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写真の向こうの依頼人~クライアント~3-②

ー/ー



 夜も更け。


 ナミとメイは就寝し、ハルは自室で勉強中、キリが帰宅し入浴中、という時間。


 テーブルにキリの夕食を準備し、瑛比古さんはお茶をすすって一休みしている、と。

 連絡を入れておいたミチ姐から着信が入った。


『遅くなってゴメンね。ちょっと仕事が長引いちゃって』

「いえいえ、こちらこそ、忙しいところスミマセン」

『で、ハルくんのこと、よね? 聞きたいことって』

「ご明察。本人話してくれないからさ」

『相変わらず過保護ねえ。いったいどこで見張っているのよ?』

「俺たち家族は、心と心がつながっているんですよ」

『いや、二十歳(はたち)過ぎの男の子に、それはあんまり言わない方がいいわよ? デリケートなお年頃なんだから、いくら良くできた息子でも、さすがにウザがられるわよ』

「まあ、冗談はさておき。その良くできた、なるべく自分で何とかしようと頑張っている息子が、無意識に救援信号送ってくるような事態、何かあったでしょう?」

『……まあね。でも、これは、よその人に話すのはねえ。一応、病院の内部のことだし。ボランティアさんとはいえなあ……』

「ボランティアさん? もしかして、毎週木曜日に来る人? 若い女性?」

『……どこまで知ってんのよ?』

「いや、丁度、別の案件でさ……って、もしかして、つながってる?」

『もしかして……って、結構ヤバめの案件? それだと……まずいなあ、ちょっと()きつけちゃったかも、お宅の息子さん』

「……あわよくば俺に解決させようとしてたでしょう? ちゃんと事務所通してくださいよ。で、そのボランティアさんがどうしたんです?」

『これ以上は守秘(しゅひ)義務』

「人にただ働きさせようとしておいて……分かりましたよ。同じ案件っぽいし、一緒に対応しますから、依頼料代わりに情報提供してください」

『そう来なくっちゃ』
 


 ミチ姐にうまく乗せられた形にはなったが、重大な情報も得られ。
 


「ところで、もう一つ確認したいんですが……あとはメールで」

 入浴を終えたキリが自分でご飯をよそって猛然と食事に(いそ)しみ始めたのを確認し、声を(ひそ)めて、メールに切り替える。
 

 やや間を置いてミチ姐から返信が届き。



 その文面を見て、瑛比古さんは妙に納得する。



 ……あとは、本人に会ってみればはっきりする。



 土曜日、朝七時に平和公園か。


 ……土曜日に早起き……ヤだな。

 …………イヤだけど、仕方ないか……はあ。



 事の重大さはさておき、できれば週末は寝坊したい瑛比古さんは、未来の早起きのことを考えて、大きなため息をついた。





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 夜も更け。
 ナミとメイは就寝し、ハルは自室で勉強中、キリが帰宅し入浴中、という時間。
 テーブルにキリの夕食を準備し、瑛比古さんはお茶をすすって一休みしている、と。
 連絡を入れておいたミチ姐から着信が入った。
『遅くなってゴメンね。ちょっと仕事が長引いちゃって』
「いえいえ、こちらこそ、忙しいところスミマセン」
『で、ハルくんのこと、よね? 聞きたいことって』
「ご明察。本人話してくれないからさ」
『相変わらず過保護ねえ。いったいどこで見張っているのよ?』
「俺たち家族は、心と心がつながっているんですよ」
『いや、|二十歳《はたち》過ぎの男の子に、それはあんまり言わない方がいいわよ? デリケートなお年頃なんだから、いくら良くできた息子でも、さすがにウザがられるわよ』
「まあ、冗談はさておき。その良くできた、なるべく自分で何とかしようと頑張っている息子が、無意識に救援信号送ってくるような事態、何かあったでしょう?」
『……まあね。でも、これは、よその人に話すのはねえ。一応、病院の内部のことだし。ボランティアさんとはいえなあ……』
「ボランティアさん? もしかして、毎週木曜日に来る人? 若い女性?」
『……どこまで知ってんのよ?』
「いや、丁度、別の案件でさ……って、もしかして、つながってる?」
『もしかして……って、結構ヤバめの案件? それだと……まずいなあ、ちょっと|焚《た》きつけちゃったかも、お宅の息子さん』
「……あわよくば俺に解決させようとしてたでしょう? ちゃんと事務所通してくださいよ。で、そのボランティアさんがどうしたんです?」
『これ以上は|守秘《しゅひ》義務』
「人にただ働きさせようとしておいて……分かりましたよ。同じ案件っぽいし、一緒に対応しますから、依頼料代わりに情報提供してください」
『そう来なくっちゃ』
 ミチ姐にうまく乗せられた形にはなったが、重大な情報も得られ。
「ところで、もう一つ確認したいんですが……あとはメールで」
 入浴を終えたキリが自分でご飯をよそって猛然と食事に|勤《いそ》しみ始めたのを確認し、声を|潜《ひそ》めて、メールに切り替える。
 やや間を置いてミチ姐から返信が届き。
 その文面を見て、瑛比古さんは妙に納得する。
 ……あとは、本人に会ってみればはっきりする。
 土曜日、朝七時に平和公園か。
 ……土曜日に早起き……ヤだな。
 …………イヤだけど、仕方ないか……はあ。
 事の重大さはさておき、できれば週末は寝坊したい瑛比古さんは、未来の早起きのことを考えて、大きなため息をついた。