第30話 夏芽の家へ4~お兄ちゃん~ー有紀目線ー
ー/ー あーしに、なんとかくん、この前転校してきた彩莉さん、この3人が停学処分を食らった。夏芽は反省文だ。
今日は停学の初日だ。夏芽は受験生なのに、何してんだろうね。夏芽の成績はそこまでよくないし、下手したら宝賀もギリギリなラインだろう。
「で、なんとかくん、誕生日いつ?」
「え、なんで、誕生日……?」
もっと深刻な話をしようと思っていた。
「なんでって、あーしの友だちだから、分かるでしょ? 湿っぽいのは苦手なんだけどね、今ばかりはそうはいかないし、さ。そもそも、これからのキミの呼び方に関係するし」
「9月30日だけど……」
「そっか、あーしより1ヶ月前か。となるとお兄ちゃんかな、これからの呼び方は」
「辞めてくれ、お兄ちゃん呼びは。いや、これで有紀が年下だったら、まぁ、受け入れられたかもしれないけど、同級生のクラスメイトだし、恥ずかしいだろ」
「んーん、あーしの中ではもう『お兄ちゃん』決定。だってさー、お兄ちゃんの呼び方、お父さんは『息子』だし夏芽は『迅くん』だからさー、なんか疎外感あったのよー、だからいつまでも『なんとかくん』はダメかなと思ってて、ね?」
「そうか、いや、まぁ、なんとかくんよりかはまだ……それもなんとも言えないけど、有紀がそれでいいなら、それでいいけど。で、夏芽抜きで話すことってなに?」
「お兄ちゃんはさ、夏芽のことどう思ってる?」
「どうって……クリスマス会で舞台上で高らかに宣言したように、好きだよ」
「それだけ?」
「んー、後は、大好きとかずっとそばにいたいとか……」
「んや、なんていうんだろ、あーしが聞きたいのはそういうことじゃなくて、苦手な部分とか、まぁ、悪く言えばここはちょっと無理かなとかだね」
「夏芽の苦手な点……」
――何、いじわるしてんだろ
「お兄ちゃん?」
「ん、あ、え、なんか言った?」
「夏芽の苦手な部分教えて欲しいの。恋人と言っても、そういうところあるでしょ?」
「......」
「すぐ答えられないというのは、たくさん嫌な部分があって、どれから話すべきか悩んでいる。もしくは、もう別れを考えているとか」
「いや、なんていうんだろ......」
『お兄ちゃん、ちょっと待って』
あーしは微妙にあえて開けている扉から夏芽が見ているのを横目で確認した。妹の夏芽と言っても、この状態からあーしが何をする気かはわからないだろう。あーしの狙いは、彼氏ラブな妹に男ってのは、少し好意を見せただけで、簡単になびくものだと理解してもらおうということだ。
「あーしさ、実はさ......」
「ダメ!! 迅くんは......」
夏芽があーしのしようとした事に気づいた。部屋に入ってきた。けど、あーしはとめない。湿っぽい話や色恋沙汰は苦手だ。みんなで好きも嫌いもなく楽しくワイワイしていたい。
でも、夏芽の幸せのためだ。苦手でも、友情を壊してでも妹を守る、それがお姉ちゃんの役目だろう。
「お兄ちゃんの事、いいなって思ってたんだ。でも、夏芽と付き合ってるのは知ってるし、最近、彩莉さんと仲良いのも知ってる。お兄ちゃんが誰が好きでもいい。今だけはあーしを見てて」
「え、有紀......? 夏芽......?」
あーしはここでキスをするつもりも、押し倒すつもりもない。ふと、急に夏芽が羨ましく、妬ましく思った。ホントに好きということはない。お兄ちゃんは友だちで同級生で妹の彼氏。それ以上でもそれ以下でもない。できれば、夏芽が受験が終わるまでは距離を置いて欲しい。ただ、それだけだ。
だから、今、こうしているのだ。少しでもお兄ちゃんの気持ちが他に逸れるように、かと言って、お兄ちゃんの心が初恋の人には行き過ぎないように。正直、あーしは彩莉さんとは仲良くしているが、内心苦手だ。理由は簡単で、お兄ちゃんへの下心が丸出しだからだ。
「……キスしよ」
あーしが何を口走ったかわからない。キスは恋人同士がするものだし、妄想の中であれば、恋人関係にない片想いの人がすることもある。それはあくまで妄想の中であり、空想の出来事だ。実際にそれをしたいと言ったり、しようとすれば男女問わず訴えられるだろうし、された側には一生の心の傷として残る。
お兄ちゃんは困ったように、でも、それ以上にすごく心配そうにした。
「有紀......はさ、どうしてそうしたいと思ったの?」
「迅くん!? どうして、そこで拒まないの!? やっぱり、わたしなんかもう迅くんにとってはどうでもいいんだ!!」
「オレにとっては夏芽が1番大事だし、特別な人だよ!! でも、有紀も友だちだから、大事なんだ。その......有紀がなんて言っても、オレは有紀とはキスをするつもりはない」
「ウソだ、ウソだ、口でならいくらでも言えるよ!! でも、彩莉センパイが現れてから、迅くんにはもう、わたしなんか写っていないし、わたしから見たら年上の人の事しか見てない!! どうしてなの? わたしはこんなに迅くんのことが好きなのに!!」
「夏芽......」
「そういうことだよ、夏芽。お兄ちゃんも男の子なんだよ。いくら口では好きと言っていても、内心は分からない。実際、あーしや彩莉さんも夏芽と同じで名前で呼ばれている。特別扱いしているフリかもしれない」
「ちょっ!? 姉妹で話進めないで!!」
「ううん、あーしが正しい」
「いや、まぁ、有紀に関しては、夏芽と苗字が同じだから、区別できるようにだし、いろはは東京の頃からの友だちだし......」
「だとしても!!」
夏芽がお兄ちゃんにくいさがった。このまま少し距離を置いてくれたらあーしとしては万々歳だ。
「クリスマス……、クリスマス会でもなく、イブの夜でもなく、25日、迅くんは言おうとしたよね? 私の中にもう迅くんへの思いがないなら……って。ごめん、好きだよ。でも、今の迅くんは見たくない」
「え……?」
そっか。夏芽が産まれた時から知ってるから、ずっと子どもだとお姉ちゃんは思ってたよ。もう15歳だし、こんな立派に育って嬉しいよ。
「さ、お兄ちゃんは帰るか、鮮魚のはなまるで働いてくる」
今日は停学の初日だ。夏芽は受験生なのに、何してんだろうね。夏芽の成績はそこまでよくないし、下手したら宝賀もギリギリなラインだろう。
「で、なんとかくん、誕生日いつ?」
「え、なんで、誕生日……?」
もっと深刻な話をしようと思っていた。
「なんでって、あーしの友だちだから、分かるでしょ? 湿っぽいのは苦手なんだけどね、今ばかりはそうはいかないし、さ。そもそも、これからのキミの呼び方に関係するし」
「9月30日だけど……」
「そっか、あーしより1ヶ月前か。となるとお兄ちゃんかな、これからの呼び方は」
「辞めてくれ、お兄ちゃん呼びは。いや、これで有紀が年下だったら、まぁ、受け入れられたかもしれないけど、同級生のクラスメイトだし、恥ずかしいだろ」
「んーん、あーしの中ではもう『お兄ちゃん』決定。だってさー、お兄ちゃんの呼び方、お父さんは『息子』だし夏芽は『迅くん』だからさー、なんか疎外感あったのよー、だからいつまでも『なんとかくん』はダメかなと思ってて、ね?」
「そうか、いや、まぁ、なんとかくんよりかはまだ……それもなんとも言えないけど、有紀がそれでいいなら、それでいいけど。で、夏芽抜きで話すことってなに?」
「お兄ちゃんはさ、夏芽のことどう思ってる?」
「どうって……クリスマス会で舞台上で高らかに宣言したように、好きだよ」
「それだけ?」
「んー、後は、大好きとかずっとそばにいたいとか……」
「んや、なんていうんだろ、あーしが聞きたいのはそういうことじゃなくて、苦手な部分とか、まぁ、悪く言えばここはちょっと無理かなとかだね」
「夏芽の苦手な点……」
――何、いじわるしてんだろ
「お兄ちゃん?」
「ん、あ、え、なんか言った?」
「夏芽の苦手な部分教えて欲しいの。恋人と言っても、そういうところあるでしょ?」
「......」
「すぐ答えられないというのは、たくさん嫌な部分があって、どれから話すべきか悩んでいる。もしくは、もう別れを考えているとか」
「いや、なんていうんだろ......」
『お兄ちゃん、ちょっと待って』
あーしは微妙にあえて開けている扉から夏芽が見ているのを横目で確認した。妹の夏芽と言っても、この状態からあーしが何をする気かはわからないだろう。あーしの狙いは、彼氏ラブな妹に男ってのは、少し好意を見せただけで、簡単になびくものだと理解してもらおうということだ。
「あーしさ、実はさ......」
「ダメ!! 迅くんは......」
夏芽があーしのしようとした事に気づいた。部屋に入ってきた。けど、あーしはとめない。湿っぽい話や色恋沙汰は苦手だ。みんなで好きも嫌いもなく楽しくワイワイしていたい。
でも、夏芽の幸せのためだ。苦手でも、友情を壊してでも妹を守る、それがお姉ちゃんの役目だろう。
「お兄ちゃんの事、いいなって思ってたんだ。でも、夏芽と付き合ってるのは知ってるし、最近、彩莉さんと仲良いのも知ってる。お兄ちゃんが誰が好きでもいい。今だけはあーしを見てて」
「え、有紀......? 夏芽......?」
あーしはここでキスをするつもりも、押し倒すつもりもない。ふと、急に夏芽が羨ましく、妬ましく思った。ホントに好きということはない。お兄ちゃんは友だちで同級生で妹の彼氏。それ以上でもそれ以下でもない。できれば、夏芽が受験が終わるまでは距離を置いて欲しい。ただ、それだけだ。
だから、今、こうしているのだ。少しでもお兄ちゃんの気持ちが他に逸れるように、かと言って、お兄ちゃんの心が初恋の人には行き過ぎないように。正直、あーしは彩莉さんとは仲良くしているが、内心苦手だ。理由は簡単で、お兄ちゃんへの下心が丸出しだからだ。
「……キスしよ」
あーしが何を口走ったかわからない。キスは恋人同士がするものだし、妄想の中であれば、恋人関係にない片想いの人がすることもある。それはあくまで妄想の中であり、空想の出来事だ。実際にそれをしたいと言ったり、しようとすれば男女問わず訴えられるだろうし、された側には一生の心の傷として残る。
お兄ちゃんは困ったように、でも、それ以上にすごく心配そうにした。
「有紀......はさ、どうしてそうしたいと思ったの?」
「迅くん!? どうして、そこで拒まないの!? やっぱり、わたしなんかもう迅くんにとってはどうでもいいんだ!!」
「オレにとっては夏芽が1番大事だし、特別な人だよ!! でも、有紀も友だちだから、大事なんだ。その......有紀がなんて言っても、オレは有紀とはキスをするつもりはない」
「ウソだ、ウソだ、口でならいくらでも言えるよ!! でも、彩莉センパイが現れてから、迅くんにはもう、わたしなんか写っていないし、わたしから見たら年上の人の事しか見てない!! どうしてなの? わたしはこんなに迅くんのことが好きなのに!!」
「夏芽......」
「そういうことだよ、夏芽。お兄ちゃんも男の子なんだよ。いくら口では好きと言っていても、内心は分からない。実際、あーしや彩莉さんも夏芽と同じで名前で呼ばれている。特別扱いしているフリかもしれない」
「ちょっ!? 姉妹で話進めないで!!」
「ううん、あーしが正しい」
「いや、まぁ、有紀に関しては、夏芽と苗字が同じだから、区別できるようにだし、いろはは東京の頃からの友だちだし......」
「だとしても!!」
夏芽がお兄ちゃんにくいさがった。このまま少し距離を置いてくれたらあーしとしては万々歳だ。
「クリスマス……、クリスマス会でもなく、イブの夜でもなく、25日、迅くんは言おうとしたよね? 私の中にもう迅くんへの思いがないなら……って。ごめん、好きだよ。でも、今の迅くんは見たくない」
「え……?」
そっか。夏芽が産まれた時から知ってるから、ずっと子どもだとお姉ちゃんは思ってたよ。もう15歳だし、こんな立派に育って嬉しいよ。
「さ、お兄ちゃんは帰るか、鮮魚のはなまるで働いてくる」
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