第3話:目に見えない重荷、孤独を破る誘い
ー/ーもうしばらくそこに立っていた。苦さと罪悪感の波が思考に押し寄せた。最近、人生と人間関係から完全に引きこもっていた。誰とも会わず、どこにも出かけなかった。ただ「往復」——仕事と家の間だけ。
電話の前の意図に戻った。タバコを取り出した。マッチの炎はまるで束の間の希望のようだった。一瞬輝いてはすぐ消える。深く吸い込み、しばらく煙を肺に溜めた。頭を上げて朝の空を見つめ、灰色の細い煙をゆっくりと吐き出した。落ち着くための深呼吸のようだった。灰色の雲が空中を追いかけ、ゆっくりと一つの形のない塊に溶け合っていくのを眺めた。
『自分の考えみたいだ』
と頭をかすめた。
この行為は少しも落ち着かせてくれなかった。時計を見て、急いで残りを吸い切った。毎日学ぶこの苦い教訓——外にあるものは安らぎをもたらさない。煙のように束の間だ。自分の内側に平穏がなければ、どんなに深く吸い込んでも取り戻せない。
重い一日になりそうだった。吸い殻を捨ててオフィスビルに向かった。ドアの前で、朝のタバコを終えた何人かの同僚と行き違った。軽く挨拶してから中に入った。
昨夜残していた書類の山が相変わらず待っていた。機械的な動きでコートを椅子の背もたれにかけ、無言で仕事に取りかかった。時間はいつも通り、誰も制御できない野生の馬のように疾走した。その日、相沢は何事にも集中できなかった。仕事の効率が大幅に落ちた。
この混沌とした急流の中で、ようやく休憩時間が来た。苦いコーヒーをゆっくり一口飲んでいると、同僚の一人が近づいてきた。
「今日は仕事がいっぱいですね」
とトランスから相沢を引き出しながら声をかけた。
「ああ、そうだな……最近どんどん増えてきてる」
と同僚を見ながら相沢が答えた。
タカシは彼より丸一回り若かった。若々しいエネルギーと熱意に満ちあふれていた。この若者にとって、相沢はいつも迷子で無気力そうに見えた。よく羅針盤のない孤独な船のように人生を漂っているように思えた。冷たく暗い深淵の中で、ただ一人。
「ちょっと思ったんですけど……」
と若者は一瞬声を止めた。
「一緒に飲みに行きませんか?」
と少し懇願するような目で言った。
相沢はコーヒーを大きく一口飲んだ。いつものようにした——口の中で保ち、強烈な苦みを一瞬他のすべての感覚を支配させた。この苦い間に、短い内なる戦いを戦った。長年の孤立の習慣から来る最初の反射は断ることだった。家に帰って、安全な沈黙に戻ること。しかし次の瞬間、弱く、しかし意外に頑固な思いが浮かんだ。
『もしかしたら、それがまさに今必要なことかもしれない』
ゆっくりと飲み込んだ。タカシは希望に満ちた目で彼を見ていた。年上の同僚はこの突然の誘いに少し興味を覚えた。
「今日仕事の後、行けると思う」
と答えた。
「ただ明日ここに戻って普通に機能できるようにな」
と笑いながらカップを口に引き寄せ、残りを飲み干した。強い酸味と焦げた後味が味蕾に広がった。コーヒーが少し濃すぎたが、オフィスではもう次を入れる機会がなかった。
「もちろんです!」
とタカシは頭の後ろに手をやり、大きく笑った。この反射的な、緊張したジェスチャーが、実は本格的な飲みが彼の真の意図だったことを明かしていた。
「近くに良いバーを知ってます。おそらく僕より遅く終わると思うので、ただ待ちますよ」
と年上の同僚の顔に迷いを見て付け加えた。
「あまり長居しないようにするよ、ただ今日は仕事がひどく捗っていないから」
と相沢は空のカップの底を軽い渋い顔で眺めた。
「気にしないでください」
とタカシは励ますように肩を叩いた。
「誰にでも悪い日はありますよ」
と輝く笑顔で言った。
「休憩終わりだ」
と相沢は若者の肩に触れた。
「書類に戻らないといけない」
「わかりました、わかりました」
と少し照れた様子でタカシが答えた。
「引き止めません。後でまた!」
相沢は空のカップを自分のロッカーに入れ、出る前に洗うことにした。もう一度同僚を見た。
「今夜また」
それだけ言ってから、給湯室を後にした。心はすぐに静かな戦いを始めた。一方では強力な習慣——孤独と慣れ親しんだ空虚に戻りたいという欲望。しかし他方では何か新しいものが芽生えていた。少なくともこの一夜だけはループを断ち切って、誰かと一緒にただ飲みたいという本物の気持ち。
『面白くなるかもしれない』
と思った。
残りの一日はあっという間に過ぎた。書類は魔法のように全く減らなかった。終わりのない、オフィスの物語のように——仕切りに一つ入れると、すぐその場所に次のが来る。終わりなき紙の川。
自分の仕事をゆっくりと人生を燃やす焚き火に例えていた。書かれた紙一枚一枚が火花。火花また火花、秒また秒——そうして日々が過ぎていく。しかしこの炎に何の意味があるのか、それが温めるのが空虚だとしたら?
また一晩、自分のブースで一人残り、シフトの終わりに書類を仕分けしていた。タカシが机に近づいて、もう準備ができているかを聞いた。
「もう少し」
と書類から目を上げずに相沢はぼやいた。
顔も上げなかった。書類を混ぜないよう真剣に集中していた。確認済みのものは仕切りへ、残りは明日のために置いた。また後ろにかなりの山を残していった。
「終わりなき物語だ」
と独り言で溜め息をついた。
タカシは通路で待っていた。ブースの仕切りを指で叩いていた。まるで頭の中で何かのメロディーを口ずさんでいるかのように。彼の尽きないエネルギーとのんきなリズムが、相沢の厚い鎧をゆっくりと浸透し始めた。この予期せぬ熱意が自分にも伝わって、以前の迷いをすっかり溶かしてしまうのを感じた。一緒に出かけるという見通しが突然本当に魅力的に思えた。数時間前は言い訳を考えていたのに。しかし今は、この外出が自分に良いことをするかもしれないと感じた。すべて準備ができた。椅子から立ち上がり、深く机の下に押し込んだ。
「行こう」
タカシを見て、友好的な身振りで出口を指し、先に行くよう合図した。
「もちろんです!」
と若者は笑顔で答えた。
「言っていたあの店……本当に美味しいカクテルがあるんですよ! ビールは? 種類がすごくて、きっと気に入るものがありますよ。楽しくなりますよ。料理も……最高ですよ!」
出口まで歩く間中、興奮して話し続けた。明らかによく来る店らしかった。最後に会社を出たのは二人だった。相沢は自分のデスクを最後に一瞥してドアへ向かった。建物を出ると、夕方の冷たい空気が二人の顔を打った。
「いいですか?」
とタバコの箱を空中で振りながら相沢が尋ねた。
「もちろん。僕は吸わないけど、どうぞ」
とタカシが同意した。
相沢は深く吸い込み、夜空を見上げて灰色の細い煙をゆっくりと吐き出した。
「時々こうする時……」
と慎重にタカシが言い始めた。
「……見えない重荷を下ろそうとしているように見えるんです」
相沢は残りの煙を吐き出して彼を見た。
「そう見えるか?」
と尋ねた。
「よくそう見えます。ここに入社してから、時々この煙と一緒に浮いて消えてしまいたいかのように見えるんです」
若者の熱意が少しずつ静まっていった。本能的に、地雷原に踏み込んでいると感じた。
「そういう面もある」
と相沢は短く間を置いて、もう一口吸い込んだ。
「時々この煙みたいに、ここから遠くへ浮かんで行けたらと思う。人生にはそういう瞬間がある、単純にもう十分だと感じる瞬間が」
と若い同僚を見てほんのりと口の端を上げて笑った。
「でも気分を台無しにしないようにしよう」
電話の前の意図に戻った。タバコを取り出した。マッチの炎はまるで束の間の希望のようだった。一瞬輝いてはすぐ消える。深く吸い込み、しばらく煙を肺に溜めた。頭を上げて朝の空を見つめ、灰色の細い煙をゆっくりと吐き出した。落ち着くための深呼吸のようだった。灰色の雲が空中を追いかけ、ゆっくりと一つの形のない塊に溶け合っていくのを眺めた。
『自分の考えみたいだ』
と頭をかすめた。
この行為は少しも落ち着かせてくれなかった。時計を見て、急いで残りを吸い切った。毎日学ぶこの苦い教訓——外にあるものは安らぎをもたらさない。煙のように束の間だ。自分の内側に平穏がなければ、どんなに深く吸い込んでも取り戻せない。
重い一日になりそうだった。吸い殻を捨ててオフィスビルに向かった。ドアの前で、朝のタバコを終えた何人かの同僚と行き違った。軽く挨拶してから中に入った。
昨夜残していた書類の山が相変わらず待っていた。機械的な動きでコートを椅子の背もたれにかけ、無言で仕事に取りかかった。時間はいつも通り、誰も制御できない野生の馬のように疾走した。その日、相沢は何事にも集中できなかった。仕事の効率が大幅に落ちた。
この混沌とした急流の中で、ようやく休憩時間が来た。苦いコーヒーをゆっくり一口飲んでいると、同僚の一人が近づいてきた。
「今日は仕事がいっぱいですね」
とトランスから相沢を引き出しながら声をかけた。
「ああ、そうだな……最近どんどん増えてきてる」
と同僚を見ながら相沢が答えた。
タカシは彼より丸一回り若かった。若々しいエネルギーと熱意に満ちあふれていた。この若者にとって、相沢はいつも迷子で無気力そうに見えた。よく羅針盤のない孤独な船のように人生を漂っているように思えた。冷たく暗い深淵の中で、ただ一人。
「ちょっと思ったんですけど……」
と若者は一瞬声を止めた。
「一緒に飲みに行きませんか?」
と少し懇願するような目で言った。
相沢はコーヒーを大きく一口飲んだ。いつものようにした——口の中で保ち、強烈な苦みを一瞬他のすべての感覚を支配させた。この苦い間に、短い内なる戦いを戦った。長年の孤立の習慣から来る最初の反射は断ることだった。家に帰って、安全な沈黙に戻ること。しかし次の瞬間、弱く、しかし意外に頑固な思いが浮かんだ。
『もしかしたら、それがまさに今必要なことかもしれない』
ゆっくりと飲み込んだ。タカシは希望に満ちた目で彼を見ていた。年上の同僚はこの突然の誘いに少し興味を覚えた。
「今日仕事の後、行けると思う」
と答えた。
「ただ明日ここに戻って普通に機能できるようにな」
と笑いながらカップを口に引き寄せ、残りを飲み干した。強い酸味と焦げた後味が味蕾に広がった。コーヒーが少し濃すぎたが、オフィスではもう次を入れる機会がなかった。
「もちろんです!」
とタカシは頭の後ろに手をやり、大きく笑った。この反射的な、緊張したジェスチャーが、実は本格的な飲みが彼の真の意図だったことを明かしていた。
「近くに良いバーを知ってます。おそらく僕より遅く終わると思うので、ただ待ちますよ」
と年上の同僚の顔に迷いを見て付け加えた。
「あまり長居しないようにするよ、ただ今日は仕事がひどく捗っていないから」
と相沢は空のカップの底を軽い渋い顔で眺めた。
「気にしないでください」
とタカシは励ますように肩を叩いた。
「誰にでも悪い日はありますよ」
と輝く笑顔で言った。
「休憩終わりだ」
と相沢は若者の肩に触れた。
「書類に戻らないといけない」
「わかりました、わかりました」
と少し照れた様子でタカシが答えた。
「引き止めません。後でまた!」
相沢は空のカップを自分のロッカーに入れ、出る前に洗うことにした。もう一度同僚を見た。
「今夜また」
それだけ言ってから、給湯室を後にした。心はすぐに静かな戦いを始めた。一方では強力な習慣——孤独と慣れ親しんだ空虚に戻りたいという欲望。しかし他方では何か新しいものが芽生えていた。少なくともこの一夜だけはループを断ち切って、誰かと一緒にただ飲みたいという本物の気持ち。
『面白くなるかもしれない』
と思った。
残りの一日はあっという間に過ぎた。書類は魔法のように全く減らなかった。終わりのない、オフィスの物語のように——仕切りに一つ入れると、すぐその場所に次のが来る。終わりなき紙の川。
自分の仕事をゆっくりと人生を燃やす焚き火に例えていた。書かれた紙一枚一枚が火花。火花また火花、秒また秒——そうして日々が過ぎていく。しかしこの炎に何の意味があるのか、それが温めるのが空虚だとしたら?
また一晩、自分のブースで一人残り、シフトの終わりに書類を仕分けしていた。タカシが机に近づいて、もう準備ができているかを聞いた。
「もう少し」
と書類から目を上げずに相沢はぼやいた。
顔も上げなかった。書類を混ぜないよう真剣に集中していた。確認済みのものは仕切りへ、残りは明日のために置いた。また後ろにかなりの山を残していった。
「終わりなき物語だ」
と独り言で溜め息をついた。
タカシは通路で待っていた。ブースの仕切りを指で叩いていた。まるで頭の中で何かのメロディーを口ずさんでいるかのように。彼の尽きないエネルギーとのんきなリズムが、相沢の厚い鎧をゆっくりと浸透し始めた。この予期せぬ熱意が自分にも伝わって、以前の迷いをすっかり溶かしてしまうのを感じた。一緒に出かけるという見通しが突然本当に魅力的に思えた。数時間前は言い訳を考えていたのに。しかし今は、この外出が自分に良いことをするかもしれないと感じた。すべて準備ができた。椅子から立ち上がり、深く机の下に押し込んだ。
「行こう」
タカシを見て、友好的な身振りで出口を指し、先に行くよう合図した。
「もちろんです!」
と若者は笑顔で答えた。
「言っていたあの店……本当に美味しいカクテルがあるんですよ! ビールは? 種類がすごくて、きっと気に入るものがありますよ。楽しくなりますよ。料理も……最高ですよ!」
出口まで歩く間中、興奮して話し続けた。明らかによく来る店らしかった。最後に会社を出たのは二人だった。相沢は自分のデスクを最後に一瞥してドアへ向かった。建物を出ると、夕方の冷たい空気が二人の顔を打った。
「いいですか?」
とタバコの箱を空中で振りながら相沢が尋ねた。
「もちろん。僕は吸わないけど、どうぞ」
とタカシが同意した。
相沢は深く吸い込み、夜空を見上げて灰色の細い煙をゆっくりと吐き出した。
「時々こうする時……」
と慎重にタカシが言い始めた。
「……見えない重荷を下ろそうとしているように見えるんです」
相沢は残りの煙を吐き出して彼を見た。
「そう見えるか?」
と尋ねた。
「よくそう見えます。ここに入社してから、時々この煙と一緒に浮いて消えてしまいたいかのように見えるんです」
若者の熱意が少しずつ静まっていった。本能的に、地雷原に踏み込んでいると感じた。
「そういう面もある」
と相沢は短く間を置いて、もう一口吸い込んだ。
「時々この煙みたいに、ここから遠くへ浮かんで行けたらと思う。人生にはそういう瞬間がある、単純にもう十分だと感じる瞬間が」
と若い同僚を見てほんのりと口の端を上げて笑った。
「でも気分を台無しにしないようにしよう」
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