アデーレの言ったこと 1話
ー/ー そっと手を伸ばして、お父さまが私の頭を撫でる。
その表情がとても優しくて……なぜかホッとした。
「不安がることはないよ。きちんと許可は得ているからね」
「……いつの間に……?」
「んー、きみたちが親交を深めているあいだに?」
ぼっと顔から火が出るかと思ったわ。
ちらりとレオンハルトさまを見ると、彼も耳まで真っ赤になっていた。
くぅ、か、可愛い……! でもお父さま、からかわないで……!
悲鳴が途切れて数分後、お母さまが謁見の間から出てきた。
スッキリした表情を浮かべている。
……いったい、なにをしてきたのだろう……?
「あらぁ、待っていてくれたのぉ? 遅くなってごめんなさいねぇ」
「そんなに待っていないよ、マイハニー! さあ、屋敷に帰ろうか」
お父さまはお母様の腰に手を回して、イチャイチャしながら帰路についた。
すれ違う騎士たちが羨ましそうにお父さまとお母さまを見ていたことに気付いて、小さく口角を上げる。
「どうしたんだい?」
「両親がいつまでも仲が良いのは微笑ましいのですが、娘としては目のやり場に困るわ、と感じていました」
頬に手を添えて肩をすくめてみせると、レオンハルトさまは一瞬目を丸くして、それから「ふふっ」と笑い声を上げた。
私たちも屋敷に帰ろう。
そして、アデーレの言っていたことを考えてみよう。
私がいないと発生しないイベントって、なにかしら?
――正直、それよりもレオンハルトさまともっと親交を深めたいんだけどね!
帰りもレオンハルトさまと二人きりの馬車だった。
お父さまとお母さまは、きっと馬車の中でもくっついていることでしょう……
「……王族の方にお会いするのは久しぶりでした」
レオンハルトさまが口を開き、ぽつりと言葉をこぼす。
「感想をお聞きしても?」
「……ダニエル殿下って、あんな感じでしたっけ……?」
今日のダニエル殿下の様子を見て、以前とは違うように感じたみたいね。
「数回、話したことはあるのですが……そのときは結構しっかりしている人だと感じたんですよね」
「ちなみに、その数回、とは何年前でしょうか?」
「五、六年ほど前ですね」
学園に入学する前だ。まだ十代前半の頃。
「学園では、ずっとあんな感じでしたわ」
――学園生活を思い出して、思わず視線を下げる。
アデーレと一緒にいる彼は、とても幸せそうだった。
ヒロインと一緒にいるのだもの、当然よね、と遠くから眺めていた頃が懐かしい。
それにしても、アデーレも転生者だったなんて……
正直ちょっと疑ってはいた。いたけれど……なんだか複雑な心情だわ。
「あの、レオンハルトさま。アデーレさまのことは、どう思いまして?」
「アデーレ・ボルク男爵令嬢のことですか? そうですね……」
彼は考えるように視線を巡らせてから、私のことをじっと見つめた。
「不思議な人だな、と思いました」
「不思議?」
「ええ。自分が王妃になることを確信しているような態度でしたし、なにを根拠に? と」
それはきっとアデーレが原作をプレイして、ダニエル殿下ルートをこの世界でなぞっていたからだと思います――なんて、さすがに言えないわ。
「イベントがどうのって言っていましたよね」
「……そうですわね」
そんなことを口にしたアデーレを見る、デイジーさまの冷たい視線ったら!
絶対零度ってこういうときに使うのかしら。思い出しただけでもぞくっとするの。
そしてなにより、そんなデイジーさまでも美しいのがまた恐ろしい。
美人が怒ると怖いってこういうことなのかしら。
綺麗な顔で絶対零度の視線。
それに動じないアデーレはある意味大物かもしれない。
「レオンハルトさま、家に戻ったらゆっくり休んでください」
付き合わせてしまったし、きっと疲れさせてしまっただろう。
「では、お言葉に甘えます」
彼は目を一度瞬かせてはにかんだ。
なにかむ姿もとても好み。この人自身が私のストライクゾーン過ぎるのよ……!
「今日も両親と一緒の食事になると思いますが……」
「賑やかで良いですね」
お父さまとお母さまのことをそう言ってくれるって、なんだか嬉しい。
屋敷について、レオンハルトさまのエスコートで馬車を降りる。
両親が私たちに近付き、
「疲れたでしょう?」
と、労わってくれた。
「お父さまとお母さまも、でしょう? 私たちのために怒ってくださって本当にありがとうございます」
「あらぁ、エリカったら。お母さまを泣かせないでちょうだいな」
うるっとお母さまの瞳が潤んだ。
ハンカチを取り出して、目尻に浮かんだ涙を拭う。
そんなお母さまを、お父さまが愛おしそうに抱きしめた。
「エリカのために我々が怒るのは当然だ。親だからな。ダニエル殿下とアデーレ嬢は、これからどうなるのか……まぁ、二人にはもう関係ない人たちなのだから、幸せになることだけを考えなさい」
この国にいる以上、関係はあると思うのだけど……
でも、そうね。
おそらくもうほとんど会うことはないでしょう。
なんらかの行事で顔を合わせるくらいかしら?
アデーレに関しては、どうなるのかもわからない。
彼女は男爵令嬢だから……ボルク男爵は、どういう決断をなさるのかしらね。
「スッキリしたらお腹が空いたわぁ。みんなで一緒に食べましょう?」
「はい、ぜひ」
お母さまの言葉に、レオンハルトさまはぺこりと軽く頭を下げた。
私はとりあえず自室に向かい、このドレスを脱ごう。そして、別のドレスに着替えよう。
気合いを入れる用事は、もう終わったのだから。
「それでは、レオンハルトさま。私は着替えてきますね」
「はい、お疲れさまでした」
「レオンハルトくんは着替えるかい?」
「そうですね、着替えます。正装ってなんだか着慣れなくて、変な感じがするので……」
「……そうか、きみは騎士団の服を着ていることのほうが多いか」
お父さまが納得したようにうなずき、それから私に視線を向ける。
「エリカ、食事の時間までゆっくり休んでいなさい」
「はい、お父さま。それでは、また食事の時間に」
カーテシーをしてから、自室に足を進めた。
後ろをちらりと振り返ると、お父さまとレオンハルトさまがなにかを話しているのが見える。
どんな会話をしているのかしら……?
その表情がとても優しくて……なぜかホッとした。
「不安がることはないよ。きちんと許可は得ているからね」
「……いつの間に……?」
「んー、きみたちが親交を深めているあいだに?」
ぼっと顔から火が出るかと思ったわ。
ちらりとレオンハルトさまを見ると、彼も耳まで真っ赤になっていた。
くぅ、か、可愛い……! でもお父さま、からかわないで……!
悲鳴が途切れて数分後、お母さまが謁見の間から出てきた。
スッキリした表情を浮かべている。
……いったい、なにをしてきたのだろう……?
「あらぁ、待っていてくれたのぉ? 遅くなってごめんなさいねぇ」
「そんなに待っていないよ、マイハニー! さあ、屋敷に帰ろうか」
お父さまはお母様の腰に手を回して、イチャイチャしながら帰路についた。
すれ違う騎士たちが羨ましそうにお父さまとお母さまを見ていたことに気付いて、小さく口角を上げる。
「どうしたんだい?」
「両親がいつまでも仲が良いのは微笑ましいのですが、娘としては目のやり場に困るわ、と感じていました」
頬に手を添えて肩をすくめてみせると、レオンハルトさまは一瞬目を丸くして、それから「ふふっ」と笑い声を上げた。
私たちも屋敷に帰ろう。
そして、アデーレの言っていたことを考えてみよう。
私がいないと発生しないイベントって、なにかしら?
――正直、それよりもレオンハルトさまともっと親交を深めたいんだけどね!
帰りもレオンハルトさまと二人きりの馬車だった。
お父さまとお母さまは、きっと馬車の中でもくっついていることでしょう……
「……王族の方にお会いするのは久しぶりでした」
レオンハルトさまが口を開き、ぽつりと言葉をこぼす。
「感想をお聞きしても?」
「……ダニエル殿下って、あんな感じでしたっけ……?」
今日のダニエル殿下の様子を見て、以前とは違うように感じたみたいね。
「数回、話したことはあるのですが……そのときは結構しっかりしている人だと感じたんですよね」
「ちなみに、その数回、とは何年前でしょうか?」
「五、六年ほど前ですね」
学園に入学する前だ。まだ十代前半の頃。
「学園では、ずっとあんな感じでしたわ」
――学園生活を思い出して、思わず視線を下げる。
アデーレと一緒にいる彼は、とても幸せそうだった。
ヒロインと一緒にいるのだもの、当然よね、と遠くから眺めていた頃が懐かしい。
それにしても、アデーレも転生者だったなんて……
正直ちょっと疑ってはいた。いたけれど……なんだか複雑な心情だわ。
「あの、レオンハルトさま。アデーレさまのことは、どう思いまして?」
「アデーレ・ボルク男爵令嬢のことですか? そうですね……」
彼は考えるように視線を巡らせてから、私のことをじっと見つめた。
「不思議な人だな、と思いました」
「不思議?」
「ええ。自分が王妃になることを確信しているような態度でしたし、なにを根拠に? と」
それはきっとアデーレが原作をプレイして、ダニエル殿下ルートをこの世界でなぞっていたからだと思います――なんて、さすがに言えないわ。
「イベントがどうのって言っていましたよね」
「……そうですわね」
そんなことを口にしたアデーレを見る、デイジーさまの冷たい視線ったら!
絶対零度ってこういうときに使うのかしら。思い出しただけでもぞくっとするの。
そしてなにより、そんなデイジーさまでも美しいのがまた恐ろしい。
美人が怒ると怖いってこういうことなのかしら。
綺麗な顔で絶対零度の視線。
それに動じないアデーレはある意味大物かもしれない。
「レオンハルトさま、家に戻ったらゆっくり休んでください」
付き合わせてしまったし、きっと疲れさせてしまっただろう。
「では、お言葉に甘えます」
彼は目を一度瞬かせてはにかんだ。
なにかむ姿もとても好み。この人自身が私のストライクゾーン過ぎるのよ……!
「今日も両親と一緒の食事になると思いますが……」
「賑やかで良いですね」
お父さまとお母さまのことをそう言ってくれるって、なんだか嬉しい。
屋敷について、レオンハルトさまのエスコートで馬車を降りる。
両親が私たちに近付き、
「疲れたでしょう?」
と、労わってくれた。
「お父さまとお母さまも、でしょう? 私たちのために怒ってくださって本当にありがとうございます」
「あらぁ、エリカったら。お母さまを泣かせないでちょうだいな」
うるっとお母さまの瞳が潤んだ。
ハンカチを取り出して、目尻に浮かんだ涙を拭う。
そんなお母さまを、お父さまが愛おしそうに抱きしめた。
「エリカのために我々が怒るのは当然だ。親だからな。ダニエル殿下とアデーレ嬢は、これからどうなるのか……まぁ、二人にはもう関係ない人たちなのだから、幸せになることだけを考えなさい」
この国にいる以上、関係はあると思うのだけど……
でも、そうね。
おそらくもうほとんど会うことはないでしょう。
なんらかの行事で顔を合わせるくらいかしら?
アデーレに関しては、どうなるのかもわからない。
彼女は男爵令嬢だから……ボルク男爵は、どういう決断をなさるのかしらね。
「スッキリしたらお腹が空いたわぁ。みんなで一緒に食べましょう?」
「はい、ぜひ」
お母さまの言葉に、レオンハルトさまはぺこりと軽く頭を下げた。
私はとりあえず自室に向かい、このドレスを脱ごう。そして、別のドレスに着替えよう。
気合いを入れる用事は、もう終わったのだから。
「それでは、レオンハルトさま。私は着替えてきますね」
「はい、お疲れさまでした」
「レオンハルトくんは着替えるかい?」
「そうですね、着替えます。正装ってなんだか着慣れなくて、変な感じがするので……」
「……そうか、きみは騎士団の服を着ていることのほうが多いか」
お父さまが納得したようにうなずき、それから私に視線を向ける。
「エリカ、食事の時間までゆっくり休んでいなさい」
「はい、お父さま。それでは、また食事の時間に」
カーテシーをしてから、自室に足を進めた。
後ろをちらりと振り返ると、お父さまとレオンハルトさまがなにかを話しているのが見える。
どんな会話をしているのかしら……?
みんなのリアクション
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
そっと手を伸ばして、お父さまが私の頭を撫でる。
その表情がとても優しくて……なぜかホッとした。
「不安がることはないよ。きちんと許可は得ているからね」
「……いつの間に……?」
「んー、きみたちが親交を深めているあいだに?」
「……いつの間に……?」
「んー、きみたちが親交を深めているあいだに?」
ぼっと顔から火が出るかと思ったわ。
ちらりとレオンハルトさまを見ると、彼も耳まで真っ赤になっていた。
くぅ、か、可愛い……! でもお父さま、からかわないで……!
悲鳴が途切れて数分後、お母さまが謁見の間から出てきた。
スッキリした表情を浮かべている。
……いったい、なにをしてきたのだろう……?
「あらぁ、待っていてくれたのぉ? 遅くなってごめんなさいねぇ」
「そんなに待っていないよ、マイハニー! さあ、屋敷に帰ろうか」
「そんなに待っていないよ、マイハニー! さあ、屋敷に帰ろうか」
お父さまはお母様の腰に手を回して、イチャイチャしながら帰路についた。
すれ違う騎士たちが羨ましそうにお父さまとお母さまを見ていたことに気付いて、小さく口角を上げる。
「どうしたんだい?」
「両親がいつまでも仲が良いのは微笑ましいのですが、娘としては目のやり場に困るわ、と感じていました」
「両親がいつまでも仲が良いのは微笑ましいのですが、娘としては目のやり場に困るわ、と感じていました」
頬に手を添えて肩をすくめてみせると、レオンハルトさまは一瞬目を丸くして、それから「ふふっ」と笑い声を上げた。
私たちも屋敷に帰ろう。
そして、アデーレの言っていたことを考えてみよう。
私がいないと発生しないイベントって、なにかしら?
――正直、それよりもレオンハルトさまともっと親交を深めたいんだけどね!
帰りもレオンハルトさまと二人きりの馬車だった。
お父さまとお母さまは、きっと馬車の中でもくっついていることでしょう……
「……王族の方にお会いするのは久しぶりでした」
レオンハルトさまが口を開き、ぽつりと言葉をこぼす。
「感想をお聞きしても?」
「……ダニエル殿下って、あんな感じでしたっけ……?」
「……ダニエル殿下って、あんな感じでしたっけ……?」
今日のダニエル殿下の様子を見て、以前とは違うように感じたみたいね。
「数回、話したことはあるのですが……そのときは結構しっかりしている人だと感じたんですよね」
「ちなみに、その数回、とは何年前でしょうか?」
「五、六年ほど前ですね」
「ちなみに、その数回、とは何年前でしょうか?」
「五、六年ほど前ですね」
学園に入学する前だ。まだ十代前半の頃。
「学園では、ずっとあんな感じでしたわ」
――学園生活を思い出して、思わず視線を下げる。
アデーレと一緒にいる彼は、とても幸せそうだった。
ヒロインと一緒にいるのだもの、当然よね、と遠くから眺めていた頃が懐かしい。
それにしても、アデーレも転生者だったなんて……
正直ちょっと疑ってはいた。いたけれど……なんだか複雑な心情だわ。
「あの、レオンハルトさま。アデーレさまのことは、どう思いまして?」
「アデーレ・ボルク男爵令嬢のことですか? そうですね……」
「アデーレ・ボルク男爵令嬢のことですか? そうですね……」
彼は考えるように視線を巡らせてから、私のことをじっと見つめた。
「不思議な人だな、と思いました」
「不思議?」
「ええ。自分が王妃になることを確信しているような態度でしたし、なにを根拠に? と」
「不思議?」
「ええ。自分が王妃になることを確信しているような態度でしたし、なにを根拠に? と」
それはきっとアデーレが原作をプレイして、ダニエル殿下ルートをこの世界でなぞっていたからだと思います――なんて、さすがに言えないわ。
「イベントがどうのって言っていましたよね」
「……そうですわね」
「……そうですわね」
そんなことを口にしたアデーレを見る、デイジーさまの冷たい視線ったら!
絶対零度ってこういうときに使うのかしら。思い出しただけでもぞくっとするの。
そしてなにより、そんなデイジーさまでも美しいのがまた恐ろしい。
美人が怒ると怖いってこういうことなのかしら。
綺麗な顔で絶対零度の視線。
それに動じないアデーレはある意味大物かもしれない。
「レオンハルトさま、家に戻ったらゆっくり休んでください」
付き合わせてしまったし、きっと疲れさせてしまっただろう。
「では、お言葉に甘えます」
彼は目を一度|瞬《またた》かせてはにかんだ。
なにかむ姿もとても好み。この人自身が私のストライクゾーン過ぎるのよ……!
「今日も両親と一緒の食事になると思いますが……」
「賑やかで良いですね」
「賑やかで良いですね」
お父さまとお母さまのことをそう言ってくれるって、なんだか嬉しい。
屋敷について、レオンハルトさまのエスコートで馬車を降りる。
両親が私たちに近付き、
「疲れたでしょう?」
と、労わってくれた。
「お父さまとお母さまも、でしょう? 私たちのために怒ってくださって本当にありがとうございます」
「あらぁ、エリカったら。お母さまを泣かせないでちょうだいな」
「あらぁ、エリカったら。お母さまを泣かせないでちょうだいな」
うるっとお母さまの瞳が|潤《うる》んだ。
ハンカチを取り出して、目尻に浮かんだ涙を|拭《ぬぐ》う。
そんなお母さまを、お父さまが愛おしそうに抱きしめた。
「エリカのために我々が怒るのは当然だ。親だからな。ダニエル殿下とアデーレ嬢は、これからどうなるのか……まぁ、二人にはもう関係ない人たちなのだから、幸せになることだけを考えなさい」
この国にいる以上、関係はあると思うのだけど……
でも、そうね。
おそらくもうほとんど会うことはないでしょう。
なんらかの行事で顔を合わせるくらいかしら?
アデーレに関しては、どうなるのかもわからない。
彼女は男爵令嬢だから……ボルク男爵は、どういう決断をなさるのかしらね。
「スッキリしたらお腹が空いたわぁ。みんなで一緒に食べましょう?」
「はい、ぜひ」
「はい、ぜひ」
お母さまの言葉に、レオンハルトさまはぺこりと軽く頭を下げた。
私はとりあえず自室に向かい、このドレスを脱ごう。そして、別のドレスに着替えよう。
気合いを入れる用事は、もう終わったのだから。
「それでは、レオンハルトさま。私は着替えてきますね」
「はい、お疲れさまでした」
「レオンハルトくんは着替えるかい?」
「そうですね、着替えます。正装ってなんだか着慣れなくて、変な感じがするので……」
「……そうか、きみは騎士団の服を着ていることのほうが多いか」
「はい、お疲れさまでした」
「レオンハルトくんは着替えるかい?」
「そうですね、着替えます。正装ってなんだか着慣れなくて、変な感じがするので……」
「……そうか、きみは騎士団の服を着ていることのほうが多いか」
お父さまが納得したようにうなずき、それから私に視線を向ける。
「エリカ、食事の時間までゆっくり休んでいなさい」
「はい、お父さま。それでは、また食事の時間に」
「はい、お父さま。それでは、また食事の時間に」
カーテシーをしてから、自室に足を進めた。
後ろをちらりと振り返ると、お父さまとレオンハルトさまがなにかを話しているのが見える。
どんな会話をしているのかしら……?