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ー/ー
「でも、同窓会は欠席になってたよな」
「え、三浦くんが幹事なの?」
「いや、修一から聞いた。覚えてる? 佐藤修一。あいつが幹事やってる」
「あ、うん」
覚えてるもなにも、佐藤くんは小学生のときから……なんなら、幼稚園から一緒だし。こんな田舎ではよくあることで、別に仲がよかったわけではないけれど。
「姫野が来ないの、残念がってたよ」
「またまた、社交辞令でしょ。私なんか、いてもいなくても変わらないよ」
「……なんか姫野、雰囲気が変わったな。表情が明るくなったっていうか」
いまが明るいというより、当時が暗すぎただけなんだけどね……。
「中学のときより、もっと綺麗になったし……」
あ、やばい。この流れ、きっと少女漫画的なやつ。久しぶりに再会して、恋心再燃みたいな。それは困る。私と桔平くんの間に、ほかの人が入り込む余地なんてないんです。面倒事は避けなきゃ。
「……姫野ってさ。いま、付き合ってるヤツ」
「い、いるよ!」
ついつい、食い気味に答えた。
「彼氏、いるよ。東京で同棲してるし、いまは一緒に帰省してきてるし。け、結婚する予定だし」
「け、結婚? 早くね?」
「彼、年上で。将来のこともしっかり考えている人だから。うちのお父さんも気に入ってくれてるし、私も相手のご家族にも挨拶したし。だから……私、いますごく幸せで」
三浦くんが、唖然とした表情のまま見つめてくる。まぁ、普通驚くよね。この年で結婚を考えているなんて。
ただ私は不思議と落ち着いていて、ちゃんと三浦くんの顔を見ながら話すことができていた。
「同窓会に出ないのは、みんなのことが嫌だからじゃないの。ただ、後ろを振り返りたくないだけで。昔を懐かしむより、彼との将来に目を向けていたいから……」
私、なにを喋っているんだろう。三浦くん相手に。
だけど言っていることに嘘はない。私は別に、同級生に会いたくないと思っているわけじゃなかった。ただ、会う意味が見出せないだけ。仲がよかった人もいないし、みんなの近況なんてまったく気にならないから。それよりも、桔平くんのそばにいることのほうが大事だった。
「そっか……なんかすごいな、姫野」
「え、なにが?」
「中学のときも、いつもひとりなのに全然気にした様子なくてさ。強いなって思って見ていたよ」
気にしていないわけない。本当は強がっていた。好きな子の話やアイドルの話で盛り上がる同級生が、すごく羨ましくて。
でも、ひとりでいるのを惨めだと思われたくない。だから友達なんていらない。私は自らひとりを選んでいる。そう見せたかっただけなの。
「俺は別に、ただ姫野の顔が可愛いから告ったわけじゃないよ。ひとりでも平気な顔をしてて、尊敬っていうか……かっこいいなって思ってたからさ。でもいまの姫野のほうが、何倍もかっこいいな」
そう言って笑う顔は、やっぱり野球部の爽やかな三浦くんだった。
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「え、三浦くんが幹事なの?」
「いや、修一から聞いた。覚えてる? 佐藤修一。あいつが幹事やってる」
「あ、うん」
覚えてるもなにも、佐藤くんは小学生のときから……なんなら、幼稚園から一緒だし。こんな田舎ではよくあることで、別に仲がよかったわけではないけれど。
「姫野が来ないの、残念がってたよ」
「またまた、社交辞令でしょ。私なんか、いてもいなくても変わらないよ」
「……なんか姫野、雰囲気が変わったな。表情が明るくなったっていうか」
いまが明るいというより、当時が暗すぎただけなんだけどね……。
「中学のときより、もっと綺麗になったし……」
あ、やばい。この流れ、きっと少女漫画的なやつ。久しぶりに再会して、恋心再燃みたいな。それは困る。私と桔平くんの間に、ほかの人が入り込む余地なんてないんです。面倒事は避けなきゃ。
「……姫野ってさ。いま、付き合ってるヤツ」
「い、いるよ!」
ついつい、食い気味に答えた。
「彼氏、いるよ。東京で同棲してるし、いまは一緒に帰省してきてるし。け、結婚する予定だし」
「け、結婚? 早くね?」
「彼、年上で。将来のこともしっかり考えている人だから。うちのお父さんも気に入ってくれてるし、私も相手のご家族にも挨拶したし。だから……私、いますごく幸せで」
三浦くんが、唖然とした表情のまま見つめてくる。まぁ、普通驚くよね。この年で結婚を考えているなんて。
ただ私は不思議と落ち着いていて、ちゃんと三浦くんの顔を見ながら話すことができていた。
「同窓会に出ないのは、みんなのことが嫌だからじゃないの。ただ、後ろを振り返りたくないだけで。昔を懐かしむより、彼との将来に目を向けていたいから……」
私、なにを喋っているんだろう。三浦くん相手に。
だけど言っていることに嘘はない。私は別に、同級生に会いたくないと思っているわけじゃなかった。ただ、会う意味が見出せないだけ。仲がよかった人もいないし、みんなの近況なんてまったく気にならないから。それよりも、桔平くんのそばにいることのほうが大事だった。
「そっか……なんかすごいな、姫野」
「え、なにが?」
「中学のときも、いつもひとりなのに全然気にした様子なくてさ。強いなって思って見ていたよ」
気にしていないわけない。本当は強がっていた。好きな子の話やアイドルの話で盛り上がる同級生が、すごく羨ましくて。
でも、ひとりでいるのを惨めだと思われたくない。だから友達なんていらない。私は自らひとりを選んでいる。そう見せたかっただけなの。
「俺は別に、ただ姫野の顔が可愛いから告ったわけじゃないよ。ひとりでも平気な顔をしてて、尊敬っていうか……かっこいいなって思ってたからさ。でもいまの姫野のほうが、何倍もかっこいいな」
そう言って笑う顔は、やっぱり野球部の爽やかな三浦くんだった。