表示設定
表示設定
目次 目次




11

ー/ー



「なんか小動物みたいだよな」
「小動物……」
「ポケットに入れて、ずっと連れて歩きたい感じ」
「それってペットじゃない」
「あぁ、いいな。オレのペット」

 な、なんか桔平くんが言うと、妙に妖しいというか卑猥な響き。声が色っぽいせい?
 でもペットだなんて嫌だな。ちゃんと女の子として見てほしい。

「ペットなんて嫌だよ。彼女がいい」
「え?」

 桔平くんが、目を丸くして見下ろしてくる。……え? え!? 私、なにを口走った?

「それじゃあ、なる? オレの彼女に」
「ち、ちが、違うの。ペットじゃなくて、ちゃんと人として扱ってほしいって意味! 彼女になりたいとかじゃないから!」
「そんな顔で必死に否定しても、説得力ねぇなぁ」

 一気に汗が吹き出してくる。顔が熱い。
 彼女がいい、だなんて。話の流れで思わず口にしてしまった。桔平くんが動物扱いするからよ。そう、決して彼女になりたいって意味ではないもん。

「ほ、本当に違うからね。動物扱いしないでってことだから」
「はいはい、今日はそういうことで勘弁してやるよ。これでも結構、気は長いんでね。愛茉がオレと一緒にいたくてたまらなくなるまで、ちゃーんと待つから」

 相変わらず、桔平くんは余裕の表情。
 私は既に、一緒にいたくてたまらなくなってるもん。本当は気づいているくせに、そういうこと言ってるのかな。私から言わせたいの?

 もしいま、マンガとかドラマみたいに少し強引に迫られたら、絶対に拒めない。本当はそうして欲しいって願望もある。それなら、私が仕方なく折れたって形にできるでしょ。

 でも桔平くんは、きっとそんなことしないんだろうな。断言はできないけれど、なんとなくそう感じる。

 私は、効きすぎるブレーキを自分で緩められない。まだ早いっていう声が、ずっと頭から離れないの。

 桔平くんは、ずっと私だけを好きでいてくれる? よそ見なんて絶対にしない?

 我ながら重たすぎることばかり考えてしまう。そしてその確証が得られないうちは、ずっとブレーキがかかりっぱなし。

 でも一緒に過ごす時間が長くなるほど、桔平くんに惹かれていく。そんなことは、最初から分かっていた。踏み出してしまったら、きっともう戻れない。

 だからちゃんと、ブレーキをかけておかなきゃ。不安を抱えたまま引き返せなくなるのは、怖いから。

「あ、爬虫類館」

 桔平くんが足を止めた。
 
「爬虫類、気持ち悪い? 入ってもいい?」

 まるで「このお菓子買っていい?」ってお母さんにねだる子供みたいな言い方で。爬虫類はそんなに好きではないけれど、ついつい頷いてしまった。

 桔平くんは、爬虫類が好きなのかな。さっきもエボシカメレオンとか言ってたし。


スタンプを贈って作者を応援しよう!

次のエピソードへ進む 12


みんなのリアクション



おすすめ作品を読み込み中です…



「なんか小動物みたいだよな」
「小動物……」
「ポケットに入れて、ずっと連れて歩きたい感じ」
「それってペットじゃない」
「あぁ、いいな。オレのペット」
 な、なんか桔平くんが言うと、妙に妖しいというか卑猥な響き。声が色っぽいせい?
 でもペットだなんて嫌だな。ちゃんと女の子として見てほしい。
「ペットなんて嫌だよ。彼女がいい」
「え?」
 桔平くんが、目を丸くして見下ろしてくる。……え? え!? 私、なにを口走った?
「それじゃあ、なる? オレの彼女に」
「ち、ちが、違うの。ペットじゃなくて、ちゃんと人として扱ってほしいって意味! 彼女になりたいとかじゃないから!」
「そんな顔で必死に否定しても、説得力ねぇなぁ」
 一気に汗が吹き出してくる。顔が熱い。
 彼女がいい、だなんて。話の流れで思わず口にしてしまった。桔平くんが動物扱いするからよ。そう、決して彼女になりたいって意味ではないもん。
「ほ、本当に違うからね。動物扱いしないでってことだから」
「はいはい、今日はそういうことで勘弁してやるよ。これでも結構、気は長いんでね。愛茉がオレと一緒にいたくてたまらなくなるまで、ちゃーんと待つから」
 相変わらず、桔平くんは余裕の表情。
 私は既に、一緒にいたくてたまらなくなってるもん。本当は気づいているくせに、そういうこと言ってるのかな。私から言わせたいの?
 もしいま、マンガとかドラマみたいに少し強引に迫られたら、絶対に拒めない。本当はそうして欲しいって願望もある。それなら、私が仕方なく折れたって形にできるでしょ。
 でも桔平くんは、きっとそんなことしないんだろうな。断言はできないけれど、なんとなくそう感じる。
 私は、効きすぎるブレーキを自分で緩められない。まだ早いっていう声が、ずっと頭から離れないの。
 桔平くんは、ずっと私だけを好きでいてくれる? よそ見なんて絶対にしない?
 我ながら重たすぎることばかり考えてしまう。そしてその確証が得られないうちは、ずっとブレーキがかかりっぱなし。
 でも一緒に過ごす時間が長くなるほど、桔平くんに惹かれていく。そんなことは、最初から分かっていた。踏み出してしまったら、きっともう戻れない。
 だからちゃんと、ブレーキをかけておかなきゃ。不安を抱えたまま引き返せなくなるのは、怖いから。
「あ、爬虫類館」
 桔平くんが足を止めた。
「爬虫類、気持ち悪い? 入ってもいい?」
 まるで「このお菓子買っていい?」ってお母さんにねだる子供みたいな言い方で。爬虫類はそんなに好きではないけれど、ついつい頷いてしまった。
 桔平くんは、爬虫類が好きなのかな。さっきもエボシカメレオンとか言ってたし。