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好きなものに対する執着は強い。桔平くんは前にそんなことを言っていたけれど、もしかすると普段は表に出さないだけで、実はとてつもなく独占欲が強い人なのかもしれない。
まだまだ知らない顔が、たくさんある。付き合いが長くなるとトキメキが減るなんて聞くけれど、私はいつでも桔平くんにドキドキしっぱなし。いつかは慣れてくるのかな?
「愛茉はいつもネットで検索するよな、そういうの」
「だって、初めてのことだらけだし。いろいろ参考にしたいじゃない」
お風呂から上がってベッドでゴロゴロしながら「カップル 9ヶ月」で検索した内容を眺めていると、隣に寝転んだ桔平くんが画面を覗き込んできた。
「9ヶ月カップルあるある……新鮮味がなくなる、自分磨きを怠るようになる、お互いの嫌な部分が見えてくる……ほぉ~」
私の右肩に軽く頭を乗せて、記事を読み上げる桔平くん。耳元で声が聞こえて、なんだかくすぐったい。
「……当てはまるの、あるかな?」
「嫌な部分が見えてくる。これはあるだろ。嫌な部分っつーか、些細な価値観の相違。ないほうが不自然だわ」
「え、私のこと嫌になった?」
「なるわけねぇだろ。こまけぇな~って思うぐらいだよ。愛茉だって、オレの嫌なところが見えてきたんじゃねぇの?」
「う~ん……そんなにないよ」
「少しはあるわけね。聞こうじゃないか」
そう言って、桔平くんは仰向けに寝転がった。真面目に聞く姿勢とは思えないんですけど。でもズバッと言っちゃうもんね。
「えっと……コーヒー豆の量が毎回違うから味が一定じゃないところとか、外から帰ってきて脱いだものをすぐベッドに放り投げるところとか、ハンガーの掛け方がグチャグチャなところとか、お風呂掃除が雑なところとか、電車の時刻を調べずに出かけて無駄な時間を過ごしちゃうところとか、たまにエッチが変態チックなところとか」
「ほとんど『大雑把』の一言で済む内容じゃねぇかよ。つーか、最後のが聞き捨てならねぇんだけど。オレはめちゃくちゃノーマルだろうが。そんな変なことはしてねぇぞ、多分」
「え~……だって桔平くん、耳の後ろの匂いかぐし……変態っぽいじゃない……」
私には「ノーマル」がよく分からない。しかも桔平くんって、いつも同じパターンというわけではないから、いまだになにをしてくるのか、予想できないんだよね。
私の言葉に、桔平くんがいきなり半身を起こした。
「待て待て待て、好きな子の匂いをかぎたくなるのは万国共通事項だろ。それに耳の後ろってのは、フェロモンが出る場所とも言われていてだな。その匂いが好きなのは相性がいいってことなんだわ」
「本当にぃ?」
「マジだって。愛茉だって、オレの匂いが好きだろ?」
「好きだけど……耳の後ろは、意識したことないもん」
「んじゃ、どうぞ」
桔平くんが首を傾けて、髪の毛を持ち上げた。綺麗な首筋があらわになる。
どうぞって言われても……とか思いつつも、体を起こして顔を近づけた。なんか首筋にキスするみたいで、少しエッチかも。
「うお、思ったよりくすぐってぇ」
桔平くんが軽く身をよじる。
「ちょっと、じっとしてよ」
「はい、すんません」
あ、桔平くんの匂い。あたたかい匂いというか、甘い匂いというか……あぁ、やっぱり好きだなぁ。すごく落ち着く。
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まだまだ知らない顔が、たくさんある。付き合いが長くなるとトキメキが減るなんて聞くけれど、私はいつでも桔平くんにドキドキしっぱなし。いつかは慣れてくるのかな?
「愛茉はいつもネットで検索するよな、そういうの」
「だって、初めてのことだらけだし。いろいろ参考にしたいじゃない」
お風呂から上がってベッドでゴロゴロしながら「カップル 9ヶ月」で検索した内容を眺めていると、隣に寝転んだ桔平くんが画面を覗き込んできた。
「9ヶ月カップルあるある……新鮮味がなくなる、自分磨きを怠るようになる、お互いの嫌な部分が見えてくる……ほぉ~」
私の右肩に軽く頭を乗せて、記事を読み上げる桔平くん。耳元で声が聞こえて、なんだかくすぐったい。
「……当てはまるの、あるかな?」
「嫌な部分が見えてくる。これはあるだろ。嫌な部分っつーか、些細な価値観の相違。ないほうが不自然だわ」
「え、私のこと嫌になった?」
「なるわけねぇだろ。こまけぇな~って思うぐらいだよ。愛茉だって、オレの嫌なところが見えてきたんじゃねぇの?」
「う~ん……そんなにないよ」
「少しはあるわけね。聞こうじゃないか」
そう言って、桔平くんは仰向けに寝転がった。真面目に聞く姿勢とは思えないんですけど。でもズバッと言っちゃうもんね。
「えっと……コーヒー豆の量が毎回違うから味が一定じゃないところとか、外から帰ってきて脱いだものをすぐベッドに放り投げるところとか、ハンガーの掛け方がグチャグチャなところとか、お風呂掃除が雑なところとか、電車の時刻を調べずに出かけて無駄な時間を過ごしちゃうところとか、たまにエッチが変態チックなところとか」
「ほとんど『大雑把』の一言で済む内容じゃねぇかよ。つーか、最後のが聞き捨てならねぇんだけど。オレはめちゃくちゃノーマルだろうが。そんな変なことはしてねぇぞ、多分」
「え~……だって桔平くん、耳の後ろの匂いかぐし……変態っぽいじゃない……」
私には「ノーマル」がよく分からない。しかも桔平くんって、いつも同じパターンというわけではないから、いまだになにをしてくるのか、予想できないんだよね。
私の言葉に、桔平くんがいきなり半身を起こした。
「待て待て待て、好きな子の匂いをかぎたくなるのは万国共通事項だろ。それに耳の後ろってのは、フェロモンが出る場所とも言われていてだな。その匂いが好きなのは相性がいいってことなんだわ」
「本当にぃ?」
「マジだって。愛茉だって、オレの匂いが好きだろ?」
「好きだけど……耳の後ろは、意識したことないもん」
「んじゃ、どうぞ」
桔平くんが首を傾けて、髪の毛を持ち上げた。綺麗な首筋があらわになる。
どうぞって言われても……とか思いつつも、体を起こして顔を近づけた。なんか首筋にキスするみたいで、少しエッチかも。
「うお、思ったよりくすぐってぇ」
桔平くんが軽く身をよじる。
「ちょっと、じっとしてよ」
「はい、すんません」
あ、桔平くんの匂い。あたたかい匂いというか、甘い匂いというか……あぁ、やっぱり好きだなぁ。すごく落ち着く。