明晰夢
ー/ー***
ガタン、ゴトン。
規則正しいリズムで揺れる列車の中、降りしきる雪が視界を霞ませる。
どうしてこの列車に乗っているのか。いつからこの景色を見ているのか。思い出せないのも無理はない。これは私の夢の中なのだから。
ガタン、ゴトン。
列車は走り続ける。車内は閑散として、他に乗客は居ない。ここには自分の意思で来たのだろうか。夢にしては頭が冴えすぎているのが不思議だが。
確か、今は夏真っ盛りのはずだ。なのに、目に映る白銀の風景がやけに現実味を帯びている。ひやりとした寒さまで感じるのは、よほど疲れているからだろう。
雪の夢は幸運を呼ぶ吉兆だと聞いたことがある。占いやスピリチュアルなことは信じない方だが、少し気分がいい。この奇妙な夢に当てられたのかもしれない。
ガタン、ゴトン。
列車の速度が緩む。コマ送りだった雪が、ふとその自然な流れを取り戻す。
終点が近い。そう直感する。それは夢の終わりを告げる合図でもある。
今思えば、現実の私は相当疲れていたのかもしれない。惰性で通う大学生活で、やりたいこともなく、行動力もない自堕落な自分が嫌で、嫌いで、消えてしまいたかった。
春が来れば消えてしまう淡い雪のようになれたなら、と。
そんな心が、こうして夢に現れたのかもしれない。
「 」
降ります。誰に向けるでもないこの言葉は、発声するまでには至らなかった。ようやく夢らしくなってきた気がする。
だが、次に向かう場所を思うと憂鬱が滲む。私が取り柄のない自分と向き合う場所、現実に。
ふわふわとした足取りで、出口へ向かう。
ガタン、ゴトン。
列車が止まり、ただでさえ静かだった世界が、一切の音を遮断する。私はゆっくりとホームに降り立つ。
その瞬間、視界の奥が光で満ちた。今日はここまでだろう。
「また来るね」
今日もまた、現実という夢を視る。
***
ガタン、ゴトン。
規則正しいリズムで揺れる列車の中、降りしきる雪が視界を霞ませる。
どうしてこの列車に乗っているのか。いつからこの景色を見ているのか。思い出せないのも無理はない。これは私の夢の中なのだから。
ガタン、ゴトン。
列車は走り続ける。車内は閑散として、他に乗客は居ない。ここには自分の意思で来たのだろうか。夢にしては頭が冴えすぎているのが不思議だが。
確か、今は夏真っ盛りのはずだ。なのに、目に映る白銀の風景がやけに現実味を帯びている。ひやりとした寒さまで感じるのは、よほど疲れているからだろう。
雪の夢は幸運を呼ぶ吉兆だと聞いたことがある。占いやスピリチュアルなことは信じない方だが、少し気分がいい。この奇妙な夢に当てられたのかもしれない。
ガタン、ゴトン。
列車の速度が緩む。コマ送りだった雪が、ふとその自然な流れを取り戻す。
終点が近い。そう直感する。それは夢の終わりを告げる合図でもある。
今思えば、現実の私は相当疲れていたのかもしれない。惰性で通う大学生活で、やりたいこともなく、行動力もない自堕落な自分が嫌で、嫌いで、消えてしまいたかった。
春が来れば消えてしまう淡い雪のようになれたなら、と。
そんな心が、こうして夢に現れたのかもしれない。
「 」
降ります。誰に向けるでもないこの言葉は、発声するまでには至らなかった。ようやく夢らしくなってきた気がする。
だが、次に向かう場所を思うと憂鬱が滲む。私が取り柄のない自分と向き合う場所、現実に。
ふわふわとした足取りで、出口へ向かう。
ガタン、ゴトン。
列車が止まり、ただでさえ静かだった世界が、一切の音を遮断する。私はゆっくりとホームに降り立つ。
その瞬間、視界の奥が光で満ちた。今日はここまでだろう。
「また来るね」
今日もまた、現実という夢を視る。
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