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#07

ー/ー



「卒業した後の、自分の姿が想像つかないんだ。大学ってなんか、学校って感じがしないじゃん。自由が利き過ぎて、なんだか怖くて」
 自然以外に何もない、自分以外に誰一人いない地球に放り出され、さぁ、行動してみろと言われているように、高校を卒業した後、何をすればいいのか分からない。
 どうすれば、何もない地球を豊に出来るのか、そんなの分かるはずがない。
「私は、早く卒業したい」
 意外にも、朱理がそう言った。
「不安はないの?」
「今以上に、不安が募ることはないよ」
 私が傍にいる今よりも、私が傍にいない卒業後の方が朱理は不安を感じないのだろうか? それとも、朱理の描く卒業後のビジョンに、私は映っているのだろうか?
「私は、人を傷つけてしまう危険な物でしょ。でも、人を傷つけるナイフだって、使い方によっては人を喜ばせられる。そんなナイフのように、私をうまく扱ってくれる人が社会に出たらいればいいなって」
 励ましの言葉が、何も思い浮かばなかった。朱理はそんな危険な物ではないと強く思っているが、その思いを口にしてしまったら、朱理の描くビジョンを否定し、生きる励みを壊してしまう気がする。
「操られて、朱理はどうするの?」
「生きるの」
「生きるだけなの?」
 朱理は、迷いなくうなずく。
「そんな生き方で、楽しい?」
「私は、楽しくなくてもいい。辛くたっていい。ただ、生きていたい。生きる以外に何も望まない。将来に期待をしてないから」
 そう生きなくてはならないんだと言い聞かせるように、かたくなに言葉を並べ、最後に一呼吸間を置いてからか細い声で『生きていたいんじゃなくて、死にたくないだけかもしれない』と言葉をこぼした。


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「卒業した後の、自分の姿が想像つかないんだ。大学ってなんか、学校って感じがしないじゃん。自由が利き過ぎて、なんだか怖くて」
 自然以外に何もない、自分以外に誰一人いない地球に放り出され、さぁ、行動してみろと言われているように、高校を卒業した後、何をすればいいのか分からない。
 どうすれば、何もない地球を豊に出来るのか、そんなの分かるはずがない。
「私は、早く卒業したい」
 意外にも、朱理がそう言った。
「不安はないの?」
「今以上に、不安が募ることはないよ」
 私が傍にいる今よりも、私が傍にいない卒業後の方が朱理は不安を感じないのだろうか? それとも、朱理の描く卒業後のビジョンに、私は映っているのだろうか?
「私は、人を傷つけてしまう危険な物でしょ。でも、人を傷つけるナイフだって、使い方によっては人を喜ばせられる。そんなナイフのように、私をうまく扱ってくれる人が社会に出たらいればいいなって」
 励ましの言葉が、何も思い浮かばなかった。朱理はそんな危険な物ではないと強く思っているが、その思いを口にしてしまったら、朱理の描くビジョンを否定し、生きる励みを壊してしまう気がする。
「操られて、朱理はどうするの?」
「生きるの」
「生きるだけなの?」
 朱理は、迷いなくうなずく。
「そんな生き方で、楽しい?」
「私は、楽しくなくてもいい。辛くたっていい。ただ、生きていたい。生きる以外に何も望まない。将来に期待をしてないから」
 そう生きなくてはならないんだと言い聞かせるように、かたくなに言葉を並べ、最後に一呼吸間を置いてからか細い声で『生きていたいんじゃなくて、死にたくないだけかもしれない』と言葉をこぼした。