【8】③
ー/ー それ以来、電車に乗って二人で何度も街を訪れていた。
「瑛璃ちゃん、次は何か食べたいものある? あ、スイーツ、っていうの? メシじゃなくて甘いもんでもいいよ! また友達に良さそうなとこ訊くしさ」
「そうね。スイーツもいいかも。甘いもの好きだし。航くんもよね?」
毎回、航が最初のカフェのように「地元で有名な、友人間で話題に上がる」スポットに連れて行ってくれる。
どこも目新しさだけではなく純粋に楽しめた。
しかし結局、モールに行ったのは一度きりだった。
どれだけ違うか、あるいは同じか確かめよう、と航に促されてあまり気は進まなかったが足を踏み入れたショッピングモール。
確かに中に入ればいったい何処なのかわからなくなるくらい、行きつけの地元の施設と似た空間だった。
東京と変わらない、それなのに何かが異なっているのも間違いないのが不思議でもあった。
明確に言葉にはできない空気のようなものを肌で感じていたのだ。
来る前は、僅か一か月がまるで永遠に思われた夏休みももう残り少ない。あっという間に、飛ぶように、という表現がそのまま当て嵌まるようだ。
もっと欲しい。彼と離れたあとに、反芻するための楽しい経験の記憶が。
東京には行きたくない、この町にいたいと言っていたらしい従兄。
故郷で両親と過ごしたいという考え方自体は何もおかしくはない。
彼がただ「都会の大学へ行って遊びたい」といった浮ついた人間ではないというのもまた、瑛璃にもわかっている。
それでも、今からそこまで決めているというのはやはり不思議だった。
実態として、この町では進路の選択肢は限りなく狭まるのは間違いない気がする。それさえも、瑛璃の身勝手な感情から来るもので、航には余計なお世話なのだろうか。
この夏もいつか終わる。必ず終わる。
そうすれば帰れる、と待ち望んでいた筈の「終わり」に、いつしか瑛璃は怯えていた。
「瑛璃ちゃん、次は何か食べたいものある? あ、スイーツ、っていうの? メシじゃなくて甘いもんでもいいよ! また友達に良さそうなとこ訊くしさ」
「そうね。スイーツもいいかも。甘いもの好きだし。航くんもよね?」
毎回、航が最初のカフェのように「地元で有名な、友人間で話題に上がる」スポットに連れて行ってくれる。
どこも目新しさだけではなく純粋に楽しめた。
しかし結局、モールに行ったのは一度きりだった。
どれだけ違うか、あるいは同じか確かめよう、と航に促されてあまり気は進まなかったが足を踏み入れたショッピングモール。
確かに中に入ればいったい何処なのかわからなくなるくらい、行きつけの地元の施設と似た空間だった。
東京と変わらない、それなのに何かが異なっているのも間違いないのが不思議でもあった。
明確に言葉にはできない空気のようなものを肌で感じていたのだ。
来る前は、僅か一か月がまるで永遠に思われた夏休みももう残り少ない。あっという間に、飛ぶように、という表現がそのまま当て嵌まるようだ。
もっと欲しい。彼と離れたあとに、反芻するための楽しい経験の記憶が。
東京には行きたくない、この町にいたいと言っていたらしい従兄。
故郷で両親と過ごしたいという考え方自体は何もおかしくはない。
彼がただ「都会の大学へ行って遊びたい」といった浮ついた人間ではないというのもまた、瑛璃にもわかっている。
それでも、今からそこまで決めているというのはやはり不思議だった。
実態として、この町では進路の選択肢は限りなく狭まるのは間違いない気がする。それさえも、瑛璃の身勝手な感情から来るもので、航には余計なお世話なのだろうか。
この夏もいつか終わる。必ず終わる。
そうすれば帰れる、と待ち望んでいた筈の「終わり」に、いつしか瑛璃は怯えていた。
みんなのリアクション
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
それ以来、電車に乗って二人で何度も街を訪れていた。
「瑛璃ちゃん、次は何か食べたいものある? あ、スイーツ、っていうの? メシじゃなくて甘いもんでもいいよ! また友達に良さそうなとこ訊くしさ」
「そうね。スイーツもいいかも。甘いもの好きだし。航くんもよね?」
毎回、航が最初のカフェのように「地元で有名な、友人間で話題に上がる」スポットに連れて行ってくれる。
どこも目新しさだけではなく純粋に楽しめた。
しかし結局、モールに行ったのは一度きりだった。
どれだけ違うか、あるいは同じか確かめよう、と航に促されてあまり気は進まなかったが足を踏み入れたショッピングモール。
確かに中に入ればいったい何処なのかわからなくなるくらい、行きつけの地元の施設と似た空間だった。
東京と変わらない、それなのに何かが異なっているのも間違いないのが不思議でもあった。
明確に言葉にはできない空気のようなものを肌で感じていたのだ。
来る前は、僅か一か月がまるで永遠に思われた夏休みももう残り少ない。あっという間に、飛ぶように、という表現がそのまま当て嵌まるようだ。
もっと欲しい。彼と離れたあとに、反芻するための楽しい経験の記憶が。
東京には行きたくない、この町にいたいと言っていたらしい従兄。
故郷で両親と過ごしたいという考え方自体は何もおかしくはない。
彼がただ「都会の大学へ行って遊びたい」といった浮ついた人間ではないというのもまた、瑛璃にもわかっている。
それでも、今からそこまで決めているというのはやはり不思議だった。
実態として、この町では進路の選択肢は限りなく狭まるのは間違いない気がする。それさえも、瑛璃の身勝手な感情から来るもので、航には余計なお世話なのだろうか。
この夏もいつか終わる。必ず終わる。
そうすれば帰れる、と待ち望んでいた筈の「終わり」に、いつしか瑛璃は怯えていた。
「瑛璃ちゃん、次は何か食べたいものある? あ、スイーツ、っていうの? メシじゃなくて甘いもんでもいいよ! また友達に良さそうなとこ訊くしさ」
「そうね。スイーツもいいかも。甘いもの好きだし。航くんもよね?」
毎回、航が最初のカフェのように「地元で有名な、友人間で話題に上がる」スポットに連れて行ってくれる。
どこも目新しさだけではなく純粋に楽しめた。
しかし結局、モールに行ったのは一度きりだった。
どれだけ違うか、あるいは同じか確かめよう、と航に促されてあまり気は進まなかったが足を踏み入れたショッピングモール。
確かに中に入ればいったい何処なのかわからなくなるくらい、行きつけの地元の施設と似た空間だった。
東京と変わらない、それなのに何かが異なっているのも間違いないのが不思議でもあった。
明確に言葉にはできない空気のようなものを肌で感じていたのだ。
来る前は、僅か一か月がまるで永遠に思われた夏休みももう残り少ない。あっという間に、飛ぶように、という表現がそのまま当て嵌まるようだ。
もっと欲しい。彼と離れたあとに、反芻するための楽しい経験の記憶が。
東京には行きたくない、この町にいたいと言っていたらしい従兄。
故郷で両親と過ごしたいという考え方自体は何もおかしくはない。
彼がただ「都会の大学へ行って遊びたい」といった浮ついた人間ではないというのもまた、瑛璃にもわかっている。
それでも、今からそこまで決めているというのはやはり不思議だった。
実態として、この町では進路の選択肢は限りなく狭まるのは間違いない気がする。それさえも、瑛璃の身勝手な感情から来るもので、航には余計なお世話なのだろうか。
この夏もいつか終わる。必ず終わる。
そうすれば帰れる、と待ち望んでいた筈の「終わり」に、いつしか瑛璃は怯えていた。