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第29話 バトルはここから

ー/ー



「戦いはこれからだよ、おとうさん?」
 りょうたは自身に満ち溢れた様子だ。
「なるほど、ワーウルフ(ヤングモデル)か......」
 ワーウルフは土属性の獣人型ビーストである。彼はジェヴォーダン監督の映画作品Rush!! の主人公であり、シリーズは長年の人気を誇る。
 ワーウルフはシリーズごとに複数のモデルが存在し、りょうたが繰り出したのはヤングモデルと言われる最初期の姿である。
 E・Bでのレアリティはさほど高くないが、ダークネスなビジュアルから好むプレイヤーは数多い。
「こいつは厄介だなぁ......」
 ワーウルフの登場に、良行は苦虫を噛み潰したような顔をする。何故なら、水属性である政宗は土属性であるワーウルフに優位を取られてしまうからだ。
 加えて、ワーウルフのパラメーターは異常なまでに高く、持久戦に持ち込まれること必至。
「行け、ワーウルフ!」
 りょうたはワーウルフの登場で勢いづき、政宗への猛攻を開始する。
「......くそっ、ワーウルフの体力がなかなか減らない!」
 やはり、政宗にとって属性が不利に働いていることは確か。だが、政宗が不利なのはそれだけではない。
 実は、ワーウルフには特性が付与されている。特性とは、特定のビーストだけに付与されている追加能力のことであり、ワーウルフには女神の聖痕(せいこん)という特性が付与されている。
 これは、自身の手数に応じて徐々に体力が回復するというもの。換言すれば、自己再生能力の一種である。
「仕方ない、ここは必殺技を使う!」
 良行は必殺技アイコンをタップし、政宗の必殺技を放つ。
『伝家の宝刀、燭台切!』
 ......だがワーウルフの体力はさほど減らず、政宗の一撃には痛痒さえ感じないようだ。
「今度はこっちから行くよ!」
 りょうたは、ワーウルフの必殺技アイコンをタップする。
『グオォォォォォォッッッ!!!』
 ワーウルフの必殺技演出が開始すると、背景は暗闇に包まれ額の十字傷が光り輝く。漆黒の狂戦士が覚醒する瞬間である。
「食らえ! グラヴィティ・ラッシュ!!」
 ワーウルフは猛り狂い両鉄拳を連発する。政宗はその猛攻を凌ぐのがやっとだ。
「......しまった!」
 その瞬間、政宗の愛刀がへし折れた。こうなると政宗の攻撃力は著しく低下する。政宗は脇差で必死に対抗するが、ワーウルフの前ではもはや赤子同然であった。
「これでとどめだっ!」
 ワーウルフの拳が、とうとう政宗の顔面を捉える。そして、彼は脳震盪を起こして気絶してしまった......。
『グオォォォォォォッッッ!!!』
 ワーウルフは勝利の雄叫びを上げる。その姿は、まさに野獣そのものだ。
「ワーウルフは土属性。ならば、ここは少しでも相手の体力を削りたいところ......」
 そして、良行は次なるビーストを繰り出す。
『やぁっ!』
 すると、何やら可愛らしい小動物型のビーストが繰り出された。その名はみそささぎ、WEB小説家のマスコットキャラクターである。
 木属性を持つためワーウルフに優位を取ることはできるが、力不足と言わざるを得ない。
「みそささぎ? そのビーストで一体どうするつもり??」
 りょうたもその選出に首をかしげる。正直なところ、みそささぎのステータスは貧弱、バトルに用いるプレイヤーはまずいない。
 しかし、良行の表情にはどことなく企みがあるように見受けられる。りょうたは、その表情に違和感を覚えた。
「......あれ? ワーウルフの特性が発動していない??」
 りょうたはその違和感が何なのかを察した。みそささぎには、何か特性が付与されているのかもしれないと......。
「気付いたようだな。みそささぎは、ネザーランドの妖精なんだよ!」
 みそさざめには、ネザーランドの妖精という特性が付与されていた。これは相手の特性を無効にする特性、つまり特性封じが備わっていたのだ!
「これでワーウルフは回復能力を使えない! 力は貧弱でも、次のビーストに繋げるんだ!」
 良行の言葉からは必死さが窺える。せめて、次のビーストと戦うまでにワーウルフの体力を削いでおきたい。まだ勝機はある......!
「けれど、みそささぎもここまでみたいだね?」
 りょうたの言う通り、みそささぎの体力は限界。これ以上はまずいと、その眼差しが訴えかけてくる。
「ご苦労だったな、みそささぎ。あとはゆっくり休むといい......」
 良行が健闘を称えるとまもなく、みそささぎは力尽きた。
「くそっ! 俺の控えにはワーウルフに対抗できるビーストがいない。もはやここまでか......!?」


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「戦いはこれからだよ、おとうさん?」
 りょうたは自身に満ち溢れた様子だ。
「なるほど、ワーウルフ(ヤングモデル)か......」
 ワーウルフは土属性の獣人型ビーストである。彼はジェヴォーダン監督の映画作品Rush!! の主人公であり、シリーズは長年の人気を誇る。
 ワーウルフはシリーズごとに複数のモデルが存在し、りょうたが繰り出したのはヤングモデルと言われる最初期の姿である。
 E・Bでのレアリティはさほど高くないが、ダークネスなビジュアルから好むプレイヤーは数多い。
「こいつは厄介だなぁ......」
 ワーウルフの登場に、良行は苦虫を噛み潰したような顔をする。何故なら、水属性である政宗は土属性であるワーウルフに優位を取られてしまうからだ。
 加えて、ワーウルフのパラメーターは異常なまでに高く、持久戦に持ち込まれること必至。
「行け、ワーウルフ!」
 りょうたはワーウルフの登場で勢いづき、政宗への猛攻を開始する。
「......くそっ、ワーウルフの体力がなかなか減らない!」
 やはり、政宗にとって属性が不利に働いていることは確か。だが、政宗が不利なのはそれだけではない。
 実は、ワーウルフには特性が付与されている。特性とは、特定のビーストだけに付与されている追加能力のことであり、ワーウルフには女神の|聖痕《せいこん》という特性が付与されている。
 これは、自身の手数に応じて徐々に体力が回復するというもの。換言すれば、自己再生能力の一種である。
「仕方ない、ここは必殺技を使う!」
 良行は必殺技アイコンをタップし、政宗の必殺技を放つ。
『伝家の宝刀、燭台切!』
 ......だがワーウルフの体力はさほど減らず、政宗の一撃には痛痒さえ感じないようだ。
「今度はこっちから行くよ!」
 りょうたは、ワーウルフの必殺技アイコンをタップする。
『グオォォォォォォッッッ!!!』
 ワーウルフの必殺技演出が開始すると、背景は暗闇に包まれ額の十字傷が光り輝く。漆黒の狂戦士が覚醒する瞬間である。
「食らえ! グラヴィティ・ラッシュ!!」
 ワーウルフは猛り狂い両鉄拳を連発する。政宗はその猛攻を凌ぐのがやっとだ。
「......しまった!」
 その瞬間、政宗の愛刀がへし折れた。こうなると政宗の攻撃力は著しく低下する。政宗は脇差で必死に対抗するが、ワーウルフの前ではもはや赤子同然であった。
「これでとどめだっ!」
 ワーウルフの拳が、とうとう政宗の顔面を捉える。そして、彼は脳震盪を起こして気絶してしまった......。
『グオォォォォォォッッッ!!!』
 ワーウルフは勝利の雄叫びを上げる。その姿は、まさに野獣そのものだ。
「ワーウルフは土属性。ならば、ここは少しでも相手の体力を削りたいところ......」
 そして、良行は次なるビーストを繰り出す。
『やぁっ!』
 すると、何やら可愛らしい小動物型のビーストが繰り出された。その名はみそささぎ、WEB小説家のマスコットキャラクターである。
 木属性を持つためワーウルフに優位を取ることはできるが、力不足と言わざるを得ない。
「みそささぎ? そのビーストで一体どうするつもり??」
 りょうたもその選出に首をかしげる。正直なところ、みそささぎのステータスは貧弱、バトルに用いるプレイヤーはまずいない。
 しかし、良行の表情にはどことなく企みがあるように見受けられる。りょうたは、その表情に違和感を覚えた。
「......あれ? ワーウルフの特性が発動していない??」
 りょうたはその違和感が何なのかを察した。みそささぎには、何か特性が付与されているのかもしれないと......。
「気付いたようだな。みそささぎは、ネザーランドの妖精なんだよ!」
 みそさざめには、ネザーランドの妖精という特性が付与されていた。これは相手の特性を無効にする特性、つまり特性封じが備わっていたのだ!
「これでワーウルフは回復能力を使えない! 力は貧弱でも、次のビーストに繋げるんだ!」
 良行の言葉からは必死さが窺える。せめて、次のビーストと戦うまでにワーウルフの体力を削いでおきたい。まだ勝機はある......!
「けれど、みそささぎもここまでみたいだね?」
 りょうたの言う通り、みそささぎの体力は限界。これ以上はまずいと、その眼差しが訴えかけてくる。
「ご苦労だったな、みそささぎ。あとはゆっくり休むといい......」
 良行が健闘を称えるとまもなく、みそささぎは力尽きた。
「くそっ! 俺の控えにはワーウルフに対抗できるビーストがいない。もはやここまでか......!?」