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3話

ー/ー



 どのくらい歩いたのか、僕たちは少し離れた駅の改札前に辿り着いていた。
 背後のトウカの少し荒い息遣いが聞こえて、とたんに罪悪感が押し寄せてくる。

「あ、遠藤さん、ごめんね……早くあの場所から離れないとと思って……あ、それにイキナリ名字呼び捨てもごめん。親しい関係性と思わせないとと思って……っていうか、勝手に手を引いてごめんね……馴れ馴れしかったね」

 彼らが追いかけていないことを確認し、安堵した直後に繋いだままの手が視界に入り
 自慢の黒髪が少し乱れたまま、荒い息をしているトウカが視界に入り、大きく上下している細い肩が目に入り、途端に僕はパニックに陥ってしまった。
 助けようとすることに必死になりすぎていて、配慮が欠けていたことに気がつく。
 頭の中が真っ白になってしまった僕は、説明と言い訳とが混じり合いよくわからない言葉を早口でまくし立ててしまった。

 心のなかでどうしようという言葉だけがぐるぐると回り続ける。
 怒られる?呆れられる?嫌われる?
 ネガティブな思考に脳内を占領されていた僕は、すこし可愛らしい笑い声を聞いて我に返る。

「ふふ…………ふふふあはは…………え、えっと……御堂くんだよね?そんなに必死に謝らなくても…………えっと助けてくれたんだよね?」

 あの魅惑のほほ笑みを浮かべたトウカが、まっすぐに僕の目を見ていた。

「ありがとう。イキナリ3人の男の人に囲まれて、何を言っても聞いてもらえなくて、どうしようか本当に困ってたんだ。だからね、ありがとうって思うことはあっても、御堂くんが謝るような事はなにもないんだよ。」

 優しい声でそう言うと、トウカはもう一度、ありがとうって言ってくれた。

「でも、私達フィールドワーク有るようなゼミだったっけ?」

 といたずらっぽく笑う。

「あ、あれは……その、あの場を離れるにはどうすればいいかって考えて、その。思いつきで……。」

 照れくささと恥ずかしさと、そしてトウカの笑顔の眩しさから、僕はチョットだけ空を見上げてボソボソと答えた。

「友達との待ち合わせは大丈夫なの?」

 先程の場面を思い出して、聞いてみた。

「あぁ、別に友達との待ち合わせなんてないよ。ああ言えば引き下がってくれるかなって思ったんだけど 逆効果だったかも……。」

 微妙な笑みを浮かべてトウカは言った。

「そっか、もう彼らも居ないようだし、僕は行くけど…………」

 言葉の外に、もう大丈夫?という意味を込める。
 するとトウカは少し考え込むような、悩むような複雑な表情を浮かべて、少しの後、チョット前のめりになりながら僕に言う。

「御堂くんは、この後用事とか有るの?」

「い、いや、僕は別に何もすることがなくて。今日も欲しい物を買いに来ただけだし。」

「じゃあ、迷惑じゃなければなんだけど、お礼にお昼奢らせてほしいんだけど。」

 私も丁度、お昼ごはんを食べたいなと思っていたしね。そう付け加える。

「お、お礼をしてもらうようなことじゃないし。それに多分僕は、遠藤さんと一緒に食事なんて緊張しすぎて喉を通らないかもしれないし……」

 言いながら、なんて情けない回答をしているんだよ僕と、心のなかで毒づく。
 お礼をしてもらうほどのことじゃないからとだけ言えばいいのに、何で余計なことまで喋ってしまってるんだろう、僕はと情けなくなる。

「そんな事ない。だって他にもたくさん人は居たのに、皆助けてくれなかった。だけども御堂くんは助けてくれた。それは私からしたら、十分にお礼するべきことだよ。それに御堂くんとはまだお話したことが無かったし、この機会にちょっとお話してみたいなって思ったんだけど迷惑かな?」

 シュンってオノマトペが本当にその空間に存在したのではないかと思ってしまうほどにあからさまに、がっかりした表情を浮かべるトウカのそんな姿を見てしまったらいくら僕でも、いくらへたれた僕でも、断ることなんて出来ないと思った。

 なので少しの時間でいいならという、最大譲歩をしてした上で僕はトウカの提案に従った。


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 どのくらい歩いたのか、僕たちは少し離れた駅の改札前に辿り着いていた。
 背後のトウカの少し荒い息遣いが聞こえて、とたんに罪悪感が押し寄せてくる。
「あ、遠藤さん、ごめんね……早くあの場所から離れないとと思って……あ、それにイキナリ名字呼び捨てもごめん。親しい関係性と思わせないとと思って……っていうか、勝手に手を引いてごめんね……馴れ馴れしかったね」
 彼らが追いかけていないことを確認し、安堵した直後に繋いだままの手が視界に入り
 自慢の黒髪が少し乱れたまま、荒い息をしているトウカが視界に入り、大きく上下している細い肩が目に入り、途端に僕はパニックに陥ってしまった。
 助けようとすることに必死になりすぎていて、配慮が欠けていたことに気がつく。
 頭の中が真っ白になってしまった僕は、説明と言い訳とが混じり合いよくわからない言葉を早口でまくし立ててしまった。
 心のなかでどうしようという言葉だけがぐるぐると回り続ける。
 怒られる?呆れられる?嫌われる?
 ネガティブな思考に脳内を占領されていた僕は、すこし可愛らしい笑い声を聞いて我に返る。
「ふふ…………ふふふあはは…………え、えっと……御堂くんだよね?そんなに必死に謝らなくても…………えっと助けてくれたんだよね?」
 あの魅惑のほほ笑みを浮かべたトウカが、まっすぐに僕の目を見ていた。
「ありがとう。イキナリ3人の男の人に囲まれて、何を言っても聞いてもらえなくて、どうしようか本当に困ってたんだ。だからね、ありがとうって思うことはあっても、御堂くんが謝るような事はなにもないんだよ。」
 優しい声でそう言うと、トウカはもう一度、ありがとうって言ってくれた。
「でも、私達フィールドワーク有るようなゼミだったっけ?」
 といたずらっぽく笑う。
「あ、あれは……その、あの場を離れるにはどうすればいいかって考えて、その。思いつきで……。」
 照れくささと恥ずかしさと、そしてトウカの笑顔の眩しさから、僕はチョットだけ空を見上げてボソボソと答えた。
「友達との待ち合わせは大丈夫なの?」
 先程の場面を思い出して、聞いてみた。
「あぁ、別に友達との待ち合わせなんてないよ。ああ言えば引き下がってくれるかなって思ったんだけど 逆効果だったかも……。」
 微妙な笑みを浮かべてトウカは言った。
「そっか、もう彼らも居ないようだし、僕は行くけど…………」
 言葉の外に、もう大丈夫?という意味を込める。
 するとトウカは少し考え込むような、悩むような複雑な表情を浮かべて、少しの後、チョット前のめりになりながら僕に言う。
「御堂くんは、この後用事とか有るの?」
「い、いや、僕は別に何もすることがなくて。今日も欲しい物を買いに来ただけだし。」
「じゃあ、迷惑じゃなければなんだけど、お礼にお昼奢らせてほしいんだけど。」
 私も丁度、お昼ごはんを食べたいなと思っていたしね。そう付け加える。
「お、お礼をしてもらうようなことじゃないし。それに多分僕は、遠藤さんと一緒に食事なんて緊張しすぎて喉を通らないかもしれないし……」
 言いながら、なんて情けない回答をしているんだよ僕と、心のなかで毒づく。
 お礼をしてもらうほどのことじゃないからとだけ言えばいいのに、何で余計なことまで喋ってしまってるんだろう、僕はと情けなくなる。
「そんな事ない。だって他にもたくさん人は居たのに、皆助けてくれなかった。だけども御堂くんは助けてくれた。それは私からしたら、十分にお礼するべきことだよ。それに御堂くんとはまだお話したことが無かったし、この機会にちょっとお話してみたいなって思ったんだけど迷惑かな?」
 シュンってオノマトペが本当にその空間に存在したのではないかと思ってしまうほどにあからさまに、がっかりした表情を浮かべるトウカのそんな姿を見てしまったらいくら僕でも、いくらへたれた僕でも、断ることなんて出来ないと思った。
 なので少しの時間でいいならという、最大譲歩をしてした上で僕はトウカの提案に従った。