「誰だ!!」
アシノが言うと、木の後ろからフードを深くかぶり、仮面を付けた男が現れた。
「お見事、いやー実にお見事です」
キエーウの仮面を見たモモはギリリと歯ぎしりをする。
「1人ぐらい殺してくれると思ったんですがねぇ、やはり亜人にすら劣る人型の魔物を好きになるお馬鹿さんには無理でしたね」
「お前はキエーウだろ? 何故人間を利用した?」
アシノは疑問に思っていたことを言い放つ。すると男は笑って答えた。
「亜人や魔物を好きになる人間など欠陥品です。そんな人間はゴミクズです」
「誰が誰を好きになるなんて自由じゃない」
ルーは怒りをあらわにして男を睨む。
「おやおや? ですがあなた達はそのお馬鹿さんが好きになっていたアラクネを殺そうとしたではありませんか?」
うっ、とルーは言葉に詰まった。すると男はケタケタと笑い始めた。
「おっと、今日のところはこのぐらいで失礼しますね、さようなら」
「待て!!」
ムツヤが走り出して男を捕まえようとするが、男は恐ろしい速さで森の中に消えていった。
とっさにルーは探知盤を取り出すが、男は裏の道具を持っていないらしく居場所を映し出すことができない。
探知魔法を使いムツヤは男の場所を追おうとしたが、移動速度が速すぎてうまく捉えることが出来なかった。
「逃したか、さて、この状況はどうしたものかな」
精霊に拘束されている男にアシノは話しかける。
「おい、私達はお前の敵じゃない。どうしてアラクネと一緒にいるのか説明できるか?」
「あ、あ、アラクネって、な、ナリアのことか?」
アシノは男がアラクネにナリアと名前を付けていることを理解した。ルーと目で会話をし、拘束を解いたが、男とアラクネは襲いかかってくる様子はない。
「まずは自己紹介からねー、私はルー!」
「る、ルー? お、俺はノエウ」
ルーは小さい子に話しかけるように優しくノエウに話し始めた。
「どうしてこの森にいるのか、ナリアちゃんと一緒にいるのか教えてくれないかな?」
つたない言葉で、たくさんの時間を掛けてノエウは説明を始めた。自分が村長の隠し子であること、村を追い出されたこと、ナリアと出会ったこと。
「っつ、胸クソ悪い話だな……」
話を聞き終わってアシノはそう吐き捨てた。
「お、おれ、いままでたくさんの人に襲われた、けど、ナリアと一緒に戦った」
「恐らく村の住人か雇った冒険者がノエウ殿とナリアを始末しようとしたのではないかと私は思います」
「多分そうだねー、村を街にさせるためにはノエウっちの存在が邪魔だったんだろうね」
「私達に抵抗してノエウも一緒に死んだら儲けもの、アラクネだけを倒せば、村長の手先がノエウを始末しするって所か」
アシノ達は考察をする。その横でヨーリィは不思議そうにナリアを眺めていた。