俺と妹が触手に同時転生して女の子を幸せにする話(1/2)

1/54





「ん……んん!」  木漏れ日が差し込む小さい森の中で、美しく輝く金色の髪を揺らし、女冒険者は抵抗する。  口には俺の手を乱暴に突っ込んでいるので声を上げられないし、その両腕はすでに俺の手で抑えて自由を奪っているため、彼女は助けを呼べない。さらには、俺が持ち上げているので彼女の足は地面に届いておらず、その地面には、俺が不意を突いて落とした剣がすでに転がっている。彼女ができることは、必死に身体をくねらせるだけだ。  剣士相手の戦いをどうするかは以前から考えていた。手刀で手首や手を叩く方法もあるが、相手が小手を身に着けている場合もあるため、正面で気を引いて、後ろから剣の柄の先を叩き上げるのも有効ではないかと常々思っていた。  実際には、彼女は軽装鎧に小手装備だったので、その案を採用して上手く行った。 「鎧を脱がすぞ、ゆう」 「はいはい」  俺の声に適当な返事をする妹のゆう。こいつが上手く気を引いて、女冒険者が剣を落とした直後に、すかさず足首を抑えてくれたおかげで今の状況にある。  危険な役どころではあったが、『気を引くのは自分の方が向いているし、近づくお兄ちゃんの方が危険なんじゃない?』と言って、妹から手を挙げてくれた。我が妹ながら優秀な奴だ。うんうん。 「なに浸ってんのよ、きも。」  罵りのご褒美までくれるとは言葉もない。  改めて……。胸部の鎧は少し面倒で、今のままだと、口と両腕をできるだけ抑えながら脱がせることを心がけないといけない。 「下から行こう」  俺の言葉に、ゆうは女冒険者の両足を抑えつつもすぐに手を伸ばし、下腹部から尻周りの鎧の留め具を器用に外した。鎧の部位名は『フォールズ』だったかな。  緩んでもそのまま落ちてくるわけではないので、少し力を入れて下に引っ張る。服の上からでも大きく柔らかそうな両臀部の形が変わり、鎧がするりと抜けると、ぷるんと元に戻った瞬間を俺は見逃さなかった。 「服、上下で分かれてるから、そのまま下を全部脱がすよ」  ゆうが服を脱がすプランを考えてくれた。  鎧下の衣服はワンピースで膝上まで伸びているものもあり、その場合は手順と手間が変わる。今回は脱がしやすくて良かった。  フォールズを地面に落とす前に服を脱がすゆう。なるほど、それが脚の簡易的な拘束具にもなるというわけだ。俺も今度真似しよう。 「んっ! んっ……! んっっっ……!」  ゆうが紐を緩めた服と下着に手を掛けたところで、女冒険者は反射的に股を強く閉じ、腰を大きく前後左右に振り抵抗した。しかし、人体の構造上、股をいくら閉じようが逆に開こうが、必ず途中まで脱がすことができる。  ゆうは、一切の遠慮なく、それらを太腿の中程までぐいっと引き下げる。すると白く輝く下腹部が露わになり、羊毛の黒い服と、おそらく綿の薄い水色の下着と合わせて、素晴らしいコントラストが眼下に広がった。下着の染みの有無は、これからの描写を踏まえて想像にお任せしよう。もちろん、尻がまたぷるんとした瞬間は脳内に焼き付けた。リピート耐久動画にしたい。 「この人のお腹とお尻、めっちゃ綺麗」  ゆうも思わず俺と同じ感想を口に出した。まあ、俺はその後に『スリスリしたい』と続くのだが。 「スリスリしたい」 「え?」  突然のゆうの告白に、俺が驚いたのも束の間、ゆうは素早く女冒険者の両足の拘束を解くと同時に、ようやくフォールズをガシャンと落とし、一気に彼女の下半身を裸にして両足を再度拘束、その動作は流れるようだった。しかもこいつ、いつの間に靴と靴下を脱がせていたんだ……。  女冒険者は余程腕に自信があったのか脚部の金属装備はしていなかった。動きやすさやスピードを優先したというのもあるだろう。  装備を買うお金がない……わけではないことは溢れ出る気品から明らかだった。たとえ通常装備の鎧であっても名高い騎士と見間違えるだろう。  年齢は十八歳前後にも見えるから、それにしては若すぎるか。しかし、相まみえた時はあまり覇気を感じなかったので、返せない程の借金でもしたのかと邪推してしまった。それとも襲われることを期待していたのかな、ぐへへ。 「うぅ……」  下半身を空気に晒され、悔しそうに呻くも、力を緩めない女冒険者の脚の間にゆうは手を入れた。 「はい、ちょっと脚開いてねー」  診察する医者のようなテンションと口調で無理矢理脚を開かせる。脚を閉じたままだと尻に力が入りやすくなるため、柔らかい尻を堪能できないからだ。  まずは下腹部に、円を描くように手をゆっくりと這わせてスリスリする。 「んっ…!」  女冒険者はピクピクと身体を震わせた。  ゆうは、臍の周りに十分に触れてから左脇腹へ優しく手を回し、骨盤と鼠径部に沿って徐々に下へ移動させた。最下部までは行かずに、また臍に戻って右脇腹に同様に手を回し、今度は子宮の辺りを執拗に撫で回す。 「あ……あぁ…………」  女冒険者のもしかしてという不安と緊張感が俺にも伝わってくる。汗が頬を伝っていることを忘れているかのように、彼女は目を見開き、下腹部を凝視していた。 「今だっ!」  ゆうは素早く尻に飛びつき、即座に臀部を下の方から持ち上げながら、顔をスリスリと何度も擦りつけた。 「プルンプルン柔らか~」  うん、俺の妹だ。おそらく満面の笑みで尻を堪能していることだろう。臀部を上下左右に弾ませて、まるでおもちゃで遊ぶ子どものように尻を楽しんでいる。それにしても、前面の下腹部に意識を集中させ、尻の力を抜かせた所をすかさず狙うとは……。 「いや、これ俺が考えた剣を落とす作戦とほとんど同じだよね。剣か尻かの違いだし、斬られるか屁られるかの違いだよね。 「は? 違うし。『へられる』って何? きも。」  確実に言えるのは今のお前の方が気持ち悪いということだが、寛容な兄としては何も言わないでおくことにした。『屁られる』のワードセンスは自信があったんだけどなぁ……。 「さてと、それじゃあそろそろ……」  ゆうは尻から手を離し、太腿に手を回した。太腿全体を撫で回し、時には汗ばんだ内股を下から上に向かって舐めたり、時にはぎゅっと肉を掴んでは離したり、様々な緩急をつけることで、マッサージをされているような気持ち良さを女冒険者に与え続ける。 「んっ……はぁ……」  ゆうの特別なおもてなしに我慢できなかったのか、女冒険者の塞がれた口の端から嬌声と吐息が漏れる。  絶好のタイミングだと言わんばかりに、ゆうの目がキラリと光ったような気がした。 「そーれっ!」 「んーーーーーっ‼」  少しだけ開かせていた女冒険者の脚を今度は足首から持ち上げ、完全に開脚させた。これまでで一番の声を上げた彼女の局部が、俺の目にもハッキリと見えるようになった。 「お兄ちゃん、足も持てる?」 「お、おう」 「ありがと。」  ゆうはさり気ない感謝の言葉のあとに、女冒険者の足を俺に預け、これまで撫で回してきた部分をおさらいするかのように、一通り舐め上げた。  下半身はびしょびしょに濡れ、地面にはどちらのものとも分からない液体が、ぽたりぽたりと落ち始めている。  俺は、その液体ができるだけ落ちないように、そして女冒険者の局部が三者いずれの眼前にも来るように、後ろから両足を抑えていた手をさらに引き寄せた。 「ふふふっ」  怪しげな笑みを浮かべたゆうは、空中に挙げた手を、あからさまに女冒険者の股間にゆっくりとゆっくりと伸ばして行く。局部に触れるか触れないかギリギリの高さで、三秒ぐらい停止した次の瞬間、狙いを定めた手が身体に密着し、股間中央部から前方に掬い上げるように動いた。 「んふぅっっ‼」  女冒険者はビクンと背中を大きく反らした。飛び散った汗混じりの水滴が宙を舞い、その内のいくつかが彼女の白い腹に落ちる。俺にはその光景があまりに綺麗に見え、スローモーションにも感じるほどだった。 「おいしー‼」  歓喜の声を上げ、わざとじゅるじゅると音を立てて、腹の水滴まで吸い付いたゆう。  気持ち良さと恥ずかしさと磨き抜かれた演出のコンボで、顔まで火照らせボーっとする女冒険者。  そして、拘束しているだけの俺……。 「お兄ちゃん、交代しようか」  絶妙なタイミングで選手交代を提案するゆうに、俺は脱帽した。おいおい、俺まで演出されてるよ。 「こんな妹を持って俺は嬉しいよ」 「は? 死ね。」  嬉しすぎてゆうの言葉は俺に響かなかったが、事後の脳内反省会で反芻するとしよう。  ゆうの罵倒は、決して不快にならないレベルのテンションとイントネーションとアクセントで俺に放たれる。俺はゆうを罵倒の天才だと思っているので、それ欲しさに常日頃からちょっとキモい台詞を心がけているのだ。 「ほら、金髪ロング美人女騎士だよ。お兄ちゃんが好きなのはこういう人でしょ」  罵倒のアメをくれて追加のアメまでくれる最高の妹だ。  しかし、ゆうは決定的な思い違いをしていた。これは兄として、いや、一人の男として正さなければいけない。 「ゆう、それは間違いだ」 「え……? いや、でも前に言ってたじゃん。『現実味なさすぎ、きも。』って言ったのも、ちゃんと覚えてるから」 「この子は女騎士じゃない。少なくとも今は、な。職業で言うなら女冒険者、戦い方で言えば女剣士。騎士は国に忠誠を誓い、国王から叙任された称号とか階級のことで、基本的に騎馬で戦う。忠誠心の高い、真面目な騎士だからこそ、本気で抵抗して嫌がりつつも快楽の沼に足を突っ込んだ時のギャップが堪らないわけで。派生して、くっころ女騎士や姫騎士とかも同様に……ふひひ!」 「うわ、マジでキモすぎ。無理」  俺が早口で言ったちょっとキモい台詞に対して、ゆうはそう言い放ちながらも淡々と次の仕事に取り掛かっていた。  ゆうは、俺の代わりに女冒険者の後ろに回り、両手を縛り上げた。 「口から離して」  俺は言われた通りに口から手を離すと、すぐにゆうの手が女冒険者の口を塞ぐ。それから俺が前に回り込んで交代完了。足は引き続き俺が担当する。  手足を後ろに回して吊るすのもアリだが、今回のように自分が弄られている様子を見せつけるのも悪くない。見えない所で何をされるか分からない恐怖を与えない、ある意味で慈悲だね。  それよりも……妹の後学のためには、まだ話し足りない。 「さっきの話の続きなんだけどさ。女騎士の話」 「はぁ? もういいでしょ。そんなことより、ちゃんと責めてよ。抵抗する気なくさないと上が脱がしづらいんだから」  すでにゆうは胸部鎧、『ブレストプレート』の両腕にある留め具を緩めている。そう言えば、小手も身に着けてたよなと思って女冒険者の腕を見ると、こちらもすでになかった。  俺は、とりあえずゆうと同様に、下半身を撫で回した上で舐めることにした。ゆうに舐め取られた脇腹の汗をまた俺が舐め取る。そこから臀部に向かい、感触を堪能してから太腿へ。手をゆっくりと這わせてふくらはぎへ。  こうして実際に感じてみると、めちゃくちゃ長い脚だ。先端から覗くと、足と足の爪も大きくて形が良く、そこからスラリと伸びた膝下、太腿はそれだけでも男の劣情を掻き立てるほどムチッとしていて、脚全体で見ると非常にバランスが良い。  そして、脚を閉じていた時に見えた芸術的な股下デルタと開脚時の股間、大きく柔らかい尻、引き締まったウエストに続く。完成された下半身に思わず息を呑む俺。 「よし」  気合を入れた俺は、下腹部に手を当て、下へ進んで行った。そして、同じルートを舌も辿っていく。女冒険者からすれば、丘を登っていくように見えるだろう。てっぺんには俺の喉、いや、身体全体を潤すための湧き出る泉。もう我慢できなかった。 「あっ……ふぅぁっ!」  女冒険者の声が大きくなった。  オアシスに辿り着いた俺は、全てを飲み干す勢いと共に、口から溢れてもいいというぐらい、顔を上下に激しく動かしてむしゃぶりついた。 「ん……ん……んっ……」  俺の動きに合わせて、女冒険者は小刻みに声を漏らした。  ゆうが歓喜するのも分かる。人間が口に入れると害のある物質が含まれているとは、とても思えない。俺とゆうが特殊だからというのもあるだろう。  味に影響するであろう香りも微量の汗の匂いしか感じないのに、美味すぎてずっとこうしていたいぐらいだ。 「じゃあ、脱がせまーす」  そう言うと、ゆうは女冒険者の首と両腕を通していたブレストプレートを持ち上げ、あっさりと脱がせることに成功した。  ゆうの手はもう口を塞いでいない。両腕を拘束していた手は、もうほとんど力を入れておらず、単に服を脱がせるために両手を挙げさせるだけのものになっていた。 「はぁ……はぁ……」  女冒険者は、口が自由になっても、助けを呼ぼうとする素振りを見せず、ほんのり赤くなった顔で、ただただ荒い呼吸をするのみであった。  ゆうはブレストプレートを地面に落とし、すぐに次の衣服を脱がせにかかる。下部と同じく羊毛の黒い服を裏返しながら脱がせると、その下の胸部には、白いさらしの上からベージュのコルセットが装着されていた。戦闘時に乳房が揺れないためのものだろう。  ゆうは、即座にコルセットの背中の紐を緩め、上に持ち上げて脱がしていった。 「いい子だね」  面倒な鎧や服を、抵抗なく簡単に脱がせてくれたご褒美と言わんばかりに、ゆうは彼女の右首筋に舌を這わせ、下から上に舐め上げた。それだけでは飽き足らずに、舌は右耳の裏まで到達し、外耳に沿って円を描くように唾液の跡を残した。  そうこうしている内に、さらしが緩められ、白い麻布が上下に波打ったのを俺は目の当たりにした。それは、乳房の大きさと重み、それに柔らかさを感じ取れるほどの揺れだった。 「お兄ちゃん、ちょっと別のところ見てて」  お楽しみはさらしを全部取ってからということか。やっぱり俺の妹は素晴らしい演出家だ。  俺はできるだけ下を向き、女冒険者の身体に集中していると、スッスッとさらしが解かれていく音がする。何度も手を回す必要があるから大変だよなぁ、と俺は思いつつも、女冒険者の下半身に手や舌を這わせることを忘れない。 「いいよ」  女冒険者の何らかの反応が聞こえる間さえなく、思っていた時間の三倍ほど早く、ゆうの許可が下りた。こ、心の準備が……。  だが、目の端で捉えてしまった二つの山の麓の魅力に、俺はどうすることもできず、頭を上げた。 「お…………おおおおっ‼」 「金髪ロング美人女騎士のおっぱいと腋を、どうぞご賞味あれー!」  声が出ないほどのあまりの美しい光景に、俺の時間だけ一瞬止まったかと思ったが、絞り出した感嘆の声で自身を呼び覚ますことができた。  ハッキリ言おう。とんでもなくエロい格好をした金髪女神がそこにいた。  女冒険者の両腕は上げられ、手は頭の後ろで軽く縛られていた。少し離れてそびえ立つ二つの連山は非常にボリュームがあり、絶妙な張りと柔らかさを備えていることは、横に流れた肉量のバランスで明らかだ。  山頂のモニュメントはツンと斜め上を向き、丁度良い大きさのピンク色をした楕円領域に収まっている。そして、山と山の間には、さらしが肌に接触せずに吸収できなかった汗が光り輝く。  この圧倒的な威圧感は、ある程度のアンダーの厚みと肩幅がなければなし得ない。水泳女子を想像してもらえれば分かりやすいだろうか。普通の細身女性が巨乳であったとしてもこの景色は見られないだろう。  女冒険者は、この状況で顔を逸らすのではなく、とろんとした瞳でこちらをじっと見つめている。血色が良くなった唇で口は半開き、舌は下歯に当てられて前後に山なりになっており、頬は赤く、少しだけ汗に濡れたおでこと金色の前髪が最高のバランスで、ただ呼吸しているだけでも艶めかしい。これだけでもずっと見ていたい……と、これまで何度思っただろう。  だが、大きい山の奥にチラリと見える腋の一部が俺を強く惹きつける。後ろ髪を引かれるも、このままでは見えないので、今見えている角度のまま、もう少しだけ自身の身体を持ち上げた。  すると、眼前に広がる景色と、このまま天まで登ってしまいそうな幸福感が脳を満たしていった。そこには、ツルツルで滑らかな丘陵が輝いており、彼女がほんのちょっと動くだけでも微妙に形を変える。その様子だけでも目が離せない。  それにしても、どんだけ輝いているんだこの身体は。ムダ毛については、冒険者が頻繁に処理するとも思えないので、元々生えない体質なのだろうと結論付けた。  俺は、冷静なツッコミと分析をすることで、理性が吹っ飛びそうになるのを堪え、行き過ぎた女冒険者の身体の高さを慌てて戻すことができた。危ない危ない……ん?  俺は冷静になった頭で、ゆうの言葉を思い出す。先程の話題を掘り返すチャンスだ。 「今、また女騎士って言った?」 「うざ。」  ゆうの一言の直後、余計な口を出されないように俺は畳み掛ける。 「俺の部屋の同人誌をこっそり読んでたんだから、騎士もそうだけど爵位ぐらいは知っておいてもらわないと。爵位とは……」 「なっ……何言っ! は……はあぁぁ? ちょっ、何言ってんの⁉ ぜ……、読んでにゃ……っ! なっ……全然、読んでないし‼」  ゆうは珍しく慌てているようで、俺が講釈する前に話を遮ったが、放つ言葉もその順番も混乱していた。俺からは分からないが、きっと顔も真っ赤にしていることだろう。 「な、何を根拠にそんなこと言ってんのよ! 証拠はあるの⁉ 証拠‼」  まるで探偵推理作品で追い詰められた犯人が言うような使い古された台詞を恥ずかしげもなく言葉に出す我が妹。 「俺の部屋の全ての本棚の段には布が敷いてあっただろ? あれには加速度センサーが組み込まれていて、少しずれただけでも検知して、その位置と時刻をログとしてサーバに保存する。ここまで言えば分かるよな?」  ちなみに、同人誌は基本的に薄く、背表紙にタイトルスペースがないため、俺の場合は厚みのある透明なケースに入れてラベリングし、棚に並べても分かるようにしている。 「……っ! そ、そんなのホントかどうか分かんないし、目の前でそのセンサーの動作とログとその改竄不可能性と……お兄ちゃんのアリバイを確認できないと証明できませーーん!」  往生際が悪い上に、証拠として必要なものを的確に挙げてくる。こいつ、マジで頭の回転速いな。もちろん、隠しカメラの方が分かりやすくて確実だっただろうが、ゆうであれば部屋の隅々まで調べて見つけてしまうだろうと思い、わざわざ面倒なシステムにしたのだ。まあ、いずれにしても証拠は出せない。  よし、作戦を変えるか。『恥ずかしいからやめて! もう二度と間違えないから!』作戦だ。 「部屋入って左手前本棚の二段三列目奥、『聖バーナード公国の裏切りと陵辱~お兄様の犬になりますから触手だけはやめてください!~』」 「……っ!」  ゆうがピクッと反応したように見えた。俺はそのままタイトルの読み上げを続ける。 「同じく二段四列目奥、『田舎娘達に忍び寄る触手の蠢き』、二段八から十一列目奥、『辺境伯一家の没落冒険譚~闇堕ちした息子よ、妻と娘には指一本触れさせないぞ~』シリーズ、三段一列目奥、『クール系黒魔導士と薄幸系白魔導士達の憂鬱~双子魔導士を舐めるな! 感覚遮断魔法があれば触手なんて怖くない!~』、二列目奥、『ボクの性活~搾精魔族と家畜貴族~』」 「あ……あのさぁ……いきなりお兄ちゃんの触手本コレクションを自慢しないでくれる⁉  そんなのいいからさぁ! ほら、おっぱいだよおっぱい! おーっぱい! おーっぱい!」  ゆうは、女冒険者の両胸を包み、綱引きの『オーエス』のような掛け声に合わせて、上下に弾ませた。  俺の意図に気付いたのだろう。話を逸らそうとしても無駄だし、それは気を引いているというより、もうギャグになっちゃってるのよ。  それにしても、女冒険者に対して結構失礼なことしてるよな、こいつ……。いや、いかんいかん。そういうことは考えないことにしたんだった。結局、情景描写だけでなく女体の品評までしている自分に返ってくるんだし。  その点、ゆうは最初から女を人間扱いせず、単に自分達の獲物かおもちゃのように考えているようだった。同性だからだろうか、多少雑に扱った方がむしろ喜ぶとまで思っていそうだ。そして、実際に喜ばせてきたということがこれまでの経験から実感できる……。気を取り直して続けよう。 「四列目奥、『催眠王宮~魔族に支配された国の末路~』、六列目奥、『触手姫騎士アンソロジー』、八列目奥、『触手に堕ちた百合姉妹』、十列目奥、『神様、触手のペットが欲しいです。』、おっと、最後のは騎士も爵位も関係なかった。すまんすまん」 「……。いや、もういいから」  何がもういいのかよく分からなかったので、とりあえずタイトルの列挙は終わりにして、話を続けた。 「今挙げたのは全て本棚の奥、そして比較的高い位置にある本で、これらが動かされた形跡があった。当然、奥の本を取り出す時に手前の本も動かすわけだが、これはすぐに戻されている。手前の他の列の本については全く動かされていない。これは何を意味するか。本を抜いたことを気付かれたくない者の行動に他ならない。  なぜ高い位置なのかについては、低い位置の奥の本を抜けば上方から見て奥に空間があることにも気付きやすくなってしまう。俺の身長を計算しての犯行だ。だが、実はそんなことよりも驚くべきことが導き出される。  容疑者は定期的に俺の部屋に侵入して、奥の本のタイトルを全てメモに取っているか、撮影して保存しているか、または暗記しているのだ。最低限の本しか動かさないという強い意志を感じる。  そして、絶対にバレたくないので、その列で手前や奥にしか本がない時は手を出さない」 「…………」  ゆうは黙ってぷるぷると震えていた。 「ただ、最近どうしても読みたい本が手前に置かれた。現代恋愛ファンタジー作品だ。容疑者はどうしたか。大胆にも奥の本の『戦国触手時代~陸蛸使いと陸烏賊使いの合戦~』を手前に引き出したのだ。現代恋愛ファンタジーが戦国バトルファンタジーに置き換わってしまった。ここにきて! これまで変化が分かりづらい策を弄してきたのに!」 「…………」  俺がわざとらしく過剰な演技で煽ると、ゆうの震えが大きくなったような気がした。これで終わりだ! くらえ、諸刃の剣!  「そのタイトルとは……、『大好きなお兄ち……」 「わああぁぁーーーー‼ そ、そ、そういうお兄ちゃんだって、あたしの部屋に忍び込んで、イケナイことしてるでしょ!」  こういう時のために購入、もとい会得しておいた俺の渾身の必殺技【『大好きなお兄ちゃんを振り向かせるただ一つの方法』剣】を受け止めきれずに、論点をすり替えてきたか。  そもそも、もうバレているのだから、誤魔化しても仕方がないのだが、『兄妹モノを買ってるってことは、かわいい私のことも性的に見てるんでしょ』というマウントを取りたいあまりに、ゆうは作戦を誤ったようだ。そこは徹底的に容疑を否認するべきだった……。  いや、よく考えたら実は最適解なのか? まあ兎にも角にも、このままでは着地点が見えなくなって終わらない恐れがある。一芝居打つか。 「バ……ちょ、おま……な、何だよイケナイことって?」  ゆうがニヤリと笑ったような気がした。 「パンツ盗んだでしょ!」 「いやそれはない」  俺は限りなくテンションを低くし、萎えた様子で答えた。実際に盗んでないし、触ってもいないし、見てさえいない。本当だ。 「なっ……! じゃ、じゃあ、洗濯機から盗んだでしょ! あたしがお風呂入ってる時とかに!」 「絶対にありえない。そんなこと微塵も思ったことない」 「いや、少しは思いなさいよ! 死ね!」  ゆうのツッコミを受けて、お後がよろしくなり、両者この話題はおしまいという雰囲気になった。  じゃあ、結局どうなったかというと、『女騎士』と『爵位』の使い方を間違えると面倒になること、俺がゆうの部屋に忍び込んで、パンツを盗む以外のイケナイことをしていることがそれぞれ判明、何かのキッカケがあればこの続きから始まる、だ。  この辺の空気読みは俺達兄妹ならではといったところだろうか。おそらく、俺の反応を見て、ゆうも同じタイミングで一芝居打ったのだろう。そうでなければ、あのゆうが証拠不十分の窃盗容疑を指摘するわけはなく、俺が否定していない部屋への侵入の方を糾弾するはずだ。  あー、面白かった。戒めを与えつつ楽しさを得る、まさに一石二鳥だ。 「さてと……、五秒だけ待ってくれないか。それからは、俺は左胸、ゆうは右胸で行こう」 「おっけー。」  これからはラストスパートだ。兄妹漫才から切り替えて、女冒険者の身体に集中する。と言っても、茶番の間、彼女に対して俺達が何もしていなかったわけではなく、しっかりと口も手も動かしていたのだ。  では、なぜ待ってくれと言ったのかというと、これまで下裸と上裸を別々に観察してきて、それぞれ感動を得られた。それなら、全身を見たらさらに別の感動を得られるのではないか、という期待が胸をよぎったからだ。  おそらく、ゆうも俺の心境を察したのだろう。理由も聞かずにすぐに了解してくれた上に、すでに両胸を包んでいた手は、さらしを解いた直後の位置まで戻っている。  俺はすぐに身体を引き、ベストの構図になるように、素早く高さを調整しながら、女冒険者の全身を視界に入れた。  するとどうだろう。そこは、一つの完成された美しい世界だった。 「…………」  俺は言葉を失った。金髪ロングM字開脚正常位美人冒険者などという単純な単語の羅列では言い表せない。  それに、ここまで来ると、この子が冒険者だろうと騎士だろうとどうでもよくなっていた。  俺の女騎士属性への並々ならぬ想いとこだわりは、相当なものだと自負しており、それが同一人物の女冒険者と女騎士であれば、いついかなる場合であっても、女騎士の方が良いに決まっている、という理論が完全に覆されたのだ。  つまり、生まれたままの状態において、完璧な肉体美と尊顔の下では、職業属性など単なる過程に過ぎず、悲しいことに、それが逆に対象の価値を著しく落としてしまうため、むしろ忘れ去られるべきということだ。  木漏れ日と髪で創り出された金色の反射光が彼女の周囲を覆い、まるでオーラを放っているように見えて神々しい。それが眩い光となって俺の眼球から脳内を駆け巡っていく。  一瞬、目の前が真っ白になり混乱したが、すぐに我を取り戻し、彼女へ意識を向けた。  長い手足が折り畳まれ、最高の肉付きと共に黄金比を形成している。局部越しに見える凹んだ腹部が中心の盆地には、さっきまでそこに俺がいたにもかかわらず、ブラックホールのようにとてつもない吸引力が秘められていた。  今いる位置から永遠に見ていたいのに勝手に体が引き寄せられてしまう。心と体で押し引きを繰り返して、頭がボーっとするほどだ。だが、それが異常なまでに心地良く、俺の口は無意識に半開きになっていた。ピンク色のブラックホールも各地点に存在し、その全てが視界に入っているため、身体をバラバラにしてでも同時に飛び込みたくなる。  一方で、その女神のオーラに浄化され、俺の肉体と精神が消え去りそうな感覚にも陥る。俺の頭は本当にどうにかなりそうだった。一体何に感動しているのかさえ分からなくなり、感動の涙よりも混乱の涙が出そうになった。 「……ゃん……ちゃん……お兄ちゃん……お兄ちゃん、時間だよ」  ゆうの何度かの呼び掛けに、俺はビクッと身体を大きく震わせ、やっとのことで正気を取り戻した。ゆうが呼んでくれなければ、ずっとそのままだったかもしれない。あるいは、我慢できずに激しくむしゃぶりついていたか。 「あ、ああ……ありがとう……」  何とか呂律を回して反射的に声を出すも、何を言ったのか自分では理解しておらず、このあとに何をするのかも、すぐには思い出せなかった。  ハハハ、笑うしかない。まだ完全に正気を取り戻せていなかったのだ。 「実は十秒以上経ってからお兄ちゃんに声掛けたんだよ。ヨダレ垂らしながらユラユラして妙な雰囲気出てたから、それはそれでいいかなと思って見てたけど」 「え……マジで?」  にわかには信じられなかった。それはもう気絶していたようなものだ。口が開いていたことは分かっていたが、ヨダレを垂らしていたことには気付かなかったし、身体だけでなく、視界も正気を保っていれば揺れていたのだろうが、全く気付かなかった。しかも、十秒程度では、垂れるほどのヨダレは口内に貯まらないはずだ。  つまり、最初に彼女の全身が目に飛び込んできた直後に時間と肉体の概念を喪失、しかし身体だけは本能的に過剰なまでの反応を継続しながら、その瞬間の記憶だけで全てを語っていたのか俺は。なんという体験だ。 「マジマジ。我を忘れるほどかー。美人系とかあまりピンときてなかったけど、興味湧いてきた。あとでまた交代しようか。こっちからの景色も気に入ると思うよ」 「ありがとう。こちらこそ頼む」  いつもならこのやり取りの間に最低三回は『きも。』と言われるはずだが、俺の気絶状態と反応が珍しかったのだろう。今のゆうは、かなり機嫌が良いらしい。  いつもより高い声と軽快な口調のおかげで、頭がスッキリしてきて、次にやることを思い出せた。予定が狂ったので、やっぱりラストスパートはもう少し待ってほしい。  女は俺達がしばらく何もしてこないことに疑問を抱くような表情で、少し気まずい雰囲気を出していた。 「んん……ん……」  それに耐えかねてか、手足をちょっとだけ動かし、逃げ出すフリをして俺達の反応を伺っているようだ。  俺は女の左胸に手を伸ばして肌に触れ、徐々に力を入れていった。  ゆうも俺に合わせて力を入れる。俺が気絶してできてしまったクールタイムを埋めるように、優しく時に強く力の加減を変えて、女の胸を揉みしだいた。 「はぁ……はぁ……」  女を昂らせようと、胸だけでなく肌の様々な部分に触れていると、次第に女の声が荒くなってきた。いよいよ行くか。  俺は女の股に顔をうずめると、上下に激しく舌を這わせた。 「あっ……あっ……あぁん!」  女の声が一段と大きくなったことを確認すると、俺は最も敏感な所を重点的に責め始めた。女は身体をビクビクと小刻みに震わせ、時折、頭ごと大きく反らしていた。その度に、上下に激しく揺れる両胸は、やはり圧巻だ。 「ゆう、合わせて終わらせるぞ」 「おっけー。」  俺達は息を合わせ、女の身体の至る所に手を這わせ、舐め回し、吸い付くと、ゆうは両胸に、俺は下半身に行き着き、最後は、俺とゆうがジュルジュルと音を立てて、それぞれの突起を強く吸った。 「あっ……あっ……あはあああぁぁぁぁぁーー‼」  その大きな声と共に、女の泉から水が湧き出てきて、俺はそれを全て飲み干した。その瞬間、俺の喉から脳にかけて、爽やかな味が駆け抜け、これまで生きてきて良かったと思えるほどの感動を味わった。そのあまりの美味さに、再び俺は気絶した。 「……おーい、お兄ちゃん!」  また、ゆうが俺を起こしてくれたようだ。 「あ、ああ……。何秒気絶してた?」 「今回は七秒ぐらい」 「いやぁ……、気絶はマジで癖になってしまうな……」 「どうする? まだ続ける?」 「ああ。まだまだ行くぞ。せっかくだから、最高の快楽を何度でも味わってもらおう」  その度に俺は気絶してしまうかもしれないが……。 『あれ』は、とんでもないものだ。もちろん唾液も良いのだが、言葉にできない満足感がある。女の子が喜んでいるからというのもあるだろうか。  いやいや、忘れてはいけない。むしろそのためにやっているのだ。落ち込んでいたら励ますし、慰める。当然のことだ。全裸にするのだって、『服や下着が汚れては可哀想だから』が理由だ。ちゃんと土などで汚れないように脱がせた衣服は草の上に置いたり木の枝に引っ掛けたりしているのだ。虫が多いところにも置かない。服を着る時にびっくりするから。  これらを含めた、女の子と接触する際の様々なルールについては、ゆうと話し合って決めた。そのルールの『女の子』とは、生物学的性別が女性である人間を指すが、場合によっては例外が含まれてもよいものとし、その際は都度話し合うこととした。  大枠は次の通りだ。  一.女の子に可哀想なことはしない。  一.女の子に可哀想なことをせざるを得ない場合は、最終的に喜ぶことをする。  一.女の子から好かれることをする。  一.女の子から気持ち悪がられないようにする。  一.女の子から分泌される体液は糞尿含めて全て摂取する。  一.全項に反しない限りにおいて、人間だった頃の常識を捨てる。  以上、一匹の触手に同時転生した俺達兄妹が、女の子(例外有)を幸せにするために守るルールである。  俺達はそのルールに従って、木漏れ日の中、彼女を幸せにしたのだった。



write-comment-iconコメントを書く
write-comment-iconレビューを書く



comment-icon新着コメント



やーーーばーーーいっすね笑笑
06-02 18:03

俺と妹が触手に同時転生して女の子を幸せにする話(1/2)

1/54

「ん……んん!」  木漏れ日が差し込む小さい森の中で、美しく輝く金色の髪を揺らし、女冒険者は抵抗する。  口には俺の手を乱暴に突っ込んでいるので声を上げられないし、その両腕はすでに俺の手で抑えて自由を奪っているため、彼女は助けを呼べない。さらには、俺が持ち上げているので彼女の足は地面に届いておらず、その地面には、俺が不意を突いて落とした剣がすでに転がっている。彼女ができることは、必死に身体をくねらせるだけだ。  剣士相手の戦いをどうするかは以前から考えていた。手刀で手首や手を叩く方法もあるが、相手が小手を身に着けている場合もあるため、正面で気を引いて、後ろから剣の柄の先を叩き上げるのも有効ではないかと常々思っていた。  実際には、彼女は軽装鎧に小手装備だったので、その案を採用して上手く行った。 「鎧を脱がすぞ、ゆう」 「はいはい」  俺の声に適当な返事をする妹のゆう。こいつが上手く気を引いて、女冒険者が剣を落とした直後に、すかさず足首を抑えてくれたおかげで今の状況にある。  危険な役どころではあったが、『気を引くのは自分の方が向いているし、近づくお兄ちゃんの方が危険なんじゃない?』と言って、妹から手を挙げてくれた。我が妹ながら優秀な奴だ。うんうん。 「なに浸ってんのよ、きも。」  罵りのご褒美までくれるとは言葉もない。  改めて……。胸部の鎧は少し面倒で、今のままだと、口と両腕をできるだけ抑えながら脱がせることを心がけないといけない。 「下から行こう」  俺の言葉に、ゆうは女冒険者の両足を抑えつつもすぐに手を伸ばし、下腹部から尻周りの鎧の留め具を器用に外した。鎧の部位名は『フォールズ』だったかな。  緩んでもそのまま落ちてくるわけではないので、少し力を入れて下に引っ張る。服の上からでも大きく柔らかそうな両臀部の形が変わり、鎧がするりと抜けると、ぷるんと元に戻った瞬間を俺は見逃さなかった。 「服、上下で分かれてるから、そのまま下を全部脱がすよ」  ゆうが服を脱がすプランを考えてくれた。  鎧下の衣服はワンピースで膝上まで伸びているものもあり、その場合は手順と手間が変わる。今回は脱がしやすくて良かった。  フォールズを地面に落とす前に服を脱がすゆう。なるほど、それが脚の簡易的な拘束具にもなるというわけだ。俺も今度真似しよう。 「んっ! んっ……! んっっっ……!」  ゆうが紐を緩めた服と下着に手を掛けたところで、女冒険者は反射的に股を強く閉じ、腰を大きく前後左右に振り抵抗した。しかし、人体の構造上、股をいくら閉じようが逆に開こうが、必ず途中まで脱がすことができる。  ゆうは、一切の遠慮なく、それらを太腿の中程までぐいっと引き下げる。すると白く輝く下腹部が露わになり、羊毛の黒い服と、おそらく綿の薄い水色の下着と合わせて、素晴らしいコントラストが眼下に広がった。下着の染みの有無は、これからの描写を踏まえて想像にお任せしよう。もちろん、尻がまたぷるんとした瞬間は脳内に焼き付けた。リピート耐久動画にしたい。 「この人のお腹とお尻、めっちゃ綺麗」  ゆうも思わず俺と同じ感想を口に出した。まあ、俺はその後に『スリスリしたい』と続くのだが。 「スリスリしたい」 「え?」  突然のゆうの告白に、俺が驚いたのも束の間、ゆうは素早く女冒険者の両足の拘束を解くと同時に、ようやくフォールズをガシャンと落とし、一気に彼女の下半身を裸にして両足を再度拘束、その動作は流れるようだった。しかもこいつ、いつの間に靴と靴下を脱がせていたんだ……。  女冒険者は余程腕に自信があったのか脚部の金属装備はしていなかった。動きやすさやスピードを優先したというのもあるだろう。  装備を買うお金がない……わけではないことは溢れ出る気品から明らかだった。たとえ通常装備の鎧であっても名高い騎士と見間違えるだろう。  年齢は十八歳前後にも見えるから、それにしては若すぎるか。しかし、相まみえた時はあまり覇気を感じなかったので、返せない程の借金でもしたのかと邪推してしまった。それとも襲われることを期待していたのかな、ぐへへ。 「うぅ……」  下半身を空気に晒され、悔しそうに呻くも、力を緩めない女冒険者の脚の間にゆうは手を入れた。 「はい、ちょっと脚開いてねー」  診察する医者のようなテンションと口調で無理矢理脚を開かせる。脚を閉じたままだと尻に力が入りやすくなるため、柔らかい尻を堪能できないからだ。  まずは下腹部に、円を描くように手をゆっくりと這わせてスリスリする。 「んっ…!」  女冒険者はピクピクと身体を震わせた。  ゆうは、臍の周りに十分に触れてから左脇腹へ優しく手を回し、骨盤と鼠径部に沿って徐々に下へ移動させた。最下部までは行かずに、また臍に戻って右脇腹に同様に手を回し、今度は子宮の辺りを執拗に撫で回す。 「あ……あぁ…………」  女冒険者のもしかしてという不安と緊張感が俺にも伝わってくる。汗が頬を伝っていることを忘れているかのように、彼女は目を見開き、下腹部を凝視していた。 「今だっ!」  ゆうは素早く尻に飛びつき、即座に臀部を下の方から持ち上げながら、顔をスリスリと何度も擦りつけた。 「プルンプルン柔らか~」  うん、俺の妹だ。おそらく満面の笑みで尻を堪能していることだろう。臀部を上下左右に弾ませて、まるでおもちゃで遊ぶ子どものように尻を楽しんでいる。それにしても、前面の下腹部に意識を集中させ、尻の力を抜かせた所をすかさず狙うとは……。 「いや、これ俺が考えた剣を落とす作戦とほとんど同じだよね。剣か尻かの違いだし、斬られるか屁られるかの違いだよね。 「は? 違うし。『へられる』って何? きも。」  確実に言えるのは今のお前の方が気持ち悪いということだが、寛容な兄としては何も言わないでおくことにした。『屁られる』のワードセンスは自信があったんだけどなぁ……。 「さてと、それじゃあそろそろ……」  ゆうは尻から手を離し、太腿に手を回した。太腿全体を撫で回し、時には汗ばんだ内股を下から上に向かって舐めたり、時にはぎゅっと肉を掴んでは離したり、様々な緩急をつけることで、マッサージをされているような気持ち良さを女冒険者に与え続ける。 「んっ……はぁ……」  ゆうの特別なおもてなしに我慢できなかったのか、女冒険者の塞がれた口の端から嬌声と吐息が漏れる。  絶好のタイミングだと言わんばかりに、ゆうの目がキラリと光ったような気がした。 「そーれっ!」 「んーーーーーっ‼」  少しだけ開かせていた女冒険者の脚を今度は足首から持ち上げ、完全に開脚させた。これまでで一番の声を上げた彼女の局部が、俺の目にもハッキリと見えるようになった。 「お兄ちゃん、足も持てる?」 「お、おう」 「ありがと。」  ゆうはさり気ない感謝の言葉のあとに、女冒険者の足を俺に預け、これまで撫で回してきた部分をおさらいするかのように、一通り舐め上げた。  下半身はびしょびしょに濡れ、地面にはどちらのものとも分からない液体が、ぽたりぽたりと落ち始めている。  俺は、その液体ができるだけ落ちないように、そして女冒険者の局部が三者いずれの眼前にも来るように、後ろから両足を抑えていた手をさらに引き寄せた。 「ふふふっ」  怪しげな笑みを浮かべたゆうは、空中に挙げた手を、あからさまに女冒険者の股間にゆっくりとゆっくりと伸ばして行く。局部に触れるか触れないかギリギリの高さで、三秒ぐらい停止した次の瞬間、狙いを定めた手が身体に密着し、股間中央部から前方に掬い上げるように動いた。 「んふぅっっ‼」  女冒険者はビクンと背中を大きく反らした。飛び散った汗混じりの水滴が宙を舞い、その内のいくつかが彼女の白い腹に落ちる。俺にはその光景があまりに綺麗に見え、スローモーションにも感じるほどだった。 「おいしー‼」  歓喜の声を上げ、わざとじゅるじゅると音を立てて、腹の水滴まで吸い付いたゆう。  気持ち良さと恥ずかしさと磨き抜かれた演出のコンボで、顔まで火照らせボーっとする女冒険者。  そして、拘束しているだけの俺……。 「お兄ちゃん、交代しようか」  絶妙なタイミングで選手交代を提案するゆうに、俺は脱帽した。おいおい、俺まで演出されてるよ。 「こんな妹を持って俺は嬉しいよ」 「は? 死ね。」  嬉しすぎてゆうの言葉は俺に響かなかったが、事後の脳内反省会で反芻するとしよう。  ゆうの罵倒は、決して不快にならないレベルのテンションとイントネーションとアクセントで俺に放たれる。俺はゆうを罵倒の天才だと思っているので、それ欲しさに常日頃からちょっとキモい台詞を心がけているのだ。 「ほら、金髪ロング美人女騎士だよ。お兄ちゃんが好きなのはこういう人でしょ」  罵倒のアメをくれて追加のアメまでくれる最高の妹だ。  しかし、ゆうは決定的な思い違いをしていた。これは兄として、いや、一人の男として正さなければいけない。 「ゆう、それは間違いだ」 「え……? いや、でも前に言ってたじゃん。『現実味なさすぎ、きも。』って言ったのも、ちゃんと覚えてるから」 「この子は女騎士じゃない。少なくとも今は、な。職業で言うなら女冒険者、戦い方で言えば女剣士。騎士は国に忠誠を誓い、国王から叙任された称号とか階級のことで、基本的に騎馬で戦う。忠誠心の高い、真面目な騎士だからこそ、本気で抵抗して嫌がりつつも快楽の沼に足を突っ込んだ時のギャップが堪らないわけで。派生して、くっころ女騎士や姫騎士とかも同様に……ふひひ!」 「うわ、マジでキモすぎ。無理」  俺が早口で言ったちょっとキモい台詞に対して、ゆうはそう言い放ちながらも淡々と次の仕事に取り掛かっていた。  ゆうは、俺の代わりに女冒険者の後ろに回り、両手を縛り上げた。 「口から離して」  俺は言われた通りに口から手を離すと、すぐにゆうの手が女冒険者の口を塞ぐ。それから俺が前に回り込んで交代完了。足は引き続き俺が担当する。  手足を後ろに回して吊るすのもアリだが、今回のように自分が弄られている様子を見せつけるのも悪くない。見えない所で何をされるか分からない恐怖を与えない、ある意味で慈悲だね。  それよりも……妹の後学のためには、まだ話し足りない。 「さっきの話の続きなんだけどさ。女騎士の話」 「はぁ? もういいでしょ。そんなことより、ちゃんと責めてよ。抵抗する気なくさないと上が脱がしづらいんだから」  すでにゆうは胸部鎧、『ブレストプレート』の両腕にある留め具を緩めている。そう言えば、小手も身に着けてたよなと思って女冒険者の腕を見ると、こちらもすでになかった。  俺は、とりあえずゆうと同様に、下半身を撫で回した上で舐めることにした。ゆうに舐め取られた脇腹の汗をまた俺が舐め取る。そこから臀部に向かい、感触を堪能してから太腿へ。手をゆっくりと這わせてふくらはぎへ。  こうして実際に感じてみると、めちゃくちゃ長い脚だ。先端から覗くと、足と足の爪も大きくて形が良く、そこからスラリと伸びた膝下、太腿はそれだけでも男の劣情を掻き立てるほどムチッとしていて、脚全体で見ると非常にバランスが良い。  そして、脚を閉じていた時に見えた芸術的な股下デルタと開脚時の股間、大きく柔らかい尻、引き締まったウエストに続く。完成された下半身に思わず息を呑む俺。 「よし」  気合を入れた俺は、下腹部に手を当て、下へ進んで行った。そして、同じルートを舌も辿っていく。女冒険者からすれば、丘を登っていくように見えるだろう。てっぺんには俺の喉、いや、身体全体を潤すための湧き出る泉。もう我慢できなかった。 「あっ……ふぅぁっ!」  女冒険者の声が大きくなった。  オアシスに辿り着いた俺は、全てを飲み干す勢いと共に、口から溢れてもいいというぐらい、顔を上下に激しく動かしてむしゃぶりついた。 「ん……ん……んっ……」  俺の動きに合わせて、女冒険者は小刻みに声を漏らした。  ゆうが歓喜するのも分かる。人間が口に入れると害のある物質が含まれているとは、とても思えない。俺とゆうが特殊だからというのもあるだろう。  味に影響するであろう香りも微量の汗の匂いしか感じないのに、美味すぎてずっとこうしていたいぐらいだ。 「じゃあ、脱がせまーす」  そう言うと、ゆうは女冒険者の首と両腕を通していたブレストプレートを持ち上げ、あっさりと脱がせることに成功した。  ゆうの手はもう口を塞いでいない。両腕を拘束していた手は、もうほとんど力を入れておらず、単に服を脱がせるために両手を挙げさせるだけのものになっていた。 「はぁ……はぁ……」  女冒険者は、口が自由になっても、助けを呼ぼうとする素振りを見せず、ほんのり赤くなった顔で、ただただ荒い呼吸をするのみであった。  ゆうはブレストプレートを地面に落とし、すぐに次の衣服を脱がせにかかる。下部と同じく羊毛の黒い服を裏返しながら脱がせると、その下の胸部には、白いさらしの上からベージュのコルセットが装着されていた。戦闘時に乳房が揺れないためのものだろう。  ゆうは、即座にコルセットの背中の紐を緩め、上に持ち上げて脱がしていった。 「いい子だね」  面倒な鎧や服を、抵抗なく簡単に脱がせてくれたご褒美と言わんばかりに、ゆうは彼女の右首筋に舌を這わせ、下から上に舐め上げた。それだけでは飽き足らずに、舌は右耳の裏まで到達し、外耳に沿って円を描くように唾液の跡を残した。  そうこうしている内に、さらしが緩められ、白い麻布が上下に波打ったのを俺は目の当たりにした。それは、乳房の大きさと重み、それに柔らかさを感じ取れるほどの揺れだった。 「お兄ちゃん、ちょっと別のところ見てて」  お楽しみはさらしを全部取ってからということか。やっぱり俺の妹は素晴らしい演出家だ。  俺はできるだけ下を向き、女冒険者の身体に集中していると、スッスッとさらしが解かれていく音がする。何度も手を回す必要があるから大変だよなぁ、と俺は思いつつも、女冒険者の下半身に手や舌を這わせることを忘れない。 「いいよ」  女冒険者の何らかの反応が聞こえる間さえなく、思っていた時間の三倍ほど早く、ゆうの許可が下りた。こ、心の準備が……。  だが、目の端で捉えてしまった二つの山の麓の魅力に、俺はどうすることもできず、頭を上げた。 「お…………おおおおっ‼」 「金髪ロング美人女騎士のおっぱいと腋を、どうぞご賞味あれー!」  声が出ないほどのあまりの美しい光景に、俺の時間だけ一瞬止まったかと思ったが、絞り出した感嘆の声で自身を呼び覚ますことができた。  ハッキリ言おう。とんでもなくエロい格好をした金髪女神がそこにいた。  女冒険者の両腕は上げられ、手は頭の後ろで軽く縛られていた。少し離れてそびえ立つ二つの連山は非常にボリュームがあり、絶妙な張りと柔らかさを備えていることは、横に流れた肉量のバランスで明らかだ。  山頂のモニュメントはツンと斜め上を向き、丁度良い大きさのピンク色をした楕円領域に収まっている。そして、山と山の間には、さらしが肌に接触せずに吸収できなかった汗が光り輝く。  この圧倒的な威圧感は、ある程度のアンダーの厚みと肩幅がなければなし得ない。水泳女子を想像してもらえれば分かりやすいだろうか。普通の細身女性が巨乳であったとしてもこの景色は見られないだろう。  女冒険者は、この状況で顔を逸らすのではなく、とろんとした瞳でこちらをじっと見つめている。血色が良くなった唇で口は半開き、舌は下歯に当てられて前後に山なりになっており、頬は赤く、少しだけ汗に濡れたおでこと金色の前髪が最高のバランスで、ただ呼吸しているだけでも艶めかしい。これだけでもずっと見ていたい……と、これまで何度思っただろう。  だが、大きい山の奥にチラリと見える腋の一部が俺を強く惹きつける。後ろ髪を引かれるも、このままでは見えないので、今見えている角度のまま、もう少しだけ自身の身体を持ち上げた。  すると、眼前に広がる景色と、このまま天まで登ってしまいそうな幸福感が脳を満たしていった。そこには、ツルツルで滑らかな丘陵が輝いており、彼女がほんのちょっと動くだけでも微妙に形を変える。その様子だけでも目が離せない。  それにしても、どんだけ輝いているんだこの身体は。ムダ毛については、冒険者が頻繁に処理するとも思えないので、元々生えない体質なのだろうと結論付けた。  俺は、冷静なツッコミと分析をすることで、理性が吹っ飛びそうになるのを堪え、行き過ぎた女冒険者の身体の高さを慌てて戻すことができた。危ない危ない……ん?  俺は冷静になった頭で、ゆうの言葉を思い出す。先程の話題を掘り返すチャンスだ。 「今、また女騎士って言った?」 「うざ。」  ゆうの一言の直後、余計な口を出されないように俺は畳み掛ける。 「俺の部屋の同人誌をこっそり読んでたんだから、騎士もそうだけど爵位ぐらいは知っておいてもらわないと。爵位とは……」 「なっ……何言っ! は……はあぁぁ? ちょっ、何言ってんの⁉ ぜ……、読んでにゃ……っ! なっ……全然、読んでないし‼」  ゆうは珍しく慌てているようで、俺が講釈する前に話を遮ったが、放つ言葉もその順番も混乱していた。俺からは分からないが、きっと顔も真っ赤にしていることだろう。 「な、何を根拠にそんなこと言ってんのよ! 証拠はあるの⁉ 証拠‼」  まるで探偵推理作品で追い詰められた犯人が言うような使い古された台詞を恥ずかしげもなく言葉に出す我が妹。 「俺の部屋の全ての本棚の段には布が敷いてあっただろ? あれには加速度センサーが組み込まれていて、少しずれただけでも検知して、その位置と時刻をログとしてサーバに保存する。ここまで言えば分かるよな?」  ちなみに、同人誌は基本的に薄く、背表紙にタイトルスペースがないため、俺の場合は厚みのある透明なケースに入れてラベリングし、棚に並べても分かるようにしている。 「……っ! そ、そんなのホントかどうか分かんないし、目の前でそのセンサーの動作とログとその改竄不可能性と……お兄ちゃんのアリバイを確認できないと証明できませーーん!」  往生際が悪い上に、証拠として必要なものを的確に挙げてくる。こいつ、マジで頭の回転速いな。もちろん、隠しカメラの方が分かりやすくて確実だっただろうが、ゆうであれば部屋の隅々まで調べて見つけてしまうだろうと思い、わざわざ面倒なシステムにしたのだ。まあ、いずれにしても証拠は出せない。  よし、作戦を変えるか。『恥ずかしいからやめて! もう二度と間違えないから!』作戦だ。 「部屋入って左手前本棚の二段三列目奥、『聖バーナード公国の裏切りと陵辱~お兄様の犬になりますから触手だけはやめてください!~』」 「……っ!」  ゆうがピクッと反応したように見えた。俺はそのままタイトルの読み上げを続ける。 「同じく二段四列目奥、『田舎娘達に忍び寄る触手の蠢き』、二段八から十一列目奥、『辺境伯一家の没落冒険譚~闇堕ちした息子よ、妻と娘には指一本触れさせないぞ~』シリーズ、三段一列目奥、『クール系黒魔導士と薄幸系白魔導士達の憂鬱~双子魔導士を舐めるな! 感覚遮断魔法があれば触手なんて怖くない!~』、二列目奥、『ボクの性活~搾精魔族と家畜貴族~』」 「あ……あのさぁ……いきなりお兄ちゃんの触手本コレクションを自慢しないでくれる⁉  そんなのいいからさぁ! ほら、おっぱいだよおっぱい! おーっぱい! おーっぱい!」  ゆうは、女冒険者の両胸を包み、綱引きの『オーエス』のような掛け声に合わせて、上下に弾ませた。  俺の意図に気付いたのだろう。話を逸らそうとしても無駄だし、それは気を引いているというより、もうギャグになっちゃってるのよ。  それにしても、女冒険者に対して結構失礼なことしてるよな、こいつ……。いや、いかんいかん。そういうことは考えないことにしたんだった。結局、情景描写だけでなく女体の品評までしている自分に返ってくるんだし。  その点、ゆうは最初から女を人間扱いせず、単に自分達の獲物かおもちゃのように考えているようだった。同性だからだろうか、多少雑に扱った方がむしろ喜ぶとまで思っていそうだ。そして、実際に喜ばせてきたということがこれまでの経験から実感できる……。気を取り直して続けよう。 「四列目奥、『催眠王宮~魔族に支配された国の末路~』、六列目奥、『触手姫騎士アンソロジー』、八列目奥、『触手に堕ちた百合姉妹』、十列目奥、『神様、触手のペットが欲しいです。』、おっと、最後のは騎士も爵位も関係なかった。すまんすまん」 「……。いや、もういいから」  何がもういいのかよく分からなかったので、とりあえずタイトルの列挙は終わりにして、話を続けた。 「今挙げたのは全て本棚の奥、そして比較的高い位置にある本で、これらが動かされた形跡があった。当然、奥の本を取り出す時に手前の本も動かすわけだが、これはすぐに戻されている。手前の他の列の本については全く動かされていない。これは何を意味するか。本を抜いたことを気付かれたくない者の行動に他ならない。  なぜ高い位置なのかについては、低い位置の奥の本を抜けば上方から見て奥に空間があることにも気付きやすくなってしまう。俺の身長を計算しての犯行だ。だが、実はそんなことよりも驚くべきことが導き出される。  容疑者は定期的に俺の部屋に侵入して、奥の本のタイトルを全てメモに取っているか、撮影して保存しているか、または暗記しているのだ。最低限の本しか動かさないという強い意志を感じる。  そして、絶対にバレたくないので、その列で手前や奥にしか本がない時は手を出さない」 「…………」  ゆうは黙ってぷるぷると震えていた。 「ただ、最近どうしても読みたい本が手前に置かれた。現代恋愛ファンタジー作品だ。容疑者はどうしたか。大胆にも奥の本の『戦国触手時代~陸蛸使いと陸烏賊使いの合戦~』を手前に引き出したのだ。現代恋愛ファンタジーが戦国バトルファンタジーに置き換わってしまった。ここにきて! これまで変化が分かりづらい策を弄してきたのに!」 「…………」  俺がわざとらしく過剰な演技で煽ると、ゆうの震えが大きくなったような気がした。これで終わりだ! くらえ、諸刃の剣!  「そのタイトルとは……、『大好きなお兄ち……」 「わああぁぁーーーー‼ そ、そ、そういうお兄ちゃんだって、あたしの部屋に忍び込んで、イケナイことしてるでしょ!」  こういう時のために購入、もとい会得しておいた俺の渾身の必殺技【『大好きなお兄ちゃんを振り向かせるただ一つの方法』剣】を受け止めきれずに、論点をすり替えてきたか。  そもそも、もうバレているのだから、誤魔化しても仕方がないのだが、『兄妹モノを買ってるってことは、かわいい私のことも性的に見てるんでしょ』というマウントを取りたいあまりに、ゆうは作戦を誤ったようだ。そこは徹底的に容疑を否認するべきだった……。  いや、よく考えたら実は最適解なのか? まあ兎にも角にも、このままでは着地点が見えなくなって終わらない恐れがある。一芝居打つか。 「バ……ちょ、おま……な、何だよイケナイことって?」  ゆうがニヤリと笑ったような気がした。 「パンツ盗んだでしょ!」 「いやそれはない」  俺は限りなくテンションを低くし、萎えた様子で答えた。実際に盗んでないし、触ってもいないし、見てさえいない。本当だ。 「なっ……! じゃ、じゃあ、洗濯機から盗んだでしょ! あたしがお風呂入ってる時とかに!」 「絶対にありえない。そんなこと微塵も思ったことない」 「いや、少しは思いなさいよ! 死ね!」  ゆうのツッコミを受けて、お後がよろしくなり、両者この話題はおしまいという雰囲気になった。  じゃあ、結局どうなったかというと、『女騎士』と『爵位』の使い方を間違えると面倒になること、俺がゆうの部屋に忍び込んで、パンツを盗む以外のイケナイことをしていることがそれぞれ判明、何かのキッカケがあればこの続きから始まる、だ。  この辺の空気読みは俺達兄妹ならではといったところだろうか。おそらく、俺の反応を見て、ゆうも同じタイミングで一芝居打ったのだろう。そうでなければ、あのゆうが証拠不十分の窃盗容疑を指摘するわけはなく、俺が否定していない部屋への侵入の方を糾弾するはずだ。  あー、面白かった。戒めを与えつつ楽しさを得る、まさに一石二鳥だ。 「さてと……、五秒だけ待ってくれないか。それからは、俺は左胸、ゆうは右胸で行こう」 「おっけー。」  これからはラストスパートだ。兄妹漫才から切り替えて、女冒険者の身体に集中する。と言っても、茶番の間、彼女に対して俺達が何もしていなかったわけではなく、しっかりと口も手も動かしていたのだ。  では、なぜ待ってくれと言ったのかというと、これまで下裸と上裸を別々に観察してきて、それぞれ感動を得られた。それなら、全身を見たらさらに別の感動を得られるのではないか、という期待が胸をよぎったからだ。  おそらく、ゆうも俺の心境を察したのだろう。理由も聞かずにすぐに了解してくれた上に、すでに両胸を包んでいた手は、さらしを解いた直後の位置まで戻っている。  俺はすぐに身体を引き、ベストの構図になるように、素早く高さを調整しながら、女冒険者の全身を視界に入れた。  するとどうだろう。そこは、一つの完成された美しい世界だった。 「…………」  俺は言葉を失った。金髪ロングM字開脚正常位美人冒険者などという単純な単語の羅列では言い表せない。  それに、ここまで来ると、この子が冒険者だろうと騎士だろうとどうでもよくなっていた。  俺の女騎士属性への並々ならぬ想いとこだわりは、相当なものだと自負しており、それが同一人物の女冒険者と女騎士であれば、いついかなる場合であっても、女騎士の方が良いに決まっている、という理論が完全に覆されたのだ。  つまり、生まれたままの状態において、完璧な肉体美と尊顔の下では、職業属性など単なる過程に過ぎず、悲しいことに、それが逆に対象の価値を著しく落としてしまうため、むしろ忘れ去られるべきということだ。  木漏れ日と髪で創り出された金色の反射光が彼女の周囲を覆い、まるでオーラを放っているように見えて神々しい。それが眩い光となって俺の眼球から脳内を駆け巡っていく。  一瞬、目の前が真っ白になり混乱したが、すぐに我を取り戻し、彼女へ意識を向けた。  長い手足が折り畳まれ、最高の肉付きと共に黄金比を形成している。局部越しに見える凹んだ腹部が中心の盆地には、さっきまでそこに俺がいたにもかかわらず、ブラックホールのようにとてつもない吸引力が秘められていた。  今いる位置から永遠に見ていたいのに勝手に体が引き寄せられてしまう。心と体で押し引きを繰り返して、頭がボーっとするほどだ。だが、それが異常なまでに心地良く、俺の口は無意識に半開きになっていた。ピンク色のブラックホールも各地点に存在し、その全てが視界に入っているため、身体をバラバラにしてでも同時に飛び込みたくなる。  一方で、その女神のオーラに浄化され、俺の肉体と精神が消え去りそうな感覚にも陥る。俺の頭は本当にどうにかなりそうだった。一体何に感動しているのかさえ分からなくなり、感動の涙よりも混乱の涙が出そうになった。 「……ゃん……ちゃん……お兄ちゃん……お兄ちゃん、時間だよ」  ゆうの何度かの呼び掛けに、俺はビクッと身体を大きく震わせ、やっとのことで正気を取り戻した。ゆうが呼んでくれなければ、ずっとそのままだったかもしれない。あるいは、我慢できずに激しくむしゃぶりついていたか。 「あ、ああ……ありがとう……」  何とか呂律を回して反射的に声を出すも、何を言ったのか自分では理解しておらず、このあとに何をするのかも、すぐには思い出せなかった。  ハハハ、笑うしかない。まだ完全に正気を取り戻せていなかったのだ。 「実は十秒以上経ってからお兄ちゃんに声掛けたんだよ。ヨダレ垂らしながらユラユラして妙な雰囲気出てたから、それはそれでいいかなと思って見てたけど」 「え……マジで?」  にわかには信じられなかった。それはもう気絶していたようなものだ。口が開いていたことは分かっていたが、ヨダレを垂らしていたことには気付かなかったし、身体だけでなく、視界も正気を保っていれば揺れていたのだろうが、全く気付かなかった。しかも、十秒程度では、垂れるほどのヨダレは口内に貯まらないはずだ。  つまり、最初に彼女の全身が目に飛び込んできた直後に時間と肉体の概念を喪失、しかし身体だけは本能的に過剰なまでの反応を継続しながら、その瞬間の記憶だけで全てを語っていたのか俺は。なんという体験だ。 「マジマジ。我を忘れるほどかー。美人系とかあまりピンときてなかったけど、興味湧いてきた。あとでまた交代しようか。こっちからの景色も気に入ると思うよ」 「ありがとう。こちらこそ頼む」  いつもならこのやり取りの間に最低三回は『きも。』と言われるはずだが、俺の気絶状態と反応が珍しかったのだろう。今のゆうは、かなり機嫌が良いらしい。  いつもより高い声と軽快な口調のおかげで、頭がスッキリしてきて、次にやることを思い出せた。予定が狂ったので、やっぱりラストスパートはもう少し待ってほしい。  女は俺達がしばらく何もしてこないことに疑問を抱くような表情で、少し気まずい雰囲気を出していた。 「んん……ん……」  それに耐えかねてか、手足をちょっとだけ動かし、逃げ出すフリをして俺達の反応を伺っているようだ。  俺は女の左胸に手を伸ばして肌に触れ、徐々に力を入れていった。  ゆうも俺に合わせて力を入れる。俺が気絶してできてしまったクールタイムを埋めるように、優しく時に強く力の加減を変えて、女の胸を揉みしだいた。 「はぁ……はぁ……」  女を昂らせようと、胸だけでなく肌の様々な部分に触れていると、次第に女の声が荒くなってきた。いよいよ行くか。  俺は女の股に顔をうずめると、上下に激しく舌を這わせた。 「あっ……あっ……あぁん!」  女の声が一段と大きくなったことを確認すると、俺は最も敏感な所を重点的に責め始めた。女は身体をビクビクと小刻みに震わせ、時折、頭ごと大きく反らしていた。その度に、上下に激しく揺れる両胸は、やはり圧巻だ。 「ゆう、合わせて終わらせるぞ」 「おっけー。」  俺達は息を合わせ、女の身体の至る所に手を這わせ、舐め回し、吸い付くと、ゆうは両胸に、俺は下半身に行き着き、最後は、俺とゆうがジュルジュルと音を立てて、それぞれの突起を強く吸った。 「あっ……あっ……あはあああぁぁぁぁぁーー‼」  その大きな声と共に、女の泉から水が湧き出てきて、俺はそれを全て飲み干した。その瞬間、俺の喉から脳にかけて、爽やかな味が駆け抜け、これまで生きてきて良かったと思えるほどの感動を味わった。そのあまりの美味さに、再び俺は気絶した。 「……おーい、お兄ちゃん!」  また、ゆうが俺を起こしてくれたようだ。 「あ、ああ……。何秒気絶してた?」 「今回は七秒ぐらい」 「いやぁ……、気絶はマジで癖になってしまうな……」 「どうする? まだ続ける?」 「ああ。まだまだ行くぞ。せっかくだから、最高の快楽を何度でも味わってもらおう」  その度に俺は気絶してしまうかもしれないが……。 『あれ』は、とんでもないものだ。もちろん唾液も良いのだが、言葉にできない満足感がある。女の子が喜んでいるからというのもあるだろうか。  いやいや、忘れてはいけない。むしろそのためにやっているのだ。落ち込んでいたら励ますし、慰める。当然のことだ。全裸にするのだって、『服や下着が汚れては可哀想だから』が理由だ。ちゃんと土などで汚れないように脱がせた衣服は草の上に置いたり木の枝に引っ掛けたりしているのだ。虫が多いところにも置かない。服を着る時にびっくりするから。  これらを含めた、女の子と接触する際の様々なルールについては、ゆうと話し合って決めた。そのルールの『女の子』とは、生物学的性別が女性である人間を指すが、場合によっては例外が含まれてもよいものとし、その際は都度話し合うこととした。  大枠は次の通りだ。  一.女の子に可哀想なことはしない。  一.女の子に可哀想なことをせざるを得ない場合は、最終的に喜ぶことをする。  一.女の子から好かれることをする。  一.女の子から気持ち悪がられないようにする。  一.女の子から分泌される体液は糞尿含めて全て摂取する。  一.全項に反しない限りにおいて、人間だった頃の常識を捨てる。  以上、一匹の触手に同時転生した俺達兄妹が、女の子(例外有)を幸せにするために守るルールである。  俺達はそのルールに従って、木漏れ日の中、彼女を幸せにしたのだった。



write-comment-iconコメントを書く
write-comment-iconレビューを書く



comment-icon新着コメント



やーーーばーーーいっすね笑笑