14
ー/ー
「どうですか」
「……いい匂い」
「好き?」
「す、好き……かも……」
「やっぱ相性抜群じゃん」
桔平くんが、私の体を優しく押し倒す。メガネを外されて、視界がぼやけた。
「さっきのサイトに、9ヶ月経つとスキンシップが減るって書いてあったよな」
「うん」
「そんなわけねぇじゃん。一生かけて深い関係になっていくんだからさ。あと何十年、一緒にいると思ってんだよ」
喋りながら、私のパジャマのボタンをひとつひとつ外していく。
一生かけて、深い関係に……言われてみれば、そうだよね。結婚して一緒に人生を歩んでいくって、そういうことなんだよね。
「私の頭の中にある人生計画書では、65年ぐらいは一緒にいる予定です」
「壮大な計画だな。そんだけ一緒にいる予定なのに、たった9ヶ月でレスになってどうするって話だよ」
笑いながら、桔平くんが私の耳の後ろに顔を寄せる。息がかかって少しくすぐったいけれど、とても心地いい。
「この匂いも、オレだけのもの」
まるで自分の印をつけるように、桔平くんが首筋にキスをする。
私の全部を、一生独占していてほしい。そんなこと思いながら、桔平くんの愛情を体中で感じた。
そして翌日も、桔平くんは午前中からギャラリーへと出かけて行った。グループ展は5日間。メンバーで唯一バイトをしていない桔平くんは、毎日在廊する予定なんだって。
私はバイトが休みだった3日目に、また顔を出すことにした。
「あっ……ど、どうも」
「長岡さん、こんにちは」
お昼の時間を過ぎたギャラリーには、長岡さんひとりがいるだけだった。私の姿を見て、気まずそうに目を泳がせている。
「え、えっと、浅尾は、いまちょっとコンビニ行ってて……お、奥どうぞ」
「あ、お構いなく。また絵を観たくて来ただけなので」
ニッコリ笑顔で言って、またみんなの絵をひとつひとつ見て回った。
……なんとなく、視線を感じる。でも長岡さんのほうを見ると、全然違う方向に目を向けていた。いや、絶対こっちを見てたでしょ。
「……長岡さんって、私のこと好きなんですか?」
「え⁉」
持っていたスマホを落としそうになる長岡さん。ストレートに言いすぎたかな。
「あ、いや、す、好きっていうか」
スマホを上着のポケットに入れようとしているけれど、なかなか入らない。明らかに動揺している感じだった。
「な、なんて言うか、すごく綺麗で……こんな綺麗な人を見たの、初めてだから……あ! べ、別に浅尾の彼女に手出そうなんて、思っていないから! み、見てるだけでいいっていうか。あ、いや、その」
早口でそこまで言うと、結局手に持ったままだったスマホをギュッと握りしめた。そして意を決したように、顔を上げる。
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「……いい匂い」
「好き?」
「す、好き……かも……」
「やっぱ相性抜群じゃん」
桔平くんが、私の体を優しく押し倒す。メガネを外されて、視界がぼやけた。
「さっきのサイトに、9ヶ月経つとスキンシップが減るって書いてあったよな」
「うん」
「そんなわけねぇじゃん。一生かけて深い関係になっていくんだからさ。あと何十年、一緒にいると思ってんだよ」
喋りながら、私のパジャマのボタンをひとつひとつ外していく。
一生かけて、深い関係に……言われてみれば、そうだよね。結婚して一緒に人生を歩んでいくって、そういうことなんだよね。
「私の頭の中にある人生計画書では、65年ぐらいは一緒にいる予定です」
「壮大な計画だな。そんだけ一緒にいる予定なのに、たった9ヶ月でレスになってどうするって話だよ」
笑いながら、桔平くんが私の耳の後ろに顔を寄せる。息がかかって少しくすぐったいけれど、とても心地いい。
「この匂いも、オレだけのもの」
まるで自分の印をつけるように、桔平くんが首筋にキスをする。
私の全部を、一生独占していてほしい。そんなこと思いながら、桔平くんの愛情を体中で感じた。
そして翌日も、桔平くんは午前中からギャラリーへと出かけて行った。グループ展は5日間。メンバーで唯一バイトをしていない桔平くんは、毎日在廊する予定なんだって。
私はバイトが休みだった3日目に、また顔を出すことにした。
「あっ……ど、どうも」
「長岡さん、こんにちは」
お昼の時間を過ぎたギャラリーには、長岡さんひとりがいるだけだった。私の姿を見て、気まずそうに目を泳がせている。
「え、えっと、浅尾は、いまちょっとコンビニ行ってて……お、奥どうぞ」
「あ、お構いなく。また絵を観たくて来ただけなので」
ニッコリ笑顔で言って、またみんなの絵をひとつひとつ見て回った。
……なんとなく、視線を感じる。でも長岡さんのほうを見ると、全然違う方向に目を向けていた。いや、絶対こっちを見てたでしょ。
「……長岡さんって、私のこと好きなんですか?」
「え⁉」
持っていたスマホを落としそうになる長岡さん。ストレートに言いすぎたかな。
「あ、いや、す、好きっていうか」
スマホを上着のポケットに入れようとしているけれど、なかなか入らない。明らかに動揺している感じだった。
「な、なんて言うか、すごく綺麗で……こんな綺麗な人を見たの、初めてだから……あ! べ、別に浅尾の彼女に手出そうなんて、思っていないから! み、見てるだけでいいっていうか。あ、いや、その」
早口でそこまで言うと、結局手に持ったままだったスマホをギュッと握りしめた。そして意を決したように、顔を上げる。