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奇跡の猫てんちゃん

ー/ー



2023年7月1日朝9時10分頃。
1匹の猫が、永遠の眠りに就きました。
猫の名前は「てん」。
2020年に八重山保健所に収容された猫でした。


2020年9月2日、1匹の猫が石垣市内の公民館敷地内で倒れていたところを、通行人が発見しました。
発見者はすぐに動物病院へ連れて行き、レントゲンを撮ってもらったところ……
「腎臓が写ってない、破裂してるかも」
……と言われたそうです。

首輪代わりにヘアゴムが着けられていたので、発見者は飼い猫の可能性を考えて保健所へ持ち込みました。
保健所は猫の左耳がカットされている事から地域猫だろうと思い、TNRの情報を求めて筆者に電話連絡、筆者は交流のあるTNR専門ボランティア【ふくぎの会】、地域猫見守りボランティア【島猫見守るニャンの会】に連絡、知っている猫かどうか保健所へ確認に行ってもらったのですが……
……確認の結果、誰も心当たりの無い、管理者不明の地域猫との事でした。

交通事故で内蔵を損傷しているようだが保健所では治療が出来ない。
そもそも地域猫は保健所に収容される必要が無い。
そこで、譲渡ボランティア&北部で地域猫の管理をしている筆者が引き取る事に。
しかし当時、筆者の会社で某ウイルスの陽性者多発で営業停止、従業員は全員自宅待機を命じられていた頃でした。

外出禁止のため筆者は保健所へ猫を迎えに行く事が出来ないので、ボランティア仲間SNさんに電話で相談しました。
「保健所に腎臓破裂してるらしい猫がいる。譲渡ボランティア権限で引き出しは出来るけど迎えに行けない」
「じゃあ代わりに行ってあげる」
と話してからのSNさんの行動は早かった。

筆者の代理人として保健所へ走り、受付で引き出し書類を代筆、猫は収容されたその日のうちに引き出されました。
※保健所の担当者から1週間は「預かり」扱いで、譲渡可能になるのはその期間が過ぎてからと告げられる。

SNさんは猫を連れて保健所を出てセカンドオピニオンとして発見者が行ったのとは別の病院へ直行。
結果、道中で猫はたっぷりシッコを出したので、腎臓破裂は無いとの診断でした。

セカンドオピニオン後、SNさんは我が家に猫を届けてくれました。
下半身麻痺状態の猫が、我が家の隔離スペースにIN。
保健所からは、さくらねこなので回復して屋外生活出来そうならリリースしてもよいと告げられました。
その猫の地域猫管理者から連絡がきたら返してあげてとも言われたのですが……
……管理者は現れず、出所不明のまま現在に至ります。


猫はスリゴロでした。
誰が餌やりしてるのか分からない場所へ返すよりも譲渡した方がいい。
そう思い、保健所にウイルス検査やワクチン接種を依頼しました。
八重山保健所では、収容犬猫の譲渡の前にワクチン接種などの医療を済ませてくれます。

そのウイルス検査で、問題が発覚。

猫免疫不全ウイルスFIVと、猫伝染性白血病ウイルスFeLV、どちらも陽性でした。
ダブルキャリアと呼ばれる、2つのウイルスを保有する猫と判明したのです。

「白血病キャリア猫は1年以内に発症して死亡する事が多い」
と言ったのは、島の獣医師。
当時は白血病キャリアは珍しかったが、感染すれば1年以内に発症して死亡してゆくという。
その中でダブルキャリアは比較的存命期間が長いとも言われました。

寝たきりで一生を終えるかと思われた、下半身麻痺で後ろ半分引きずるように這っていた猫は、優れた回復力で歩けるようになりました。
ミラクルキャットだ!とボラ仲間と話していて、思いついた名は【テンコー】。
※筆者の別作品【株式会社SETA異世界派遣部~眠れる魔王と勇者の子孫~】に登場するSETA商会の店員テン・コーは、この子をモデルにした猫型獣人です。

テンコーは譲渡会に出て、預かりボラまたは里親を募集しました。
すると預かり希望のMSさんからお声がけ頂き、我が家からMSさん宅へ。
預かる間にずっとの家族になる気持ちが生まれたMSさんから里親希望を頂きました。
キャリアっ子は島内譲渡が難しい中、ダブルなのに里親が決まるという驚き。


ずっとの家族が出来たテンコーは「てん」と名前を変え、穏やかに暮らして1年経った頃。
ガリガリだった猫はとてもふくよかになっていました。

そして驚き追加、白血病が陰転するという奇跡!
同時期に白血病キャリアと分った他猫は、半年後に発症して亡くなっています。

ちなみに
1年後のてんちゃんに筆者が会いに行ったら、
すっかり忘れられた上に、不審な目で見られて逃げられた(猫あるある)

その後…
譲渡から3年が経とうとする2023年7月1日。
白血病キャリアとして筆者が知る中で、最も長生きした猫・てんちゃん永眠。

里親さんが撮り溜めた画像を見せてもらいました。
その愛らしい表情を見るだけで、幸せな猫生だったねと思いました。

元は地域猫として生きていたてんちゃん。
交通事故に遭わなければ、今も飼い主のいない生活で屋外に居た筈。
安心して暮らせる飼い猫になれたのは、とても幸運な事です。

MSさん、てんちゃんに幸せをありがとう。
てんちゃんは虹の橋のたもとから、大好きな家族を見守ってくれると思います。


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2023年7月1日朝9時10分頃。
1匹の猫が、永遠の眠りに就きました。
猫の名前は「てん」。
2020年に八重山保健所に収容された猫でした。
2020年9月2日、1匹の猫が石垣市内の公民館敷地内で倒れていたところを、通行人が発見しました。
発見者はすぐに動物病院へ連れて行き、レントゲンを撮ってもらったところ……
「腎臓が写ってない、破裂してるかも」
……と言われたそうです。
首輪代わりにヘアゴムが着けられていたので、発見者は飼い猫の可能性を考えて保健所へ持ち込みました。
保健所は猫の左耳がカットされている事から地域猫だろうと思い、TNRの情報を求めて筆者に電話連絡、筆者は交流のあるTNR専門ボランティア【ふくぎの会】、地域猫見守りボランティア【島猫見守るニャンの会】に連絡、知っている猫かどうか保健所へ確認に行ってもらったのですが……
……確認の結果、誰も心当たりの無い、管理者不明の地域猫との事でした。
交通事故で内蔵を損傷しているようだが保健所では治療が出来ない。
そもそも地域猫は保健所に収容される必要が無い。
そこで、譲渡ボランティア&北部で地域猫の管理をしている筆者が引き取る事に。
しかし当時、筆者の会社で某ウイルスの陽性者多発で営業停止、従業員は全員自宅待機を命じられていた頃でした。
外出禁止のため筆者は保健所へ猫を迎えに行く事が出来ないので、ボランティア仲間SNさんに電話で相談しました。
「保健所に腎臓破裂してるらしい猫がいる。譲渡ボランティア権限で引き出しは出来るけど迎えに行けない」
「じゃあ代わりに行ってあげる」
と話してからのSNさんの行動は早かった。
筆者の代理人として保健所へ走り、受付で引き出し書類を代筆、猫は収容されたその日のうちに引き出されました。
※保健所の担当者から1週間は「預かり」扱いで、譲渡可能になるのはその期間が過ぎてからと告げられる。
SNさんは猫を連れて保健所を出てセカンドオピニオンとして発見者が行ったのとは別の病院へ直行。
結果、道中で猫はたっぷりシッコを出したので、腎臓破裂は無いとの診断でした。
セカンドオピニオン後、SNさんは我が家に猫を届けてくれました。
下半身麻痺状態の猫が、我が家の隔離スペースにIN。
保健所からは、さくらねこなので回復して屋外生活出来そうならリリースしてもよいと告げられました。
その猫の地域猫管理者から連絡がきたら返してあげてとも言われたのですが……
……管理者は現れず、出所不明のまま現在に至ります。
猫はスリゴロでした。
誰が餌やりしてるのか分からない場所へ返すよりも譲渡した方がいい。
そう思い、保健所にウイルス検査やワクチン接種を依頼しました。
八重山保健所では、収容犬猫の譲渡の前にワクチン接種などの医療を済ませてくれます。
そのウイルス検査で、問題が発覚。
猫免疫不全ウイルスFIVと、猫伝染性白血病ウイルスFeLV、どちらも陽性でした。
ダブルキャリアと呼ばれる、2つのウイルスを保有する猫と判明したのです。
「白血病キャリア猫は1年以内に発症して死亡する事が多い」
と言ったのは、島の獣医師。
当時は白血病キャリアは珍しかったが、感染すれば1年以内に発症して死亡してゆくという。
その中でダブルキャリアは比較的存命期間が長いとも言われました。
寝たきりで一生を終えるかと思われた、下半身麻痺で後ろ半分引きずるように這っていた猫は、優れた回復力で歩けるようになりました。
ミラクルキャットだ!とボラ仲間と話していて、思いついた名は【テンコー】。
※筆者の別作品【株式会社SETA異世界派遣部~眠れる魔王と勇者の子孫~】に登場するSETA商会の店員テン・コーは、この子をモデルにした猫型獣人です。
テンコーは譲渡会に出て、預かりボラまたは里親を募集しました。
すると預かり希望のMSさんからお声がけ頂き、我が家からMSさん宅へ。
預かる間にずっとの家族になる気持ちが生まれたMSさんから里親希望を頂きました。
キャリアっ子は島内譲渡が難しい中、ダブルなのに里親が決まるという驚き。
ずっとの家族が出来たテンコーは「てん」と名前を変え、穏やかに暮らして1年経った頃。
ガリガリだった猫はとてもふくよかになっていました。
そして驚き追加、白血病が陰転するという奇跡!
同時期に白血病キャリアと分った他猫は、半年後に発症して亡くなっています。
ちなみに
1年後のてんちゃんに筆者が会いに行ったら、
すっかり忘れられた上に、不審な目で見られて逃げられた(猫あるある)
その後…
譲渡から3年が経とうとする2023年7月1日。
白血病キャリアとして筆者が知る中で、最も長生きした猫・てんちゃん永眠。
里親さんが撮り溜めた画像を見せてもらいました。
その愛らしい表情を見るだけで、幸せな猫生だったねと思いました。
元は地域猫として生きていたてんちゃん。
交通事故に遭わなければ、今も飼い主のいない生活で屋外に居た筈。
安心して暮らせる飼い猫になれたのは、とても幸運な事です。
MSさん、てんちゃんに幸せをありがとう。
てんちゃんは虹の橋のたもとから、大好きな家族を見守ってくれると思います。