表示設定
表示設定
目次 目次




あの日のクリスマス

ー/ー



きみとの想い出は、ぼくが思い出せないくらいたくさんあることを知っている。けれど毎日思い出すのは3年前のクリスマスだ。

『見て ! ツリーがライトアップされてる !』

3年前のあの日、そういう彼女の目がいつもより輝いていた。ぼくはそんな彼女を見て嬉しくなった。

『やっとな感じがするな。』
『そうかな。あっという間だったよ ?』

ツリーを見ながら彼女と過した1年を思い出すと本当にたくさんのことがあった。喧嘩も大きいものもあったが、ほとんどが小さいものだった。そしてちょうど1年前もこんな風に2人で並んでツリーを見たのを覚えてる。

『去年もさ、ここでツリー見たよな』

ぼくがそう言うと、

『そうだった ?』

と意地悪そうに言いながら、去年に行ったカフェに足を向けていた。カフェでは去年と同じカフェラテとケーキのセットを2人で頼んだ。

『ここのケーキ、変わらず美味しいね』
『わかる。このチョコケーキもうまいぞ』
『本当?私も食べたい!』

そう話しながら過ごしたクリスマスは本当に幸せだった。

今となってはあの日、1番最悪なクリスマスだとしみじみ思う。カフェからの帰り際。彼女は
"事故にあった"
飲酒運転による不注意だったとあとから聞かされた時は苛立ちも悲しみもなく、なんだかよく分からなかった。街中はサンタやイルミネーション、プレゼントだと賑わっていたのにぼくやそこにいた関係者全員はどん底だった。

後日、彼女を轢いた男は病室にやってきて頭を下げていた。彼女のお母さんは手が震えていて、下を向いていた。お父さんは怒りを抑えるのに必死だとみてすぐわかった。男はぼくを見ると

『あの時、隣にいた子だよな!君も証言してくれ。彼女が飛び出してきたと。』

こいつ、何を言っているんだとぼくは思った。あの日、彼女は飛び出してもいなかったし、ましてやスピードを出して信号無視をしていたのは正真正銘この男だった。必死な男をみて無意識にぼくは殴っていた。

『お前が、信号無視やスピード違反してなければこの子は今でも笑ってた ! 今、お前のせいでこの子の人生止まってんだよ』

怒りが抑えきれなかった。騒ぎを聞いて駆けつけた先生達に止められ、男は一旦帰っていった。
その日彼女が息を引き取り、男は有罪となったことを聞かされたのは2日後のことだった。
彼女の両親と葬式出会った時、彼女を守れなかったことや何も出来なかったことを謝った。だが、2人から謝らないでくれと泣きながら言われた。


あれから、3年。今でも彼女との両親は繋がりがあり、ぼくはまだあの日のことを引きずっている。



ぼくの冬はあれから進んでいないのだった。



スタンプを贈って作者を応援しよう!



みんなのリアクション



おすすめ作品を読み込み中です…



きみとの想い出は、ぼくが思い出せないくらいたくさんあることを知っている。けれど毎日思い出すのは3年前のクリスマスだ。
『見て ! ツリーがライトアップされてる !』
3年前のあの日、そういう彼女の目がいつもより輝いていた。ぼくはそんな彼女を見て嬉しくなった。
『やっとな感じがするな。』
『そうかな。あっという間だったよ ?』
ツリーを見ながら彼女と過した1年を思い出すと本当にたくさんのことがあった。喧嘩も大きいものもあったが、ほとんどが小さいものだった。そしてちょうど1年前もこんな風に2人で並んでツリーを見たのを覚えてる。
『去年もさ、ここでツリー見たよな』
ぼくがそう言うと、
『そうだった ?』
と意地悪そうに言いながら、去年に行ったカフェに足を向けていた。カフェでは去年と同じカフェラテとケーキのセットを2人で頼んだ。
『ここのケーキ、変わらず美味しいね』
『わかる。このチョコケーキもうまいぞ』
『本当?私も食べたい!』
そう話しながら過ごしたクリスマスは本当に幸せだった。
今となってはあの日、1番最悪なクリスマスだとしみじみ思う。カフェからの帰り際。彼女は
"事故にあった"
飲酒運転による不注意だったとあとから聞かされた時は苛立ちも悲しみもなく、なんだかよく分からなかった。街中はサンタやイルミネーション、プレゼントだと賑わっていたのにぼくやそこにいた関係者全員はどん底だった。
後日、彼女を轢いた男は病室にやってきて頭を下げていた。彼女のお母さんは手が震えていて、下を向いていた。お父さんは怒りを抑えるのに必死だとみてすぐわかった。男はぼくを見ると
『あの時、隣にいた子だよな!君も証言してくれ。彼女が飛び出してきたと。』
こいつ、何を言っているんだとぼくは思った。あの日、彼女は飛び出してもいなかったし、ましてやスピードを出して信号無視をしていたのは正真正銘この男だった。必死な男をみて無意識にぼくは殴っていた。
『お前が、信号無視やスピード違反してなければこの子は今でも笑ってた ! 今、お前のせいでこの子の人生止まってんだよ』
怒りが抑えきれなかった。騒ぎを聞いて駆けつけた先生達に止められ、男は一旦帰っていった。
その日彼女が息を引き取り、男は有罪となったことを聞かされたのは2日後のことだった。
彼女の両親と葬式出会った時、彼女を守れなかったことや何も出来なかったことを謝った。だが、2人から謝らないでくれと泣きながら言われた。
あれから、3年。今でも彼女との両親は繋がりがあり、ぼくはまだあの日のことを引きずっている。
ぼくの冬はあれから進んでいないのだった。