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【10】③

ー/ー



    ◇  ◇  ◇
「あのさ、瑛璃ちゃん。実は佐野に伝言頼まれたんだ。絶対これ見せてくれ、って」
 数日後、部屋に来た航が困惑した様子で切り出した。
「……伝言?」
 意味が捉えられずに鸚鵡(おうむ)返しした瑛璃に、彼が説明してくれる。
「あいつ、瑛璃ちゃんの連絡先知らないから。俺、そういうの絶対勝手には教えないし! ……俺にはちょっと意味わかんないけど、『エイリ(瑛璃)さんには通じるから』って」
 佐野がこの期に及んで、ましてや航を介してまで、瑛璃と「話したい」ことは何だろう。
 実際には何を言われても、瑛璃は性格的にも彼に告げ口できるとは思えなかったし、現にしていない。
 彼女は航と接した上で、その態度からも「瑛璃が何も伝えてはいない」ことを知っている筈だ。
「でも瑛璃ちゃんがこれ以上やり取りしたくなかったら、俺に気ぃ遣うことないから。俺が断るし、それでもしあいつがなんか言ってきたらなんとかする!」
 決断しきれないでいる瑛璃に、航との板挟みで悩んでいると感じたらしい。ただ、彼女の意図が読めずに考えていただけなのだが。
「佐野って結構いい奴だけどガサツなんだよなあ。……まあ、あいつの場合は親が出て行かせるわけないし、東京から来た瑛璃ちゃんが羨ましいんだよ。だからって俺も道連れにされてもな。『ここが一番合ってるから出てくな!』って」
 親。家……。
 そうだ。佐野も彼女独自の事情を背負っているのだ。
「私は大丈夫だから見せて」
 躊躇する気持ちは残っていたものの、瑛璃は覚悟を決めて承諾した。
 航がこちらに向けてくれたディスプレイのメッセージに目を走らせる。
《エイリさんがなにも悪くないのなんて、ホントはあたしもわかってる。もしよかったら少し話したいの。メッセージでいい。このコードであたしのIDわかるから。》
 文字だけなので何とも言えないものの、ずいぶん落ち着いた印象を受けた。添えられたコードに自分のスマートフォンを向けて読み取る。
「できた? ……えっと、俺ここにいた方がいい? それともいない方がやりやすいかな?」
「うん、行けたみたい。……そうね。少しだけ一人にしてくれる? しばらくしたら覗きに来てくれると嬉しいかな」
 軽く頷いて何も言わずに部屋を出て行く、少し不安そうな従兄を見送って、瑛璃は佐野にメッセージを送った。


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    ◇  ◇  ◇
「あのさ、瑛璃ちゃん。実は佐野に伝言頼まれたんだ。絶対これ見せてくれ、って」
 数日後、部屋に来た航が困惑した様子で切り出した。
「……伝言?」
 意味が捉えられずに|鸚鵡《おうむ》返しした瑛璃に、彼が説明してくれる。
「あいつ、瑛璃ちゃんの連絡先知らないから。俺、そういうの絶対勝手には教えないし! ……俺にはちょっと意味わかんないけど、『|エイリ《瑛璃》さんには通じるから』って」
 佐野がこの期に及んで、ましてや航を介してまで、瑛璃と「話したい」ことは何だろう。
 実際には何を言われても、瑛璃は性格的にも彼に告げ口できるとは思えなかったし、現にしていない。
 彼女は航と接した上で、その態度からも「瑛璃が何も伝えてはいない」ことを知っている筈だ。
「でも瑛璃ちゃんがこれ以上やり取りしたくなかったら、俺に気ぃ遣うことないから。俺が断るし、それでもしあいつがなんか言ってきたらなんとかする!」
 決断しきれないでいる瑛璃に、航との板挟みで悩んでいると感じたらしい。ただ、彼女の意図が読めずに考えていただけなのだが。
「佐野って結構いい奴だけどガサツなんだよなあ。……まあ、あいつの場合は親が出て行かせるわけないし、東京から来た瑛璃ちゃんが羨ましいんだよ。だからって俺も道連れにされてもな。『ここが一番合ってるから出てくな!』って」
 親。家……。
 そうだ。佐野も彼女独自の事情を背負っているのだ。
「私は大丈夫だから見せて」
 躊躇する気持ちは残っていたものの、瑛璃は覚悟を決めて承諾した。
 航がこちらに向けてくれたディスプレイのメッセージに目を走らせる。
《エイリさんがなにも悪くないのなんて、ホントはあたしもわかってる。もしよかったら少し話したいの。メッセージでいい。このコードであたしのIDわかるから。》
 文字だけなので何とも言えないものの、ずいぶん落ち着いた印象を受けた。添えられたコードに自分のスマートフォンを向けて読み取る。
「できた? ……えっと、俺ここにいた方がいい? それともいない方がやりやすいかな?」
「うん、行けたみたい。……そうね。少しだけ一人にしてくれる? しばらくしたら覗きに来てくれると嬉しいかな」
 軽く頷いて何も言わずに部屋を出て行く、少し不安そうな従兄を見送って、瑛璃は佐野にメッセージを送った。