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演劇デート

ー/ー



それから数日が経った。
俺は職場でおばちゃん連中と昼休みに話していた。

「ねぇ。矢口君。演劇のチケット二枚あるんだけど」
「……えっ?」

まさか一緒に行かない?とか誘われないよね?
まさか俺に気があるんじゃ……。
ゾッとした。

「いらない?誰か誘って行ってきなよ。青龍流しのチケットだよ」
「青龍流し……ですか?」
「矢口君。青龍流し知らないの?」
「知りませんね。演劇とか全然分からないので」
「演劇は良いわよー。舞台はね、迫力があるのよ。それにね、今年の青龍流しに出てるのは石井未来よ。石井未来」
「誰?」
「石井未来知らないの?あのイケメンよ。演技力も凄いし、美形だし、殺陣とかも凄いんだから」
「そうなんですか」
「青龍流しはね、毎年行ってるんだけど脚本がまた良いのよ。何度見てもいいわね。演劇見ないなんて人生損してるわ」
「そ、そうなんですか……」
「これあげるから是非行ってきなさい。私、法事と被っちゃって行けなくなっちゃったのよ。残念だわー」
「は、はぁ……。ありがとうございます。じゃあまあ……頂きます」

そうして俺は、全く興味のない演劇のチケットを二枚貰ったのだった。
俺は加奈を誘ってみる事にした。

「加奈は演劇って興味ある?」
「演劇?うーん、演劇は見た事ないかも」
「職場のおばちゃんがさ、都合悪くなって行けなくなったからってチケット二枚くれたんだよ」
「そうなんだ」
「青龍流しっていう演劇のチケットでさ、有名な演目らしいんだけど、行ってみない?」
「まあ確かにそういう機会がないと、自分から演劇とか見に行かないもんね。行ってみようか?」
「じゃあまあ期待せずに見に行ってみようか」
「うん」

せっかく貰ったチケットを無駄にするのも勿体ないし、加奈と二人で演劇を見に行く事になった。
あまり期待はしないけど、まあこれも何かの縁だ。
そして演劇を見に行く日がやってきた。
待ち合わせ場所のバス停で、加奈を待っていた。
すると待ち合わせの時間どおりに加奈がやってきた。

「お待たせ。ごめん待った?」
「いや、今来たところだよ。それじゃ、行こうか」
「うん」

バスに乗り込んだ。最寄りの駅から十分程歩けば劇場に着くようだ。

「とりあえずさ、場所なんだけど、駅まで行ってそこから十分くらい歩けば劇場に着くっぽい」
「場所は大丈夫そうだね」
「うん」
「私、青龍流しのウェブページ見てきたよ」
「そうなんだ」
「あらすじ見たけど結構面白そうだったよ」
「どんな感じ?」
「村で青龍流しっていう生贄の儀式で、青龍に捧げる生贄として山に連れていかれる女の子の話だね」
「なるほど」
「石田未来っていう主演の俳優がいるんだけど、この人は演劇界のプリンスって言われてて凄い人気らしいよ」
「あっ、それ職場のおばちゃんも言ってたよ。石田未来は殺陣とかも凄いよって」
「へぇー、そうなんだ」
「面白かったらいいね」
「うん」

バスの中で加奈の職場での話とかを聞いているうちに、バスは駅に到着した。
バスを降りて十分くらい歩いたら劇場が見えてきた。
結構人がいたが、おばちゃんやおっちゃんが多かった。

「あんまり若い人いないね」
「うん」

客層が何だか自分達と違うような感じがして、ちょっと場違い感があるように思えた。
でもここまで来たし、帰る訳にはいかない。
どうせタダで貰ったチケットだし、まあ時間が無駄になるかもしれないけど行ってみよう。
劇場に入り、受付を済ませる。
入口を入ったところに、看板が置いてあった。
そこには出演する役者達が写っていて、満天劇団、青龍流しと書いてあった。
俺は職場のおばちゃんに、青龍流しに行ってきたという証拠を残す為にスマホで看板の写真を撮った。
劇場に入り、指定された席を探す。
意外と良い席で、前から三列目の中央という席だった。
これは役者をよく見れそうだ。
席に座り、開演時間を待つ。
待っていると続々と人が入ってくる。
チケットは、結構売れているみたいだ。
おそらく人気の舞台なんだろう。
いよいよ開演時間になり、照明が暗くなった。
そしてついに青龍流しが始まった。

「今年の青龍流しは、お菊に決まってしまった。なぜだ。よりにもよって……。どうして……どうしてお菊なんだ」

この人が石田未来だろうか。確かにイケメンだ。
生贄に決まったお菊は、主人公の幸太郎の幼馴染だった。
幸三郎は、お菊を青龍流しが始まる前にこっそり連れ出して二人で村から逃げ出す。
そして二人で逃げた事が分かった村人達は、青龍様の怒りに恐れてお菊達を必死に探す。お菊を守りながら、数々の追手と戦い続ける幸太郎。
そのシーンのアクションの数々も迫力がある。
逃亡の道中、食いしん坊の守三や訳ありの遊女、村崎という仲間が出来て、戦うシーンは、更に迫力が増していく。
だがついにお菊は捕まってしまい、青龍流しの生贄として連れていかれてしまう。
牢に入れられたが、なんとか脱獄を果たした三人は、青龍流しの行われる山へと向かった。
そこに現れたのは、本物の青龍だった。
巨大な怪物を相手に三人は、全力で戦った。だが圧倒的な青龍の力に三人では、勝てるはずもなかった。
もうダメだと思ったその時、村人達がやってきて加勢に入る。
皆の力を合わせて青龍をやっつけて、お菊は無事に戻ってくる事が出来た。
笑いあり、アクションありの演劇だった。

演劇が終わり、バスに乗って帰っていた。

「全然期待してなかったけど、普通に面白かった」
「うん。前の列だったのもあったのかもしれないけど、迫力が凄かったね」
「石井未来の殺陣も凄かったな」
「うん。確かにあれは凄い」
「なんか演劇のさ、他の作品とかも調べてみたくなったよ」
「私も」
「チケット貰ったおばちゃんに感謝だなー」
「そうだね。なんだか新しい世界を教えてもらった気分」

あまり期待していなかった演劇デートは、思ったよりも楽しいものとなった。


次のエピソードへ進む サーカスデート


みんなのリアクション

それから数日が経った。
俺は職場でおばちゃん連中と昼休みに話していた。
「ねぇ。矢口君。演劇のチケット二枚あるんだけど」
「……えっ?」
まさか一緒に行かない?とか誘われないよね?
まさか俺に気があるんじゃ……。
ゾッとした。
「いらない?誰か誘って行ってきなよ。青龍流しのチケットだよ」
「青龍流し……ですか?」
「矢口君。青龍流し知らないの?」
「知りませんね。演劇とか全然分からないので」
「演劇は良いわよー。舞台はね、迫力があるのよ。それにね、今年の青龍流しに出てるのは石井未来よ。石井未来」
「誰?」
「石井未来知らないの?あのイケメンよ。演技力も凄いし、美形だし、殺陣とかも凄いんだから」
「そうなんですか」
「青龍流しはね、毎年行ってるんだけど脚本がまた良いのよ。何度見てもいいわね。演劇見ないなんて人生損してるわ」
「そ、そうなんですか……」
「これあげるから是非行ってきなさい。私、法事と被っちゃって行けなくなっちゃったのよ。残念だわー」
「は、はぁ……。ありがとうございます。じゃあまあ……頂きます」
そうして俺は、全く興味のない演劇のチケットを二枚貰ったのだった。
俺は加奈を誘ってみる事にした。
「加奈は演劇って興味ある?」
「演劇?うーん、演劇は見た事ないかも」
「職場のおばちゃんがさ、都合悪くなって行けなくなったからってチケット二枚くれたんだよ」
「そうなんだ」
「青龍流しっていう演劇のチケットでさ、有名な演目らしいんだけど、行ってみない?」
「まあ確かにそういう機会がないと、自分から演劇とか見に行かないもんね。行ってみようか?」
「じゃあまあ期待せずに見に行ってみようか」
「うん」
せっかく貰ったチケットを無駄にするのも勿体ないし、加奈と二人で演劇を見に行く事になった。
あまり期待はしないけど、まあこれも何かの縁だ。
そして演劇を見に行く日がやってきた。
待ち合わせ場所のバス停で、加奈を待っていた。
すると待ち合わせの時間どおりに加奈がやってきた。
「お待たせ。ごめん待った?」
「いや、今来たところだよ。それじゃ、行こうか」
「うん」
バスに乗り込んだ。最寄りの駅から十分程歩けば劇場に着くようだ。
「とりあえずさ、場所なんだけど、駅まで行ってそこから十分くらい歩けば劇場に着くっぽい」
「場所は大丈夫そうだね」
「うん」
「私、青龍流しのウェブページ見てきたよ」
「そうなんだ」
「あらすじ見たけど結構面白そうだったよ」
「どんな感じ?」
「村で青龍流しっていう生贄の儀式で、青龍に捧げる生贄として山に連れていかれる女の子の話だね」
「なるほど」
「石田未来っていう主演の俳優がいるんだけど、この人は演劇界のプリンスって言われてて凄い人気らしいよ」
「あっ、それ職場のおばちゃんも言ってたよ。石田未来は殺陣とかも凄いよって」
「へぇー、そうなんだ」
「面白かったらいいね」
「うん」
バスの中で加奈の職場での話とかを聞いているうちに、バスは駅に到着した。
バスを降りて十分くらい歩いたら劇場が見えてきた。
結構人がいたが、おばちゃんやおっちゃんが多かった。
「あんまり若い人いないね」
「うん」
客層が何だか自分達と違うような感じがして、ちょっと場違い感があるように思えた。
でもここまで来たし、帰る訳にはいかない。
どうせタダで貰ったチケットだし、まあ時間が無駄になるかもしれないけど行ってみよう。
劇場に入り、受付を済ませる。
入口を入ったところに、看板が置いてあった。
そこには出演する役者達が写っていて、満天劇団、青龍流しと書いてあった。
俺は職場のおばちゃんに、青龍流しに行ってきたという証拠を残す為にスマホで看板の写真を撮った。
劇場に入り、指定された席を探す。
意外と良い席で、前から三列目の中央という席だった。
これは役者をよく見れそうだ。
席に座り、開演時間を待つ。
待っていると続々と人が入ってくる。
チケットは、結構売れているみたいだ。
おそらく人気の舞台なんだろう。
いよいよ開演時間になり、照明が暗くなった。
そしてついに青龍流しが始まった。
「今年の青龍流しは、お菊に決まってしまった。なぜだ。よりにもよって……。どうして……どうしてお菊なんだ」
この人が石田未来だろうか。確かにイケメンだ。
生贄に決まったお菊は、主人公の幸太郎の幼馴染だった。
幸三郎は、お菊を青龍流しが始まる前にこっそり連れ出して二人で村から逃げ出す。
そして二人で逃げた事が分かった村人達は、青龍様の怒りに恐れてお菊達を必死に探す。お菊を守りながら、数々の追手と戦い続ける幸太郎。
そのシーンのアクションの数々も迫力がある。
逃亡の道中、食いしん坊の守三や訳ありの遊女、村崎という仲間が出来て、戦うシーンは、更に迫力が増していく。
だがついにお菊は捕まってしまい、青龍流しの生贄として連れていかれてしまう。
牢に入れられたが、なんとか脱獄を果たした三人は、青龍流しの行われる山へと向かった。
そこに現れたのは、本物の青龍だった。
巨大な怪物を相手に三人は、全力で戦った。だが圧倒的な青龍の力に三人では、勝てるはずもなかった。
もうダメだと思ったその時、村人達がやってきて加勢に入る。
皆の力を合わせて青龍をやっつけて、お菊は無事に戻ってくる事が出来た。
笑いあり、アクションありの演劇だった。
演劇が終わり、バスに乗って帰っていた。
「全然期待してなかったけど、普通に面白かった」
「うん。前の列だったのもあったのかもしれないけど、迫力が凄かったね」
「石井未来の殺陣も凄かったな」
「うん。確かにあれは凄い」
「なんか演劇のさ、他の作品とかも調べてみたくなったよ」
「私も」
「チケット貰ったおばちゃんに感謝だなー」
「そうだね。なんだか新しい世界を教えてもらった気分」
あまり期待していなかった演劇デートは、思ったよりも楽しいものとなった。