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ー/ー こうして空き巣の件が落ち着いた10月中旬は、私の学校の大学祭があった。
いろいろあったから、なかなか準備が手伝えなかったけれど、当日に桔平くんを連れて行ったら結衣や葵を含め女の子たちが大喜び。完全に目がハートになっていた。
私は性格が悪いから、ただ見せびらかしたかったの。私の彼氏は、こんなにかっこいいんです! って。一番かっこいいのは、私しか知らない中身の部分なんだけどね。
そして同棲の準備は、ビックリするぐらいスムーズに進んだ。
要らなくなった家具を引き取ってくれる人を七海と翔流くんが探してくれて、小樽から持ってきたテーブルとか小さめの家具は、そのまま実家の私の部屋へ戻した。
桔平くんがテレビも置いていいよって言ってくれたし、洋服タンスやチェストは、広い広いウォークインクローゼットの中へ。
生活感ゼロだった桔平くんの家に、私がどんどん入り込んで。いまではすっかり、ふたりで生活する空間に変わった。
10月下旬。同棲の準備も大体終わったころ、ある美術館主催の日本画コンクールで桔平くんの絵が大賞を受賞した。
賞金は、なんと200万円。藝大の教授も審査員を務めていて、その人から応募を勧められたみたい。ただ、桔平くんはやっぱり嬉しそうではなかった。
「なにもなくなると、寂しいもんだな」
家具がなくなった部屋を見回して、桔平くんが言った。
11月に入って、いよいよこの部屋ともお別れ。初めてのひとり暮らしで、レイアウトとかインテリアを考えてウキウキしていた気持ちを思い出す。
空き巣なんて怖いことがあったけれど、ここで桔平くんと過ごした思い出もたくさんあるから、やっぱり寂しい。ありがとうの意味も込めて、最後にしっかり掃除をした。
桔平くんはポニーテールをほどいて、手の甲で額の汗を拭っている。鎖骨の下まで伸びていた髪は、肩下あたりまで少し短くなった。あまり伸ばし過ぎると、乾かすのが面倒だからだって。ちなみに色は、出会ったときと同じようなシルバーのインナーカラーだった。
「なぁ。今日の夕飯、生姜焼き食いたい」
「うん。じゃあ帰る前に、スーパー付き合ってね」
生姜焼きは、この部屋で初めて桔平くんに作ってあげた料理。ちゃんと覚えていてくれたんだ。
私は最近、栄養学の勉強を始めた。もちろん学校の勉強が優先だけど、いろいろな本を買って健康にいい食事について学んでいる。
でも専門家になるつもりはない。だってこれは、桔平くんのためだけに身につけたい知識だから。
「愛茉は、なんか欲しい物ある?」
帰宅して一緒に夕ご飯の支度をしていると、桔平くんが尋ねてきた。賞金200万円の使い道を考えているみたい。
いろいろあったから、なかなか準備が手伝えなかったけれど、当日に桔平くんを連れて行ったら結衣や葵を含め女の子たちが大喜び。完全に目がハートになっていた。
私は性格が悪いから、ただ見せびらかしたかったの。私の彼氏は、こんなにかっこいいんです! って。一番かっこいいのは、私しか知らない中身の部分なんだけどね。
そして同棲の準備は、ビックリするぐらいスムーズに進んだ。
要らなくなった家具を引き取ってくれる人を七海と翔流くんが探してくれて、小樽から持ってきたテーブルとか小さめの家具は、そのまま実家の私の部屋へ戻した。
桔平くんがテレビも置いていいよって言ってくれたし、洋服タンスやチェストは、広い広いウォークインクローゼットの中へ。
生活感ゼロだった桔平くんの家に、私がどんどん入り込んで。いまではすっかり、ふたりで生活する空間に変わった。
10月下旬。同棲の準備も大体終わったころ、ある美術館主催の日本画コンクールで桔平くんの絵が大賞を受賞した。
賞金は、なんと200万円。藝大の教授も審査員を務めていて、その人から応募を勧められたみたい。ただ、桔平くんはやっぱり嬉しそうではなかった。
「なにもなくなると、寂しいもんだな」
家具がなくなった部屋を見回して、桔平くんが言った。
11月に入って、いよいよこの部屋ともお別れ。初めてのひとり暮らしで、レイアウトとかインテリアを考えてウキウキしていた気持ちを思い出す。
空き巣なんて怖いことがあったけれど、ここで桔平くんと過ごした思い出もたくさんあるから、やっぱり寂しい。ありがとうの意味も込めて、最後にしっかり掃除をした。
桔平くんはポニーテールをほどいて、手の甲で額の汗を拭っている。鎖骨の下まで伸びていた髪は、肩下あたりまで少し短くなった。あまり伸ばし過ぎると、乾かすのが面倒だからだって。ちなみに色は、出会ったときと同じようなシルバーのインナーカラーだった。
「なぁ。今日の夕飯、生姜焼き食いたい」
「うん。じゃあ帰る前に、スーパー付き合ってね」
生姜焼きは、この部屋で初めて桔平くんに作ってあげた料理。ちゃんと覚えていてくれたんだ。
私は最近、栄養学の勉強を始めた。もちろん学校の勉強が優先だけど、いろいろな本を買って健康にいい食事について学んでいる。
でも専門家になるつもりはない。だってこれは、桔平くんのためだけに身につけたい知識だから。
「愛茉は、なんか欲しい物ある?」
帰宅して一緒に夕ご飯の支度をしていると、桔平くんが尋ねてきた。賞金200万円の使い道を考えているみたい。
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