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閑話 小早川くんの大恩人 2-①

ー/ー



 5年前、ボクは23歳にあと2週間でサヨナラ、と言う頃。


 この当時、ハル君は、17歳にもなったかならないかくらいだったハズっス。

 いくらなんでも、高校生に見られるのは、心外っス。一応スーツだって着ていたっスよ。


 ただ、まだハル君の存在を知らないボクは、そんな土岐田さんの勘違いにも気付かず、ただ『お先真っ暗』っていう言葉に反応してたっス。


「……どういうことっス? こんな若いのに可哀想って? いったい何が見えるんスか?」

「……えっと、ここじゃなんだから、場所変えよっか? ……ゴメンね、美晴さん。せっかくたまには一緒にランチしようって誘ったのに」

「もう食べ終ったから大丈夫よ。私達は、あとデザートがあるから、ゆっくりしていくわ。キリの分のお土産も、頼んであるし。その子、助けてあげて」


 よく見たら、テーブルには、他にも、小さな男の子と高校生くらいの男の子がいたっス。
 二人ともキレイな顔立ちをしていて。小さな子は、幼稚園か、小学生1年生くらい。

 高校生くらいの男の子は、真っ青な顔をして、気分が悪そうだったっス。

 なのに、ボクと目が合うと、ニッコリ笑って。


「お兄さん、もう、大丈夫だから」

 そう、泣きそうな声で、言ったっス。

 何が大丈夫なのか、全然分かんないまま、でも、何だか妙に安心して。

 また、涙が出そうになったボクの背を押しながら、カッコいいお兄さんは、家族に謝って。


「ホントごめん。ハル、ナミ、また後でね」

「うん、お仕事頑張ってね。お兄ちゃん、助けてあげてね」


 後から考えると、きっと美晴さんもナミくんも、ボクの歳、勘違いしてたっスよね?

 て言うか、土岐田さんだって、外見詐欺っスよ?

 この時、ボク、絶対同じ歳くらいだって思ってたっス。

 30歳過ぎとか、あり得ないっス!


 まあ、それは置いといて。


 土岐田さんに連れていかれたのは、明知屋の二階、そう、『明知探偵事務所』の一部屋っス。

「単刀直入に言うけど、色々ヤバいもの、背負ってるんだよね、キミ。何か、ものすごい罪悪感抱いていることがあるんじゃない?」

「……罪悪感、スか? ……そうっスね。そう言えば、そんなことも、あったっス……」

「あった、ってことは、今は、もう何とも思ってないのかな……そう、思い込んでいるだけ、なんじゃなくて?」

「そんなこと……考えるだけ、ムダっス、よ。考えたって、どうにもなんないっス。考えたって……ツラ……い、だけ……」


 言い訳しながら、ボク、泣いてたっス。

 ハンバーグ食べながら泣いてた時の3倍くらい、もう、ボロ泣き。

 気が付いたら、人の良さそうなオジさんが、タオル貸してくれたっス。

 丸っこくて、騙されやすそうな、イイ人っぽい、この人が、明知小太郎所長だったっス。

 その顔を見たら、今まで押し込めていた感情が、どっと溢れてきて。


 こんな優しい、イイ人達を、騙す手助けを、ボクはしてきたんだ。

 後始末するだけ、って言いながら、自分を誤魔化して。

 でも、ボクのやっていたことは、せっかく騙されたことに気が付いて、お金を取り戻そうとした人を、また暗い穴に引き戻すことじゃないか……騙しているのと、おんなじっスよ……。


 そう思ったら、訳も分からず、唐突に、みんなぶちまけたっス。


「……えっと、キミ、ハタチ過ぎ? 嘘だろ?」

「……瑛比古、反応するの、そこじゃないだろ? っていうか、お前が言うな。この万年20歳代が」






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 5年前、ボクは23歳にあと2週間でサヨナラ、と言う頃。
 この当時、ハル君は、17歳にもなったかならないかくらいだったハズっス。
 いくらなんでも、高校生に見られるのは、心外っス。一応スーツだって着ていたっスよ。
 ただ、まだハル君の存在を知らないボクは、そんな土岐田さんの勘違いにも気付かず、ただ『お先真っ暗』っていう言葉に反応してたっス。
「……どういうことっス? こんな若いのに可哀想って? いったい何が見えるんスか?」
「……えっと、ここじゃなんだから、場所変えよっか? ……ゴメンね、美晴さん。せっかくたまには一緒にランチしようって誘ったのに」
「もう食べ終ったから大丈夫よ。私達は、あとデザートがあるから、ゆっくりしていくわ。キリの分のお土産も、頼んであるし。その子、助けてあげて」
 よく見たら、テーブルには、他にも、小さな男の子と高校生くらいの男の子がいたっス。
 二人ともキレイな顔立ちをしていて。小さな子は、幼稚園か、小学生1年生くらい。
 高校生くらいの男の子は、真っ青な顔をして、気分が悪そうだったっス。
 なのに、ボクと目が合うと、ニッコリ笑って。
「お兄さん、もう、大丈夫だから」
 そう、泣きそうな声で、言ったっス。
 何が大丈夫なのか、全然分かんないまま、でも、何だか妙に安心して。
 また、涙が出そうになったボクの背を押しながら、カッコいいお兄さんは、家族に謝って。
「ホントごめん。ハル、ナミ、また後でね」
「うん、お仕事頑張ってね。お兄ちゃん、助けてあげてね」
 後から考えると、きっと美晴さんもナミくんも、ボクの歳、勘違いしてたっスよね?
 て言うか、土岐田さんだって、外見詐欺っスよ?
 この時、ボク、絶対同じ歳くらいだって思ってたっス。
 30歳過ぎとか、あり得ないっス!
 まあ、それは置いといて。
 土岐田さんに連れていかれたのは、明知屋の二階、そう、『明知探偵事務所』の一部屋っス。
「単刀直入に言うけど、色々ヤバいもの、背負ってるんだよね、キミ。何か、ものすごい罪悪感抱いていることがあるんじゃない?」
「……罪悪感、スか? ……そうっスね。そう言えば、そんなことも、あったっス……」
「あった、ってことは、今は、もう何とも思ってないのかな……そう、思い込んでいるだけ、なんじゃなくて?」
「そんなこと……考えるだけ、ムダっス、よ。考えたって、どうにもなんないっス。考えたって……ツラ……い、だけ……」
 言い訳しながら、ボク、泣いてたっス。
 ハンバーグ食べながら泣いてた時の3倍くらい、もう、ボロ泣き。
 気が付いたら、人の良さそうなオジさんが、タオル貸してくれたっス。
 丸っこくて、騙されやすそうな、イイ人っぽい、この人が、明知小太郎所長だったっス。
 その顔を見たら、今まで押し込めていた感情が、どっと溢れてきて。
 こんな優しい、イイ人達を、騙す手助けを、ボクはしてきたんだ。
 後始末するだけ、って言いながら、自分を誤魔化して。
 でも、ボクのやっていたことは、せっかく騙されたことに気が付いて、お金を取り戻そうとした人を、また暗い穴に引き戻すことじゃないか……騙しているのと、おんなじっスよ……。
 そう思ったら、訳も分からず、唐突に、みんなぶちまけたっス。
「……えっと、キミ、ハタチ過ぎ? 嘘だろ?」
「……瑛比古、反応するの、そこじゃないだろ? っていうか、お前が言うな。この万年20歳代が」