表示設定
表示設定
目次 目次




人間と異世界人

ー/ー



 「では、もうここで。」
 「いや、王に話がある。」
 「今からですか?」
 「やめておいたほうがいいだろうか……。」
 「もう夜も遅いですからねぇ。」
 「いや、こちらも話がある。今から魔女の家に行くつもりじゃった。」

 魔女と先生が夜空の下で話していると、王が声をかけた。
 魔女は王が出てきたところを見てびくりと肩を跳ね上がらせた。
 いくら異世界にいてもこの不気味な雰囲気にはなれない。
 夜は外に出たくないくらいには苦手なのだ。

 「わたくしも同行してよろしいでしょうか?」
 「かまわない。魔女がいてもいいというのであればな。」
 「別にいいわよ。」
 「なら、中でお話いたしましょう。夜の風は体に障ります。」

 先生はそう言って二人を仲へと押し込む。
 先生のほうもこの異世界の夜の雰囲気は苦手なのだろう。
 魔女はなぜかそう思った。

 「では、私から……。」
 「いや、こちらから話させてもらおう。」
 「っ……承知いたしました。聞きましょう。」

 魔女はそう言って頭を下げた。
 不思議なものだ。
 いつも強気な魔女がここまでおとなしく、言葉遣いにも気を付けている。
 自分の意見しか通さないのではないかと思っていた先生は感心した。
 
 「王子をそろそろ返してはくれないか?」

 王のその言葉を聞いて魔女は先生のほうをちらりと見た。
 先生もそれを聞いて少し微笑んだ。

 「私のほうもそう伝えようとしていたところです。王子はとても成長なさいました。もうそろそろこちらへ帰すことをしてもよいのではないかと思われます。」
 「そうか。ならよかった。」
 
 王はとてもほっとしたように息を吐いた。
 それもそうだ。
 何も変わらずに王子が返ってきたならそれはそれで困る。
 何をしに行かせたんだと周りから言われて帰ってこさせないほうがいいと言われることが王にとって一番心が痛かった。

 「それからもう一つ。」
 「なんだ?」
 「報酬を変えていただきたいのです。」

 魔女はそう言ってにやりと笑った。
 王の前でも性格は変わらないようだ。
















 王子がここにきて約一年。
 先生が過去にいた街だということにも興奮を隠せない王子であったがそれももうなくなってしまった。
 そして、先生の妹はとても元気になった。
 
 「もう、お祭りには行けるかしら?」
 「そうですね……。来年のお祭りには行けそうですね。」
 「今年のお祭りに行きたいのよ!」
 「あきらめてください。」

 王子は言葉遣いや作法を先生の妹と一緒に教えられているうちにとても丁寧なしぐさがでいるようになった。
 何といっても先生の母親は厳しい人で、少しでも間違えるとうるさいのだ。
 どんな教育をされたのかなど小言が三時間続いたときには頭を抱えたくなった。
 そして先生はというと、妹が元気になり始めたころに死んでしまった。
 事故だったらしい。
 海に足が滑って落ちてしまったのだと。
 周囲のみんなはそう噂をしていた。
 王子はその日、先生の家の手伝いをしていたため何が起こったのかは知らない。
 いや、過去の先生は死んでもたまにいつもの笑顔を見せてくれるため別に関係はない。
 ただこのうわさを聞くたびに耳が痛くてしょうがないだけだ。
 先生はそれを聞いてどう思っているのだろうか。
 自分が事故死をしたことを聞いて。
 周りから好きかって言われて。
 気にはなるが、それを聞くほどの勇気は王子にはなかった。

 「ねぇ、聞いてる?」
 「あ、悪い。」
 「悪いじゃなくてごめんなさいでしょ?まったく。またお兄ちゃんのこと考えてたでしょ?」
 「それは……。」
 「フフ……同じね。あなたはいつまでこの町にいるの?」
 「あなたが元気になるまでなので、明日……。」
 「そっかぁ、寂しくなっちゃうなぁ。」

 ある意味、妹と王子は支えあって今まで過ごしてきた。
 過去の先生が死んだあとは特にそうだ。
 悲しみを二人でかみしめた。
 一緒に大泣きした。
 王子は泣くつもりはなかったが、なぜか涙が止まらなかった。
 先生に背中をなでられながら泣いた日もあった。

 王子はその日も先生の妹とゲームをして宿屋に帰った。
 明日、朝一で出ていくつもりなのだ。
 出ないと、ここから離れたくなくなりそうだから。

 「魔女、もう次の町に行けるか?」
 「いつでもワープはできるよ。」
 「次こそはミサに会いに行かないとな。」
 「行けるといいな。」

 魔女はそう言って笑う。
 王子のミサへの気持ちは本物らしい。
 それは魔女からしたら手に取るようにわかることだ。
 しかし、ずっとこうしてもいられない。
 王との会話は王子には言っていない。
 言うと全力で嫌がりそうだったからだ。
 
(あと数回……。これにかけるか。)

 魔女はそう思いながら紅茶を飲んだ。
 王子によく寝ろよと一言言ってから魔法書を読む。

 「あの……そろそろ。片付けしませんか?」
 「また今度な。やってくれても別にいい。」
 「私が触っちゃっても大丈夫ですか?」
 「勝手にどうぞ。」

 魔女はそう言って小さな少女に手をひらひらと振った。
 小さな女の子は箒を持ったまま少し困っている。
 それを魔女は気にも留めない。

 「その扱いはダメですよ。かわいそうでしょう?」
 「お前の家じゃないぞ。ここは。」
 「合鍵をもらったので。」
 「合鍵渡すのと勝手に入ってくるのは訳が違うからな。」

 魔女はそう言って先生をにらんでいるが、先生はニコニコしている。
 
 魔女は弟子を取ったのだ。
 小さい女の子を王に頼んで転生させた。
 過去に吹っ切れたことが一番の理由だ。
 王子と一緒にいて寂しくなったわけではない。
 一人の時間だってほしい時もある。
 断じて王子のためとかではない。
















 「おぉ、ここもすごいな。」
 「そろそろ飽きてこないか?」
 「まぁまぁ飽きた。」
 「だろうな。」

 魔女はそう言ってあきれたように笑う。
 見慣れた街だ。
 どこも変わらない。
 ただ変わるのは、時代によって便利なものがあったりなかったりするところくらいだ。
 今回はロボットが街を駆け回っている。

 「おっと、ごめんなさい。」
 「ん?……あぁ。」
 「……冷たいな。」
 「そういう時代も来るだろう。」
 「前の町はあったかい街だったのか。」
 「だな。」

 ぶつかって謝ってもこちらを見ない男に王子はそう思った。
 まるでそれどころじゃないとでも言われているようだ。

 「なぁ、何食べてんだ?」
 「パンケーキだ。うまいぞ。」
 「お城が支給したのか。」
 「いや、手作りだ。」
 「魔女のか?」
 「最近弟子とったからな。」
 「弟子に作らせてんのか。」

 王子はお店に売っていた錠剤を一ケース盗んで食べていた。
 びっくりするくらい栄養の名前の書いた錠剤しか売っていなかったのだ。
 果物やおいしそうな食べ物は全くなかった。
 ケースには手が汚れない、などの言葉が書かれていた。
 この時代ならではの物なのかもしれない。

 「次行こうぜ。もう食べたからよ。」
 「その錠剤絶対一日で食べきるもんじゃねぇぞ。」
 「食べた気がしねぇんだもん。」
 「腹壊しても知らねぇぞ。」

 魔女はそう言いながらパンケーキを口に入れた。
 王子のほうは魔法でどうにかすればよいかなどと軽く考えている。

 「おっ、次はまた古風だな。」
 「あんまりここにはいられねぇな。」
 「それはわかるな。そろそろまともな食べもん食べてぇし。」

 王子はそう言ってチラリと家の中を見た。
 とても貧相でご飯なのかわからない水のようなものを食べている姿が見える。
 王子的には噛み応えのある肉っぽいものが欲しいのだが、ここでは食べられそうにない。

 「……畑を軽く荒らすか。」
 「さっさと次行かねぇとな。」
 「なんか心が痛くなるな。」
 「次いけなくなるぞ。」
 「だってあんな頑張ってるのに……。」
 「その気持ちが出てきただけでも私はいいと思うぞ。」

 魔女はそう言って笑った。
 王子はほんの少しだけ畑に穴をあけて魔女を見た。
 もうこれ以上はしないと言いたいのだろう。
 魔女はそれを見てもういいかと思った。
 これ以上この旅を続ける意味はない。
 あとはこちらの世界が変わるべきだ。
















 「王子、お帰りなさいませ。」
 「王子、ご無事でしたか?」

 王子は寝ていたらしい。
 とても豪華なベッドに少し重く感じる豪華な服。
 こんな豪華にする意味はないと思う。
 しかし、王子はこの家で育った。
 ここが帰ってくる場所だった。
 
 「……女を呼べ。」
 「え?」
 「今すぐ、魔女を呼べ!そうじゃ無ければ俺が行く。」
 「そんなに言わなくても来てやってるよ。バーカ。」

 魔女はそう言いながら部屋に入ってきた。
 周りの使用人は王子の迫力にまた殺されるのではないかと離れて行ってしまった。
 そんな使用人をかき分けて魔女は王子に近づく。

 「なぜここに戻した?」
 「お前の性格がよくなったからだろう。」
 「俺はまだ……!」
 「わしが頼んだんじゃ。」

 魔女よりも先に口を開いたのは王だった。
 魔女はそんな王を見てやれやれと肩をすくめる。

 「なんで……。」
 「王の命令だからな。」
 「そんなこと一言も言ってなかっただろう?」
 「言わなかったんだ。今日はもう休め。」
 「まてっ……おい……。」
 
 魔女はそう言って腰を抜かしている使用人たちから先に部屋の外へ出す。
 王子はまだ文句を言い足りなかったが、何も言えなかった。
 魔女の目はまともだったのだ。
 これが魔女の意志のようだった。
 少なくとも仕方なくやったようには見えない。

 そして、数日間王子は立てなかった。
 今までの疲れが一気に来たように体がきつくて動けなかった。
 もちろん、その間魔女は何度も王子の部屋を訪ねた。
 まるであの旅をしていた時と何も変わらない。
 朝起きると魔女がいて、夜遅くなる前に帰っていく。
 ただ一つ変わったことと言えば、楽しみがなくなったことだ。
 ミサに会うのを楽しみにしていた王子はもう会えないとわかって悲しんでいた。

 「もう立てるんだったら散歩でも行ってみないか?」
 「行かねぇ。」
 「こんな広い敷地持ってるんだからすべて知り尽くしたわけではないだろ?」
 「まぁそうだな。」
 「じゃあ行って来い。気分転換にもなるだろ?」
 「……わかった。」

 魔女から進められて毛布にくるまって丸くなっていた王子は起き上がった。
 地に足をつくのは数日ぶりだ。
 ふわっとした感覚があって本当に大丈夫かと思ってしまう。

 「……こんなにきれいだったのか。ここは。」
 
 花壇に咲く花を見て王子はふとつぶやいた。
 いろいろなところに言って自然なんて見飽きたと思っていたが、その花たちはとてもきれいに見えたのだ。

 「王子よ。……帰ってきたって本当だったのね。」
 「……いやねぇ。」
 「怖くて夜も眠れないわ。」
 「……。変わんねぇな。」

 王子は周りの使用人たちを見てそう思った。
 使用人たちは王子の姿が少しでも見えると逃げる。
 そして陰でずっとコソコソ話すのだ。
 王子はそれを聞いているうちに反抗心がわいていた。
 こんな使用人たちと過ごさなければいけないことが心底嫌だった。
 しかし、今は全く何とも思わない。
 旅に出ていろんな人と出会っていくうちにそう思えるようになったのだ。

 「っ……トニー?」
 
 王子をそんな風に呼ぶものはこの城の中にはいない。
 当たり前だ。
 この呼び名はミサに名乗る時に王子が考えた名前だから。
 
 「……。」
 「やっぱりトニーだわ!え?どうしてここに?」
 「なぜ……ここにいる?」
 
 王子の後ろに立っていたのはミサだった。
 前に見た時と全く変わらない。
 ただ服装がこちらの服なだけだ。
 そのほかには声も顔も何も変わらない。

 「私は魔女様の弟子になっちゃったのよ。あなたがいなくなった後、私処刑されちゃったから。」
 「なんで君が……。」
 「あなたがいなくなって……あれ?そういえばあの時あなたのことみんな忘れちゃって……。」
 「……ごめん。僕のせいで君が。」
 「え?ううん。今とっても楽しいのよ。魔女様も優しいし。」

 王子は真剣に謝った。
 ミサが明るく言ってもなお謝り続けた。

 「つらい思いさせた。本当に……。」
 「トニーのせいじゃないわよ。それより良かった。みんな私のこと睨むように見るし、なんか話しかけても答えてくれないし、トニーがいて安心した。」
 「あれか……。」
 「魔女様と浩司さんは同じ転生者っていう人らしいけど、あなたもだったのね。」
 「いや、おれは……。」
 「王子、ここにいらっしゃったんですね。」
 「え?」
 「先生……。」

 王子はそう言って頭を抱えた。
 ミサは王子のうわさ自体は軽く聞いていたため知らないわけではないがポカンとする。
 もちろん、それはいいうわさではない。

 「王子……なの?トニー。」
 「ミサさんもこちらにいらっしゃいましたか。」
 「浩司さん、トニー……この方って……。」
 「え?王子がどうかなさいましたか?」

 先生は何でもないように聞く。
 王子がにらんでもお構いなしだ。

 「先生、少し黙ってもらってもいいか?」
 「魔女が呼んでいたので。」
 「トニーって王子なの?」
 「はい、王子はこの人です。あ、ご安心を性格は矯正済みですので。」
 「虫歯直した後みたいな言い方すんな!」

 ミサは王子と先生を交互に見た。
 どうしてもそうは思えないらしい。
 というか、王子ともあろう人が薪割を手伝ったりするわけがない。
 そんな考えが頭をよぎってしょうがない。
 王子も、ミサの前ではいい人を演じていたため仕方がないのかもしれない。

 「え、あ……えっと。」
 「今まで通りでいい。ミサに気を遣わせるのだけはごめんだ。」
 「え、でも……。」
 「いや、これからも仲良くしてください。」

 王子はそう言ってミサに頭を下げる。
 ミサは今までどんなに無礼なことをしたのか考えるだけでも怖かった。
 なので、そんな王子の姿を見てどうすればよいかわからなくなる。
 先生に助けを求めようにも先生はにこにこと笑ったままだ。

 「おっ、どうした?会えたのか。」
 「魔女様……。」
 「王子、ミサ困らせてんじゃねぇぞ。」
 「うるっせぇ。」
 「こ、困ってなんか……ちょっとくらいしか……。」

 ミサが正直に言うと、魔女と先生は笑い出した。
 そんな中で王子は少し落ち込んでいる。
 見るからに。
 めちゃくちゃ落ち込んでいる。

 「ミサ、仲良くしてやれよ。」
 「え?いいんですか?」
 「ここはお前のいた国とは違うからな。そこまで思い刑にはならねぇし、何ならお前も王子と同じかそれ以上の地位がある。誰でもここに来られるわけじゃねぇんだ。」
 「……じゃあ、トニー?でいいの?」
 「あ、も、もちろん!」

 王子はそう言ってうれしそうに笑った。
 二人が庭を歩いているのを見ながら魔女は先生に声をかける。
 
 「お前はここで何してんだ?」
 「探すのを手伝って差し上げようかと。」
 「頼んでねぇのに。」
 「わたくしの善意です。」
 「じゃあ何か返さねぇとな。今度紅茶でも……。」
 
 魔女はそれ以上言葉が出なかった。
 先生が持っていたのは小さな宝石の付いた指輪の箱でそれをこちらに向けている。
 状況が把握しきれない。
 
 「善意のお返しに、結婚していただけませんか?」
 「な、何言ってんだ?こんなところで……。いや、まずそういう関係でもねぇだろ?」
 「今日、今からそういう関係になってください。」
 「いや、その……。」
 「ダメですか?」
 「……お、ねがいします。」

 魔女は顔を真っ赤にしながらそうつぶやいた。
 先生は両手をあげてこちらをちらちらとみている王子たちに笑顔を見せた。
 王子とミサはドキドキしながら見ていたが、先生のその笑顔を見て走って二人に駆け寄る。
 
 「やったじゃん、先生!」
 「よかったですね、魔女様!」
 「何言ってんだ、お前らは。」
 「うれしいことですよ。ねぇ、浩司さん。」
 「ですねぇ、ミサさん。」

 魔女は二人が寄ってくるのを見てもっと顔を赤くした。
 立っていられているのが不思議なくらいに。
 何なら先生のほうに寄りかかりたいくらいだ。

 先生と魔女の結婚式はすぐに行われた。
 異世界の中でも大きいほうのパーティが行われ、祝福された。

 「ねぇ、トニーどう?」
 「と、とてもきれいだと思います。」
 「そう?うれしい。」

 花かごを持った二人もピシッとした服装でそれに出席した。
 ミサのドレスはピンクを基調としていてとてもかわいい。
 ミサも鏡を見てそう思ったのか、みんなに見せに言っていた。
 あまりうろつかないでほしいと思いながら王子もそれについて行く。

 「おぉ、ミサちゃんかわいいねぇ。こりゃ妃にぴったりじゃわい。」
 「な……!」
 「もう、王様辞めてくださいよぅ。妃だなんて。」
 「いい嫁さんでよかったなぁ、アントニオ。」

 王にからかわれながらも王子は顔を真っ赤にする。
 魔女と先生はそれを面白そうに見ていた。

 「次はあの二人の結婚式かぁ。」
 「楽しみだな。」

 魔女は真っ黒なドレスを着たまま笑っている。
 とても魔女らしい美しいドレスだ。
 王子的には魔女が着るならどれでも似合いそうな気もする。
 そんな魔女に王子はにらみをきかせる。
 
 「……魔女、あんまりからかってんじゃねぇぞ!」
 「からかってねぇよ。楽しみにしてんだ。」
 「それをからかってるって言ってんだよ。」
 「私はまだ告白もされてないからなぁ。」
 「マジかよ。頑張れよ、王子。」
 「ま、まま……まだそういうのは早いだろ!」
 「遅いくらいだな。」
 「ですよねぇ。私は待ってるのに。」
 「え?」

 王子の時が止まる。
 ミサの短い一言を理解するのにトケイが何周しても足りなさそうだ。
 ただ一つ言えるのは。

 「会った時からずっと好きですよ。」
 「え……あ、あの。」
 「ほら返事!」
 「え、あ……つ、付き合ってください……?」
 「よろしくお願いします。」

 王子の真っ赤な顔を見てミサはにっこりと笑って答える。
 ある意味異世界に住む人全員が集まった場で公開告白だ。
 まぁそれはそれで盛り上がったのだが。
 こうして王後任のお妃さまが今決まった。
 
 そしてこれ以上にないくらいに平和な世界が異世界にも来たらしいが、それはまた別のお話。


スタンプを贈って作者を応援しよう!



みんなのリアクション



おすすめ作品を読み込み中です…



 「では、もうここで。」
 「いや、王に話がある。」
 「今からですか?」
 「やめておいたほうがいいだろうか……。」
 「もう夜も遅いですからねぇ。」
 「いや、こちらも話がある。今から魔女の家に行くつもりじゃった。」
 魔女と先生が夜空の下で話していると、王が声をかけた。
 魔女は王が出てきたところを見てびくりと肩を跳ね上がらせた。
 いくら異世界にいてもこの不気味な雰囲気にはなれない。
 夜は外に出たくないくらいには苦手なのだ。
 「わたくしも同行してよろしいでしょうか?」
 「かまわない。魔女がいてもいいというのであればな。」
 「別にいいわよ。」
 「なら、中でお話いたしましょう。夜の風は体に障ります。」
 先生はそう言って二人を仲へと押し込む。
 先生のほうもこの異世界の夜の雰囲気は苦手なのだろう。
 魔女はなぜかそう思った。
 「では、私から……。」
 「いや、こちらから話させてもらおう。」
 「っ……承知いたしました。聞きましょう。」
 魔女はそう言って頭を下げた。
 不思議なものだ。
 いつも強気な魔女がここまでおとなしく、言葉遣いにも気を付けている。
 自分の意見しか通さないのではないかと思っていた先生は感心した。
 「王子をそろそろ返してはくれないか?」
 王のその言葉を聞いて魔女は先生のほうをちらりと見た。
 先生もそれを聞いて少し微笑んだ。
 「私のほうもそう伝えようとしていたところです。王子はとても成長なさいました。もうそろそろこちらへ帰すことをしてもよいのではないかと思われます。」
 「そうか。ならよかった。」
 王はとてもほっとしたように息を吐いた。
 それもそうだ。
 何も変わらずに王子が返ってきたならそれはそれで困る。
 何をしに行かせたんだと周りから言われて帰ってこさせないほうがいいと言われることが王にとって一番心が痛かった。
 「それからもう一つ。」
 「なんだ?」
 「報酬を変えていただきたいのです。」
 魔女はそう言ってにやりと笑った。
 王の前でも性格は変わらないようだ。
 王子がここにきて約一年。
 先生が過去にいた街だということにも興奮を隠せない王子であったがそれももうなくなってしまった。
 そして、先生の妹はとても元気になった。
 「もう、お祭りには行けるかしら?」
 「そうですね……。来年のお祭りには行けそうですね。」
 「今年のお祭りに行きたいのよ!」
 「あきらめてください。」
 王子は言葉遣いや作法を先生の妹と一緒に教えられているうちにとても丁寧なしぐさがでいるようになった。
 何といっても先生の母親は厳しい人で、少しでも間違えるとうるさいのだ。
 どんな教育をされたのかなど小言が三時間続いたときには頭を抱えたくなった。
 そして先生はというと、妹が元気になり始めたころに死んでしまった。
 事故だったらしい。
 海に足が滑って落ちてしまったのだと。
 周囲のみんなはそう噂をしていた。
 王子はその日、先生の家の手伝いをしていたため何が起こったのかは知らない。
 いや、過去の先生は死んでもたまにいつもの笑顔を見せてくれるため別に関係はない。
 ただこのうわさを聞くたびに耳が痛くてしょうがないだけだ。
 先生はそれを聞いてどう思っているのだろうか。
 自分が事故死をしたことを聞いて。
 周りから好きかって言われて。
 気にはなるが、それを聞くほどの勇気は王子にはなかった。
 「ねぇ、聞いてる?」
 「あ、悪い。」
 「悪いじゃなくてごめんなさいでしょ?まったく。またお兄ちゃんのこと考えてたでしょ?」
 「それは……。」
 「フフ……同じね。あなたはいつまでこの町にいるの?」
 「あなたが元気になるまでなので、明日……。」
 「そっかぁ、寂しくなっちゃうなぁ。」
 ある意味、妹と王子は支えあって今まで過ごしてきた。
 過去の先生が死んだあとは特にそうだ。
 悲しみを二人でかみしめた。
 一緒に大泣きした。
 王子は泣くつもりはなかったが、なぜか涙が止まらなかった。
 先生に背中をなでられながら泣いた日もあった。
 王子はその日も先生の妹とゲームをして宿屋に帰った。
 明日、朝一で出ていくつもりなのだ。
 出ないと、ここから離れたくなくなりそうだから。
 「魔女、もう次の町に行けるか?」
 「いつでもワープはできるよ。」
 「次こそはミサに会いに行かないとな。」
 「行けるといいな。」
 魔女はそう言って笑う。
 王子のミサへの気持ちは本物らしい。
 それは魔女からしたら手に取るようにわかることだ。
 しかし、ずっとこうしてもいられない。
 王との会話は王子には言っていない。
 言うと全力で嫌がりそうだったからだ。
(あと数回……。これにかけるか。)
 魔女はそう思いながら紅茶を飲んだ。
 王子によく寝ろよと一言言ってから魔法書を読む。
 「あの……そろそろ。片付けしませんか?」
 「また今度な。やってくれても別にいい。」
 「私が触っちゃっても大丈夫ですか?」
 「勝手にどうぞ。」
 魔女はそう言って小さな少女に手をひらひらと振った。
 小さな女の子は箒を持ったまま少し困っている。
 それを魔女は気にも留めない。
 「その扱いはダメですよ。かわいそうでしょう?」
 「お前の家じゃないぞ。ここは。」
 「合鍵をもらったので。」
 「合鍵渡すのと勝手に入ってくるのは訳が違うからな。」
 魔女はそう言って先生をにらんでいるが、先生はニコニコしている。
 魔女は弟子を取ったのだ。
 小さい女の子を王に頼んで転生させた。
 過去に吹っ切れたことが一番の理由だ。
 王子と一緒にいて寂しくなったわけではない。
 一人の時間だってほしい時もある。
 断じて王子のためとかではない。
 「おぉ、ここもすごいな。」
 「そろそろ飽きてこないか?」
 「まぁまぁ飽きた。」
 「だろうな。」
 魔女はそう言ってあきれたように笑う。
 見慣れた街だ。
 どこも変わらない。
 ただ変わるのは、時代によって便利なものがあったりなかったりするところくらいだ。
 今回はロボットが街を駆け回っている。
 「おっと、ごめんなさい。」
 「ん?……あぁ。」
 「……冷たいな。」
 「そういう時代も来るだろう。」
 「前の町はあったかい街だったのか。」
 「だな。」
 ぶつかって謝ってもこちらを見ない男に王子はそう思った。
 まるでそれどころじゃないとでも言われているようだ。
 「なぁ、何食べてんだ?」
 「パンケーキだ。うまいぞ。」
 「お城が支給したのか。」
 「いや、手作りだ。」
 「魔女のか?」
 「最近弟子とったからな。」
 「弟子に作らせてんのか。」
 王子はお店に売っていた錠剤を一ケース盗んで食べていた。
 びっくりするくらい栄養の名前の書いた錠剤しか売っていなかったのだ。
 果物やおいしそうな食べ物は全くなかった。
 ケースには手が汚れない、などの言葉が書かれていた。
 この時代ならではの物なのかもしれない。
 「次行こうぜ。もう食べたからよ。」
 「その錠剤絶対一日で食べきるもんじゃねぇぞ。」
 「食べた気がしねぇんだもん。」
 「腹壊しても知らねぇぞ。」
 魔女はそう言いながらパンケーキを口に入れた。
 王子のほうは魔法でどうにかすればよいかなどと軽く考えている。
 「おっ、次はまた古風だな。」
 「あんまりここにはいられねぇな。」
 「それはわかるな。そろそろまともな食べもん食べてぇし。」
 王子はそう言ってチラリと家の中を見た。
 とても貧相でご飯なのかわからない水のようなものを食べている姿が見える。
 王子的には噛み応えのある肉っぽいものが欲しいのだが、ここでは食べられそうにない。
 「……畑を軽く荒らすか。」
 「さっさと次行かねぇとな。」
 「なんか心が痛くなるな。」
 「次いけなくなるぞ。」
 「だってあんな頑張ってるのに……。」
 「その気持ちが出てきただけでも私はいいと思うぞ。」
 魔女はそう言って笑った。
 王子はほんの少しだけ畑に穴をあけて魔女を見た。
 もうこれ以上はしないと言いたいのだろう。
 魔女はそれを見てもういいかと思った。
 これ以上この旅を続ける意味はない。
 あとはこちらの世界が変わるべきだ。
 「王子、お帰りなさいませ。」
 「王子、ご無事でしたか?」
 王子は寝ていたらしい。
 とても豪華なベッドに少し重く感じる豪華な服。
 こんな豪華にする意味はないと思う。
 しかし、王子はこの家で育った。
 ここが帰ってくる場所だった。
 「……女を呼べ。」
 「え?」
 「今すぐ、魔女を呼べ!そうじゃ無ければ俺が行く。」
 「そんなに言わなくても来てやってるよ。バーカ。」
 魔女はそう言いながら部屋に入ってきた。
 周りの使用人は王子の迫力にまた殺されるのではないかと離れて行ってしまった。
 そんな使用人をかき分けて魔女は王子に近づく。
 「なぜここに戻した?」
 「お前の性格がよくなったからだろう。」
 「俺はまだ……!」
 「わしが頼んだんじゃ。」
 魔女よりも先に口を開いたのは王だった。
 魔女はそんな王を見てやれやれと肩をすくめる。
 「なんで……。」
 「王の命令だからな。」
 「そんなこと一言も言ってなかっただろう?」
 「言わなかったんだ。今日はもう休め。」
 「まてっ……おい……。」
 魔女はそう言って腰を抜かしている使用人たちから先に部屋の外へ出す。
 王子はまだ文句を言い足りなかったが、何も言えなかった。
 魔女の目はまともだったのだ。
 これが魔女の意志のようだった。
 少なくとも仕方なくやったようには見えない。
 そして、数日間王子は立てなかった。
 今までの疲れが一気に来たように体がきつくて動けなかった。
 もちろん、その間魔女は何度も王子の部屋を訪ねた。
 まるであの旅をしていた時と何も変わらない。
 朝起きると魔女がいて、夜遅くなる前に帰っていく。
 ただ一つ変わったことと言えば、楽しみがなくなったことだ。
 ミサに会うのを楽しみにしていた王子はもう会えないとわかって悲しんでいた。
 「もう立てるんだったら散歩でも行ってみないか?」
 「行かねぇ。」
 「こんな広い敷地持ってるんだからすべて知り尽くしたわけではないだろ?」
 「まぁそうだな。」
 「じゃあ行って来い。気分転換にもなるだろ?」
 「……わかった。」
 魔女から進められて毛布にくるまって丸くなっていた王子は起き上がった。
 地に足をつくのは数日ぶりだ。
 ふわっとした感覚があって本当に大丈夫かと思ってしまう。
 「……こんなにきれいだったのか。ここは。」
 花壇に咲く花を見て王子はふとつぶやいた。
 いろいろなところに言って自然なんて見飽きたと思っていたが、その花たちはとてもきれいに見えたのだ。
 「王子よ。……帰ってきたって本当だったのね。」
 「……いやねぇ。」
 「怖くて夜も眠れないわ。」
 「……。変わんねぇな。」
 王子は周りの使用人たちを見てそう思った。
 使用人たちは王子の姿が少しでも見えると逃げる。
 そして陰でずっとコソコソ話すのだ。
 王子はそれを聞いているうちに反抗心がわいていた。
 こんな使用人たちと過ごさなければいけないことが心底嫌だった。
 しかし、今は全く何とも思わない。
 旅に出ていろんな人と出会っていくうちにそう思えるようになったのだ。
 「っ……トニー?」
 王子をそんな風に呼ぶものはこの城の中にはいない。
 当たり前だ。
 この呼び名はミサに名乗る時に王子が考えた名前だから。
 「……。」
 「やっぱりトニーだわ!え?どうしてここに?」
 「なぜ……ここにいる?」
 王子の後ろに立っていたのはミサだった。
 前に見た時と全く変わらない。
 ただ服装がこちらの服なだけだ。
 そのほかには声も顔も何も変わらない。
 「私は魔女様の弟子になっちゃったのよ。あなたがいなくなった後、私処刑されちゃったから。」
 「なんで君が……。」
 「あなたがいなくなって……あれ?そういえばあの時あなたのことみんな忘れちゃって……。」
 「……ごめん。僕のせいで君が。」
 「え?ううん。今とっても楽しいのよ。魔女様も優しいし。」
 王子は真剣に謝った。
 ミサが明るく言ってもなお謝り続けた。
 「つらい思いさせた。本当に……。」
 「トニーのせいじゃないわよ。それより良かった。みんな私のこと睨むように見るし、なんか話しかけても答えてくれないし、トニーがいて安心した。」
 「あれか……。」
 「魔女様と浩司さんは同じ転生者っていう人らしいけど、あなたもだったのね。」
 「いや、おれは……。」
 「王子、ここにいらっしゃったんですね。」
 「え?」
 「先生……。」
 王子はそう言って頭を抱えた。
 ミサは王子のうわさ自体は軽く聞いていたため知らないわけではないがポカンとする。
 もちろん、それはいいうわさではない。
 「王子……なの?トニー。」
 「ミサさんもこちらにいらっしゃいましたか。」
 「浩司さん、トニー……この方って……。」
 「え?王子がどうかなさいましたか?」
 先生は何でもないように聞く。
 王子がにらんでもお構いなしだ。
 「先生、少し黙ってもらってもいいか?」
 「魔女が呼んでいたので。」
 「トニーって王子なの?」
 「はい、王子はこの人です。あ、ご安心を性格は矯正済みですので。」
 「虫歯直した後みたいな言い方すんな!」
 ミサは王子と先生を交互に見た。
 どうしてもそうは思えないらしい。
 というか、王子ともあろう人が薪割を手伝ったりするわけがない。
 そんな考えが頭をよぎってしょうがない。
 王子も、ミサの前ではいい人を演じていたため仕方がないのかもしれない。
 「え、あ……えっと。」
 「今まで通りでいい。ミサに気を遣わせるのだけはごめんだ。」
 「え、でも……。」
 「いや、これからも仲良くしてください。」
 王子はそう言ってミサに頭を下げる。
 ミサは今までどんなに無礼なことをしたのか考えるだけでも怖かった。
 なので、そんな王子の姿を見てどうすればよいかわからなくなる。
 先生に助けを求めようにも先生はにこにこと笑ったままだ。
 「おっ、どうした?会えたのか。」
 「魔女様……。」
 「王子、ミサ困らせてんじゃねぇぞ。」
 「うるっせぇ。」
 「こ、困ってなんか……ちょっとくらいしか……。」
 ミサが正直に言うと、魔女と先生は笑い出した。
 そんな中で王子は少し落ち込んでいる。
 見るからに。
 めちゃくちゃ落ち込んでいる。
 「ミサ、仲良くしてやれよ。」
 「え?いいんですか?」
 「ここはお前のいた国とは違うからな。そこまで思い刑にはならねぇし、何ならお前も王子と同じかそれ以上の地位がある。誰でもここに来られるわけじゃねぇんだ。」
 「……じゃあ、トニー?でいいの?」
 「あ、も、もちろん!」
 王子はそう言ってうれしそうに笑った。
 二人が庭を歩いているのを見ながら魔女は先生に声をかける。
 「お前はここで何してんだ?」
 「探すのを手伝って差し上げようかと。」
 「頼んでねぇのに。」
 「わたくしの善意です。」
 「じゃあ何か返さねぇとな。今度紅茶でも……。」
 魔女はそれ以上言葉が出なかった。
 先生が持っていたのは小さな宝石の付いた指輪の箱でそれをこちらに向けている。
 状況が把握しきれない。
 「善意のお返しに、結婚していただけませんか?」
 「な、何言ってんだ?こんなところで……。いや、まずそういう関係でもねぇだろ?」
 「今日、今からそういう関係になってください。」
 「いや、その……。」
 「ダメですか?」
 「……お、ねがいします。」
 魔女は顔を真っ赤にしながらそうつぶやいた。
 先生は両手をあげてこちらをちらちらとみている王子たちに笑顔を見せた。
 王子とミサはドキドキしながら見ていたが、先生のその笑顔を見て走って二人に駆け寄る。
 「やったじゃん、先生!」
 「よかったですね、魔女様!」
 「何言ってんだ、お前らは。」
 「うれしいことですよ。ねぇ、浩司さん。」
 「ですねぇ、ミサさん。」
 魔女は二人が寄ってくるのを見てもっと顔を赤くした。
 立っていられているのが不思議なくらいに。
 何なら先生のほうに寄りかかりたいくらいだ。
 先生と魔女の結婚式はすぐに行われた。
 異世界の中でも大きいほうのパーティが行われ、祝福された。
 「ねぇ、トニーどう?」
 「と、とてもきれいだと思います。」
 「そう?うれしい。」
 花かごを持った二人もピシッとした服装でそれに出席した。
 ミサのドレスはピンクを基調としていてとてもかわいい。
 ミサも鏡を見てそう思ったのか、みんなに見せに言っていた。
 あまりうろつかないでほしいと思いながら王子もそれについて行く。
 「おぉ、ミサちゃんかわいいねぇ。こりゃ妃にぴったりじゃわい。」
 「な……!」
 「もう、王様辞めてくださいよぅ。妃だなんて。」
 「いい嫁さんでよかったなぁ、アントニオ。」
 王にからかわれながらも王子は顔を真っ赤にする。
 魔女と先生はそれを面白そうに見ていた。
 「次はあの二人の結婚式かぁ。」
 「楽しみだな。」
 魔女は真っ黒なドレスを着たまま笑っている。
 とても魔女らしい美しいドレスだ。
 王子的には魔女が着るならどれでも似合いそうな気もする。
 そんな魔女に王子はにらみをきかせる。
 「……魔女、あんまりからかってんじゃねぇぞ!」
 「からかってねぇよ。楽しみにしてんだ。」
 「それをからかってるって言ってんだよ。」
 「私はまだ告白もされてないからなぁ。」
 「マジかよ。頑張れよ、王子。」
 「ま、まま……まだそういうのは早いだろ!」
 「遅いくらいだな。」
 「ですよねぇ。私は待ってるのに。」
 「え?」
 王子の時が止まる。
 ミサの短い一言を理解するのにトケイが何周しても足りなさそうだ。
 ただ一つ言えるのは。
 「会った時からずっと好きですよ。」
 「え……あ、あの。」
 「ほら返事!」
 「え、あ……つ、付き合ってください……?」
 「よろしくお願いします。」
 王子の真っ赤な顔を見てミサはにっこりと笑って答える。
 ある意味異世界に住む人全員が集まった場で公開告白だ。
 まぁそれはそれで盛り上がったのだが。
 こうして王後任のお妃さまが今決まった。
 そしてこれ以上にないくらいに平和な世界が異世界にも来たらしいが、それはまた別のお話。