がんばれ!ミノタウロス君!
ー/ー ——寒波到来。
魔界にも雪が降った。
いつもと同じ時間に起きたミノタウロス。
カーテンを開け、窓を開ける。
——シンシン……
「うお……」
めちゃくちゃ積もってる。
もうふくらはぎあたりまで雪が積もっている。
「これは……」
冷静になって、スマホで時間を確認。
「間に合わんぞ!!」
ただでさえ恐ろしいエリシア。
遅刻なんかすれば、きっと——。
——ホワンホワンホワ〜ン……
(妄想)
「あら〜、この私が一生懸命働いているのに、あなたは重役出勤なんですねぇ〜。」
「もも……申し訳ありません!!」
「早く四つん這いになりなさいよ!」
——ビシバシン!!
「ぐおおおおおぉ……!!」
——現実に戻る。
ミノタウロス、震えながら即座に着替え始めた。
(絶対に遅刻できん……!!)
極寒の雪道を突っ走るしかないのだった——。
——グッポグッポ……
雪は想像以上に深い。ミノタウロスですらまともに歩けない。
ふと辺りを見渡すと、同様に困っている魔界の住人たちの姿。
——そんな中、もがいているサラマンダーが目に入った。
「おお! あれだ!」
——ガシッ!
ミノタウロスはサラマンダーを抱え上げると——。
——バシンバシン!!
「ギョエエエェ!?」
無理やり叩いて、炎を出させた。
——ボオオオウゥ……!
雪がものすごい勢いで溶けていく。
(よし……いけるぞ……!)
ミノタウロスは、サラマンダーを抱えたまま、雪の中を突き進み始めた——!
だが——そんなのが続くわけもなく。
——サラマンダー、体力切れ。
「はぁ……」
結局、自分の足で進む羽目に。
ズボッ、ズボッと沈みながら進むミノタウロス。
(くそっ……このままじゃ遅刻確定……!)
——その時!
道中、雪の中で休んでいるワイバーンを発見!
(そうだ! 乗っていけばいいんだ!)
期待に胸を膨らませながら、ミノタウロスはワイバーンに近づく。
「ちょっと……城の者だが……乗せてはくれぬか……」
ワイバーン、面倒くさそうに顔を上げた。
「え、無理。寒いし。」
(こんの……!!)
怒りに震えつつも、雪道を進むしかないミノタウロスだった——。
——そんな中。
魔界の住人が、ガレージの前で雪かきをしているのが目に入った。
(あれ絶対、城勤務だよなぁ……乗せてもらおうか。)
ミノタウロスは、期待を込めて声をかけに行く。
「すまんが……城の者だな?」
「そうだが?」
「私も同じだ。実は……急いで出勤せねばならんのだ……それで——」
「あー無理無理無理。」
「えぇ……?」
住人は、無造作に車を指差す。
「ガレージの前がこんな状態で……車なんか出せないよ〜。」
——ガッツリ埋まっているタイヤ。
ミノタウロス、即座に決断。
「私がなんとかしよう……で、スコップは?」
「マジ? 頼むわ!」
かくして、ミノタウロスの筋肉を駆使した本格的な雪かきが始まるのだった——!
「ゼェ……ゼェ……」
普段とは違う筋肉の使い方。
いくらミノタウロスでも、これは堪える。
しかし、その努力の甲斐あって——
——ブロロロロ……!
「乗れよ。」
「すまんな。」
——バタン。
ミノタウロスは助手席に乗り込んだ。
「ところであんた……どこの部署?」
「いや、その……」
「どした?」
「と、特務室……」
——沈黙。
住人は、一瞬ギョッとした顔をしたが、すぐに平静を装った。
「そうか……色々……大変なんだな。」
「ま、まあ……」
——ブロロロロ……
微妙な空気のまま、車は魔王城へと向かうのだった。
——しかし。
——ズル! ズルズルズル!
——ゴリゴリゴリ……
「……」
「……」
車、スタック。
完全に埋まるタイヤ。
「ハァ〜。」
住人は、諦めたようにスマホを取り出し、どこかに電話をかけ始めた。
「あ、もしもし〜。 おはようございます〜。 えっと……そっち……雪どうです? えぇ、あ、そうなんですか……あの、非常に申し訳な——。え? 休んでいいって?あ、すいません本当に、失礼します〜。」
——ピッ。
「……」
「……」
住人は、スマホをポケットにしまい、ミノタウロスをチラッと見た。
「そんなわけで……悪いんだけどさ……降りて。」
「……」
「……」
——バタン。
——ブロロロロォ……
住人、車ごと去る。
「……」
ミノタウロス、雪の中に取り残される。
(……なんなんだ今日は。)
深いため息が、冷たい空気に白く消えた——。
——結局。
全てを諦めたミノタウロス。
己の筋力のみを信じ、ラッセル車の如き勢いで突き進む!
「うおおおおおぉ!!」
——ドドドドド〜!!
雪を蹴散らし、道なき道を進む!
——チラッ。
腕時計を見る。
始業時間、完全に過ぎている!
「くっそおおおおおぉ!!」
——ドドドドドド〜!!
遅刻の恐怖に怯えながら、ミノタウロスは魔王城を目指す——!
——そして、魔王城に到着!
ミノタウロスは息を切らしながら、エレベーターへ猛ダッシュ!
しかし——
——ビイイイイィ……
満員。
「あ、すんません……降ります……」
——ダッダッダッダッ!
仕方なく、階段を全力疾走!
筋肉を酷使しながら「特務室」へ向かう。
——ガチャッ!
「エリシア様! 遅れて申し訳——」
——ガラーン。
暗闇。照明はついていない。
エリシアが消し忘れたパソコンのモニターだけが、寂しく光っていた。
「あれ?」
——シーン……。
背中に、じわりと汗がにじむ。
ミノタウロスは、ポケットからスマホを取り出した。
——Prrrrrrrr!
コール音。
やがて、寝起きの声が聞こえた。
「ぅあい……もしもしぃ〜?」
「あ、おはようございます!」
「ぁあん?」
「いや、その……始業時間……」
——間
「え、あなた今どこ?」
「オフィスですけど……」
「ちょほほほほ! うそ! マジで!?」
「え、ええ!?」
「いや、こんなバカみたいに雪積もってて……まさか……えぇ!? マジで出勤したんですの!?」
「……」
「真面目にも程がありますわよ〜! まさかあなたが来るなんて思ってもなかったから二度寝してましたわ! ちょほほほほほ〜!」
「……」
「てか、もう無理だから休んでいいですわよ! じゃあ!」
——プチッ。
通話が切れる。
「……」
「…………」
「………………」
——そして、感情が爆発する。
「ぐおおおおおおおおオオオォオオオォオオォ!!!」
特務室に、悲鳴が響き渡った。
魔界にも雪が降った。
いつもと同じ時間に起きたミノタウロス。
カーテンを開け、窓を開ける。
——シンシン……
「うお……」
めちゃくちゃ積もってる。
もうふくらはぎあたりまで雪が積もっている。
「これは……」
冷静になって、スマホで時間を確認。
「間に合わんぞ!!」
ただでさえ恐ろしいエリシア。
遅刻なんかすれば、きっと——。
——ホワンホワンホワ〜ン……
(妄想)
「あら〜、この私が一生懸命働いているのに、あなたは重役出勤なんですねぇ〜。」
「もも……申し訳ありません!!」
「早く四つん這いになりなさいよ!」
——ビシバシン!!
「ぐおおおおおぉ……!!」
——現実に戻る。
ミノタウロス、震えながら即座に着替え始めた。
(絶対に遅刻できん……!!)
極寒の雪道を突っ走るしかないのだった——。
——グッポグッポ……
雪は想像以上に深い。ミノタウロスですらまともに歩けない。
ふと辺りを見渡すと、同様に困っている魔界の住人たちの姿。
——そんな中、もがいているサラマンダーが目に入った。
「おお! あれだ!」
——ガシッ!
ミノタウロスはサラマンダーを抱え上げると——。
——バシンバシン!!
「ギョエエエェ!?」
無理やり叩いて、炎を出させた。
——ボオオオウゥ……!
雪がものすごい勢いで溶けていく。
(よし……いけるぞ……!)
ミノタウロスは、サラマンダーを抱えたまま、雪の中を突き進み始めた——!
だが——そんなのが続くわけもなく。
——サラマンダー、体力切れ。
「はぁ……」
結局、自分の足で進む羽目に。
ズボッ、ズボッと沈みながら進むミノタウロス。
(くそっ……このままじゃ遅刻確定……!)
——その時!
道中、雪の中で休んでいるワイバーンを発見!
(そうだ! 乗っていけばいいんだ!)
期待に胸を膨らませながら、ミノタウロスはワイバーンに近づく。
「ちょっと……城の者だが……乗せてはくれぬか……」
ワイバーン、面倒くさそうに顔を上げた。
「え、無理。寒いし。」
(こんの……!!)
怒りに震えつつも、雪道を進むしかないミノタウロスだった——。
——そんな中。
魔界の住人が、ガレージの前で雪かきをしているのが目に入った。
(あれ絶対、城勤務だよなぁ……乗せてもらおうか。)
ミノタウロスは、期待を込めて声をかけに行く。
「すまんが……城の者だな?」
「そうだが?」
「私も同じだ。実は……急いで出勤せねばならんのだ……それで——」
「あー無理無理無理。」
「えぇ……?」
住人は、無造作に車を指差す。
「ガレージの前がこんな状態で……車なんか出せないよ〜。」
——ガッツリ埋まっているタイヤ。
ミノタウロス、即座に決断。
「私がなんとかしよう……で、スコップは?」
「マジ? 頼むわ!」
かくして、ミノタウロスの筋肉を駆使した本格的な雪かきが始まるのだった——!
「ゼェ……ゼェ……」
普段とは違う筋肉の使い方。
いくらミノタウロスでも、これは堪える。
しかし、その努力の甲斐あって——
——ブロロロロ……!
「乗れよ。」
「すまんな。」
——バタン。
ミノタウロスは助手席に乗り込んだ。
「ところであんた……どこの部署?」
「いや、その……」
「どした?」
「と、特務室……」
——沈黙。
住人は、一瞬ギョッとした顔をしたが、すぐに平静を装った。
「そうか……色々……大変なんだな。」
「ま、まあ……」
——ブロロロロ……
微妙な空気のまま、車は魔王城へと向かうのだった。
——しかし。
——ズル! ズルズルズル!
——ゴリゴリゴリ……
「……」
「……」
車、スタック。
完全に埋まるタイヤ。
「ハァ〜。」
住人は、諦めたようにスマホを取り出し、どこかに電話をかけ始めた。
「あ、もしもし〜。 おはようございます〜。 えっと……そっち……雪どうです? えぇ、あ、そうなんですか……あの、非常に申し訳な——。え? 休んでいいって?あ、すいません本当に、失礼します〜。」
——ピッ。
「……」
「……」
住人は、スマホをポケットにしまい、ミノタウロスをチラッと見た。
「そんなわけで……悪いんだけどさ……降りて。」
「……」
「……」
——バタン。
——ブロロロロォ……
住人、車ごと去る。
「……」
ミノタウロス、雪の中に取り残される。
(……なんなんだ今日は。)
深いため息が、冷たい空気に白く消えた——。
——結局。
全てを諦めたミノタウロス。
己の筋力のみを信じ、ラッセル車の如き勢いで突き進む!
「うおおおおおぉ!!」
——ドドドドド〜!!
雪を蹴散らし、道なき道を進む!
——チラッ。
腕時計を見る。
始業時間、完全に過ぎている!
「くっそおおおおおぉ!!」
——ドドドドドド〜!!
遅刻の恐怖に怯えながら、ミノタウロスは魔王城を目指す——!
——そして、魔王城に到着!
ミノタウロスは息を切らしながら、エレベーターへ猛ダッシュ!
しかし——
——ビイイイイィ……
満員。
「あ、すんません……降ります……」
——ダッダッダッダッ!
仕方なく、階段を全力疾走!
筋肉を酷使しながら「特務室」へ向かう。
——ガチャッ!
「エリシア様! 遅れて申し訳——」
——ガラーン。
暗闇。照明はついていない。
エリシアが消し忘れたパソコンのモニターだけが、寂しく光っていた。
「あれ?」
——シーン……。
背中に、じわりと汗がにじむ。
ミノタウロスは、ポケットからスマホを取り出した。
——Prrrrrrrr!
コール音。
やがて、寝起きの声が聞こえた。
「ぅあい……もしもしぃ〜?」
「あ、おはようございます!」
「ぁあん?」
「いや、その……始業時間……」
——間
「え、あなた今どこ?」
「オフィスですけど……」
「ちょほほほほ! うそ! マジで!?」
「え、ええ!?」
「いや、こんなバカみたいに雪積もってて……まさか……えぇ!? マジで出勤したんですの!?」
「……」
「真面目にも程がありますわよ〜! まさかあなたが来るなんて思ってもなかったから二度寝してましたわ! ちょほほほほほ〜!」
「……」
「てか、もう無理だから休んでいいですわよ! じゃあ!」
——プチッ。
通話が切れる。
「……」
「…………」
「………………」
——そして、感情が爆発する。
「ぐおおおおおおおおオオオォオオオォオオォ!!!」
特務室に、悲鳴が響き渡った。
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