戦う戦いはそうそうないんだよ。

「夏芽、おはよう」
「迅くん、おはよう、あと何駅で大阪城の最寄り駅?」
「えーっと、あとー……」

 迅くんは乗換案内のアプリを見ている。そのアプリは全世界規模の乗換案内に対応する為メンテナンスしたまま、止まっているので有名だ。ウワサだと、だいぶ日本のダイヤは遅れてる情報らしい。横にいる迅くんも『あっれー? 乗った時間の電車ないんだけどなぁ』と言っている。
 
 ――情報アップデート大事

 電光掲示板を見ると『次は――』と日本語で書かれていた。大阪城の最寄り駅の一駅前だ。

 
 大阪城の最寄り駅に着き、適当な出口に出てきた。しばらく歩いた。しばらくと思ってた。でも、実際は迅くんと話しながらだし、初めて来る場所だから10分以上歩いている。遠くから大阪城は見える。

「あ、へー。思ったよりも近いんだ」
「どうしたの?」
「いやーなんでもないー」
「それよりもお城はー?」
「天守閣までならもう少しかかるけど、一応、ここら辺は大阪城の敷地かなぁ?」

 迅くんはスマホを見ながら、話している。たしかに、横には犬の散歩に関する注意事項が書いている。

 ――きゃんきゃん

 小型犬にしては大きいし、中型犬にしては小さな犬が飼い主とはぐれて走っていた。

「おわっ、わんこだ」
「はぐれたのかなぁ?」

 ――チョコちゃーん

 少し遠くから女子大生のお姉さんっぽい声で叫んでる。目の前のわんこも飼い主のような声に気付かず、くぅんくぅん泣いている。

 ――くぅん

 迅くんの足元でわんこが寝転んでお腹を見せている。

「すごい信頼されてるね」
 
 わたしが迅くんに話しかけるとほぼ同時に、さきほどの若い女の人の声が近づいてきた。

「わっ、チョコちゃん、他の人に迷惑かけちゃ『めっ』よ」

 この『めっ』にわたしはイラッとした。言うならば少しだけ彩莉センパイっぽさを感じた。おそらく、あの人はいま、家庭裁判所の判決待ちだろう。
 迅くんはどうなんだろう? やっぱり、この人に『彩莉センパイ』をかぶせているのだろうか?

「迅くん、飼い主さん見つかったんだし、お城行こう」

 ――迅くん?

 わたしが『迅くん』と呼ぶとピクッと飼い主が反応した。

「あ、いや、『じん』ってよくある名前だし……」
「あの……ボクがどうかしましたか?」
「あぁ、いえ、なんでもないの、うん、きっと人違い」

 モヤモヤする。なんだろう、この感じ、なんだろう。あぁ、そうだ。問題を解いてる時は正解の自信はあるけど、正解がわかるまでにあるアレだ。

「……いっか、なぁ、夏芽」

 そのまま迅くんはわんこの邪魔をしないように動いた。

 ――夏芽?

 飼い主はさらに歯切れが悪くなってる。ここまでなにかあるとわたしも心配になる。それは迅くんも同じのようだ。

 「あのわたし達のことを何か知っていますか?」

 飼い主は今度は申し訳なさそうにしている。迅くんは幼少期に大阪にいた。その時の知り合いなのだろうか……。それならわたしは関係ないか。

「あの、これ、間違えてたら嫌なんでもうひとつだけ確認させてください」
「はい」
「あなたの苗字は『広瀬』ですか?」
「はい」
「あなたは東京に住んでた時期がありますか?」
「はい」
 
 まるでランプの魔人とやり取りして『はい』か『いいえ』だけで答えて対象物が何か答えるアプリの質問と魔人のやり取りだ。
 
「あの、義妹が迷惑をかけました」
「義妹?」

 さすがに、ここまで言われると迅くんもわかるだろう。この人は()() ()()()の関係者だ。
 
 もしかしたら、この人も迅くんを誘惑してくるかもしれない。少し身構えた。

「私は彩莉 加奈(カナ)。あなたから見ると憎きいろはの義姉です。そうですね、いろはを引き取った家の長女ですね」
「いろはの……。憎くないと言えばウソにはなります。でも、ここであなたに謝られるのは何か違う気がするので気にしないでください」
「ありがとうございます。んー、いやぁ、あんまり他の人に興味を示さないいろはが好きになるのがちょっとわかっちゃうなぁ。あぁ、夏芽ちゃん、勘違いしないでね。私には彼氏いるから、広瀬君には手を出す気ないから」

 そのままわんこと一緒に彩莉センパイの義理のお姉さんは歩いていった。わたしは迅くんと共に大阪城に歩いていった。エレベーターは夢で見たように長期工事中だった。夢で見た敵というのはさっきの彩莉センパイの義姉のことだったのかもしれない。


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 大阪城に来た。お城の最寄り駅まで地下鉄でやってきた。公式ホームページで調べると最寄り駅は2つあった。アプリの乗換案内で調べるとわたしの家から近いのは地下鉄だった。と言っても今は民営化されたので厳密には地下鉄と呼ばれているが地下鉄でないのだ。
『何番出口だ……』
『えーっと、とりあえず3番出口から出ようよ』
 改札にも大阪城エレベーター長期工事のお知らせというポスターが貼っている。迅くんも『え』と言っている。
『ほらほら、令和と言ってもいつ敵が攻めてくるか……』
『敵なんて……』
 ――
 敵はすぐ近くにいるぞ。気をつけろ
『え?』
『夏芽も聞こえた……?』
 ――
 わたしは目を開けた。席が横に6人掛けの地下鉄の中にいる。
 そっか、わたしは寝ていたのか。迅くんはスマホを触っている。そうだよ、今のご時世に敵味方入り乱れて戦う戦いはそうそうないんだよ。
「夏芽、おはよう」
「迅くん、おはよう、あと何駅で大阪城の最寄り駅?」
「えーっと、あとー……」
 迅くんは乗換案内のアプリを見ている。そのアプリは全世界規模の乗換案内に対応する為メンテナンスしたまま、止まっているので有名だ。ウワサだと、だいぶ日本のダイヤは遅れてる情報らしい。横にいる迅くんも『あっれー? 乗った時間の電車ないんだけどなぁ』と言っている。
 ――情報アップデート大事
 電光掲示板を見ると『次は――』と日本語で書かれていた。大阪城の最寄り駅の一駅前だ。
 大阪城の最寄り駅に着き、適当な出口に出てきた。しばらく歩いた。しばらくと思ってた。でも、実際は迅くんと話しながらだし、初めて来る場所だから10分以上歩いている。遠くから大阪城は見える。
「あ、へー。思ったよりも近いんだ」
「どうしたの?」
「いやーなんでもないー」
「それよりもお城はー?」
「天守閣までならもう少しかかるけど、一応、ここら辺は大阪城の敷地かなぁ?」
 迅くんはスマホを見ながら、話している。たしかに、横には犬の散歩に関する注意事項が書いている。
 ――きゃんきゃん
 小型犬にしては大きいし、中型犬にしては小さな犬が飼い主とはぐれて走っていた。
「おわっ、わんこだ」
「はぐれたのかなぁ?」
 ――チョコちゃーん
 少し遠くから女子大生のお姉さんっぽい声で叫んでる。目の前のわんこも飼い主のような声に気付かず、くぅんくぅん泣いている。
 ――くぅん
 迅くんの足元でわんこが寝転んでお腹を見せている。
「すごい信頼されてるね」
 わたしが迅くんに話しかけるとほぼ同時に、さきほどの若い女の人の声が近づいてきた。
「わっ、チョコちゃん、他の人に迷惑かけちゃ『めっ』よ」
 この『めっ』にわたしはイラッとした。言うならば少しだけ彩莉センパイっぽさを感じた。おそらく、あの人はいま、家庭裁判所の判決待ちだろう。
 迅くんはどうなんだろう? やっぱり、この人に『彩莉センパイ』をかぶせているのだろうか?
「迅くん、飼い主さん見つかったんだし、お城行こう」
 ――迅くん?
 わたしが『迅くん』と呼ぶとピクッと飼い主が反応した。
「あ、いや、『じん』ってよくある名前だし……」
「あの……ボクがどうかしましたか?」
「あぁ、いえ、なんでもないの、うん、きっと人違い」
 モヤモヤする。なんだろう、この感じ、なんだろう。あぁ、そうだ。問題を解いてる時は正解の自信はあるけど、正解がわかるまでにあるアレだ。
「……いっか、なぁ、夏芽」
 そのまま迅くんはわんこの邪魔をしないように動いた。
 ――夏芽?
 飼い主はさらに歯切れが悪くなってる。ここまでなにかあるとわたしも心配になる。それは迅くんも同じのようだ。
 「あのわたし達のことを何か知っていますか?」
 飼い主は今度は申し訳なさそうにしている。迅くんは幼少期に大阪にいた。その時の知り合いなのだろうか……。それならわたしは関係ないか。
「あの、これ、間違えてたら嫌なんでもうひとつだけ確認させてください」
「はい」
「あなたの苗字は『広瀬』ですか?」
「はい」
「あなたは東京に住んでた時期がありますか?」
「はい」
 まるでランプの魔人とやり取りして『はい』か『いいえ』だけで答えて対象物が何か答えるアプリの質問と魔人のやり取りだ。
「あの、義妹が迷惑をかけました」
「義妹?」
 さすがに、ここまで言われると迅くんもわかるだろう。この人は|彩《・》|莉《・》 |い《・》|ろ《・》|は《・》の関係者だ。
 もしかしたら、この人も迅くんを誘惑してくるかもしれない。少し身構えた。
「私は彩莉 |加奈《カナ》。あなたから見ると憎きいろはの義姉です。そうですね、いろはを引き取った家の長女ですね」
「いろはの……。憎くないと言えばウソにはなります。でも、ここであなたに謝られるのは何か違う気がするので気にしないでください」
「ありがとうございます。んー、いやぁ、あんまり他の人に興味を示さないいろはが好きになるのがちょっとわかっちゃうなぁ。あぁ、夏芽ちゃん、勘違いしないでね。私には彼氏いるから、広瀬君には手を出す気ないから」
 そのままわんこと一緒に彩莉センパイの義理のお姉さんは歩いていった。わたしは迅くんと共に大阪城に歩いていった。エレベーターは夢で見たように長期工事中だった。夢で見た敵というのはさっきの彩莉センパイの義姉のことだったのかもしれない。