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旅立ちの前の日 3

ー/ー



 ユモトの家から少し歩いた先の時計台の下に待ち合わせをしていたヨーリィが居た。

 大勢で押しかけても仕方がないだろうと、顔見知りのムツヤとモモだけ同行し、ヨーリィは買い出しをしていたのだ。

「おまたせヨーリィちゃん」

「私もいま来たところ」

 ヨーリィと合流するとムツヤ達は宿屋に向かった。ギルドの旧訓練所を家として使う前まではよく使っていたあの宿屋だ。

 その道中モモがふと思って言った。

「なぁユモト、出発は明日だからお前は家に泊まっても良かったんじゃないか?」

 それを聞いて一瞬ポカンとした顔をし「あー!!」っと声を上げる。

「完全に忘れていました……」

「なんなら今から戻っても」

 ユモトはうーんと少し悩んだ後に言う。

「いえ、僕一人じゃキエーウに狙われるかもしれませんし、それに……」

「それに?」

「あの、あんな風に家を出てすぐ帰るって恥ずかしいので……」

 確かにとモモは頷いた。そんなこんなでユモトも一緒に宿屋で泊まることになった。

「いらっしゃい、久しぶりだねぇ」

 ロッキングチェアに座る白髪のグネばあさんがムツヤ達を迎える。

「兄ちゃん、相変わらず美人さん達をたくさん引き連れて良い御身分だこと」

 そう言ってケッケッケとグネばあさんは笑う。

「グネばあさん、ただの冒険者仲間だ。部屋を3つ頼む。1つはセミダブルのベッドでな」

 モモが言うと「あいよ」とばあさんは部屋の鍵を3つ取り出した。

 それぞれ部屋に荷物を置いた後に、ムツヤはモモの部屋を尋ねる。

「じゃあモモさん、これ」

『割ると遠くの相手とも話が出来る赤い玉』をモモへ手渡した。

「ありがとうございます、ムツヤ殿」

 玉を渡すとムツヤは部屋を出ていった。

 ドアの鍵を締め、村長のことを頭で思い浮かべながら壁に玉を叩きつけると、玉は四方に散って壁を長方形にくり抜いたように景色を映し出す。

「おぉ、モモか。驚いたぞ」

 立派な肉体を持つオークの村の村長が目を見開いてそこには居た。

「突然申し訳ありません、村長。今、お話しても大丈夫ですか?」

「構わないぞ、ちょうど家の中だしな」


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 ユモトの家から少し歩いた先の時計台の下に待ち合わせをしていたヨーリィが居た。
 大勢で押しかけても仕方がないだろうと、顔見知りのムツヤとモモだけ同行し、ヨーリィは買い出しをしていたのだ。
「おまたせヨーリィちゃん」
「私もいま来たところ」
 ヨーリィと合流するとムツヤ達は宿屋に向かった。ギルドの旧訓練所を家として使う前まではよく使っていたあの宿屋だ。
 その道中モモがふと思って言った。
「なぁユモト、出発は明日だからお前は家に泊まっても良かったんじゃないか?」
 それを聞いて一瞬ポカンとした顔をし「あー!!」っと声を上げる。
「完全に忘れていました……」
「なんなら今から戻っても」
 ユモトはうーんと少し悩んだ後に言う。
「いえ、僕一人じゃキエーウに狙われるかもしれませんし、それに……」
「それに?」
「あの、あんな風に家を出てすぐ帰るって恥ずかしいので……」
 確かにとモモは頷いた。そんなこんなでユモトも一緒に宿屋で泊まることになった。
「いらっしゃい、久しぶりだねぇ」
 ロッキングチェアに座る白髪のグネばあさんがムツヤ達を迎える。
「兄ちゃん、相変わらず美人さん達をたくさん引き連れて良い御身分だこと」
 そう言ってケッケッケとグネばあさんは笑う。
「グネばあさん、ただの冒険者仲間だ。部屋を3つ頼む。1つはセミダブルのベッドでな」
 モモが言うと「あいよ」とばあさんは部屋の鍵を3つ取り出した。
 それぞれ部屋に荷物を置いた後に、ムツヤはモモの部屋を尋ねる。
「じゃあモモさん、これ」
『割ると遠くの相手とも話が出来る赤い玉』をモモへ手渡した。
「ありがとうございます、ムツヤ殿」
 玉を渡すとムツヤは部屋を出ていった。
 ドアの鍵を締め、村長のことを頭で思い浮かべながら壁に玉を叩きつけると、玉は四方に散って壁を長方形にくり抜いたように景色を映し出す。
「おぉ、モモか。驚いたぞ」
 立派な肉体を持つオークの村の村長が目を見開いてそこには居た。
「突然申し訳ありません、村長。今、お話しても大丈夫ですか?」
「構わないぞ、ちょうど家の中だしな」