俺達と女の子が初回接触してスキルを取得する話(1/3)

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 あれから三日。  俺の時間間隔と日時計の両方で確認したところ、一日は二十四時間だった。  まあ、それはさておき、一連の検証で分かったことを時系列で挙げよう。  いくらでも張り付いていられる。幹に巻き付きながら体を起こしたまま、つまり体勢を維持したままでも体が痛くなることはなく、疲れることがない。したがって、体力が無尽蔵である可能性が高い。  昼夜の寒暖差や物質の温度は、意識しない限り感じない。  空腹感は覚えるが、集中力がなくなったり、具合が悪くなったりはしない。空腹を満たそうと、先に挙げた食料候補の順に採取したが、締め上げたリスやウサギの動物の肉でも腹が膨れることはなかった。  食感はあったが、食材の味は全て同じ、と言うかほとんどなかった。単に味覚が発達していないのか、脳内で味が同一のモノに変換されているのかは不明だ。俺が食べても、ゆうに食べている感覚はない。  腹を壊すことはなく、今のところ便意もない。尿意のようなものは感じるが、ブルッとする感じではなく、何となくしたいかもという感じ。排泄しようとすると、腹の辺りにジワーッという感覚を覚え、白い砂の粒子がいつの間にか出ている。その一部始終を凝視していてもどのように砂が排出されているのかよく分からなかった。いきなりそこに出現しているとしか思えない。  排泄しなかった場合は、尿意のようなものがずっと続くが、高まることはなかった。俺達の体は深緑色なので、葉緑体を持っていて光合成をしているのかもと考えたが、喉の渇きがなかったことから、水分を体内で消費していないようなので、その可能性は低かった。と言うか、陸上で水分を消費しないのは、超生物の可能性が非常に高い。  しかし、唾液を出すことはできるので、どこからか水分を補充しているはずだ。おそらく、体表から空気中の水分を必要な量だけ吸収している可能性が高い。  二十四時間起きていても、体調には一切影響がない。眠ることはでき、予め時間を決めておけば、その時間に起きることができる。寝起きは良い、と言うか寝ていたことを感じない。俺だけ、またはゆうだけ、あるいは両方眠ることができる。  これらのことから、この体は物理的に頑丈なだけでなく、日常を生きていく上でも丈夫である可能性が高いことが分かった。  しかし、重大な懸念点もある。体からの危険信号が俺達に届いていない可能性だ。その場合、気付かない内に体が使い物にならなくなって動かせなくなる、または死に近づいている恐れがある。  同様の例として連想するのは脊髄反射だ。健康体の人間であれば、熱い鍋に手が触れた時に、反射的に手を離すことができる。しかし、その感覚や器官が麻痺していれば、皮膚どころか肉まで焼け爛れ、回復不能になるまでずっと触っている危険性がある。  内臓で言えば、肝臓が声を上げない臓器として有名だ。気付いた頃には肝硬変だったという例が後を絶たない。文字通り致命的だ。  温度に関しては、先の通り、意識でどうにかなるが、同じように意識しても体調がどうなっているのかは分からなかった。触手の健康診断を受けられればなぁ。  次に、周囲の観察や生活から分かったことを一部だけ。  村の周りで動いていた影は、見たことのない生き物、つまりモンスターだった。これでファンタジー世界であることが確定した。大きさは少し大きい狼ぐらいだったが、狼では決してなく、猪でもなかった。  頭には鬼のように二本の角があり、口から生えた二本の牙は鋭く伸びていた。そのモンスターが、村から百メートルのところまで接近した場面を、一日目の早い段階で見ることができたのだ。  そのモンスターはそこでどうしたか。村には一切の興味を示すことなく、草原の方に帰っていった。村人も特に警戒しているわけではない。むしろ、そのモンスターが近づいているのを母親といた子どもが指を差して、その場にいた人達が全員目撃していたにもかかわらず、まるで何事もなかったかのように、民家の近くで世間話を続けていた。  このことから、モンスターが村を襲撃しない決定的な理由が存在することが分かった。襲撃が割に合わないとかのレベルではない。俺達には見えない半径最低百メートルの結界のようなものが、建物、または村全体、あるいは村人一人一人に張られているのだ。  仮に結界だとして、村人にはその結界が見えているのか、単に存在と効果を知っているだけなのかは分からない。  そのような結界の存在から導き出されるのは、魔術、魔導、魔法の存在だ。村人が村から外に出ていく場面、逆に村に入っていく場面も目撃した。  入る場合は、検問をしているようだった。移動は馬で、いずれも冒険者のような風貌の人が一緒だったが、モンスターに襲われることはなかった。モンスターが道を横切ったのも目撃しているので、道に結界が張られているわけではなさそうだ。  村人個人の結界、あるいは一定時間結界内にいると外でも効果が持続、切れた場合の護衛に用心棒を連れている、とかだろうか。どちらかと言えば、後者の方が可能性は高い。ちなみに、用心棒は武器に剣を携帯し、鎧を装備していたことから、少しだけ文明レベルを絞れた。銃の存在はまだ否定できない。銃や弾丸、火薬が貴重な場合もあるからだ。  そこで気になるのは、俺達がモンスターに分類されるのか、この森は結界の中なのか外なのかだ。飛行可能なモンスターがいて、この森に近づいてきたとしたらそれも分かったのだが、結局そのようなモンスターは来なかったし、存在するのかも分からなかった。  食料を探している時には、植物や虫を含めてモンスターと呼べるものは、森に存在しなかった。  俺達の見た目は明らかにモンスターだ。村人が飼っている犬や馬のように、人の日常生活に馴染んでいるとは到底思えない。いくら俺が盲目的な触手好きだとしても、『一家に一匹、触手がいると便利なのよねー』なんて言葉は、村人から一生出てこないことぐらい分かる。  以上のことから、俺達が次にすべきことをゆうに告げた。 「村と森の間まで行って、結界の影響を確認、大丈夫なようなら茂みに隠れたまま、民家とその周辺を観察し、小さい女の子を探す。その女の子を今夜襲う。狙うのは涙、唾液、聖水だ」 「はぁ……。一応聞くけど、小さい女の子である理由は?」  ゆうはため息をついて、俺に質問した。このため息は、俺の変態度合いに呆れて出た……ものではなく、『結局そうなるのね』というものだろう。 「襲った時に悲鳴を上げられると困るから、口を塞ぐ必要がある。噛まれた時に最もダメージが小さいのが、女性であり体格が小さい子だ。さらに、口を塞ぎつつ、下半身に届かなければならない。できれば首にも巻き付きたいから、俺達の体長を考えても、選択肢はその一つとなる。  一人でトイレに出てきたところを襲う。どうやって近づくかはターゲットを決めてから話そう。  念のために言っておくが、殺したり傷付けたりしない。暴れさせないための脅しや聖水を得るための恐怖煽り目的で首を絞めるかもしれないが、できるだけ苦しめないようにする」  この村の全ての民家は石造りの平屋で、トイレは家屋の裏手外に備え付けられていた。と言っても、トイレは壁や天井に覆われているわけではなく、簡素な仕切りがあって、その中央に木の足場があり、真ん中に縦に空いた隙間と丸い穴、言い換えると、口部分が太めの平面の丸フラスコの形の所に向かって、女の子であればしゃがんで用を足すというものだった。  穴の空いた箱に座るタイプもあった。小さい子どもがいる家はしゃがむタイプ、そうでない家は座るタイプかもしれない。おそらく、穴の中には回収用の箱があって、後でそれらを肥料として使うのだろう。  トイレットペーパーは当然なく、代わりに丁度良い大きさに切られた布が山積みで近くに置いてあった。使用済みの布は近くの別の穴に捨てられていたが、使い捨てではなく、後でまとめて洗濯して再利用しているようだ。  近くで見れば、もっとよく分かるかもしれないが、間違いなく言えることは、トイレの時は必ず外に出てきて無防備になるということだ。 「でも本当の理由は?」 「ロリ大好き! クンクン、スリスリ、ペロペロしたいよぉ! …………いや、冗談だから。これはマジ」  ゆうは軽蔑の目をしていそうな顔をこちらに向けながら、俺の冗談を真に受けていた。 「論理は良いとして、『聖水』とか言ってる時点で説得力ないんだけど」 「かわいい女の子のおしっこは全部『聖水』だからな。この体が今後成長して体長が伸びるのであれば、それに見合った女の子を襲いたいが、今は仕方ない。とりあえず、森の際まで進もう」 「分かった。ロリコン疑惑はまだ晴れてないからね!」  年齢的に、正しくはロリコンではなく『アリコン』だが、ここで指摘するとややこしくなる。そもそも、俺がロリコンだったとして何か問題があるのだろうか……。 『ロリ』『際』と言えば、俺の初期コレクションに『緊縛監禁魔に狙われた小さい蕾達』というかなり際どい本があったな。もしかして、それも読まれていたのか?  あれは、緊縛本の多くがスタイルの良い美少女や大人の女性を縛っていたから、その逆を行く本が珍しくて買ったものだ。あ……その犯人も『聖水』って言ってたような気がする。  なるほど、そう繋がるのか。これは、本の購入理由を言っても、ゆうがそれを読んだこと自体否定される上に、信じてももらえないだろうから、俺が欲望を抑えきれずに女の子を襲うような犯罪者思考でないことを、いつか証明しないといけないな。 「よし。俺達に結界の影響はないみたいだ」  森の茂みの中から民家や村人を見下ろしながら観察できる所、大体五十メートルぐらいまで近づくことができた。百メートル以上離れた所からここまで来たので、結界の範囲が半径百メートルであれば境界線での出入りは問題ないことになる。もちろん、森が村の一部で、最初から結界の中という可能性はある。いずれにしても、村での活動に支障はない。  俺達は、一番多く民家を視認できる位置まで、村と森の境界に沿って移動し、観察を開始した。  辺りは、家屋の窓からほんのりと漏れていたオレンジ色の光が少なくなり、多くの家では就寝時間に近づいているようだった。  俺達はターゲットの家の屋根にいた。観察で挙がった候補者は数名いたが、何かあった時にすぐに森に逃げられるよう、その中でも森に一番近い家に住んでいる女の子を選んだ。  女の子がトイレに出てきたのは五時間前。しかし、その時はまだ明るかったので、見守ることしかできなかった。  夕日が完全に落ちた時に屋根まで壁を蔦って移動し、夕食前後か就寝前に一度は出てくるだろうと踏んで今に至る。理想は就寝後の真夜中だが、トイレに立つ保証がないため、就寝前でも躊躇はしない。そのため、時間をかけると両親に気付かれてしまう。  作戦の一部始終はゆうに共有済みだ。ちなみに、俺達の会話が他の人には聞こえないことも確認済みだ。茂みの中や屋根の上から村人を大声で呼んでも反応がなかった。  逆に、俺達は家族の会話を盗み聞きできるような位置にいた。驚くことに、その会話は英語だった。おそらく文字もそうだろう。ただ、人名や地名は英語の発音とは限らないみたいだ。この村は『セフ村』と言うらしい。日本語含め、他の言語も存在するのだろうか。 「そろそろかも」  ゆうは実行の時間が近いことを示唆した。 「イリス、おねんねの時間だから、おしっこしてきなさーい」 「はーい」  女の子の名前はイリス。ギリシア語ではそう読みそうだが、英語ならアイリスと読むだろうし、アルファベットのエルを使う方のイルは否定的に使われることが多いので、やはり異なる命名規則や発音規則があるのだろう。  イリスちゃんの髪は赤みがかっており、セミロング。候補者の中では一番かわいく、程良く賢そうで、男女から人気がありそうな印象だ。服装は、上はボタン留めの白い半袖シャツに、膝ぐらいまでの赤いショルダースカートを履いていた。 「移動するぞ。スタンバイだ」  俺達がトイレの仕切りに近い屋根まで移動すると、キィと裏口のドアが開く音が聞こえた。ドキドキはしていない。俺達の体には心臓がないからだ。また、肺呼吸もしていないので、過呼吸にもなっていない。ただし、緊張はしている。 「んっしょ、んっしょ」  イリスちゃんは、まだパジャマに着替えていなかった。彼女がスカートを捲くって下着を下ろしている最中に、俺達は彼女の横の仕切りまで近づく。ここからはあっという間だ。  彼女がしゃがみ込もうとしたその時、仕切りから、ゆうを先頭に体を素早く伸ばした。 「……⁉」  イリスちゃんが俺達の影に気付いたのも束の間、ゆうは自分の頭をイリスちゃんの口にねじ込んだ。 「…………‼」  イリスちゃんは一瞬何が起こったか分からないようだったが、声を出されない内に、俺はすかさず彼女の首の周りを一周し、少しだけ首を絞めた。 「ぅ……」  イリスちゃんが立ち上がり、首が締まっている間、俺は全速力で下半身に進み、スカートと下着の間をするりと抜けて、目的の位置まで辿り着き、口を開けた。歯は引っ込めている。 「ゆう、顔出していいぞ」 「おっけー。出した」  ゆうの返事と同時に、俺達はイリスちゃんの首を絞めていた力を完全に緩めた。  この間、三秒なので、イリスちゃんはそれほど苦しくなかったはずだ。あまり時間をかけると、俺達の体を掴まれて引き剥がされてしまう恐れもあった。 「シャー‼」  ゆうはすぐさまイリスちゃんの眼前で口を開け、その鋭い歯と妖しげに動かした舌、そこから垂れる涎を見せつけた。威勢の良い声は雰囲気で出したようだ。イリスちゃんが声を上げそうなら、ゆうが首を絞めることになっている。 「あ……ぁ…………」  イリスちゃんは恐怖で声も出せず、体もこわばっていた。すると、俺の口の中にポタリと水滴が落ちてきた。これから来る激しい水が口から零れ落ちないように、すぐに俺はイリスちゃんに吸い付いた。 「ぁ……ぁぁぁ…………」  イリスちゃんの放心状態の声と共に、俺の口の中に勢い良く聖水が流れ込んできた。それを俺は一滴残らず、ごくごくと飲み干す。 「お……おお……!」  俺は思わず声を出した。これは……美味い!  味わうつもりなど毛頭なかったのに、意識しなくてもその味が俺の喉を潤し、脳に一斉に電気信号が行き渡るような、それでいて爽やかな風が通り抜けるような気持ちにさせてくれた。  何かの味に例えようとしても例えられない。生々しいかもしれないが、あえて表現するとしたら、素晴らしい出汁が効いていて、それでいてしょっぱくなく、甘みもあり、サッパリしているにもかかわらず、複雑な味わいを何段階にも渡って楽しめるような魚介系スープとでも言うのだろうか。後味もずっと余韻に浸れて、他の食事を喉に通したくないほどのもったいなさを覚えさせる。  俺達触手の味覚が発達していなかったわけではなかった。このために他の味がしなかったのだと断言できる。そのような感覚を味覚と言えるのかという疑問は置いておこう。  喉が乾いていないのに、乾きを潤すような感覚も不思議だ。今となっては、『それ』を渇望していたのだと言える。俺が人間だった時では、絶対に味わうことができないだろう。色々な意味で。 「なみだ、おいしいよぉ……なみだ」  ゆうは、普段からは想像できないほどの情けない声を上げながら、イリスちゃんの涙の味に感動しているようだった。イリスちゃんは、恐怖による失禁と共に、その恥ずかしさと絶望の境地で必ず涙を流すだろうと予想していた。  心配だったのは、イリスちゃんが泣いている時に、過呼吸になったり、痙攣したりすることだったが、そうはなっていないようで良かった。 「ごめんね。怖いのはもう少しで終わるから」  ゆうは、そう言って涙と鼻水を全て舐め取り、頭を少しだけイリスちゃんの口に入れて、お互いの舌を絡めたり、吸ったりしているようだった。もちろん、ギザ歯は引っ込めているだろう。 「ん……ふぅ……ん…………」 「イリスちゃん、唾液おいしいよ」  俺が聖水を全て吸い尽くして舐め取った後に、イリスちゃんの様子を見に行くと、彼女の涙は止まっており、斜め上を見て、ゆうのなすがままにされていた。  このまま倒れると危ないので、俺はイリスちゃんの腰に吸着率を高めた上で巻き付いて、引っ張るようにトイレの空間から出して、仕切りの向こう側の家壁を背にするように誘導した。これもゆうと事前に決めていたことだ。 「お兄ちゃん、多分イリスちゃんはもうそれほど怖がってないと思う」  ゆうはイリスちゃんの口から頭を離し、彼女の顔をじっと見てそう言った。ゆうは一体どんな魔法を使ったのだろう。涙を舐め取って、舌を絡めてただけだったような……。それが上手すぎたのか。吸着を細かに操作したり、親しみのある最適な動きをしたりしたんだろうな。俺が彼女のお漏らしをなかったことにしたおかげ……ではないだろう。 「よし。俺は定位置に戻る。親から声をかけられるまで続けよう」 「おっけー。」  俺は下半身に戻り、ゆうとイリスちゃんのキスや舌の動きと呼応させて、くすぐるように体を擦り付けたり、舐めたりした。ゆうの動きに集中して予想するのが結構難しい。 「イリスちゃん、かわいいよ」  ゆうは、まるでイリスちゃんの彼氏のように、時折、彼女に声をかけ、口に頭を入れて舌を絡めたり、逆に口から頭を離して見つめ合ったり、軽いキスをしたりを繰り返し、緩急をつけてかわいがっているようだった。  俺の方では、イリスちゃんがくすぐったがって両脚をキュッと閉じたり、俺が体を離すと、また開いたりを何度か繰り返したあと、俺が体を擦り付けても脚を閉じなくなり、むしろ向こうから腰を前後に動かすようになった。俺はその動きと逆の動きをするように息を合わせた。 「はぁ……はぁ……は……ぁ……」  イリスちゃんの息が上がって、彼女の動きも大胆になってきていた。 「ん……んっ……んっ……ん……はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」  イリスちゃんは前後に腰を動かすことに飽き足らず、俺の体に手を当てながら股を押し付けるような動きも取り入れ、リズムを刻みながらも、その動きは前後上下にどんどん激しくなっていた。 「イリスー、まだしてるの?」  俺達がイリスちゃんに『接触』してから五分ほど経って、裏口のドアの向こうから母親の声が聞こえた。その声にイリスちゃんはビクッビクッと体を震わせた。  ゆうは母親の声が聞こえるや否や、イリスちゃんが返事できるように頭を離した。  俺も下半身で舐め取り忘れがないことを確認してから、ゆうの位置まで移動した。 「…………」  イリスちゃんはボーっとして黙ったままだ。ゆうはつんつんと頬を突いて、『ほら、呼ばれたよ』と言わんばかりに、ドアの方に顔を向けていた。 「……う、うん……今行くー」  ゆうのジェスチャーを察して、イリスちゃんは返事を絞り出した。  一方、事が終わった俺達は彼女の体から下りて、森に帰ろうと歩みを進めた。 「あっ……」  俺達が三メートルほど進んだ所で、イリスちゃんの微かな声が聞こえたので振り向くと、彼女はゆっくり左腕を前に曲げ、お腹の辺りでその手を小さく振った。  後ろのゆうが体を振り返し、彼女の少し恥ずかしがった微笑みを見ることができたところで、その場を後にした。



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俺達と女の子が初回接触してスキルを取得する話(1/3)

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 あれから三日。  俺の時間間隔と日時計の両方で確認したところ、一日は二十四時間だった。  まあ、それはさておき、一連の検証で分かったことを時系列で挙げよう。  いくらでも張り付いていられる。幹に巻き付きながら体を起こしたまま、つまり体勢を維持したままでも体が痛くなることはなく、疲れることがない。したがって、体力が無尽蔵である可能性が高い。  昼夜の寒暖差や物質の温度は、意識しない限り感じない。  空腹感は覚えるが、集中力がなくなったり、具合が悪くなったりはしない。空腹を満たそうと、先に挙げた食料候補の順に採取したが、締め上げたリスやウサギの動物の肉でも腹が膨れることはなかった。  食感はあったが、食材の味は全て同じ、と言うかほとんどなかった。単に味覚が発達していないのか、脳内で味が同一のモノに変換されているのかは不明だ。俺が食べても、ゆうに食べている感覚はない。  腹を壊すことはなく、今のところ便意もない。尿意のようなものは感じるが、ブルッとする感じではなく、何となくしたいかもという感じ。排泄しようとすると、腹の辺りにジワーッという感覚を覚え、白い砂の粒子がいつの間にか出ている。その一部始終を凝視していてもどのように砂が排出されているのかよく分からなかった。いきなりそこに出現しているとしか思えない。  排泄しなかった場合は、尿意のようなものがずっと続くが、高まることはなかった。俺達の体は深緑色なので、葉緑体を持っていて光合成をしているのかもと考えたが、喉の渇きがなかったことから、水分を体内で消費していないようなので、その可能性は低かった。と言うか、陸上で水分を消費しないのは、超生物の可能性が非常に高い。  しかし、唾液を出すことはできるので、どこからか水分を補充しているはずだ。おそらく、体表から空気中の水分を必要な量だけ吸収している可能性が高い。  二十四時間起きていても、体調には一切影響がない。眠ることはでき、予め時間を決めておけば、その時間に起きることができる。寝起きは良い、と言うか寝ていたことを感じない。俺だけ、またはゆうだけ、あるいは両方眠ることができる。  これらのことから、この体は物理的に頑丈なだけでなく、日常を生きていく上でも丈夫である可能性が高いことが分かった。  しかし、重大な懸念点もある。体からの危険信号が俺達に届いていない可能性だ。その場合、気付かない内に体が使い物にならなくなって動かせなくなる、または死に近づいている恐れがある。  同様の例として連想するのは脊髄反射だ。健康体の人間であれば、熱い鍋に手が触れた時に、反射的に手を離すことができる。しかし、その感覚や器官が麻痺していれば、皮膚どころか肉まで焼け爛れ、回復不能になるまでずっと触っている危険性がある。  内臓で言えば、肝臓が声を上げない臓器として有名だ。気付いた頃には肝硬変だったという例が後を絶たない。文字通り致命的だ。  温度に関しては、先の通り、意識でどうにかなるが、同じように意識しても体調がどうなっているのかは分からなかった。触手の健康診断を受けられればなぁ。  次に、周囲の観察や生活から分かったことを一部だけ。  村の周りで動いていた影は、見たことのない生き物、つまりモンスターだった。これでファンタジー世界であることが確定した。大きさは少し大きい狼ぐらいだったが、狼では決してなく、猪でもなかった。  頭には鬼のように二本の角があり、口から生えた二本の牙は鋭く伸びていた。そのモンスターが、村から百メートルのところまで接近した場面を、一日目の早い段階で見ることができたのだ。  そのモンスターはそこでどうしたか。村には一切の興味を示すことなく、草原の方に帰っていった。村人も特に警戒しているわけではない。むしろ、そのモンスターが近づいているのを母親といた子どもが指を差して、その場にいた人達が全員目撃していたにもかかわらず、まるで何事もなかったかのように、民家の近くで世間話を続けていた。  このことから、モンスターが村を襲撃しない決定的な理由が存在することが分かった。襲撃が割に合わないとかのレベルではない。俺達には見えない半径最低百メートルの結界のようなものが、建物、または村全体、あるいは村人一人一人に張られているのだ。  仮に結界だとして、村人にはその結界が見えているのか、単に存在と効果を知っているだけなのかは分からない。  そのような結界の存在から導き出されるのは、魔術、魔導、魔法の存在だ。村人が村から外に出ていく場面、逆に村に入っていく場面も目撃した。  入る場合は、検問をしているようだった。移動は馬で、いずれも冒険者のような風貌の人が一緒だったが、モンスターに襲われることはなかった。モンスターが道を横切ったのも目撃しているので、道に結界が張られているわけではなさそうだ。  村人個人の結界、あるいは一定時間結界内にいると外でも効果が持続、切れた場合の護衛に用心棒を連れている、とかだろうか。どちらかと言えば、後者の方が可能性は高い。ちなみに、用心棒は武器に剣を携帯し、鎧を装備していたことから、少しだけ文明レベルを絞れた。銃の存在はまだ否定できない。銃や弾丸、火薬が貴重な場合もあるからだ。  そこで気になるのは、俺達がモンスターに分類されるのか、この森は結界の中なのか外なのかだ。飛行可能なモンスターがいて、この森に近づいてきたとしたらそれも分かったのだが、結局そのようなモンスターは来なかったし、存在するのかも分からなかった。  食料を探している時には、植物や虫を含めてモンスターと呼べるものは、森に存在しなかった。  俺達の見た目は明らかにモンスターだ。村人が飼っている犬や馬のように、人の日常生活に馴染んでいるとは到底思えない。いくら俺が盲目的な触手好きだとしても、『一家に一匹、触手がいると便利なのよねー』なんて言葉は、村人から一生出てこないことぐらい分かる。  以上のことから、俺達が次にすべきことをゆうに告げた。 「村と森の間まで行って、結界の影響を確認、大丈夫なようなら茂みに隠れたまま、民家とその周辺を観察し、小さい女の子を探す。その女の子を今夜襲う。狙うのは涙、唾液、聖水だ」 「はぁ……。一応聞くけど、小さい女の子である理由は?」  ゆうはため息をついて、俺に質問した。このため息は、俺の変態度合いに呆れて出た……ものではなく、『結局そうなるのね』というものだろう。 「襲った時に悲鳴を上げられると困るから、口を塞ぐ必要がある。噛まれた時に最もダメージが小さいのが、女性であり体格が小さい子だ。さらに、口を塞ぎつつ、下半身に届かなければならない。できれば首にも巻き付きたいから、俺達の体長を考えても、選択肢はその一つとなる。  一人でトイレに出てきたところを襲う。どうやって近づくかはターゲットを決めてから話そう。  念のために言っておくが、殺したり傷付けたりしない。暴れさせないための脅しや聖水を得るための恐怖煽り目的で首を絞めるかもしれないが、できるだけ苦しめないようにする」  この村の全ての民家は石造りの平屋で、トイレは家屋の裏手外に備え付けられていた。と言っても、トイレは壁や天井に覆われているわけではなく、簡素な仕切りがあって、その中央に木の足場があり、真ん中に縦に空いた隙間と丸い穴、言い換えると、口部分が太めの平面の丸フラスコの形の所に向かって、女の子であればしゃがんで用を足すというものだった。  穴の空いた箱に座るタイプもあった。小さい子どもがいる家はしゃがむタイプ、そうでない家は座るタイプかもしれない。おそらく、穴の中には回収用の箱があって、後でそれらを肥料として使うのだろう。  トイレットペーパーは当然なく、代わりに丁度良い大きさに切られた布が山積みで近くに置いてあった。使用済みの布は近くの別の穴に捨てられていたが、使い捨てではなく、後でまとめて洗濯して再利用しているようだ。  近くで見れば、もっとよく分かるかもしれないが、間違いなく言えることは、トイレの時は必ず外に出てきて無防備になるということだ。 「でも本当の理由は?」 「ロリ大好き! クンクン、スリスリ、ペロペロしたいよぉ! …………いや、冗談だから。これはマジ」  ゆうは軽蔑の目をしていそうな顔をこちらに向けながら、俺の冗談を真に受けていた。 「論理は良いとして、『聖水』とか言ってる時点で説得力ないんだけど」 「かわいい女の子のおしっこは全部『聖水』だからな。この体が今後成長して体長が伸びるのであれば、それに見合った女の子を襲いたいが、今は仕方ない。とりあえず、森の際まで進もう」 「分かった。ロリコン疑惑はまだ晴れてないからね!」  年齢的に、正しくはロリコンではなく『アリコン』だが、ここで指摘するとややこしくなる。そもそも、俺がロリコンだったとして何か問題があるのだろうか……。 『ロリ』『際』と言えば、俺の初期コレクションに『緊縛監禁魔に狙われた小さい蕾達』というかなり際どい本があったな。もしかして、それも読まれていたのか?  あれは、緊縛本の多くがスタイルの良い美少女や大人の女性を縛っていたから、その逆を行く本が珍しくて買ったものだ。あ……その犯人も『聖水』って言ってたような気がする。  なるほど、そう繋がるのか。これは、本の購入理由を言っても、ゆうがそれを読んだこと自体否定される上に、信じてももらえないだろうから、俺が欲望を抑えきれずに女の子を襲うような犯罪者思考でないことを、いつか証明しないといけないな。 「よし。俺達に結界の影響はないみたいだ」  森の茂みの中から民家や村人を見下ろしながら観察できる所、大体五十メートルぐらいまで近づくことができた。百メートル以上離れた所からここまで来たので、結界の範囲が半径百メートルであれば境界線での出入りは問題ないことになる。もちろん、森が村の一部で、最初から結界の中という可能性はある。いずれにしても、村での活動に支障はない。  俺達は、一番多く民家を視認できる位置まで、村と森の境界に沿って移動し、観察を開始した。  辺りは、家屋の窓からほんのりと漏れていたオレンジ色の光が少なくなり、多くの家では就寝時間に近づいているようだった。  俺達はターゲットの家の屋根にいた。観察で挙がった候補者は数名いたが、何かあった時にすぐに森に逃げられるよう、その中でも森に一番近い家に住んでいる女の子を選んだ。  女の子がトイレに出てきたのは五時間前。しかし、その時はまだ明るかったので、見守ることしかできなかった。  夕日が完全に落ちた時に屋根まで壁を蔦って移動し、夕食前後か就寝前に一度は出てくるだろうと踏んで今に至る。理想は就寝後の真夜中だが、トイレに立つ保証がないため、就寝前でも躊躇はしない。そのため、時間をかけると両親に気付かれてしまう。  作戦の一部始終はゆうに共有済みだ。ちなみに、俺達の会話が他の人には聞こえないことも確認済みだ。茂みの中や屋根の上から村人を大声で呼んでも反応がなかった。  逆に、俺達は家族の会話を盗み聞きできるような位置にいた。驚くことに、その会話は英語だった。おそらく文字もそうだろう。ただ、人名や地名は英語の発音とは限らないみたいだ。この村は『セフ村』と言うらしい。日本語含め、他の言語も存在するのだろうか。 「そろそろかも」  ゆうは実行の時間が近いことを示唆した。 「イリス、おねんねの時間だから、おしっこしてきなさーい」 「はーい」  女の子の名前はイリス。ギリシア語ではそう読みそうだが、英語ならアイリスと読むだろうし、アルファベットのエルを使う方のイルは否定的に使われることが多いので、やはり異なる命名規則や発音規則があるのだろう。  イリスちゃんの髪は赤みがかっており、セミロング。候補者の中では一番かわいく、程良く賢そうで、男女から人気がありそうな印象だ。服装は、上はボタン留めの白い半袖シャツに、膝ぐらいまでの赤いショルダースカートを履いていた。 「移動するぞ。スタンバイだ」  俺達がトイレの仕切りに近い屋根まで移動すると、キィと裏口のドアが開く音が聞こえた。ドキドキはしていない。俺達の体には心臓がないからだ。また、肺呼吸もしていないので、過呼吸にもなっていない。ただし、緊張はしている。 「んっしょ、んっしょ」  イリスちゃんは、まだパジャマに着替えていなかった。彼女がスカートを捲くって下着を下ろしている最中に、俺達は彼女の横の仕切りまで近づく。ここからはあっという間だ。  彼女がしゃがみ込もうとしたその時、仕切りから、ゆうを先頭に体を素早く伸ばした。 「……⁉」  イリスちゃんが俺達の影に気付いたのも束の間、ゆうは自分の頭をイリスちゃんの口にねじ込んだ。 「…………‼」  イリスちゃんは一瞬何が起こったか分からないようだったが、声を出されない内に、俺はすかさず彼女の首の周りを一周し、少しだけ首を絞めた。 「ぅ……」  イリスちゃんが立ち上がり、首が締まっている間、俺は全速力で下半身に進み、スカートと下着の間をするりと抜けて、目的の位置まで辿り着き、口を開けた。歯は引っ込めている。 「ゆう、顔出していいぞ」 「おっけー。出した」  ゆうの返事と同時に、俺達はイリスちゃんの首を絞めていた力を完全に緩めた。  この間、三秒なので、イリスちゃんはそれほど苦しくなかったはずだ。あまり時間をかけると、俺達の体を掴まれて引き剥がされてしまう恐れもあった。 「シャー‼」  ゆうはすぐさまイリスちゃんの眼前で口を開け、その鋭い歯と妖しげに動かした舌、そこから垂れる涎を見せつけた。威勢の良い声は雰囲気で出したようだ。イリスちゃんが声を上げそうなら、ゆうが首を絞めることになっている。 「あ……ぁ…………」  イリスちゃんは恐怖で声も出せず、体もこわばっていた。すると、俺の口の中にポタリと水滴が落ちてきた。これから来る激しい水が口から零れ落ちないように、すぐに俺はイリスちゃんに吸い付いた。 「ぁ……ぁぁぁ…………」  イリスちゃんの放心状態の声と共に、俺の口の中に勢い良く聖水が流れ込んできた。それを俺は一滴残らず、ごくごくと飲み干す。 「お……おお……!」  俺は思わず声を出した。これは……美味い!  味わうつもりなど毛頭なかったのに、意識しなくてもその味が俺の喉を潤し、脳に一斉に電気信号が行き渡るような、それでいて爽やかな風が通り抜けるような気持ちにさせてくれた。  何かの味に例えようとしても例えられない。生々しいかもしれないが、あえて表現するとしたら、素晴らしい出汁が効いていて、それでいてしょっぱくなく、甘みもあり、サッパリしているにもかかわらず、複雑な味わいを何段階にも渡って楽しめるような魚介系スープとでも言うのだろうか。後味もずっと余韻に浸れて、他の食事を喉に通したくないほどのもったいなさを覚えさせる。  俺達触手の味覚が発達していなかったわけではなかった。このために他の味がしなかったのだと断言できる。そのような感覚を味覚と言えるのかという疑問は置いておこう。  喉が乾いていないのに、乾きを潤すような感覚も不思議だ。今となっては、『それ』を渇望していたのだと言える。俺が人間だった時では、絶対に味わうことができないだろう。色々な意味で。 「なみだ、おいしいよぉ……なみだ」  ゆうは、普段からは想像できないほどの情けない声を上げながら、イリスちゃんの涙の味に感動しているようだった。イリスちゃんは、恐怖による失禁と共に、その恥ずかしさと絶望の境地で必ず涙を流すだろうと予想していた。  心配だったのは、イリスちゃんが泣いている時に、過呼吸になったり、痙攣したりすることだったが、そうはなっていないようで良かった。 「ごめんね。怖いのはもう少しで終わるから」  ゆうは、そう言って涙と鼻水を全て舐め取り、頭を少しだけイリスちゃんの口に入れて、お互いの舌を絡めたり、吸ったりしているようだった。もちろん、ギザ歯は引っ込めているだろう。 「ん……ふぅ……ん…………」 「イリスちゃん、唾液おいしいよ」  俺が聖水を全て吸い尽くして舐め取った後に、イリスちゃんの様子を見に行くと、彼女の涙は止まっており、斜め上を見て、ゆうのなすがままにされていた。  このまま倒れると危ないので、俺はイリスちゃんの腰に吸着率を高めた上で巻き付いて、引っ張るようにトイレの空間から出して、仕切りの向こう側の家壁を背にするように誘導した。これもゆうと事前に決めていたことだ。 「お兄ちゃん、多分イリスちゃんはもうそれほど怖がってないと思う」  ゆうはイリスちゃんの口から頭を離し、彼女の顔をじっと見てそう言った。ゆうは一体どんな魔法を使ったのだろう。涙を舐め取って、舌を絡めてただけだったような……。それが上手すぎたのか。吸着を細かに操作したり、親しみのある最適な動きをしたりしたんだろうな。俺が彼女のお漏らしをなかったことにしたおかげ……ではないだろう。 「よし。俺は定位置に戻る。親から声をかけられるまで続けよう」 「おっけー。」  俺は下半身に戻り、ゆうとイリスちゃんのキスや舌の動きと呼応させて、くすぐるように体を擦り付けたり、舐めたりした。ゆうの動きに集中して予想するのが結構難しい。 「イリスちゃん、かわいいよ」  ゆうは、まるでイリスちゃんの彼氏のように、時折、彼女に声をかけ、口に頭を入れて舌を絡めたり、逆に口から頭を離して見つめ合ったり、軽いキスをしたりを繰り返し、緩急をつけてかわいがっているようだった。  俺の方では、イリスちゃんがくすぐったがって両脚をキュッと閉じたり、俺が体を離すと、また開いたりを何度か繰り返したあと、俺が体を擦り付けても脚を閉じなくなり、むしろ向こうから腰を前後に動かすようになった。俺はその動きと逆の動きをするように息を合わせた。 「はぁ……はぁ……は……ぁ……」  イリスちゃんの息が上がって、彼女の動きも大胆になってきていた。 「ん……んっ……んっ……ん……はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」  イリスちゃんは前後に腰を動かすことに飽き足らず、俺の体に手を当てながら股を押し付けるような動きも取り入れ、リズムを刻みながらも、その動きは前後上下にどんどん激しくなっていた。 「イリスー、まだしてるの?」  俺達がイリスちゃんに『接触』してから五分ほど経って、裏口のドアの向こうから母親の声が聞こえた。その声にイリスちゃんはビクッビクッと体を震わせた。  ゆうは母親の声が聞こえるや否や、イリスちゃんが返事できるように頭を離した。  俺も下半身で舐め取り忘れがないことを確認してから、ゆうの位置まで移動した。 「…………」  イリスちゃんはボーっとして黙ったままだ。ゆうはつんつんと頬を突いて、『ほら、呼ばれたよ』と言わんばかりに、ドアの方に顔を向けていた。 「……う、うん……今行くー」  ゆうのジェスチャーを察して、イリスちゃんは返事を絞り出した。  一方、事が終わった俺達は彼女の体から下りて、森に帰ろうと歩みを進めた。 「あっ……」  俺達が三メートルほど進んだ所で、イリスちゃんの微かな声が聞こえたので振り向くと、彼女はゆっくり左腕を前に曲げ、お腹の辺りでその手を小さく振った。  後ろのゆうが体を振り返し、彼女の少し恥ずかしがった微笑みを見ることができたところで、その場を後にした。



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