次の日、学校に着くと、ナオヤくんは既に隣の席に着席済みだった。なんだか待ち構えられていたようで、落ち着かない。
そして私の顔を見るなり、同じような無表情のまま、言う。
「今日は何の実験をしましょうか」
今日も何かするのは、確定事項らしい。
よく考えたら、昨日の『実験』は達成はしたけど、失敗だったような気もする。愛だったら辛すぎるものは食べられなかったし、深海くんならきっとあの後完食していた。
昨日の結果に満足していないのかも知れない。
「うーん、わかった。行こう」
「ありがとうございます」
「ううん。リストの半分は私が書いたんだし」
私がそう言うと、ナオヤくんはふんわりと微笑んだ。まるで、尚也くんがそこにいるようで、なんだか不思議な気分だ。
そんな私とナオヤくんの間に、にゅっと誰かが割って入ってきた。
「おはよう! 昨日はありがとな!」
加地くんだ。挨拶代わりに、お店のクーポンをくれた。今時珍しい紙の券だ。
「ありがとう。でも紙だとすぐにボロボロになっちゃわない?」
「ボロボロになる前に使いに来てくれたらいいから」
なるほど、そういう魂胆か。去年から同じクラスだったけど、商売上手な面があるとは初めて知った。
ナオヤくんはナオヤくんで、もらったクーポンをしげしげと見つめていた。
「この券……有効期限はいつですか?」
「別に期限なんてねえよ。好きなときに来てくれよ。激辛は……食べ過ぎない方がいいけど」
「善処します。あと、今日は行かないかもしれません。申し訳ない」
「いいって。んで、今日は何するんだ? 今日もやるんだろ、実験?」
「その予定です」
加地くんはあのリストを見せて見せてとせがんでくる。ナオヤくんがあのリストをモニターに広げて見せると、どれどれと興味津々で覗き込んでいた。