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大事なたまご

ー/ー



 朝陽がのぼり、森はうっすらと明るくなっていきました。くぬぎの木の上でたたかっていたオスのカブトムシたちは、土の中へもぐっていきました。そして、角のないメスのカブトムシも、土をほり進み、深くまでもぐっていきました。
 深く、深く、どこまでも深く、アリや、ミミズでさえもたどりつけないようなところへと、メスのカブトムシはもぐりました。
 ここなら、だいじょうぶかしら。いいえ、もっと、安全なところがあるはずよ。
 そうして、土の中をほって、ほって、さがし続けて、ようやく、カブトムシは安心できるところにたどりつきました。
 真っ暗な土の中、カブトムシは思いっきり、お腹に力をいれていきみました。
 うーん、うーん……。
 それは、とっても大変なことでした。いたくて、苦しくて、つらいことでした。それでも、カブトムシはいきみました。
 うーん、うーん。
 そうして、ようやく、カブトムシのおしりからは、ころんと白いたまごが出てきました。カブトムシは、自分の体から出てきたそれが何なのかは知りませんでした。でも、それはとっても大事なものだということは分かりました。だから、カブトムシはたまごのまわりの土をかためました。
 ぎゅっ、ぎゅっ、ぎゅっ、ぎゅっ。
 たまごがこわれてしまわないように、ミミズやムカデから守るために。力のかぎり、かたく、かたく、かためました。
 よし。これで、だいじょうぶ。このかたさなら、ちょっとやそっとじゃ、こわされることはないでしょう。
 カブトムシはほっと、胸をなでおろしました。しかし、休むのも、つかの間のことでした。カブトムシは、うーん、うーんといきんで、次のたまごをうみはじめました。大事なたまごをうむと、カブトムシはせっせとまわりの土をかためました。うんでは土をかため、うんでは土をかためました。


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 朝陽がのぼり、森はうっすらと明るくなっていきました。くぬぎの木の上でたたかっていたオスのカブトムシたちは、土の中へもぐっていきました。そして、角のないメスのカブトムシも、土をほり進み、深くまでもぐっていきました。
 深く、深く、どこまでも深く、アリや、ミミズでさえもたどりつけないようなところへと、メスのカブトムシはもぐりました。
 ここなら、だいじょうぶかしら。いいえ、もっと、安全なところがあるはずよ。
 そうして、土の中をほって、ほって、さがし続けて、ようやく、カブトムシは安心できるところにたどりつきました。
 真っ暗な土の中、カブトムシは思いっきり、お腹に力をいれていきみました。
 うーん、うーん……。
 それは、とっても大変なことでした。いたくて、苦しくて、つらいことでした。それでも、カブトムシはいきみました。
 うーん、うーん。
 そうして、ようやく、カブトムシのおしりからは、ころんと白いたまごが出てきました。カブトムシは、自分の体から出てきたそれが何なのかは知りませんでした。でも、それはとっても大事なものだということは分かりました。だから、カブトムシはたまごのまわりの土をかためました。
 ぎゅっ、ぎゅっ、ぎゅっ、ぎゅっ。
 たまごがこわれてしまわないように、ミミズやムカデから守るために。力のかぎり、かたく、かたく、かためました。
 よし。これで、だいじょうぶ。このかたさなら、ちょっとやそっとじゃ、こわされることはないでしょう。
 カブトムシはほっと、胸をなでおろしました。しかし、休むのも、つかの間のことでした。カブトムシは、うーん、うーんといきんで、次のたまごをうみはじめました。大事なたまごをうむと、カブトムシはせっせとまわりの土をかためました。うんでは土をかため、うんでは土をかためました。