「え、いいの? それで?」
「ダメ……かな」
「ダメじゃない、全然ダメじゃない。もっとやろう!」
弓槻さんが嬉しそうに言ってくれる。自分だけじゃないとわかって、ちょっとホッとした。
「ま、続けてるうちにもっと楽しいこと見つかるかもしれないしな。じゃあ目的もハッキリしてるし、コレが部活ってことでいいんじゃね?」
「コレって?」
加地くんも弓槻さんも、ニヤリと笑って、リストを指さした。
「『青春実験部』……どうよ?」
二人の会話についていけず、何度も瞬きした。
要は、この実験リストを試していくのが『部活』扱いで、二人ともそれに付き合ってくれるっていうこと?
「え、でも……二人とも、忙しいんじゃ……」
「部活のかけもちはよくあるし」
「じゃあ、リストに追加しといてくれよ。うちの店の手伝いとか、バイトとか」
「それ……めちゃくちゃ作為的……」
「バレた?」
楽しげに、話は進んでいく。私は、二人の会話を止められない。止めたいと思っていない。
「い、いいの……?」
しつこいようでも、尋ねてしまう。そんな私に、二人とも特大の笑みを浮かべて、大きく力強く、頷いてくれた。
私は「ありがとう」と小さく返すので、精一杯だった。胸の中が熱くて、風船が一気に膨らむような……そんな思いが溢れていた。
「じゃあさ、そのリスト、私たちも共有していい?」
「たぶん、いいと思う」
発起人のナオヤくんの意見を聞いていないけれど、きっと許してくれるだろう。昨日、あの時までは楽しそうだったから。
リストが書かれたファイルの編集権限に加地くんと弓槻さんを加えると、早速二人ともファイルを開いた。
三人が並んで同じファイルを開いているのは、なんだかおかしな光景だ。だけど、嬉しかった。
そして私がニヤニヤするのをなんとかこらえていると、弓槻さんがリストをしげしげと見て、さっきの『部活動をする』に線を引いていた。
もう、そういうことで、いいんだ。
続いて加地くんまでが、何やらマーカーを引いていた。
「え、何かやったっけ?」
「やったっていうか……これはもうできてるかなって」
そう言って加地くんが指さしたのは……
『友達をつくる』
また、目を瞬かせて加地くんを見返し、弓槻さんのことも見た。二人とも、ニコッと笑って、ただただ私を見つめている。
「えっと……つまり……そういうこと?」
「違う?」
「ち、違わない……と思う」
そうか、これが『友達』なんだ。いつの間にか、そうなってる。それが嬉しい。
そう思えるのが『友達』なんだ。
『実験』を始めてから、私は驚いてばかりのような気がする。
ふいに、それを始めたあの人に、そう伝えたくなった。