俺達と女の子達が情報共有してパーティードレスと設定を準備する話(2/2)

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 夕食後、辺境伯とリーディアちゃんが、シンシアのパーティーでの設定と衣装を披露するということで、クリスも含めて、俺達の部屋に集まるように言われた。  しばらく待っていると、二人が部屋に入ってきた。勿体ぶって、衣装は扉の外に用意してあるようだ。 「さて、実は昨日の内に、シンシアの設定は考えていたのだが、リーディアや衣装の調整があったので、少し遅くなってしまった。それでは、シンシア。これを読み上げてくれたまえ」  辺境伯はポケットから一枚の紙を取り出し、シンシアに渡した。こういうのは気恥ずかしくて、目の前で音読されるのは避けたいと思うのが心情だが、辺境伯はテンションが上がっているのか、メンタルが強いのか、全く平気そうだ。俺も見習いたいものだ。 「それでは……。名前は『カレイド=リスマー』。ボードゲーム全般が得意であり、父親同然で尊敬する師匠『マー=リスマー』がいる。赤子で捨てられていたところを師匠に拾われ、育てられた。誕生日は分からないため、拾われた日の八月十日としている。  髪は黒髪で、対局時は後ろ結び。好きな色は白と黒、好きな食べ物は果物全般、嫌いな食べ物はトマト。好きなタイプは頭が良く優しい人、嫌いなタイプは横柄な人や他人を傷付ける人。  座右の銘は、師匠の言葉から、『負け続けることは良いことだ。それだけ学べることが多いのだから』。他者との会話では、節々に師匠の教えが含まれている。  可憐だが、悟りを開いたかのごとく落ち着いており、口調も丁寧。ダンスは踊れず、リードされるのも嫌なので、誘われても頑なに断ろうと思っている。  大勢の人の前で碁を打つのは初めて。辺境伯が自領で偶々見つけ、非常に賢そうなオーラに期待して、声をかけた。碁は師匠から教えてもらったが、師匠がなぜ碁を知っていたかは秘密にされており、発明者本人か、その関係者説が持ち上がっている。  実際、師匠は働いておらず、カレイドにボードゲームを教えるのみであるため、碁に限らず、何らかの発明の賞金で暮らしているのかもしれないとカレイドは考えている」  思った通り、細かく設定してきたか。ボードゲームにちなんで、良い座右の銘まで考えている。  名前は『マスカレード』が由来だろう。ファミリーネームの方ではあるが、しっかりと『リス』を入れてもいる。師匠の名前が本名ではないことを示唆しているのだろうか。 「そして、私がプロデュースしたドレスがこれよ!」  リーディアちゃんの声と共に部屋の扉が開かれ、待機していたメイドがハンガーに掛けられたドレスを持ってきた。  それは、碁石の色をイメージしたような、白地がメインで、黒のチェック模様が入っていたり、レースが付いたりしており、シックでありながら、美しくもかっこよく仕上がったドレスだった。 「おおー」  アースリーちゃん、シンシア、クリスが感嘆の声を上げた。 「クリス、変装魔法でシンシアの髪の色を黒に、声は今のシンシアより少し高めにしてくれる? かけ終わったら、ドレスを当ててみるから、シンシアは自己紹介してみて。今よりも落ち着いた感じね」  二人の返事のあと、クリスが詠唱し、魔法を発動すると、シンシアの髪がスーッと黒くなった。  そして、リーディアちゃんがハンガーに掛かったままのドレスを手に持って、シンシアの前に当てた。 「あー、あー、初めまして。私はカレイド=リスマーと申します。この度、レドリー辺境伯にご招待いただき、ウィルズ様と碁を打つ機会をいただきました。よろしくお願いします」 「どう? お父様」 「完璧だよ、リーディア。想像通りだ。シンシア、髪を結んでみてくれないか。対局では、君の凛々しい姿を周りに見せたいんだ」 「分かりました」  リーディアちゃんがシンシアに紐を渡すと、シンシアが前面の髪はそのままに、首の辺りで後ろ髪を結んだ。それによって、何となく空気が引き締まった感じがした。 「おお! 良いな。ドレスに合っている」 「シンシアさん、かっこいい!」  辺境伯とアースリーちゃんが、シンシアの姿をまじまじと見つめ、褒め称えた。 「シンシアさんのようなロング髪の女騎士は、そのままかポニーテールのイメージですが、この場合は、勝負師という感じが出ていて良いですね」  その素晴らしさから、クリスも評せざるを得なかったようだ。 「ドレスは今日の内にちゃんと合わせてみた方が良いから、シンシアは着てみてくれる? お父様、あとは私達にお任せください」 「それじゃあ、明日を楽しみにしているよ。朝食は軽めにして、昼食は少し早めにするつもりだ。そのあとに着付けをすることになる。演技の練習として、できれば朝食の時からキャラを作っておいてほしいね」  辺境伯が退室し、シンシアがドレスに着替え始めた。メイド達も着付けを手伝い、すぐにドレス姿のシンシアを見ることができた。 「サイズは問題ないようだ。スカートの長さや広さも希望通りだ」  シンシアは、自身の動きやすさに加えて、俺達の巻き付く余裕を確認してくれた。 「シンシアさんのスタイルの良さがドレスのデザインで引き立っていますね。白と黒のバランスが良いのでしょう。流石です、リーディアさん」 「ありがとう、クリス。前からファッションデザインには興味があって、人物サイズのもやってみたかったから嬉しい。今回は、ありものの組み合わせだけど、いつか一から作ってみたい」 「リーちゃん、もしかしてあの熊のぬいぐるみの服って……」 「うん、私が作った。私、友達を作ろうとしなかったから、人形やぬいぐるみで一人で遊んでて、その時に自分の好きな服を色々着せ替えられたら良いなと思って……。それがファッションに興味を持つようになったキッカケかな」  リーディアちゃんが自ら立候補しただけのことはある。間違いなくデザインセンスはあるし、裁縫も得意と言える。 「ありがとう、リーディア。私も気合いが入った。皆の想いに応えるべく、必ずや作戦を成功させる!」 「私も明日を楽しみにしているわ。それじゃあ、そろそろ寝る準備をしましょうか。ドレスは脱いで、また明日持ってきてもらいましょう」  シンシアは脱いだドレスをメイドに渡して、いつもの彼女に戻った。メイド達が退室すると、俺達は姿を現した。  俺は、丁度良い質問の機会だと思い、黒板にメッセージを書いた。辺境伯の話を聞いたあとに、シンシアに聞こうと思っていたことだ。 『みんな揃っているから、この際に聞きたいことがある。朱のクリスタルについて、千年前から存在していることは知っているか、知っているとしたらなぜ知っているか』  俺が書いた内容を見て、みんなキョトンとした顔をしていた。最初に口を開いたのはクリスだった。 「知っていますが、なぜかと言われると……思い出せません」  クリスはアースリーちゃんを見た。 「私も知ってるけど……なんでだろう? リーちゃんは?」 「私も同じ……シンシアは?」 「私もです。レドリー卿と話をした時に、初めて思い出しましたが、朱のクリスタルについて、知っていることを全てシュウ様に話す時には思い出せませんでした。なぜ知っているのかも分かりません」  シンシアの言葉に引っ掛かった。 『初めて思い出した? 他の三人は? これまで一回も話題に出たこともないし、思い出したこともなかった?』  クリス、アースリーちゃん、リーディアちゃんは頷いた。俺は追加で質問した。 『他の人が知っていることは知っている?』  全員が頷いた。おかしすぎる。それが本当だとすると、みんなが物心ついた時には、すでに朱のクリスタルの存在が常識であると知っていたことになる。常識であることが常識なのだ。  しかも、催眠魔法や洗脳魔法にかかっているわけでないことは、クリスによってそれを全て解除されたアースリーちゃんを見れば分かる。こんなことができるのは触神様しかいないが、目的が分からなければ聞きようがない。  とりあえず、明日イリスちゃんに聞いてからにしよう。 『分かった。ありがとう』  俺は感謝の言葉を書くと、黒板を元の位置に戻し、ベッド上に横たわった。それを見て、みんなも下着姿になり、俺達の周りに集まってきた。 「あの……皆さん、もし希望者がいれば、感度が倍増する催眠魔法をかけましょうか? ただ、癖になると普通の状態では満足できなくなる恐れもあるので、一長一短ですが」 「確かに、催眠魔法ならそういうことも可能なのか……。だが、クリスの言う通り、やはり怖さもあるな……何らかの条件を加えられれば、そういう恐れもなくなるかもしれないが」  クリスの提案にシンシアが答えた。さっきの質問が、まるで何事もなかったかのように別の話題になって、誰も戸惑っていないのもおかしいが、ここはスルーしよう。 「それでは、詳しい条件はあとで考えるとして、お試しで搾乳魔法でもかけますか? もしかすると、これまでの状況とはかなり異なるので、シュウ様の経験値減衰も小さくなるのではないでしょうか。  対象者については、血液以外の体液が排出される時に気持ち良いように、母乳が出る時は気持ち良くなります。この場合の条件は、授乳時だけ母乳が出るようになり、普通の母親が感じるよりも気持ち良いです。シュウ様は必要ないと思いますが、飲む側は味覚を変えることもできます。  例えば、それぞれのイメージにあった母乳の味などに変えられます。そのままだと、授乳側の普段の食事で味に影響したり、薄い血の味がして口に合わず、大人がごくごく飲む物ではない場合もありますからね。  それらは全て、私も試しにやったことがあるので、ご安心ください。特にアースリーさんには、是非とも体験していただき、真の聖母として、私達に授乳していただきたいです」 「うん、分かった。みんなもやってほしいな。私もみんなのおっぱい飲んでみたいから」 「アーちゃん、一緒に飲み合おうね!」  リーディアちゃんはアースリーちゃんに抱き付いて、頬擦りしていた。  俺は搾乳魔法について興味があったので、クリスに質問した。それがあれば、俺達が『搾乳』スキルを取得する必要がなくなる。 『搾乳魔法について、もう少し詳しく教えてほしい。その系統で他にも魔法があるのか含めて。それと、覚えようと思った経緯を教えてほしい』 「搾乳魔法は、催眠魔法、回復魔法、補助魔法の応用で、回復魔法については、以前申し上げた通り、私は基本的なものしか使えませんが、こういう系統の魔法だけは研究しました。  その……女の子なら、一度は出してみたくないですか? 母乳。子どもが生まれるまで待たなくても出せるのであれば、出してみたくなるのが女の子の心情、そう思って研究しました。  元々は、母乳が出ない母親用に界隈では研究されてきたものですが、催眠魔法の応用であるため、使える人は多くないようです。  他には、男女それぞれ用の避妊魔法や催淫魔法も同様ですね。それらは、性魔法と呼ばれる系統になります。性魔法と一部重複する生理魔法という系統もあり、ちょっと変わったものでは、ムダ毛の脱毛魔法とかもあります」 「ク、クーちゃん……! 私、脱毛魔法が気になる! 私、毛が多い方だから……かけてほしい‼」  アースリーちゃんが突然大きな声でクリスに訴えかけた。 「はい、いいですよ。ただし、髪の伸びる早さが少し早くなりますが、それでもいいですか? 毛が多く生える人は、そういうところでバランスを取らないと、体に悪影響があるためです。  外部から毛穴に直接働きかける方法もあるのですが、それは少し痛みがあり、一定期間は肌荒れもするらしいので、私が言った脱毛魔法の方がオススメです。ノーリスクですから。  ちなみに、私が今挙げた各種の性魔法も、対象者の体力を行為後に少し消費させるだけなので、ノーリスクです。  それでは、お風呂場で脱毛魔法をかけましょうか」  毛髪については、ホルモンバランスが影響すると言われているが、それを体全体で、できるだけ保つということか。よく考えられている。  それにしても、アースリーちゃんの体毛については、それはそれで魅力的で良いのだが、本人が望むのであれば仕方がない。手入れも大変だろうし。 「うわー、女の子にとっては最高の魔法だね」  ゆうが羨ましそうに言った。 「しかし、綺麗になるために、そういう所に女の子が時間をかけているからこそ、男は惹かれるのではないだろうか」 「いや、女の子にとってはマジで面倒なだけだからね。そうじゃなかったら、永久脱毛なんて誰もしないし。香水魔法とか、変装魔法の応用で髪のセット魔法とか化粧魔法とかもあれば完璧だね」  一理ある。かく言う俺は、自分も他者も、美容に関しては全く気にしていないのだが、少なくともゆうは、二ノ宮さんと並べるように頑張っていた。  そう言えば、クリスは今でこそ暴走対策の魔法を自分にかけてはいるが、これまでもそれらの魔法を自分にかけていなかったのだろうか。贖罪のために睡眠魔法をかけていなかったことは分かっているが、それ以外に全くかけていなかったとは考えにくい。 『クリス、後学のために教えてほしいんだが、それだけの魔法を使えて、想像を超えた快楽を得られたり、美容で簡単に承認欲求を満たしたりすることができてもなお、町を滅ぼした罪悪感を打ち消すことはできなかった、で合ってるか?』 「はい、おっしゃる通りです。旅をしている時に、昔の研究を思い出して使ってはみたものの、結局、一人だと虚しくなって、罪悪感も絶望感も増すだけでした。廃人になるほどの快楽を得るのも怖かったですし……。  それを含めて、偽名を使っても変装魔法を使わなかったのは、私が私のままでいなければ、贖罪にならないと無意識で考えていたのかもしれません。  仮に、誰かパートナーがいたとしても、今のような考えにはなれなかったと思います。シュウ様、『あなた』にしか私を救えなかった、心の底からそう思います。  それは、シュウ様が人間だったとしても、私は立ち直れなかった、という意味でもあります。他の皆さんも納得していただけると思いますが、触手ならではの責めから得られる快楽があり、そこにあなたの考え方や優しさが加わって、私達が初めて得られる感情があるのだと思います。  さらに、私が言うのも何ですが、触手なのに普通の人間以上の知性があるというギャップにも驚かされると同時に、不思議な魅力を感じますし、だからこそ、人間相手にはできなかったこと、例えば、自分の体重を全て預けることができましたし、これまで誰にも話せなかった悩みを打ち明けることができました。  ただ気持ち良かったから、ただ思いやりに触れたから、ただ魅力的だったから、ただ新しい考え方を教えられたから、ではないということです。当然、それらのいずれかだけで忘れられる悩み、解決できる悩みもあると思います。それが軽い悩みだと言いたいわけでもありません。少なくとも、私はそうだったというだけです。  シュウ様のご質問の意図はお察しいたします。今後、悩みを抱える人へのアプローチについては、単に快楽を与えるだけでなく、これまで同様、その人に合った方法を選択なさるべきだと具申いたします。  もちろん、その方法に各種魔法が含まれるのであれば、私もユキさんも喜んでお手伝いすることでしょう」  クリスらしい分析を交えて回答してくれた。 『ありがとう、クリス。そうすることにしよう。話は以上なので、アースリーちゃんのことを頼む』 「はい、かしこまりました」  クリスがアースリーちゃんを連れて風呂場に向かおうとしたその時、シンシアが引き留めた。 「アースリー、念のために、ここで脱いでから行ってくれないか。その衝撃にクリスが先走ってしまう恐れがある」 「わ、分かりました」  返事をしたアースリーちゃんが、その場で下着を脱ぐと、彼女の豊満な身体がクリスの前で露わになった。 「…………お……おお……! た……確かにこれを二人きりで見せられたら、どうにかなってしまうところでした。ありがとうございます、シンシアさん」  少しの間、固まっていたクリスが我に返り、助言したシンシアに礼を言った。  同じ女性でさえも虜にしてしまうアースリーちゃんの裸、恐るべし。  改めて、クリスとアースリーちゃんが風呂場に行くと、ものの数分で戻ってきた。パッと見てすぐに分かるほど、アースリーちゃんの身体はツルツルだった。 「アースリーさんには、搾乳魔法をまだかけていません。我慢できなくなりそうだったので」  クリスの気持ちは分かる。俺も早くアースリーちゃんのおっぱいを飲みたくてウズウズしている。ゆうもそうに違いない。 「アースリーの授乳の順番を決めておこうか。シュウ様が最初で、次にクリスとリーディアで、シュウ様は、別の体液の摂取に。次にクリスと入れ替わって私、その後、クリスはリーディア、私、自分の順に味覚変化の魔法をかけていき、リーディアと交代するというのはどうだろうか。シュウ様を除いて、搾乳の順番もそれに従う」 「流石、シンシア。それで行きましょう」  リーディアちゃんの賛成のあとに、みんな全裸になると、クリスは早速詠唱を始めた。詠唱を終えると、ベッドに寝そべったアースリーちゃんに向かって搾乳魔法をかけたようだった。 「どうぞ、シュウ様」 「シュウちゃん、おいで」  クリスとアースリーちゃんの言葉を合図に、俺達はアースリーちゃんの胸に飛び付いた。  ゆうは右胸、俺は左胸だ。口を大きめに開け、上顎、下顎、舌を全て使って、奥から手前に吸い上げると、ピューっと乳首の複数の乳管開口部から母乳が飛び出してきた。  その味は、これまでの体液とは完全に一線を画す味だった。毎回言ってるな、これ。今回は別の意味で我を忘れそうだ。  と言うのも、人間であれば確実に涙を流していたであろうほど、その味の中に母性と郷愁を強く感じたからだ。味自体は、丁度良い甘さで、いくらでも食べられるお菓子のようだった。また、鼻に抜けるほどの心地良い香りも感じることができ、一嗅ぎしたバニラエッセンスのように、嗅覚に影響がなければ、ずっと嗅いでいたい気持ちになった。  それらが合わさり、穏やかな気持ちと甘えたい気持ち、懐かしい気持ちまでもが混在することで、この胸にずっと抱かれていたい、ここにいたいと思わせてくれる。そこを離れる時も、楽しかった時間を思い出して、きっと泣いてしまうだろう。 「はぁ……はぁ……シュウちゃん……気持ち良いよぉ…………どう? 美味しい?」  顔を赤らめ、俺達の頭を撫でるアースリーちゃんに、俺はおっぱいを強く吸って答えた。彼女の母性に加えて、この淫らとも言える声が俺の感情を激しく掻き乱す。平常心と発狂の境界を反復横跳びするようなこの奇妙な感覚は癖になりそうだ。  俺は彼女の手の上で踊らされている、彼女がいなければ生きていけない、そう思ってしまうほどだ。  しかし、お互いの愛を強く感じる瞬間でもあった。家族愛、仲間愛、パートナー愛、愛の全てがその空間には確実にあると言える。アースリーちゃんに、心からの愛と感謝を。 「…………」  ゆうも無我夢中でおっぱいを吸っているが、やけに静かだ。 「ゆう、泣いてるのか?」 「なんか、自然に涙が出てくるみたい……。もしかしたら、懐かしいと思うと同時に、無意識に悲しいと思ってるのかな。お母さんとお父さん、家族を思い出して……。でも、大丈夫。むしろ、清々しい気分にもなってるから。すごく不思議な気持ち……ずっとこうしていたい……」  ゆうは、珍しくそこから離れるのが名残惜しそうだった。すでに、クリスはみんなに搾乳魔法をかけ終わっていて、待機しているようだ。本当にあっという間に時間が過ぎていた。 「ゆう、そろそろ交代しよう」 「…………もうちょっとだけ……」 「…………ほら、もうちょっと経ったぞ」  俺はすでにアースリーちゃんから口を離し、下腹部に移動していたが、ゆうは動かない。 「…………もうちょっと……」 「ユウちゃん……の方だよね? 向こうの世界のこと、お母さんのことを思い出しちゃったのかな? よしよし。いっぱい甘えていいよ」  アースリーちゃんは、ゆうを優しく何度も撫でた。 「それじゃあ、クリスを先にしよう。リーディア、それでいいか?」 「ええ、こればかりはしょうがないでしょうね。二人でアーちゃんにいっぱい甘えるといいわ」  シンシアの提案にリーディアちゃんが同意した。素晴らしい配慮だ。 「分かりました。それでは……」  クリスがアースリーちゃんの左胸に吸い付き、しばらくするとクリスの目から涙が溢れ出してきた。アースリーちゃんはクリスの頭も撫でていた。 「私……まだ……味覚を変えてないのに……なんで……なんで昔のことを……思い出すのでしょう……」  ゆうとクリスの二人を、優しい目で見守るリーディアちゃんとシンシア。  甘えたくても、もう二度と甘えることができない家族のことを思い出し、無意識に涙が出るのだろう。ゆうもクリスも吹っ切れているはずなのに、しかし、だからこそ理由が分からず、不思議な感覚に陥り、それが心地良くもある。  アースリーちゃんの魅力が、また一段も二段も増したようだ。 「リーディアさんがアースリーさんのことを大好きな理由がよく分かりました。私も大好きになりました」  クリスはそう言うと、再度アースリーちゃんのおっぱいに吸い付いた。 「ゆう、そろそろ……」 「…………」  反応がない。こうなったら無理矢理引き剥がすか。俺はゆうの上顎を口で挟み、胸から剥がした。 「あ……ああ……! アースリーちゃん……!」 「またあとでもらえばいい。今は順番を回そう」 「うん、ごめん…………。はぁ……まさか、あたしがあんなふうになるなんて……お兄ちゃん、次にあたしがああなったら、また止めてね」 「分かった。まさに、持ちつ持たれつ、だな」  ゆうの普段の様子からは想像できないかもしれないが、元々は甘えん坊気質だったこともあり、そういう意味でもアースリーちゃんとの相性は良かったのだが、ここに来て、アースリーちゃんの魅力が増したことにより、その気持ちが爆発してしまったのだろう。  俺が兄としてアースリーちゃんの役割を担えれば良かったが、お互い人間として触れ合える顕現フェイズでもないし、やはり触手の姿では難しい。その分、ゆうとアースリーちゃんの愛が深まるので、それはそれで良いこととしておこう。 「アースリーちゃん、大好きだよ……」  ゆうはアースリーちゃんにお礼のキスをし、いつものように舌を絡めた。それからは、入れ代わり立ち代わり、それぞれがそれぞれの母乳の味を、味覚を変えながら楽しんだ。  俺達も彼女達全員の体液を、母乳を含めて摂取し、レベルアップに繋げることができた。取得するスキルは決まっているが、顕現フェイズで触神様に確認することをイリスちゃんと相談したいから、あとにする。  いよいよ明日の夕方からは、アースリーちゃんの晴れ舞台だ。良いパーティーにしよう。  俺達はリーディアちゃんにパーティーを開催するホールの扉が施錠されていないかを確認し、あらかじめホールの梁の上に移動した。  念のため、複数の角度から下を見られるようにしておきたいので、二本ほど触手を増やして、離れて配置させた。諸々の準備は当日行うらしく、ホールでは朝までに誰一人として目にすることはなかった。



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 夕食後、辺境伯とリーディアちゃんが、シンシアのパーティーでの設定と衣装を披露するということで、クリスも含めて、俺達の部屋に集まるように言われた。  しばらく待っていると、二人が部屋に入ってきた。勿体ぶって、衣装は扉の外に用意してあるようだ。 「さて、実は昨日の内に、シンシアの設定は考えていたのだが、リーディアや衣装の調整があったので、少し遅くなってしまった。それでは、シンシア。これを読み上げてくれたまえ」  辺境伯はポケットから一枚の紙を取り出し、シンシアに渡した。こういうのは気恥ずかしくて、目の前で音読されるのは避けたいと思うのが心情だが、辺境伯はテンションが上がっているのか、メンタルが強いのか、全く平気そうだ。俺も見習いたいものだ。 「それでは……。名前は『カレイド=リスマー』。ボードゲーム全般が得意であり、父親同然で尊敬する師匠『マー=リスマー』がいる。赤子で捨てられていたところを師匠に拾われ、育てられた。誕生日は分からないため、拾われた日の八月十日としている。  髪は黒髪で、対局時は後ろ結び。好きな色は白と黒、好きな食べ物は果物全般、嫌いな食べ物はトマト。好きなタイプは頭が良く優しい人、嫌いなタイプは横柄な人や他人を傷付ける人。  座右の銘は、師匠の言葉から、『負け続けることは良いことだ。それだけ学べることが多いのだから』。他者との会話では、節々に師匠の教えが含まれている。  可憐だが、悟りを開いたかのごとく落ち着いており、口調も丁寧。ダンスは踊れず、リードされるのも嫌なので、誘われても頑なに断ろうと思っている。  大勢の人の前で碁を打つのは初めて。辺境伯が自領で偶々見つけ、非常に賢そうなオーラに期待して、声をかけた。碁は師匠から教えてもらったが、師匠がなぜ碁を知っていたかは秘密にされており、発明者本人か、その関係者説が持ち上がっている。  実際、師匠は働いておらず、カレイドにボードゲームを教えるのみであるため、碁に限らず、何らかの発明の賞金で暮らしているのかもしれないとカレイドは考えている」  思った通り、細かく設定してきたか。ボードゲームにちなんで、良い座右の銘まで考えている。  名前は『マスカレード』が由来だろう。ファミリーネームの方ではあるが、しっかりと『リス』を入れてもいる。師匠の名前が本名ではないことを示唆しているのだろうか。 「そして、私がプロデュースしたドレスがこれよ!」  リーディアちゃんの声と共に部屋の扉が開かれ、待機していたメイドがハンガーに掛けられたドレスを持ってきた。  それは、碁石の色をイメージしたような、白地がメインで、黒のチェック模様が入っていたり、レースが付いたりしており、シックでありながら、美しくもかっこよく仕上がったドレスだった。 「おおー」  アースリーちゃん、シンシア、クリスが感嘆の声を上げた。 「クリス、変装魔法でシンシアの髪の色を黒に、声は今のシンシアより少し高めにしてくれる? かけ終わったら、ドレスを当ててみるから、シンシアは自己紹介してみて。今よりも落ち着いた感じね」  二人の返事のあと、クリスが詠唱し、魔法を発動すると、シンシアの髪がスーッと黒くなった。  そして、リーディアちゃんがハンガーに掛かったままのドレスを手に持って、シンシアの前に当てた。 「あー、あー、初めまして。私はカレイド=リスマーと申します。この度、レドリー辺境伯にご招待いただき、ウィルズ様と碁を打つ機会をいただきました。よろしくお願いします」 「どう? お父様」 「完璧だよ、リーディア。想像通りだ。シンシア、髪を結んでみてくれないか。対局では、君の凛々しい姿を周りに見せたいんだ」 「分かりました」  リーディアちゃんがシンシアに紐を渡すと、シンシアが前面の髪はそのままに、首の辺りで後ろ髪を結んだ。それによって、何となく空気が引き締まった感じがした。 「おお! 良いな。ドレスに合っている」 「シンシアさん、かっこいい!」  辺境伯とアースリーちゃんが、シンシアの姿をまじまじと見つめ、褒め称えた。 「シンシアさんのようなロング髪の女騎士は、そのままかポニーテールのイメージですが、この場合は、勝負師という感じが出ていて良いですね」  その素晴らしさから、クリスも評せざるを得なかったようだ。 「ドレスは今日の内にちゃんと合わせてみた方が良いから、シンシアは着てみてくれる? お父様、あとは私達にお任せください」 「それじゃあ、明日を楽しみにしているよ。朝食は軽めにして、昼食は少し早めにするつもりだ。そのあとに着付けをすることになる。演技の練習として、できれば朝食の時からキャラを作っておいてほしいね」  辺境伯が退室し、シンシアがドレスに着替え始めた。メイド達も着付けを手伝い、すぐにドレス姿のシンシアを見ることができた。 「サイズは問題ないようだ。スカートの長さや広さも希望通りだ」  シンシアは、自身の動きやすさに加えて、俺達の巻き付く余裕を確認してくれた。 「シンシアさんのスタイルの良さがドレスのデザインで引き立っていますね。白と黒のバランスが良いのでしょう。流石です、リーディアさん」 「ありがとう、クリス。前からファッションデザインには興味があって、人物サイズのもやってみたかったから嬉しい。今回は、ありものの組み合わせだけど、いつか一から作ってみたい」 「リーちゃん、もしかしてあの熊のぬいぐるみの服って……」 「うん、私が作った。私、友達を作ろうとしなかったから、人形やぬいぐるみで一人で遊んでて、その時に自分の好きな服を色々着せ替えられたら良いなと思って……。それがファッションに興味を持つようになったキッカケかな」  リーディアちゃんが自ら立候補しただけのことはある。間違いなくデザインセンスはあるし、裁縫も得意と言える。 「ありがとう、リーディア。私も気合いが入った。皆の想いに応えるべく、必ずや作戦を成功させる!」 「私も明日を楽しみにしているわ。それじゃあ、そろそろ寝る準備をしましょうか。ドレスは脱いで、また明日持ってきてもらいましょう」  シンシアは脱いだドレスをメイドに渡して、いつもの彼女に戻った。メイド達が退室すると、俺達は姿を現した。  俺は、丁度良い質問の機会だと思い、黒板にメッセージを書いた。辺境伯の話を聞いたあとに、シンシアに聞こうと思っていたことだ。 『みんな揃っているから、この際に聞きたいことがある。朱のクリスタルについて、千年前から存在していることは知っているか、知っているとしたらなぜ知っているか』  俺が書いた内容を見て、みんなキョトンとした顔をしていた。最初に口を開いたのはクリスだった。 「知っていますが、なぜかと言われると……思い出せません」  クリスはアースリーちゃんを見た。 「私も知ってるけど……なんでだろう? リーちゃんは?」 「私も同じ……シンシアは?」 「私もです。レドリー卿と話をした時に、初めて思い出しましたが、朱のクリスタルについて、知っていることを全てシュウ様に話す時には思い出せませんでした。なぜ知っているのかも分かりません」  シンシアの言葉に引っ掛かった。 『初めて思い出した? 他の三人は? これまで一回も話題に出たこともないし、思い出したこともなかった?』  クリス、アースリーちゃん、リーディアちゃんは頷いた。俺は追加で質問した。 『他の人が知っていることは知っている?』  全員が頷いた。おかしすぎる。それが本当だとすると、みんなが物心ついた時には、すでに朱のクリスタルの存在が常識であると知っていたことになる。常識であることが常識なのだ。  しかも、催眠魔法や洗脳魔法にかかっているわけでないことは、クリスによってそれを全て解除されたアースリーちゃんを見れば分かる。こんなことができるのは触神様しかいないが、目的が分からなければ聞きようがない。  とりあえず、明日イリスちゃんに聞いてからにしよう。 『分かった。ありがとう』  俺は感謝の言葉を書くと、黒板を元の位置に戻し、ベッド上に横たわった。それを見て、みんなも下着姿になり、俺達の周りに集まってきた。 「あの……皆さん、もし希望者がいれば、感度が倍増する催眠魔法をかけましょうか? ただ、癖になると普通の状態では満足できなくなる恐れもあるので、一長一短ですが」 「確かに、催眠魔法ならそういうことも可能なのか……。だが、クリスの言う通り、やはり怖さもあるな……何らかの条件を加えられれば、そういう恐れもなくなるかもしれないが」  クリスの提案にシンシアが答えた。さっきの質問が、まるで何事もなかったかのように別の話題になって、誰も戸惑っていないのもおかしいが、ここはスルーしよう。 「それでは、詳しい条件はあとで考えるとして、お試しで搾乳魔法でもかけますか? もしかすると、これまでの状況とはかなり異なるので、シュウ様の経験値減衰も小さくなるのではないでしょうか。  対象者については、血液以外の体液が排出される時に気持ち良いように、母乳が出る時は気持ち良くなります。この場合の条件は、授乳時だけ母乳が出るようになり、普通の母親が感じるよりも気持ち良いです。シュウ様は必要ないと思いますが、飲む側は味覚を変えることもできます。  例えば、それぞれのイメージにあった母乳の味などに変えられます。そのままだと、授乳側の普段の食事で味に影響したり、薄い血の味がして口に合わず、大人がごくごく飲む物ではない場合もありますからね。  それらは全て、私も試しにやったことがあるので、ご安心ください。特にアースリーさんには、是非とも体験していただき、真の聖母として、私達に授乳していただきたいです」 「うん、分かった。みんなもやってほしいな。私もみんなのおっぱい飲んでみたいから」 「アーちゃん、一緒に飲み合おうね!」  リーディアちゃんはアースリーちゃんに抱き付いて、頬擦りしていた。  俺は搾乳魔法について興味があったので、クリスに質問した。それがあれば、俺達が『搾乳』スキルを取得する必要がなくなる。 『搾乳魔法について、もう少し詳しく教えてほしい。その系統で他にも魔法があるのか含めて。それと、覚えようと思った経緯を教えてほしい』 「搾乳魔法は、催眠魔法、回復魔法、補助魔法の応用で、回復魔法については、以前申し上げた通り、私は基本的なものしか使えませんが、こういう系統の魔法だけは研究しました。  その……女の子なら、一度は出してみたくないですか? 母乳。子どもが生まれるまで待たなくても出せるのであれば、出してみたくなるのが女の子の心情、そう思って研究しました。  元々は、母乳が出ない母親用に界隈では研究されてきたものですが、催眠魔法の応用であるため、使える人は多くないようです。  他には、男女それぞれ用の避妊魔法や催淫魔法も同様ですね。それらは、性魔法と呼ばれる系統になります。性魔法と一部重複する生理魔法という系統もあり、ちょっと変わったものでは、ムダ毛の脱毛魔法とかもあります」 「ク、クーちゃん……! 私、脱毛魔法が気になる! 私、毛が多い方だから……かけてほしい‼」  アースリーちゃんが突然大きな声でクリスに訴えかけた。 「はい、いいですよ。ただし、髪の伸びる早さが少し早くなりますが、それでもいいですか? 毛が多く生える人は、そういうところでバランスを取らないと、体に悪影響があるためです。  外部から毛穴に直接働きかける方法もあるのですが、それは少し痛みがあり、一定期間は肌荒れもするらしいので、私が言った脱毛魔法の方がオススメです。ノーリスクですから。  ちなみに、私が今挙げた各種の性魔法も、対象者の体力を行為後に少し消費させるだけなので、ノーリスクです。  それでは、お風呂場で脱毛魔法をかけましょうか」  毛髪については、ホルモンバランスが影響すると言われているが、それを体全体で、できるだけ保つということか。よく考えられている。  それにしても、アースリーちゃんの体毛については、それはそれで魅力的で良いのだが、本人が望むのであれば仕方がない。手入れも大変だろうし。 「うわー、女の子にとっては最高の魔法だね」  ゆうが羨ましそうに言った。 「しかし、綺麗になるために、そういう所に女の子が時間をかけているからこそ、男は惹かれるのではないだろうか」 「いや、女の子にとってはマジで面倒なだけだからね。そうじゃなかったら、永久脱毛なんて誰もしないし。香水魔法とか、変装魔法の応用で髪のセット魔法とか化粧魔法とかもあれば完璧だね」  一理ある。かく言う俺は、自分も他者も、美容に関しては全く気にしていないのだが、少なくともゆうは、二ノ宮さんと並べるように頑張っていた。  そう言えば、クリスは今でこそ暴走対策の魔法を自分にかけてはいるが、これまでもそれらの魔法を自分にかけていなかったのだろうか。贖罪のために睡眠魔法をかけていなかったことは分かっているが、それ以外に全くかけていなかったとは考えにくい。 『クリス、後学のために教えてほしいんだが、それだけの魔法を使えて、想像を超えた快楽を得られたり、美容で簡単に承認欲求を満たしたりすることができてもなお、町を滅ぼした罪悪感を打ち消すことはできなかった、で合ってるか?』 「はい、おっしゃる通りです。旅をしている時に、昔の研究を思い出して使ってはみたものの、結局、一人だと虚しくなって、罪悪感も絶望感も増すだけでした。廃人になるほどの快楽を得るのも怖かったですし……。  それを含めて、偽名を使っても変装魔法を使わなかったのは、私が私のままでいなければ、贖罪にならないと無意識で考えていたのかもしれません。  仮に、誰かパートナーがいたとしても、今のような考えにはなれなかったと思います。シュウ様、『あなた』にしか私を救えなかった、心の底からそう思います。  それは、シュウ様が人間だったとしても、私は立ち直れなかった、という意味でもあります。他の皆さんも納得していただけると思いますが、触手ならではの責めから得られる快楽があり、そこにあなたの考え方や優しさが加わって、私達が初めて得られる感情があるのだと思います。  さらに、私が言うのも何ですが、触手なのに普通の人間以上の知性があるというギャップにも驚かされると同時に、不思議な魅力を感じますし、だからこそ、人間相手にはできなかったこと、例えば、自分の体重を全て預けることができましたし、これまで誰にも話せなかった悩みを打ち明けることができました。  ただ気持ち良かったから、ただ思いやりに触れたから、ただ魅力的だったから、ただ新しい考え方を教えられたから、ではないということです。当然、それらのいずれかだけで忘れられる悩み、解決できる悩みもあると思います。それが軽い悩みだと言いたいわけでもありません。少なくとも、私はそうだったというだけです。  シュウ様のご質問の意図はお察しいたします。今後、悩みを抱える人へのアプローチについては、単に快楽を与えるだけでなく、これまで同様、その人に合った方法を選択なさるべきだと具申いたします。  もちろん、その方法に各種魔法が含まれるのであれば、私もユキさんも喜んでお手伝いすることでしょう」  クリスらしい分析を交えて回答してくれた。 『ありがとう、クリス。そうすることにしよう。話は以上なので、アースリーちゃんのことを頼む』 「はい、かしこまりました」  クリスがアースリーちゃんを連れて風呂場に向かおうとしたその時、シンシアが引き留めた。 「アースリー、念のために、ここで脱いでから行ってくれないか。その衝撃にクリスが先走ってしまう恐れがある」 「わ、分かりました」  返事をしたアースリーちゃんが、その場で下着を脱ぐと、彼女の豊満な身体がクリスの前で露わになった。 「…………お……おお……! た……確かにこれを二人きりで見せられたら、どうにかなってしまうところでした。ありがとうございます、シンシアさん」  少しの間、固まっていたクリスが我に返り、助言したシンシアに礼を言った。  同じ女性でさえも虜にしてしまうアースリーちゃんの裸、恐るべし。  改めて、クリスとアースリーちゃんが風呂場に行くと、ものの数分で戻ってきた。パッと見てすぐに分かるほど、アースリーちゃんの身体はツルツルだった。 「アースリーさんには、搾乳魔法をまだかけていません。我慢できなくなりそうだったので」  クリスの気持ちは分かる。俺も早くアースリーちゃんのおっぱいを飲みたくてウズウズしている。ゆうもそうに違いない。 「アースリーの授乳の順番を決めておこうか。シュウ様が最初で、次にクリスとリーディアで、シュウ様は、別の体液の摂取に。次にクリスと入れ替わって私、その後、クリスはリーディア、私、自分の順に味覚変化の魔法をかけていき、リーディアと交代するというのはどうだろうか。シュウ様を除いて、搾乳の順番もそれに従う」 「流石、シンシア。それで行きましょう」  リーディアちゃんの賛成のあとに、みんな全裸になると、クリスは早速詠唱を始めた。詠唱を終えると、ベッドに寝そべったアースリーちゃんに向かって搾乳魔法をかけたようだった。 「どうぞ、シュウ様」 「シュウちゃん、おいで」  クリスとアースリーちゃんの言葉を合図に、俺達はアースリーちゃんの胸に飛び付いた。  ゆうは右胸、俺は左胸だ。口を大きめに開け、上顎、下顎、舌を全て使って、奥から手前に吸い上げると、ピューっと乳首の複数の乳管開口部から母乳が飛び出してきた。  その味は、これまでの体液とは完全に一線を画す味だった。毎回言ってるな、これ。今回は別の意味で我を忘れそうだ。  と言うのも、人間であれば確実に涙を流していたであろうほど、その味の中に母性と郷愁を強く感じたからだ。味自体は、丁度良い甘さで、いくらでも食べられるお菓子のようだった。また、鼻に抜けるほどの心地良い香りも感じることができ、一嗅ぎしたバニラエッセンスのように、嗅覚に影響がなければ、ずっと嗅いでいたい気持ちになった。  それらが合わさり、穏やかな気持ちと甘えたい気持ち、懐かしい気持ちまでもが混在することで、この胸にずっと抱かれていたい、ここにいたいと思わせてくれる。そこを離れる時も、楽しかった時間を思い出して、きっと泣いてしまうだろう。 「はぁ……はぁ……シュウちゃん……気持ち良いよぉ…………どう? 美味しい?」  顔を赤らめ、俺達の頭を撫でるアースリーちゃんに、俺はおっぱいを強く吸って答えた。彼女の母性に加えて、この淫らとも言える声が俺の感情を激しく掻き乱す。平常心と発狂の境界を反復横跳びするようなこの奇妙な感覚は癖になりそうだ。  俺は彼女の手の上で踊らされている、彼女がいなければ生きていけない、そう思ってしまうほどだ。  しかし、お互いの愛を強く感じる瞬間でもあった。家族愛、仲間愛、パートナー愛、愛の全てがその空間には確実にあると言える。アースリーちゃんに、心からの愛と感謝を。 「…………」  ゆうも無我夢中でおっぱいを吸っているが、やけに静かだ。 「ゆう、泣いてるのか?」 「なんか、自然に涙が出てくるみたい……。もしかしたら、懐かしいと思うと同時に、無意識に悲しいと思ってるのかな。お母さんとお父さん、家族を思い出して……。でも、大丈夫。むしろ、清々しい気分にもなってるから。すごく不思議な気持ち……ずっとこうしていたい……」  ゆうは、珍しくそこから離れるのが名残惜しそうだった。すでに、クリスはみんなに搾乳魔法をかけ終わっていて、待機しているようだ。本当にあっという間に時間が過ぎていた。 「ゆう、そろそろ交代しよう」 「…………もうちょっとだけ……」 「…………ほら、もうちょっと経ったぞ」  俺はすでにアースリーちゃんから口を離し、下腹部に移動していたが、ゆうは動かない。 「…………もうちょっと……」 「ユウちゃん……の方だよね? 向こうの世界のこと、お母さんのことを思い出しちゃったのかな? よしよし。いっぱい甘えていいよ」  アースリーちゃんは、ゆうを優しく何度も撫でた。 「それじゃあ、クリスを先にしよう。リーディア、それでいいか?」 「ええ、こればかりはしょうがないでしょうね。二人でアーちゃんにいっぱい甘えるといいわ」  シンシアの提案にリーディアちゃんが同意した。素晴らしい配慮だ。 「分かりました。それでは……」  クリスがアースリーちゃんの左胸に吸い付き、しばらくするとクリスの目から涙が溢れ出してきた。アースリーちゃんはクリスの頭も撫でていた。 「私……まだ……味覚を変えてないのに……なんで……なんで昔のことを……思い出すのでしょう……」  ゆうとクリスの二人を、優しい目で見守るリーディアちゃんとシンシア。  甘えたくても、もう二度と甘えることができない家族のことを思い出し、無意識に涙が出るのだろう。ゆうもクリスも吹っ切れているはずなのに、しかし、だからこそ理由が分からず、不思議な感覚に陥り、それが心地良くもある。  アースリーちゃんの魅力が、また一段も二段も増したようだ。 「リーディアさんがアースリーさんのことを大好きな理由がよく分かりました。私も大好きになりました」  クリスはそう言うと、再度アースリーちゃんのおっぱいに吸い付いた。 「ゆう、そろそろ……」 「…………」  反応がない。こうなったら無理矢理引き剥がすか。俺はゆうの上顎を口で挟み、胸から剥がした。 「あ……ああ……! アースリーちゃん……!」 「またあとでもらえばいい。今は順番を回そう」 「うん、ごめん…………。はぁ……まさか、あたしがあんなふうになるなんて……お兄ちゃん、次にあたしがああなったら、また止めてね」 「分かった。まさに、持ちつ持たれつ、だな」  ゆうの普段の様子からは想像できないかもしれないが、元々は甘えん坊気質だったこともあり、そういう意味でもアースリーちゃんとの相性は良かったのだが、ここに来て、アースリーちゃんの魅力が増したことにより、その気持ちが爆発してしまったのだろう。  俺が兄としてアースリーちゃんの役割を担えれば良かったが、お互い人間として触れ合える顕現フェイズでもないし、やはり触手の姿では難しい。その分、ゆうとアースリーちゃんの愛が深まるので、それはそれで良いこととしておこう。 「アースリーちゃん、大好きだよ……」  ゆうはアースリーちゃんにお礼のキスをし、いつものように舌を絡めた。それからは、入れ代わり立ち代わり、それぞれがそれぞれの母乳の味を、味覚を変えながら楽しんだ。  俺達も彼女達全員の体液を、母乳を含めて摂取し、レベルアップに繋げることができた。取得するスキルは決まっているが、顕現フェイズで触神様に確認することをイリスちゃんと相談したいから、あとにする。  いよいよ明日の夕方からは、アースリーちゃんの晴れ舞台だ。良いパーティーにしよう。  俺達はリーディアちゃんにパーティーを開催するホールの扉が施錠されていないかを確認し、あらかじめホールの梁の上に移動した。  念のため、複数の角度から下を見られるようにしておきたいので、二本ほど触手を増やして、離れて配置させた。諸々の準備は当日行うらしく、ホールでは朝までに誰一人として目にすることはなかった。



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