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いくつもの昼と夜

ー/ー



 その間、いくつもの昼と夜がすぎました。森のくぬぎの木の上は、毎晩のようににぎわっていました。しかし、その間もずっと、そのカブトムシは、たまごをうんでは土をかため、たまごをうんでは土をかためていました。
 ある時にはばったりと、まいごのミミズに出会いました。
あぶない、あぶない、大事なたまごをうんだ土が、あらされてしまう。
 カブトムシは、土の中をほり進んで、より安全なところでたまごをうみました。
 またある時には、あばれんぼうのムカデがひょっこりと出てきました。
 あぶない、あぶない、たまごがつぶされてしまってはかなわない。
 カブトムシは、ぎゅっ、ぎゅっと、より強く土をかためました。
 そうして、いくつの昼と夜がすぎたでしょう。森の夜はすっかりとすずしくなり、くぬぎの木の上もひっそりと、しずかになっていました。角のあるオスのカブトムシたちも、ほとんどが力つきてしまったようでした。
 たくさんのたまごをうんで、もううめなくなったメスのカブトムシは、最後の力をふりしぼって、地面の上へと出てきました。
 にぎやかだった夜の森は、どこかさみしくなっていました。ところどころで、コオロギやスズムシが、秋のおとずれをつげる音をかなでています。カブトムシがぼんやりと夜空を見上げると、大きくてまんまるなお月さまが、明るくかがやいていました。


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 その間、いくつもの昼と夜がすぎました。森のくぬぎの木の上は、毎晩のようににぎわっていました。しかし、その間もずっと、そのカブトムシは、たまごをうんでは土をかため、たまごをうんでは土をかためていました。
 ある時にはばったりと、まいごのミミズに出会いました。
あぶない、あぶない、大事なたまごをうんだ土が、あらされてしまう。
 カブトムシは、土の中をほり進んで、より安全なところでたまごをうみました。
 またある時には、あばれんぼうのムカデがひょっこりと出てきました。
 あぶない、あぶない、たまごがつぶされてしまってはかなわない。
 カブトムシは、ぎゅっ、ぎゅっと、より強く土をかためました。
 そうして、いくつの昼と夜がすぎたでしょう。森の夜はすっかりとすずしくなり、くぬぎの木の上もひっそりと、しずかになっていました。角のあるオスのカブトムシたちも、ほとんどが力つきてしまったようでした。
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 にぎやかだった夜の森は、どこかさみしくなっていました。ところどころで、コオロギやスズムシが、秋のおとずれをつげる音をかなでています。カブトムシがぼんやりと夜空を見上げると、大きくてまんまるなお月さまが、明るくかがやいていました。