【1】②
ー/ー
それからあたしは、小日向先輩を追い掛けるようになった。
「ねー、省吾。部活の予定教えてよ」
「は!? なんで?」
「ちょっと知りたいのよ。……別に秘密じゃないからいいでしょ? あんたには迷惑掛けないから!」
渋る幼馴染みから強引に訊きだしたスケジュールに沿って、小日向先輩の行動を予測して確認する。
どうにかわざとらしくなく、自然っぽく会えるように、先輩の行動を細かく観察したりしたんだ。
月曜日の昼休みはいつも部のミーティング。
水曜日は練習場所の関係で部活は早上がりだから、図書室で少し時間潰してたら偶然を装って帰りに会える。教室の暖房は切られちゃうけど、図書室は快適だから全然苦にならなかった。
当然先輩は部活のみんなと一緒だし、あたしがそこに混ざるのはちょっと無理がある。
小日向先輩も省吾も、駅まで一緒に、って言ってくれたりはしたわ。
でも他の人は知らない子が入ったら気を遣うんじゃないかな、っていつも遠慮して集団の後ろを歩いてるの。
そういうの一つ一つ確かめて、いつ、どこを通り掛かれば先輩と顔を合わせる確率が上がる、って考えてたんだ。
「小日向先輩、今日は購買行くんですか?」
もう先輩の習慣は知ってるからわかり切ってるのに、廊下で白々しく訊くあたしに彼は笑って頷いてくれる。
「そう。木曜は弁当作ってもらえないんだよ」
「あの、もしよかったらあたし作って来ましょうか!? 毎日自分で作ってるんで、一個増えても変わんないですし! スープジャーに温かい汁物入れたら冬はいいですよ」
ずっとタイミングを計っていた案を出してみる。
「いやいや、とんでもない! そんな『ただの後輩』っていうか後輩の友達にそこまで甘えられないよ。ごめん、気にしないで」
失敗かあ。
まあ先輩はそんな図々しいこと簡単に受ける人じゃないよね。そういうとこも素敵なんだけどさ。
「でも自分で弁当作ってるの偉いね。今日はパンなの?」
「えらくなんてないですぅ。お料理好きなんで! でもたまにはパンも美味しいじゃないですか」
「それは僕も思う。毎日じゃ辛いかもしれないけど、週一回ならパン楽しみだよな」
気が合うなあ。嬉しい。
うちの購買のパン、地元のパン屋さんの出張販売で種類も多いし美味しいんだよ。ちょっと出遅れたら完売だったりするし。
なのに省吾はパンあんまり好きじゃないって言うんだよね。お母さんに毎日お弁当作ってもらってんの。小母さん、働いてて忙しいのにさ。
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「は!? なんで?」
「ちょっと知りたいのよ。……別に秘密じゃないからいいでしょ? あんたには迷惑掛けないから!」
渋る幼馴染みから強引に訊きだしたスケジュールに沿って、小日向先輩の行動を予測して確認する。
どうにかわざとらしくなく、自然っぽく会えるように、先輩の行動を細かく観察したりしたんだ。
月曜日の昼休みはいつも部のミーティング。
水曜日は練習場所の関係で部活は早上がりだから、図書室で少し時間潰してたら偶然を装って帰りに会える。教室の暖房は切られちゃうけど、図書室は快適だから全然苦にならなかった。
当然先輩は部活のみんなと一緒だし、あたしがそこに混ざるのはちょっと無理がある。
小日向先輩も省吾も、駅まで一緒に、って言ってくれたりはしたわ。
でも他の人は知らない子が入ったら気を遣うんじゃないかな、っていつも遠慮して集団の後ろを歩いてるの。
そういうの一つ一つ確かめて、いつ、どこを通り掛かれば先輩と顔を合わせる確率が上がる、って考えてたんだ。
「小日向先輩、今日は購買行くんですか?」
もう先輩の習慣は知ってるからわかり切ってるのに、廊下で白々しく訊くあたしに彼は笑って頷いてくれる。
「そう。木曜は弁当作ってもらえないんだよ」
「あの、もしよかったらあたし作って来ましょうか!? 毎日自分で作ってるんで、一個増えても変わんないですし! スープジャーに温かい汁物入れたら冬はいいですよ」
ずっとタイミングを計っていた案を出してみる。
「いやいや、とんでもない! そんな『ただの後輩』っていうか後輩の友達にそこまで甘えられないよ。ごめん、気にしないで」
失敗かあ。
まあ先輩はそんな図々しいこと簡単に受ける人じゃないよね。そういうとこも素敵なんだけどさ。
「でも自分で弁当作ってるの偉いね。今日はパンなの?」
「えらくなんてないですぅ。お料理好きなんで! でもたまにはパンも美味しいじゃないですか」
「それは僕も思う。毎日じゃ辛いかもしれないけど、週一回ならパン楽しみだよな」
気が合うなあ。嬉しい。
うちの購買のパン、地元のパン屋さんの出張販売で種類も多いし美味しいんだよ。ちょっと出遅れたら完売だったりするし。
なのに省吾はパンあんまり好きじゃないって言うんだよね。お母さんに毎日お弁当作ってもらってんの。小母さん、働いてて忙しいのにさ。