第3章〜㉙〜
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8月9日(火)天候・くもりのち雨
花火大会に参加し、大輪の花火が打ち上がった際の観察実験を行うーーーーーー、という大きな目標を失ったため、『時のコカリナ』に関する調査は停滞してしまった。
降りしきる雨の中、ショッピング・モールと駅をつなぐ歩行者用デッキで幻想的な光景を目にしたあと、勢い込んで近隣の花火大会についてネット検索してみたものの、相次ぐ中止の告知を目にして、意気消沈し、なんとなく気まずくなって図書館で別れたあと(それでも、彼女は帰り際に、「まぁ、こんな状況だし仕方ないよ」と慰めてくれたが……)、我が実験のパートナーとの連絡も滞りがちになっていた。
先週までのように連日図書館に通い詰めることもなくなってしまったので、自室で悶々としながら、ベッドに横になり、祖父さんの形見を眺める。
現状では、小嶋夏海と坂井夏生を結び付けているのは、この木製細工であることは間違いない。
そして、このコカリナの能力を使ったことが原因で、夏休み中の自分の行動を束縛するハズだった、小嶋夏海と交わした『契約書』の存在に対してすら、今となっては、わずらわしいという想いはなくなり、彼女と自分をつなぐ貴重なモノのように思えた。
康之や哲夫をはじめ、ともにアミューズメント・プールに出掛けた大嶋や中嶋、そして、クラスの連中が自分たちをどう見ているかについては、本当に取るに足りないことであり、実際、彼女にとっての自分は、
『興味を引かれるアイテムの所有者』
という存在でしかないのだろうかーーーーーー、そんな考えが頭をよぎり、夏休み前の会話を思い出す。
・
・
・
「小嶋は、夏休み中、オレなんかと一緒に居て、周りにウワサされるのとか、本当に気にならないのか?」
「別に……アレコレ言いたい人間や想像する人間には、好きにさせておけば良いんじゃない?どうせ、夏休み中だけのことなんだし」
「夏休みが終わったら、どうするんだよ?」
「『夏休み前は、坂井のことが気になってたけど、やっぱり勘違いだったみたい。フィーリングが合わなかった』とか、適当に言っておけば、納得するでしょ?」
・
・
・
コカリナの実験を知られないために、二人でいることを偽装する『フェイク』として始まった関係ではあるが、小嶋夏海にとって、自分は、どういう存在なのだろうーーーーーーいまの彼女は、自分たちの関係をどう思っているのだろうーーーーーー?
実験のパートナーと会えない時間は、そんなことばかりを考えている自分がいた。
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降りしきる雨の中、ショッピング・モールと駅をつなぐ歩行者用デッキで幻想的な光景を目にしたあと、勢い込んで近隣の花火大会についてネット検索してみたものの、相次ぐ中止の告知を目にして、意気消沈し、なんとなく気まずくなって図書館で別れたあと(それでも、彼女は帰り際に、「まぁ、こんな状況だし仕方ないよ」と慰めてくれたが……)、我が実験のパートナーとの連絡も滞りがちになっていた。
先週までのように連日図書館に通い詰めることもなくなってしまったので、自室で悶々としながら、ベッドに横になり、祖父さんの形見を眺める。
現状では、小嶋夏海と坂井夏生を結び付けているのは、この木製細工であることは間違いない。
そして、このコカリナの能力を使ったことが原因で、夏休み中の自分の行動を束縛するハズだった、小嶋夏海と交わした『契約書』の存在に対してすら、今となっては、わずらわしいという想いはなくなり、彼女と自分をつなぐ貴重なモノのように思えた。
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『興味を引かれるアイテムの所有者』
という存在でしかないのだろうかーーーーーー、そんな考えが頭をよぎり、夏休み前の会話を思い出す。
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「別に……アレコレ言いたい人間や想像する人間には、好きにさせておけば良いんじゃない?どうせ、夏休み中だけのことなんだし」
「夏休みが終わったら、どうするんだよ?」
「『夏休み前は、坂井のことが気になってたけど、やっぱり勘違いだったみたい。フィーリングが合わなかった』とか、適当に言っておけば、納得するでしょ?」
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実験のパートナーと会えない時間は、そんなことばかりを考えている自分がいた。