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第3章〜⑭〜

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余談ながら、自分は、学年やクラスの誰と誰が付き合おうが、そんな話題に、さして興味を引かれるタイプではない。これは、夏休み前に康之と哲夫が盛り上がっていた女バレの先輩と同級生男子の話題に食いつかなかったことからも察していただきたいところだ。
 しかし、ことクラスメート、とりわけ、昨日プールに一緒に行った女子であり、なおかつ悪友の康之が、想いを寄せているであろう人物となれば、話しは、まったく変わってくる。

「まぁ、おどろくよね〜。あっ、念のため言っておくけど、これは、ここだけの話しにしておいてね。ユカも、あぁ見えて、周りに気を使うタイプだから、その分、『恋人には、自分だけを大切にしてほしい』って感じなんだけど、ウチのアニキは、その辺りのことを、な〜んにもわかってないんだよね〜」

 大嶋裕美子は、相変わらず何かを語り続けているが、最初の情報のインパクトが強すぎて、彼女の言葉は、なにも頭に入ってこない。

「プールに行ったのもね〜、ツカサくんにちょっとでも、嫉妬してもらいたかったってのもあると思うんだ〜。でも、ちょっと抑えめの水着だったってのが、ユカらしいっちゃ、ユカらしいんだけど……」

 そうか、昨日の中嶋の水着は、『抑えめ』だったのか……。
 いや、問題は、そこにある訳ではない。

(夏休み前から、昨日のプール・イベントを心の底から楽しみにしていた康之の立場は……)

 普段は、悪友の身を案じることなど、ほとんどない自分でも、このシチュエーションには、同情を禁じえない。
 小嶋夏海と自分自身の些細な(いさか)いなど、どうでも良いことのように思えた。
 午前中に顔を合わせた時の反応や身内である大嶋裕美子の証言からも、ツカサさんが、悪い人でないこと、また、昨日、プールで周囲に気配りを見せていた中嶋由香が、気を使える女子であることも、間違いではないと思うのだが……。
 夏休み最大のイベントが、中嶋たちの痴話ゲンカ(と言っていいだろう)から派生したものだったことを知った上で、友人の気持ちを考えると、複雑な想いもになる。

(誰に責任があるという訳でもないが……)
(中嶋とツカサさん……性格の良い二人なら、もう少し、周囲の感情に配慮してほしかった……)

そんなことを考えつつ、

「なるほど、大嶋の言いたいことは、大体わかった。あと、確認するが、中嶋の件は、他言無用と言っていたが、小嶋は、このことを知っているのか?」

と、一連の問題の有識者であるところの同級生女子にたずねると、

「もちろん、ナツミは知ってるよ〜。ユカは、私よりナツミに良く相談してたみたいだしね〜」

 小嶋夏海が恋愛相談にのる、というのも、かなり意外な感じはしたが、女子には自分たち男子にはないコミュニケーションの取り方というのがあるのかも知れない。

「そうか……わかった。色々と気を使ってくれて、ありがとうな。ついでの頼みごとになって申し訳ないが、さっき言ったように、お兄さんに『今日は、無愛想な態度で申し訳ありませんでした』と、伝えておいてくれると助かる」

 電話の向こうの相手にそう伝えると、

「わかった〜。まぁ、ツカサくんのことは、坂井が気に病むようなことじゃないから、心配しないで。けど、一応ナツミには、一言謝っておく方が良いかも! 話しを聞いてくれてありがとうね! じゃ、もう一回、ナツミに代わってくれる?」

 大嶋は、再度スマホの持ち主を指名した。
 彼女のリクエストに応じて、図書館内に戻り、交流ルームのベンチに座っている小嶋夏海に声を掛ける。

「大嶋が、もう一回、小嶋と話したいって……」

 そう言って、スマホを手渡すと、「わかった」と、うなずいて、館外へと歩いて行った。


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余談ながら、自分は、学年やクラスの誰と誰が付き合おうが、そんな話題に、さして興味を引かれるタイプではない。これは、夏休み前に康之と哲夫が盛り上がっていた女バレの先輩と同級生男子の話題に食いつかなかったことからも察していただきたいところだ。
 しかし、ことクラスメート、とりわけ、昨日プールに一緒に行った女子であり、なおかつ悪友の康之が、想いを寄せているであろう人物となれば、話しは、まったく変わってくる。
「まぁ、おどろくよね〜。あっ、念のため言っておくけど、これは、ここだけの話しにしておいてね。ユカも、あぁ見えて、周りに気を使うタイプだから、その分、『恋人には、自分だけを大切にしてほしい』って感じなんだけど、ウチのアニキは、その辺りのことを、な〜んにもわかってないんだよね〜」
 大嶋裕美子は、相変わらず何かを語り続けているが、最初の情報のインパクトが強すぎて、彼女の言葉は、なにも頭に入ってこない。
「プールに行ったのもね〜、ツカサくんにちょっとでも、嫉妬してもらいたかったってのもあると思うんだ〜。でも、ちょっと抑えめの水着だったってのが、ユカらしいっちゃ、ユカらしいんだけど……」
 そうか、昨日の中嶋の水着は、『抑えめ』だったのか……。
 いや、問題は、そこにある訳ではない。
(夏休み前から、昨日のプール・イベントを心の底から楽しみにしていた康之の立場は……)
 普段は、悪友の身を案じることなど、ほとんどない自分でも、このシチュエーションには、同情を禁じえない。
 小嶋夏海と自分自身の些細な|諍《いさか》いなど、どうでも良いことのように思えた。
 午前中に顔を合わせた時の反応や身内である大嶋裕美子の証言からも、ツカサさんが、悪い人でないこと、また、昨日、プールで周囲に気配りを見せていた中嶋由香が、気を使える女子であることも、間違いではないと思うのだが……。
 夏休み最大のイベントが、中嶋たちの痴話ゲンカ(と言っていいだろう)から派生したものだったことを知った上で、友人の気持ちを考えると、複雑な想いもになる。
(誰に責任があるという訳でもないが……)
(中嶋とツカサさん……性格の良い二人なら、もう少し、周囲の感情に配慮してほしかった……)
そんなことを考えつつ、
「なるほど、大嶋の言いたいことは、大体わかった。あと、確認するが、中嶋の件は、他言無用と言っていたが、小嶋は、このことを知っているのか?」
と、一連の問題の有識者であるところの同級生女子にたずねると、
「もちろん、ナツミは知ってるよ〜。ユカは、私よりナツミに良く相談してたみたいだしね〜」
 小嶋夏海が恋愛相談にのる、というのも、かなり意外な感じはしたが、女子には自分たち男子にはないコミュニケーションの取り方というのがあるのかも知れない。
「そうか……わかった。色々と気を使ってくれて、ありがとうな。ついでの頼みごとになって申し訳ないが、さっき言ったように、お兄さんに『今日は、無愛想な態度で申し訳ありませんでした』と、伝えておいてくれると助かる」
 電話の向こうの相手にそう伝えると、
「わかった〜。まぁ、ツカサくんのことは、坂井が気に病むようなことじゃないから、心配しないで。けど、一応ナツミには、一言謝っておく方が良いかも! 話しを聞いてくれてありがとうね! じゃ、もう一回、ナツミに代わってくれる?」
 大嶋は、再度スマホの持ち主を指名した。
 彼女のリクエストに応じて、図書館内に戻り、交流ルームのベンチに座っている小嶋夏海に声を掛ける。
「大嶋が、もう一回、小嶋と話したいって……」
 そう言って、スマホを手渡すと、「わかった」と、うなずいて、館外へと歩いて行った。