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カラスに襲われた仔猫たちの相談案件

ー/ー



2023年6月21日。
朝6時半過ぎ、昼13時半過ぎに異なる方から仔猫に関する相談メッセージがきました。
内容を見ると仔猫がいる場所・頭数・カラスに狙われているなど、同一仔猫のようです。

件の仔猫は朝の相談者がその後に保健所へ連れて行き、ミルクボランティアに託される事となったと報告がありました。
昼の相談者には別の方が対応済と伝えています。

しかし、これで解決ではないのです。
仔猫たちは画像を見たところ生後1ヶ月くらい、歯が生えて離乳が始まる時期。
そのくらいの大きさの子には、そこまで育てている母猫がいます。
母猫を避妊手術しなければ、次の発情が早まり妊娠出産し、その付近には次の仔猫が現れます。

石垣島にはとても多くの野良猫がいます。
春から秋まであちこちでたくさん仔猫が産まれています。
地域住民が協力してTNRをしなければ、カラスに襲われる仔猫は産まれ続けます。

都会ではもう見かけなくなったという野良猫の子供たち。
この離島には、まだたくさんいるのです。


2023年6月22日。
カラスに襲われているところを保護された仔猫4匹。
現在は保健所に収容され、ミルクボランティアが育てています。
翌日になり、付近に住む別の方からの情報で、仔猫は5匹いると分かりました。
カラスに襲われていた4匹の他に、母猫と一緒に1匹いる筈との事です。

餌やりがいるそうなので、情報をくれた人と協力してTNRしようという事に。
母猫と一緒にいる1匹はそのまま母猫と生活してもらい、いずれ避妊去勢手術するのが無難なところ。

仔猫がカラスに襲われる騒ぎは、野良猫の多い石垣島ではよくある出来事。
これは、仔猫を保護しただけでは真の解決ではありません。
母猫を避妊手術しなければ、次の子が生まれてカラスに襲われる事になります。

石垣市は、野良猫の避妊去勢手術にも助成金を出しています。

カラスに襲われている仔猫を見つけたら、その子を保護するだけでなく、母猫のTNRを考えてほしい。
多くの人は自分で飼えないから保健所や保護団体に「保護してほしい」と言いますが。
仔猫を奪われる母猫の事は、あまり考えられていないようです。

我が子を連れ去られた母猫は鳴いて必死で探し回ります。
授乳中なら乳が張って苦しい思いもします。
仔猫の事だけじゃなく、母猫の事も考えてほしい。
母猫にとっては、仔猫がいなくなるのだからカラスに食べられるのと大して変わりません。

そして…
育児を強制終了された母猫は、次の妊娠・出産に向かう
…という事まで分ってる人は少ない。


4年前、筆者の職場の敷地内でカラスに襲われている仔猫たちがいました。
見かねた猫好きスタッフが仔猫を保護して自宅に連れ帰ったのですが。
その後すぐ、敷地内を鳴きながらウロウロする母猫が出現。
母子は別のスタッフが餌をあげている野良猫でした。

「ずっと鳴いてる。乳が張っていて可哀想」
母猫を見ているスタッフは心配して言いましたが。
「カラスに襲われるから外には戻したくない」
仔猫を保護したスタッフは戻す事を拒否。
その後、仔猫3匹のうち1匹は保護したスタッフの飼い猫に、2匹は里親希望者に引き取られました。

餌やりスタッフによれば、その母猫はこれまでに何度も仔猫をカラスに襲われて亡くしているという。
産んで、カラスに食べられて、また産んで、そんな事を3~4ヶ月周期で繰り返していた母猫。
「TNRをしよう」
筆者の呼びかけに30名以上が賛同、餌やりスタッフが捕獲協力。
母猫の避妊手術が出来たのは2020年1月31日の事でした。
TNR後の母猫は妊娠や出産・カラスの襲撃から解放され、ふっくら毛ヅヤの良い美猫に変身。
スタッフやお客さんにキャットフードやちゅーるを貰い、台風時には建物の中に入れてもらえる。
地域猫の中ではかなり優遇された生活を送っています。

今回の相談案件も、仔猫が保護されて終わりではない。
これからが本番です。


2023年6月28日。
6月21日にカラスに襲われていたところを保護され、保健所入りした仔猫たち。
1週間経過した現在も4匹とも存命です。
前から母子を知る付近住民の情報によれば、保護されなかった残り1匹は消息不明との事。
保護した人は4匹しか見かけていないそうなので、発見前にカラスに連れ去られていたのかもしれません。
生後2ヶ月前までの仔猫は、カラスに咥えて連れ去られる事がよくあります。

歯が生えているので生後3週齢以上、顔つきから推測して4週齢前?の仔猫たちの体重。
同時期の白猫ブラザーズの半分以下。
こんなに小さかったらカラスはヒョイヒョイ咥えて持って行けてしまう。

以前、カラスがカルガモ(成鳥)を咥えて持ち上げるところを見ました。
さすがに連れ去るには至りませんでしたが、数秒間カルガモは宙に浮いていた。
体格差、カモの方が大きく見えるのに。
カラス恐るべし。

TNRボランティアが撮影した母猫とその兄弟の画像が送られてきました。
餌やりはいますが触れるほどは寄ってこないそう。
捕獲機を貸し出してのTNRになる予定。

仔猫と引き離されてしまった母猫は、発情が始まるので手術を急がないといけません。
この母猫は1週間経過、7月7日にもう1匹と共に避妊手術予定です。


2023年7月7日。
保健所に収容されミルクボランティア行きとなった乳飲み子4匹の母猫を避妊手術しました。
母猫は去年産まれた1歳未満の若い猫です。

去年産まれて1年も経たぬ間に子供を産む、それが野良猫の繁殖。
6月21日に仔猫を失った母猫は、既に発情が始まっていたようです。
今まで見た事の無い茶トラに追い掛け回されていたとの事。
メスがオスに追い回されたりマウントされたりした後には、妊娠・出産が続きます。

避妊去勢手術をしなければ、野良猫たちは繁殖し続けます。
結果生まれる仔猫が、カラスに襲われたり病気になったりします。
今回の相談も仔猫を保護するだけなら、3ヶ月も経たぬ間に次の仔猫が産まれてしまう。
屋外で仔猫を見つけたら、その後ろにあるもの、つまり母猫のTNRまでを考えないといけません。


【TNRの流れ】
①餌やり人が猫を捕獲する
②預かりボランティアが猫を預かる
③搬送ボランティアが病院へ送迎する
④病院で避妊去勢手術・手術済の目印「さくら耳」にする
※オスは右耳、メスは左耳の先をV字型にカットします
⑤手術が済んだら搬送ボランティアが迎えに行き、預かりボランティアのところへ届ける
⑥抗生剤を投与する期間、預かりボランティアが保護して投薬する
⑦抗生剤の投与が終わり、健康に問題が無ければ元の場所に猫を返す


2023年7月12日。
7月7日にオペした母猫とその姉妹は、投薬期間が終わったので本日解放しました。
これからは妊娠や出産で栄養を取られる事は無くなり、産んだ子をカラスに襲われる事も無い。
ケージの扉を開けると、母猫はすぐ飛び出して走り去り、姉妹はしばらくケージ内で固まってましたが、やがて立ち上がりダッシュで逃げ去りました。

TNRは、避妊去勢手術をする事で野良猫の増え過ぎを防ぎ、地域猫としてその動向を見守る活動です。
稀に「保護して里親を探す事」と間違えておられる方がいらっしゃいますが、そうではありません。

猫は繁殖力がとても高く、交尾をすればほぼ確実に妊娠する「交尾排卵」の動物です。
交尾排卵とは、交尾の刺激で排卵するもので、哺乳類の中では猫とウサギとごく一部の動物だけが持つ繁殖機能。
妊娠は年中可能で、子育て中ではないメス猫は栄養状態が良ければ交尾して出産に至ります。 

避妊去勢手術をしていないオスとメスが1組いたら、翌年にはその10倍の20匹以上に増えると言われています。
TNRは、それを抑制するもの。

筆者は空家の主に頼まれてそこに住み着いた野良猫たちの餌やりをしていますが、餌やりを始めた時に12頭だった野良猫たちが、半年後に仔猫が産まれて一時は50匹超えになり、驚き慌てた経験があります。
※猫たちはその後全頭TNRして、現在では繁殖は無くなりました。


石垣島では、まだあちこちで野良猫の繁殖が続いています。
仔猫も4月から次々に相談が入りますが、譲渡会で里親が決まるのは年に30匹ほどです。
保護するだけでは解決にはならない。
TNRと、地域猫との共存をお願いします。


2023年10月8日。
6月21日に八重山保健所に収容された仔猫4匹は、今も保健所にいます。
誰からも里親希望がきていません。


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2023年6月21日。
朝6時半過ぎ、昼13時半過ぎに異なる方から仔猫に関する相談メッセージがきました。
内容を見ると仔猫がいる場所・頭数・カラスに狙われているなど、同一仔猫のようです。
件の仔猫は朝の相談者がその後に保健所へ連れて行き、ミルクボランティアに託される事となったと報告がありました。
昼の相談者には別の方が対応済と伝えています。
しかし、これで解決ではないのです。
仔猫たちは画像を見たところ生後1ヶ月くらい、歯が生えて離乳が始まる時期。
そのくらいの大きさの子には、そこまで育てている母猫がいます。
母猫を避妊手術しなければ、次の発情が早まり妊娠出産し、その付近には次の仔猫が現れます。
石垣島にはとても多くの野良猫がいます。
春から秋まであちこちでたくさん仔猫が産まれています。
地域住民が協力してTNRをしなければ、カラスに襲われる仔猫は産まれ続けます。
都会ではもう見かけなくなったという野良猫の子供たち。
この離島には、まだたくさんいるのです。
2023年6月22日。
カラスに襲われているところを保護された仔猫4匹。
現在は保健所に収容され、ミルクボランティアが育てています。
翌日になり、付近に住む別の方からの情報で、仔猫は5匹いると分かりました。
カラスに襲われていた4匹の他に、母猫と一緒に1匹いる筈との事です。
餌やりがいるそうなので、情報をくれた人と協力してTNRしようという事に。
母猫と一緒にいる1匹はそのまま母猫と生活してもらい、いずれ避妊去勢手術するのが無難なところ。
仔猫がカラスに襲われる騒ぎは、野良猫の多い石垣島ではよくある出来事。
これは、仔猫を保護しただけでは真の解決ではありません。
母猫を避妊手術しなければ、次の子が生まれてカラスに襲われる事になります。
石垣市は、野良猫の避妊去勢手術にも助成金を出しています。
カラスに襲われている仔猫を見つけたら、その子を保護するだけでなく、母猫のTNRを考えてほしい。
多くの人は自分で飼えないから保健所や保護団体に「保護してほしい」と言いますが。
仔猫を奪われる母猫の事は、あまり考えられていないようです。
我が子を連れ去られた母猫は鳴いて必死で探し回ります。
授乳中なら乳が張って苦しい思いもします。
仔猫の事だけじゃなく、母猫の事も考えてほしい。
母猫にとっては、仔猫がいなくなるのだからカラスに食べられるのと大して変わりません。
そして…
育児を強制終了された母猫は、次の妊娠・出産に向かう
…という事まで分ってる人は少ない。
4年前、筆者の職場の敷地内でカラスに襲われている仔猫たちがいました。
見かねた猫好きスタッフが仔猫を保護して自宅に連れ帰ったのですが。
その後すぐ、敷地内を鳴きながらウロウロする母猫が出現。
母子は別のスタッフが餌をあげている野良猫でした。
「ずっと鳴いてる。乳が張っていて可哀想」
母猫を見ているスタッフは心配して言いましたが。
「カラスに襲われるから外には戻したくない」
仔猫を保護したスタッフは戻す事を拒否。
その後、仔猫3匹のうち1匹は保護したスタッフの飼い猫に、2匹は里親希望者に引き取られました。
餌やりスタッフによれば、その母猫はこれまでに何度も仔猫をカラスに襲われて亡くしているという。
産んで、カラスに食べられて、また産んで、そんな事を3~4ヶ月周期で繰り返していた母猫。
「TNRをしよう」
筆者の呼びかけに30名以上が賛同、餌やりスタッフが捕獲協力。
母猫の避妊手術が出来たのは2020年1月31日の事でした。
TNR後の母猫は妊娠や出産・カラスの襲撃から解放され、ふっくら毛ヅヤの良い美猫に変身。
スタッフやお客さんにキャットフードやちゅーるを貰い、台風時には建物の中に入れてもらえる。
地域猫の中ではかなり優遇された生活を送っています。
今回の相談案件も、仔猫が保護されて終わりではない。
これからが本番です。
2023年6月28日。
6月21日にカラスに襲われていたところを保護され、保健所入りした仔猫たち。
1週間経過した現在も4匹とも存命です。
前から母子を知る付近住民の情報によれば、保護されなかった残り1匹は消息不明との事。
保護した人は4匹しか見かけていないそうなので、発見前にカラスに連れ去られていたのかもしれません。
生後2ヶ月前までの仔猫は、カラスに咥えて連れ去られる事がよくあります。
歯が生えているので生後3週齢以上、顔つきから推測して4週齢前?の仔猫たちの体重。
同時期の白猫ブラザーズの半分以下。
こんなに小さかったらカラスはヒョイヒョイ咥えて持って行けてしまう。
以前、カラスがカルガモ(成鳥)を咥えて持ち上げるところを見ました。
さすがに連れ去るには至りませんでしたが、数秒間カルガモは宙に浮いていた。
体格差、カモの方が大きく見えるのに。
カラス恐るべし。
TNRボランティアが撮影した母猫とその兄弟の画像が送られてきました。
餌やりはいますが触れるほどは寄ってこないそう。
捕獲機を貸し出してのTNRになる予定。
仔猫と引き離されてしまった母猫は、発情が始まるので手術を急がないといけません。
この母猫は1週間経過、7月7日にもう1匹と共に避妊手術予定です。
2023年7月7日。
保健所に収容されミルクボランティア行きとなった乳飲み子4匹の母猫を避妊手術しました。
母猫は去年産まれた1歳未満の若い猫です。
去年産まれて1年も経たぬ間に子供を産む、それが野良猫の繁殖。
6月21日に仔猫を失った母猫は、既に発情が始まっていたようです。
今まで見た事の無い茶トラに追い掛け回されていたとの事。
メスがオスに追い回されたりマウントされたりした後には、妊娠・出産が続きます。
避妊去勢手術をしなければ、野良猫たちは繁殖し続けます。
結果生まれる仔猫が、カラスに襲われたり病気になったりします。
今回の相談も仔猫を保護するだけなら、3ヶ月も経たぬ間に次の仔猫が産まれてしまう。
屋外で仔猫を見つけたら、その後ろにあるもの、つまり母猫のTNRまでを考えないといけません。
【TNRの流れ】
①餌やり人が猫を捕獲する
②預かりボランティアが猫を預かる
③搬送ボランティアが病院へ送迎する
④病院で避妊去勢手術・手術済の目印「さくら耳」にする
※オスは右耳、メスは左耳の先をV字型にカットします
⑤手術が済んだら搬送ボランティアが迎えに行き、預かりボランティアのところへ届ける
⑥抗生剤を投与する期間、預かりボランティアが保護して投薬する
⑦抗生剤の投与が終わり、健康に問題が無ければ元の場所に猫を返す
2023年7月12日。
7月7日にオペした母猫とその姉妹は、投薬期間が終わったので本日解放しました。
これからは妊娠や出産で栄養を取られる事は無くなり、産んだ子をカラスに襲われる事も無い。
ケージの扉を開けると、母猫はすぐ飛び出して走り去り、姉妹はしばらくケージ内で固まってましたが、やがて立ち上がりダッシュで逃げ去りました。
TNRは、避妊去勢手術をする事で野良猫の増え過ぎを防ぎ、地域猫としてその動向を見守る活動です。
稀に「保護して里親を探す事」と間違えておられる方がいらっしゃいますが、そうではありません。
猫は繁殖力がとても高く、交尾をすればほぼ確実に妊娠する「交尾排卵」の動物です。
交尾排卵とは、交尾の刺激で排卵するもので、哺乳類の中では猫とウサギとごく一部の動物だけが持つ繁殖機能。
妊娠は年中可能で、子育て中ではないメス猫は栄養状態が良ければ交尾して出産に至ります。 
避妊去勢手術をしていないオスとメスが1組いたら、翌年にはその10倍の20匹以上に増えると言われています。
TNRは、それを抑制するもの。
筆者は空家の主に頼まれてそこに住み着いた野良猫たちの餌やりをしていますが、餌やりを始めた時に12頭だった野良猫たちが、半年後に仔猫が産まれて一時は50匹超えになり、驚き慌てた経験があります。
※猫たちはその後全頭TNRして、現在では繁殖は無くなりました。
石垣島では、まだあちこちで野良猫の繁殖が続いています。
仔猫も4月から次々に相談が入りますが、譲渡会で里親が決まるのは年に30匹ほどです。
保護するだけでは解決にはならない。
TNRと、地域猫との共存をお願いします。
2023年10月8日。
6月21日に八重山保健所に収容された仔猫4匹は、今も保健所にいます。
誰からも里親希望がきていません。