二人が一斉にナオヤくんに振り向く。
「うそ……」
「深海が告った?」
信じられない気持ちはわかる。私だって、あんなことを言われるとは思ってもみなかったから。
「告白した……と言うより、恋人関係になりませんかと提案した、と言うべきでしょうか」「え、何ソレ?」
「この『恋人をつくる』という項目は我々には難易度が非常に高いと思われたので、いっそ関係を成立、宣言してしまえばどうかと思いました。関係の構築に時間がかかるのは承知しているので、これからおいおいということで……」
「……深海、『恋人関係』の意味、わかって言ってる?」
「もちろん」
「ヒトミちゃんも、同意したってこと?」
弓槻さんにそう聞かれて、頷きそうになり……はたと気付いた。
「そういえば、はっきりとした同意は得られていませんでしたね」
しれっと、ナオヤくんの方が答えた。もはや混乱している加地くんが私とナオヤくんを交互に見るばかりで何も言えなくなっている。弓槻さんだけが、しっかりと私の目を見て、真意を問おうとしているみたいだ。
「ヒトミちゃん、あんなこと言ってるけど、大丈夫? 嫌なら嫌って、ハッキリ言わないとダメだよ? ていうか、どっちにしろ今、ハッキリしといた方がいいと思うけど」
「嫌では……ないかな」
「では、同意頂けるでしょうか?」
「う、う~ん……」
急かさないでほしいのだけど……そうはいかないみたいだ。唸っている私に、弓槻さんが静かに、語りかける。
「あのさ、ヒトミちゃん。『実験リスト』はあくまで楽しむためのものでしょ? それに振り回される必要なんて全然ない。楽しむリストのために、楽しくない嫌なことをするなんて、馬鹿げてるよ。落ち着いて、本当に嫌じゃないか、それをして楽しいとか嬉しいとか、そう思うかなって、考えてみて」
弓槻さんが、いつになく真剣な眼差しを向ける。私が無理矢理ナオヤくんに付き合わされるんじゃないかって心配してくれているんだろう。どうして、そんな心配までしてくれるのかはわからないけれど、その気持ちは、とても嬉しかった。
だから、考えてみる。